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第404話
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閃光。 そうとしか形容できない超スピードによる旋回からの斬撃。
ラーガストの駆るエイコサテトラのスピードはエネルギーウイングを四基しか使っていないにも関わらず圧倒的で、大抵のプレイヤー――ランカーであったとしても反応できるか非常に怪しい。
これこそが最強。 これこそがこのゲームの頂。 これこそがSランク。
どんな相手も圧倒的な力で捻じ伏せる存在である。
だが、対峙する彼女も同じSランク。 ラーガストの神速とも言える高速機動からの斬撃を不可視のシールドを局所展開する事で防いでいた。
グリゼルダの使っている物と同種だが、全方位に展開するなんて真似をすれば容易く食い破られる。
その為、斬撃がくる場所をピンポイントで防ぐ必要があるのだ。
ラーガストの挙動を見切った上で、攻撃を完全に捉えるといった真似を平然と行うヘオドラもまた人外の領域に踏み込んだ最強の一角。
「まだ全開ではないのにここまで速いとは、流石ですのよ!」
「その割には余裕が透けて見えるな」
ヘオドラは笑うだけで応えない。 周囲に浮遊している球体から光が不規則に明滅。
同時にラーガストは急旋回。 これは攻撃ではなく回避の為の挙動だ。
衝撃波のような物が水を割り、弾き飛ばし、底まで露出させる。
「あぁ、気持ちがいいですのよ! ここまで躱せるのはグリゼルダぐらいなので、最近は全力をぶつけられる相手が居なくて退屈でしたのよ!」
「だろうな」
九つの球体から放たれる不可視の衝撃波。 起動から着弾までほぼノータイム。
加えてタイミングをずらしてくるので初見で技量が足りないプレイヤーであったなら何をされたかすら分からずに沈むだろう。 ラーガストは手強い相手だとは思っていたが、勝てないとは思ってはいなかった。
脳裏で目の前のヘオドラをどう葬るのかをシミュレート。
五十ほどの攻撃パターンが瞬時に浮かぶ。 その中で成功率が高い物を選択。
そろそろ仕留めに行こう。 そう考えた時だった。
――不意に真っ赤なウインドウと緊急ミッションの通知があったのは。
ラーガストは想定外の事態に内心で眉を顰める。 こんな事が起こるとは聞いていなかったからだ。
次いで表示される内容に思考が空白になり、機体もそれに追従するように動きを止める。
動きを止めたのはラーガストだけでなくヘオドラも同様だった。
「は、はは、はははははははははは」
「うふ、うふふふふふふふふふ」
気が付けばラーガストは笑い声をあげており、ヘオドラも全く同じタイミングで笑い出す。
その声には様々な感情が込められており、まるで溶岩のように煮えたぎった何かを内包していた。
彼等の笑い声を聞いた者が居れば恐怖すら感じていただろう。
「あぁ、おかしい。 ねぇ、ラーガスト。 貴方、何か聞いていましたの?」
「いや。 ――大方、あの無能な豚共が何かしくじったんだろ」
二人の視線は空に開いた大穴に向けられていた。
「まったく、困った方達ですのよ」
「あぁ、あいつらはムダ金を使うぐらいしか能がないからな。 で、困ったら俺達に投げて問題解決を図る。 救いようのないカス共だな」
空からヘドロの塊のような異形が落ちてくる。
「大きいですのね。 他にも行っているようですし、こんなものですか。 ――それにしても、私なりに折り合いは付けたつもりなのですが、こうして目の当たりにしてみると人の事はあまり言えませんのよ」
ヘオドラの機体のジェネレーター出力が急上昇。
同時にエイコサテトラのエネルギーウイングが六枚展開される。
「さっきから怒りが溢れて止まりませんのよ」
快活な印象を受けるはずの彼女の声は底冷えするほどに冷たい。
「俺もだ。 もういいだろう。 さっさと行くぞ」
同時に二人は運営から特別に許可された特殊な操作を行う。
通常プレイでは使用禁止の機能で、運営の許可が必要な代物だった。
内容は『Ωジェネシスフレーム』の使用申請。 即座に運営から許可するとの通知が返ってくる。
