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<第一話・少年少女の溝>
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目に見える事実が真実とは限らない――と、どこかのサスペンスな漫画の主人公が、そんなことを言っていた気がする。
同時に、別のところの名探偵はこんなことも言っていた。真実は、いつだって一つしかないのだ――と。
それを思うたび、中野有純は思ったものだ。じゃあ、真実ってそもそも一体なんなんだろうか、と。
『夏騎ー!計算ドリルまじ助けて、死亡フラグ立ってる!!』
あれは二年生の夏だっただろうか。有純はその年も、幼馴染の五十嵐夏希に泣きついていた。家がすぐ近くというテンプレ、幼稚園から小学校まで一緒に通った友人同士。いわゆる恋愛小説でもなんでも、最終的にくっつくフラグが立っているならばこうだろう、という二人の関係。
問題があるとすれば一つだ。自分達は真逆どころではなく真逆だった。有純は男勝りという言葉では測れないほどボーイッシュで勝気(というか、胸もペッタンコなので初見で男の子と勘違いされなかったことがほぼない)、大して夏騎はおとなしくてクール、上品、中性的な美少年と来ている。一緒に遊んでいると、性別が逆だと誤解されることも珍しくなかった。残念ながら、可愛い雰囲気だのそれっぽい空気だの、というものを経験したことは一度もない。
そして、自分で言っていても悲しくなるが、有純は非常に頭が悪かった。この時も掛け算九九を覚えるのに四苦八苦して、夏休みの計算ドリルが終わらず夏騎の家に突撃したという経緯である。また、八月も半ばというのに読書感想文も自由研究も終わっていなかった。遊び歩いていたせいもあるが、そもそも“何故夏休みの宿題なんてものをやらないといけないのかわからん”という理由で、母の忠告もなんのその放置し続けてしまうというのが正しい。
一年生の夏と同じような状況を作り出した有純に、夏騎は心底呆れていたのをよく覚えている。
『有純、計算ドリルだけ?……他は終わってるんだろうね?』
『終わってると思うか?俺だぞ?中野有純様だぞ?』
『うん終わってないね、知ってた』
夏騎の方は要領もよく、なんと夏休みは始まって一週間程度で全部終わらせたというのだから凄い話である。夏騎はすっげーな!と心底褒め称えると、彼は少しだけ照れて、でも同じだけ呆れた顔で言うのだった。
『褒めても何も出ないから。というか、今のご時世ネットっていう便利なものあるんだから、自由研究系は簡単に終わらせられるんだって気づこうよ。感想文だって、コツさえあればすぐ終らせられるんだし。計算ドリルと漢字ドリルはあれだけど。頑張って覚えるように』
『それができれば苦労はしねーよお……!』
運動神経は良くないけれど、頭がよくて大人しく、それでいて面倒見のいい夏騎。そんでもって見た目も大変よろしい。有純にあるのかどうかもわからない母性本能もくすぐられっぱなしだし、無愛想に見えて不言実行で優しいところもあるので彼に感謝しなかった年は殆どないと思っている。
はっきり言おう。有純の初恋は夏騎だった。そして、その恋は今でも繋がっている。男友達、みたいな関係が定着してしまったせいで、とても口にすることなどできなくなってしまったけれど。
――そりゃ、俺は“俺”だし。女の子らしい可愛げとかねーし、口で言うより先に手が出る足が出るなのは否定しねーけど。料理とかも全然できねーけど。
でも、別に男の子になりたくてこんな喋り方や服装をしているわけじゃない。ただ気楽なだけ、自分にあっていると思うだけ。でも一般的には、そういう女の子が男の子にモテることはないらしい、とクラスの女子達はみんな話している。男の子達が“可愛い”と名前を挙げる女子も、大抵髪が長くてお淑やかで家庭的っぽい女子ばっかりだ。
自分は、女の子としても魅力が1ミリもない。美人でもないし、ガサツ。けれど、それを自分でどうにかできるというわけでもない。
それがわかっていて、どうして告白なんて気恥ずかしいことができるだろうか。最初から見込みがない恋なんて、するだけ無駄でしかないというのに。
幼稚園から、小学校まで。一緒にいて笑いあえば笑いあうほど、募るのは“好きだなあ”という気持ちばかりなのである。
『九九は、歌にして覚えると楽なんだよ。あと、リズム。いい動画教えてあげるから、ヨウチューブで見てみて。すごく覚えやすいから』
突然押しかけても、嫌な顔一つしない。有純にできないこと、困ったことがあっても必ず助けてくれる夏騎。
今から思うとそんな彼に、自分は甘えすぎていたのかもしれないと思う。――恋人になりたい、なんて気持ちが少しでもあるというのなら。片方が片方にばかり依存する関係なんて、そんなものでは正しく成り立つ筈もなかったというのに。
