Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第484話

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 よく分からなかったがもういいとフェボルはドローンを操作。
 エネルギー弾を発射するドローンに狙いを付けさせる。 
 撃つのは右へ動いた時だ。 エネルギーウイングを噴かすタイミングと合わせれば楽に当てられる。

 動く。 ほら右だ。
 発射。 ドローンから発射されたエネルギー弾がホーコートの機体を射抜こうとしたが、空を切った。

 ――何?

 噴かしたと同時に制動をかけて停止。 エネルギー弾は上半身を僅かに向ける事で躱した。
 ボッボッと何かが燃えるような音が響く。 音の出所を探るとホーコートのエネルギーウイングだ。
 珍しい使い方だ。 小刻みに噴かしている?

 『主の言葉が祭司に臨み、主の手が彼の上にあった』

 すっと突撃銃を持ち上げての連射。 
 明らかにこちらがエネルギーウイングの違和感に注視したタイミング。
 シールド用のドローンを間に挟んで防御。 エネルギーシールドを展開するタイプの防御特化ドローンだ。

 「妙な奴だ」

 思わず呟く。 明らかに動きのクオリティが大きく上がった。
 まるで別人だ。 少し面白くなってきた。 
 フェボルはドローンを更に起動。 普段は機体の各所に取り付けられジェネレーターからの充電を受けている待機状態のドローンが分離し、周囲に展開。

 ノーマルドローン――実体弾装備が二基。 エネルギードローン二基。
 シールド一基の五基を起動して操作。 このまま囲んで仕留める。
 ホーコートは即座に正面へと突っ込む。 本体に肉薄する事で誤射を警戒させる立ち回り。

 いい判断だが、想定内。 
 シールドドローンがエネルギーシールドを展開してホーコートへと向かう。
 そのまま叩きつける動き――所謂、シールドバッシュだ。

 『見よ。 激しき風、大いなる雲が北から来りてその周囲に絶えず火を噴きだす青銅の輝き在り』
 
 ホーコートは呟くように何かを言いながらシールドとの接触直前に雪面に向けて突撃銃を斉射。
 雪が待って視界がホワイトアウト。 フェボルは小さく舌打ちしてもう一基のシールドドローンを起動。 背後にエネルギーシールドを展開。 重たい銃声と盾に何かが当たる衝撃。

 散弾銃。 肩にマウントしていた武器だ。
 エネルギーシールドは光学兵器には高い効果を発揮するが、実体弾への耐性は比較的低い。
 散弾の一部が貫通して装甲の表面にダメージ。 近かった事もあって抜けて来た。

 フェボルの機体はリソースの大半をドローン操作に振っているので、機体の挙動に関しては同ランク帯の機体に比べると大きく劣る。 その為、畳みかけられると押し込まれやすい。 
 だからと言ってソルジャー+に負ける程ではないが。 

 ――ただ、侮っていい相手でもない。

 唐突に動きが良くなった理由は不明だが、よく分からない事を呟いている所から自己暗示の類かもしれない。 小刻みにエネルギーウイングを噴かす事で細かな挙動でこちらを攪乱して来る。
 緩急の付け方も上手いが、何処か動きに固さのような物を感じていた。

 シールドドローンを常に間に挟むように配置し、攻撃用ドローン四基を用いて囲む。
 タイミングをずらした偏差射撃で追い込むが直線加速で突き抜ける。
 ランクで考えるなら凄まじい操作技能だが、そろそろ捕まえられそうだった。 
 
 理由は単純でそろそろスタミナが切れるからだ。 
 どんな化け物ジェネレーターを積んでいたとしてもエネルギーウイングは無限に使えない。
 どこかで休まなければ挙動に悪影響が出る。 やり過ぎて強制冷却になればその時点で終わりだ。
 
 包囲して常に回避を強いる攻撃を繰り返していたのだが、ペース配分を考えずに躱し続け――ガクリと速度が落ちた。 限界を迎えたようだ。
 
 ――少し驚かされたがあっけない幕切れだったな。

 そう言ってとどめを刺そうとドローンに攻撃指示を出す。 
 十字砲火がホーコートを襲い、次々と被弾。 
 高機動のビルドだけあって瞬く間に原型を失い手足が千切れ飛ぶ。

 終わったなと意識は他の戦闘に向いた瞬間にそれは起こった。
 
 『その中から四つの形が現れ、彼等は人の姿を持っていた』

 エネルギーウイングを全開にして突っ込んで来たのだ。 
 速い。 これまでとは段違いのスピードで突っ込んで来る。
 流石にこれはフェボルも想定できずに驚きに目を見開くが、咄嗟にシールドドローンを前に出して壁にする。 衝突の直前に急旋回してドローンを躱して懐に入って来た。

 ここでフェボルは悟った。 どうやらホーコートはこの瞬間を狙っていたようだ。
 被弾する事で油断を誘いつつ手足の欠損で機体のダイエットを行い、想定以上の速度を出す。
 事実としてフェボルは完全に撃破したと思い込んでいたぐらいだったからだ。

 だが、機体のバランスが大きく崩れた状態でこのクオリティの動きができる事もまた驚きだった。
 そして最後に自滅覚悟の特攻をかけてくる事を想定していなかった事も彼の失敗と言える。
 咄嗟に回避を試みるがホーコートの加速に対応しきれずに――グシャリ。

 コックピット部分に頭から突っ込まれ胸部装甲が大きく陥没。 
 僅かに間を置いて爆発。 両者共に脱落となった。

 
 小刻みな銃声が無数に響く。 
 それを掻い潜ってシニフィエはどうにか相手の間合いに入ろうと飛び回っているのだが、近寄れない。 遮蔽物が一切ない雪原なので機動で躱すしかなかった。

 ――これは厳しいですねー。

 前回はいい所がなかったのでここら一度、活躍して名誉を挽回しようと張り切って見たもののこのままいくとまた負けてしまいそうだ。 
 敵は灰色の機体で装備構成などはオーソドックスなものだった。 
 背にはエネルギーライフルがマウントされており、両手にはエネルギー式の短機関銃。

 とにかく弾をばら撒いてくる。 明らかに手数で押し込んでくるタイプだ。
 ここが市街地であるなら遮蔽物を上手く利用して接近する事も可能なのだが、残念ながらそんな都合のいい物はここにはなかった。 機動で攪乱するにも相手の方が上、誘い込むには綺麗に一定の距離を維持して来る上、他の戦闘地帯に接近しようとするとライフルに持ち替えて狙い撃ちにしてくる。

 狙撃精度に関してはグロウモスやヨシナリほどではないがかなり高く、今の自分ではあっさり当てられかねない。 つまり短機関銃を使わせた方がマシなのだ。
 これまでに戦った相手は大なり小なりこちらに対しての侮りがあったので、そこを突く形で崩してきたのだが、今回の相手は少し毛色が違うようだ。
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