そしてウインドウがポップアップ。 内容は『機体の転送完了まで500秒』
ヘオドラの機体が全ての力を解放し、九つの球体から光の帯の様な物が伸びて接続。
円環を描いた九つの球体が光を放ち、エネルギーが急上昇。 中心に収束され――放たれた。
それは分類上はレーザーではあるのだが、威力は既存の兵器の比ではなかった。
日本、フランスのプレイヤー達が総出で攻撃して碌にダメージを与えられなかったヘドロがあっさりと蒸発し、内部が露出。 それに同期してラーガストの一撃がエネミーの本体の一部を抉る。
「行けるな。 どんどん削れ」
「お任せですのよ!」
ヘオドラが再度、エネルギーをチャージ。 その間にエネミーがヘドロを再生。
巻き込まれる前にラーガストは離脱。 放たれた二射目に合わせてラーガストはエネミーに突っ込んで行った。
――もはや別ゲーだな。
ヨシナリは目の前に広がった光景を見て内心でそう呟く。
数万、数十万のプレイヤー達が必死に削ったにも関わらずヘドロを突破できなかった所を一撃だ。
そして剥き出しになった所をラーガストが追撃。 完璧な連携だった。
フランスのSランクがエネルギーを再充填。 高威力だけあって時間がかかっている。
エネルギー量から考えると充填まで十秒前後。 そしてヘドロの再生は恐ろしい事に三秒弱だ。
エネルギーウイングを全解放しているラーガストはその三秒間に五発は叩きこんでいる点も恐ろしい。
他のプレイヤー達も黙って見ているつもりはないのか攻撃を継続しているが、露出している本体には一応は効いているので無駄にはなっていない。
遅れて空から巨大なレーザーが降って来る。 衛星兵器だ。
こちらは流石に効いてはいて、ヘドロを大きく吹き飛ばす。
本体が露出し、プレイヤー達が攻め時と言わんばかりに攻撃を繰り返す。
削れてはいるが、ラーガスト達の反応がおかしい。 フランス側のSランクの支援を受けての削りだが、攻撃の頻度が下がった。
――何かを警戒している?
「うわ、すっげー」
「これ、ウチらの出番なさそうやなぁ……」
マルメル達は完全に観戦モードだ。 グロウモスは衛星兵器が気になるのか上を見ていた。
ヨシナリの視ている先でエネミーに変化が起こる。 何かの信号を発しているようだ。
通信? エネミーが? 何処と通信するんだよと思ったが、ふと嫌な想像が脳裏を過ぎった。
ラーガストの駆るエイコサテトラのスピードはエネルギーウイングを四基しか使っていないにも関わらず圧倒的で、大抵のプレイヤー――ランカーであったとしても反応できるか非常に怪しい。
これこそが最強。 これこそがこのゲームの頂。 これこそがSランク。
どんな相手も圧倒的な力で捻じ伏せる存在である。
だが、対峙する彼女も同じSランク。 ラーガストの神速とも言える高速機動からの斬撃を不可視のシールドを局所展開する事で防いでいた。
グリゼルダの使っている物と同種だが、全方位に展開するなんて真似をすれば容易く食い破られる。
その為、斬撃がくる場所をピンポイントで防ぐ必要があるのだ。
ラーガストの挙動を見切った上で、攻撃を完全に捉えるといった真似を平然と行うヘオドラもまた人外の領域に踏み込んだ最強の一角。
「まだ全開ではないのにここまで速いとは、流石ですのよ!」
「その割には余裕が透けて見えるな」
ヘオドラは笑うだけで応えない。 周囲に浮遊している球体から光が不規則に明滅。
同時にラーガストは急旋回。 これは攻撃ではなく回避の為の挙動だ。
衝撃波のような物が水を割り、弾き飛ばし、底まで露出させる。
「あぁ、気持ちがいいですのよ! ここまで躱せるのはグリゼルダぐらいなので、最近は全力をぶつけられる相手が居なくて退屈でしたのよ!」
「だろうな」
九つの球体から放たれる不可視の衝撃波。 起動から着弾までほぼノータイム。
加えてタイミングをずらしてくるので初見で技量が足りないプレイヤーであったなら何をされたかすら分からずに沈むだろう。 ラーガストは手強い相手だとは思っていたが、勝てないとは思ってはいなかった。
脳裏で目の前のヘオドラをどう葬るのかをシミュレート。
五十ほどの攻撃パターンが瞬時に浮かぶ。 その中で成功率が高い物を選択。
そろそろ仕留めに行こう。 そう考えた時だった。
