Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第503話

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 ソルジャータイプが突撃銃を連射しながら飛んでいる。
 ヨシナリは冷静に照準を合わせてアシンメトリーを発射。 
 綺麗にコックピット部分を射抜いて撃破する。 

 勝利を示すリザルトが表示され、無言で次のランク戦をマッチング。
 あれからずっと考えていた。 何故負けたのか?
 いや、どうすれば勝てたのかを、だ。 自分達の行動に大きなミスはなかったと思いたい。
 
 だが、負けた以上は何かが足りなかったのだ。 マッチングが成立。
 試合開始。 相手はソルジャータイプ。 中距離戦を意識したオーソドックスな装備構成。
 フィールドは山岳地帯だが、空中戦になるので地形はあまり意識しなくていいだろう。

 状況を確認しながらも思考は止まらない。
 あのメンバー相手では分断される事は避けられなかった。 
 少なくともカカラを独力で撃破できなければ打開は難しかっただろう。
 過去を振り返りながら並行して敵への対処を検討。 

 ロングバレル、ロングマガジンの突撃銃は先制を意識した構成だろう。
 敵の連射を変形して回避。 

 カカラはどうすれば単独で撃破できたのか? 
 機体を左右に振って躱しつつ急上昇し、太陽を背負う。

 ――それが出来れば少なくともグロウモスはやられなかった。

 彼女の判断は正しい。 個々の戦闘能力で劣っている以上、どうにか数を減らさなければならない。
 自分と引き換えにカカラを落とせるのなら安い取引だと判断したのだろう。
 実力不足、機体の性能不足だけで片付けたくはなかった。 
 
 可変形態のままアシンメトリーの弾種をエネルギーに切り替えて発射。
 敵機は躱すが、回避先にもう一発撃ち込んで撃墜する。 シックスセンスを使えば相手のエネルギー流動が分かるので特に推進装置を意識して見ればどちらに躱すのかは簡単に分かる。 次。

 当たった後、タヂカラオ達から所属しているであろうメンバーについての情報は得ていたので、最低限の前知識はあったが、深堀している余裕がなかった。
 事前に予習をするべきだった? そう考えてあり得ないと笑う。
 
 このサーバーは世界的に見れば人口は少ない方だが、ランカーは百じゃ利かない。
 参加するかもしれない奴を全員リサーチしろと? 自分だけの話ならやってもいいが、仲間達にそれを強いるのは違うだろうと思っていた。 下手をすれば士気の低下に繋がりかねない。

 ――論外だな。

 マッチングが成立。 次の試合が開始される。
 場所は森林。 開始と同時に機体を急上昇させて上を取る。
 相手に見つけて貰い易くする為だ。 反応は即座、森から発射音と共に無数のミサイルが飛んで来た。

 センサー系の感度を上げて敵機をフォーカス。
 対戦相手はパンツァータイプ。 レーザー砲、ガトリング砲、大量のミサイルポッド。
 火力に偏った機体構成だ。 このステージであるならかなり楽な相手と言える。

 木々が邪魔なので身動きがとり辛い。 
 その為、相手は手数でこちらを潰しに来るはずなのだが、位置が割れている時点であまり怖い相手ではなかった。 大きな動きで旋回。

 敵機の攻撃が追いかけるように伸びるが、明らかに追いついていない。
 アシンメトリーを構えて発射。 
 碌に躱せないパンツァータイプはコックピット部分を撃ち抜かれて沈む。 次。

 いくら考えても結論が出ない思考だった。 何故なら最終的には自分の能力不足に着地するからだ。
 
 ――結局、腕を磨くなり、機体を強化するなりして分かり易く底上げする事が近道か。

 試合開始。 今度は平原、敵機は高機動装備のⅡ型。
 敵機は短機関銃を連射しながら突っ込んで来る。 接近戦を狙っているようだ。
 少し悩んだが、無理に振り切らずに追いつかせる。 ブレードの間合いに入ったと同時に敵機は短機関銃を投げ捨てて腰の左右に差していたエネルギーブレードに手をかけた。

 間の取り方に慣れを感じるが、ここは空中なので上下という逃げ場がある。
 エネルギーウイングを噴かして急旋回。 狙いは割れていたので、相手の意表を突く為に敵機がブレードを抜く前に背後を取る。 

 相手が振り返るのに合わせてエネルギーウイングを噴かして機体を半回転させて蹴りを放つ。
 胴を捉えたと同時に起爆。 至近距離で炸裂したクレイモアが敵機の腹を消し飛ばして真っ二つにする。 二つになった敵機が力なく落下し、上半身、下半身の順番に爆発。

 試合終了となった。 次――の試合を組もうとしたが、少し疲労感を覚えたのでやめておいた。
 朝からずっとランク戦に潜っていたのだが、気が付けばもう昼を過ぎている。
 小さく息を吐くと不意に通知が来た。 Cランクに昇格した事を示すアナウンスだ。

 「あぁ、やっと上がったか」
 
 もうDランクのプレイヤー相手では満足できなかったので、相手の質が上がるのは大歓迎だ。
 折角だしもう一戦してからにするか。 そう考えてヨシナリは再度、ランク戦にエントリーした。

 
 ――す、すげぇ……。

 ホーコートは震えていた。 可視化したウインドウに表示されているのはヨシナリの戦いだ。
 少し前にログインしたのだが、ずっと戦いっぱなしで気が付けばランクがCに上がっていた。
 そしてその戦い方も凄まじい。 相手に合わせた最適な戦い方。

 大した回避技能を持たないプレイヤーは即座にアシンメトリーによる狙撃で撃ち抜かれ、小細工はシックスセンスによって看破される。
 個人レベルの弾幕は容易く掻い潜られ、あっさりと返り討ち。
 
 見れば見るほどに完成度の高さが分かる。 イベント戦ではAランクを単騎で複数撃破。
 ようやくCランクに上がったプレイヤーの動きではなかった。
 ホーコートは考える。 これまで碌に物事を考えずに生きて来た事もあって考えて実践するという事は彼にとって非常に難しい事だった。

 ――何をしていいのか、何をする事が正しいのかが分からない。

 そんな事を考えていると今やっている事に対しての疑いの気持ちが膨らんでいく。
 もしかすると自分はとんでもなく無駄な事をしているのではないか?
 どうしてもそんな事ばかり考えてしまうのだ。 付け加えるなら他のメンバーは順調に力を付けている事もその思考に拍車をかけていた。

 少なくとも今の『星座盤』のメンバーの誰と戦っても勝てる気がしないのが現状だ。
 ホーコートはぼんやりとウインドウに映っているヨシナリの戦いを眺め続ける。
 憧憬と嫉妬に入り混じった複雑な感情が渦を巻く。 

 ――どうすれば自分もあんな風になれるんだろうか

 いくら考えても答えは出なかった。
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