――不意に真っ赤なウインドウと緊急ミッションの通知があったのは。
ラーガストは想定外の事態に内心で眉を顰める。 こんな事が起こるとは聞いていなかったからだ。
次いで表示される内容に思考が空白になり、機体もそれに追従するように動きを止める。
動きを止めたのはラーガストだけでなくヘオドラも同様だった。
「は、はは、はははははははははは」
「うふ、うふふふふふふふふふ」
気が付けばラーガストは笑い声をあげており、ヘオドラも全く同じタイミングで笑い出す。
その声には様々な感情が込められており、まるで溶岩のように煮えたぎった何かを内包していた。
彼等の笑い声を聞いた者が居れば恐怖すら感じていただろう。
「あぁ、おかしい。 ねぇ、ラーガスト。 貴方、何か聞いていましたの?」
「いや。 ――大方、あの無能な豚共が何かしくじったんだろ」
二人の視線は空に開いた大穴に向けられていた。
「まったく、困った方達ですのよ」
「あぁ、あいつらはムダ金を使うぐらいしか能がないからな。 で、困ったら俺達に投げて問題解決を図る。 救いようのないカス共だな」
空からヘドロの塊のような異形が落ちてくる。
「大きいですのね。 他にも行っているようですし、こんなものですか。 ――それにしても、私なりに折り合いは付けたつもりなのですが、こうして目の当たりにしてみると人の事はあまり言えませんのよ」
ヘオドラの機体のジェネレーター出力が急上昇。
同時にエイコサテトラのエネルギーウイングが六枚展開される。
「さっきから怒りが溢れて止まりませんのよ」
快活な印象を受けるはずの彼女の声は底冷えするほどに冷たい。
「俺もだ。 もういいだろう。 さっさと行くぞ」
同時に二人は運営から特別に許可された特殊な操作を行う。
通常プレイでは使用禁止の機能で、運営の許可が必要な代物だった。
内容は『Ωジェネシスフレーム』の使用申請。 即座に運営から許可するとの通知が返ってくる。
そしてウインドウがポップアップ。 内容は『機体の転送完了まで500秒』
ヘオドラの機体が全ての力を解放し、九つの球体から光の帯の様な物が伸びて接続。
円環を描いた九つの球体が光を放ち、エネルギーが急上昇。 中心に収束され――放たれた。
それは分類上はレーザーではあるのだが、威力は既存の兵器の比ではなかった。
日本、フランスのプレイヤー達が総出で攻撃して碌にダメージを与えられなかったヘドロがあっさりと蒸発し、内部が露出。 それに同期してラーガストの一撃がエネミーの本体の一部を抉る。
「行けるな。 どんどん削れ」
「お任せですのよ!」
ヘオドラが再度、エネルギーをチャージ。 その間にエネミーがヘドロを再生。
巻き込まれる前にラーガストは離脱。 放たれた二射目に合わせてラーガストはエネミーに突っ込んで行った。
――もはや別ゲーだな。
ヨシナリは目の前に広がった光景を見て内心でそう呟く。
数万、数十万のプレイヤー達が必死に削ったにも関わらずヘドロを突破できなかった所を一撃だ。
そして剥き出しになった所をラーガストが追撃。 完璧な連携だった。
フランスのSランクがエネルギーを再充填。 高威力だけあって時間がかかっている。
エネルギー量から考えると充填まで十秒前後。 そしてヘドロの再生は恐ろしい事に三秒弱だ。
エネルギーウイングを全解放しているラーガストはその三秒間に五発は叩きこんでいる点も恐ろしい。
他のプレイヤー達も黙って見ているつもりはないのか攻撃を継続しているが、露出している本体には一応は効いているので無駄にはなっていない。
遅れて空から巨大なレーザーが降って来る。 衛星兵器だ。
こちらは流石に効いてはいて、ヘドロを大きく吹き飛ばす。
本体が露出し、プレイヤー達が攻め時と言わんばかりに攻撃を繰り返す。
削れてはいるが、ラーガスト達の反応がおかしい。 フランス側のSランクの支援を受けての削りだが、攻撃の頻度が下がった。
――何かを警戒している?
「うわ、すっげー」
「これ、ウチらの出番なさそうやなぁ……」
マルメル達は完全に観戦モードだ。 グロウモスは衛星兵器が気になるのか上を見ていた。
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