――なあ、夏騎。俺さ。……俺にも、夏騎を助ける方法、あるのかな。
クラスが離れてしまったのは、四年生になった時。
そして五年生になって、運良くまた同じクラスになることができた頃には――夏騎はまるで、笑わない子供になってしまっていた。三年生までは、不器用でも小さくても、確かに可愛い笑顔を見せてくれる男の子だったというのに。
実は、毎年の恒例は――その四年生の夏だけ、発生していない。
何故なら彼は、四年生の半分を不登校で過ごしたからだ。
いくら教師達が奔走したところで、人の口に戸を立てることはできない。子供達の間で流れた噂は一つだった。いわく夏騎のクラス、四年三組ではいじめが起きている、と。夏騎が不登校になったのも恐らくそれが原因だろう、と。そもそも、不登校になったのは夏騎だけではなかったらしいから、余程酷い状況であったのは想像がつくことだろう。
そして、やがて決定的な事件が起こることになる。
有純達が四年生の時の、春――四年三組の、生徒の一人が自殺したのだ。
***
「あ、あのさ夏騎!」
五年生になった年、夏。もうすぐ夏休みという七月の終わり、教室にて。有純はいつものように夏騎に声をかけていた。今日はクラブ活動などもない。学校が終われば、あとはもうすぐ家に帰るだけである。
クラス替えがあり、再び同じクラスになったというのに――夏騎との関係は、元に戻ることなどないままだ。彼が不登校から復帰して学校に来てくれた時は純粋に喜んだものだが、今から思うとそれも本当に喜ばしいことであったのかどうか。母親が厳しい人であるという話は聞いたことがある。不登校だった間、家族の理解が得られずに無理矢理学校に行けと炊きつけられたのかもしれない。そして、学校に来たこと、イコール彼の心の傷が癒えたということではないのかもしれなかった。
「一緒に帰ろうよ、久しぶりにさ!あ、あの、できればちょっと相談したいこともあるというか……!」
嘘だった。相談したいことがあるというより、夏騎の話を聞きたいだけである。しかし、とにかく何か用がある体裁を取り繕うわなければ、彼と一緒にいる理由を見つけられないような気がしてならなかったのだ。
「……」
夏騎は、いつも無視はしない。視線はちゃんとこちらを向いてくれる。有純の存在を、なかったことにしようとはしていない。でも。
「……悪いけど、一人の方が気楽だから」
言葉は違えど、返ってくる返事はいつもその一種類だけだった。最後に一緒に帰ったのはいつのことだっただろう。三年生の終わり――いや、四年生のはじめの頃までは、一緒に待ち合わせして帰宅することもあったような気がする。しかし、いつの間にか彼は、待ち合わせそのものをしてくれなくなり、一人で帰るばかりになって。やがて不登校になり、それきりだった。五年生になって、同じクラスになって、再び一緒に帰る機会を得てもそれは変わらない。
彼の時間はどこかで歯車が狂って、そのままになってしまっているようだ。
「……そ、そっか。ごめん」
今までの彼だったら。有純がこう告げると、困ったように笑って“謝って欲しいわけじゃないんだけど”とかなんとか返してくるはずだった。しかし今は、それで彼は会話を終わりにして、そのまま立ち去ってしまう。まるで、有純と長く会話を交わすことそのものが辛くて仕方ないとでも言うように。
――去年。ほんと、何があったっていうんだよ。
四年生の教室は、一組と二組が三階、三組と四組は四階という配置になる。他のクラスや特別教室との配置上の問題であるらしい。四年一組であった夏騎は、彼らのクラスがある四階に上がることそのものが殆どなかった。自分の意思で見に行かなければ、三組の様子を外から伺うことさえない。
それでも、自分がその気になれば、もう少し何か手は打てたのではないかと思わなくもないのだ。何かトラブルがあるのではないか、という気配は実際に察知していたわけなのだから。確かに夏騎からは、あまり関わって欲しくなさそうな雰囲気を感じ取ってはいたけれども。
「有純ちゃん」
「!」
所在なげに彼の背中を見送る有純に、後ろから声をかけてきた人物がいた。今年から同じクラスになった友人、長谷川美桜と相田夢の二人である。
「あのさ、夏騎君と有純ちゃんって、幼馴染なんだよね?」
「?そーだけど……」
「じゃあ、夏騎君の去年のクラス……四年三組についても、ある程度聴いてる?」
美桜も夢も、去年のクラスは三組ではなかったはずである。美桜は二組、夢は四組だ。ただ、夢の方は四組ということは、教室も同じ階で隣。何か知っているのかもしれない。
「いじめがあったことと、夏騎とそれ以外にも不登校があったってこと。あと、一人クラスの子が自殺しちゃったってことだけは知ってるけど、それ以外は。お前ら、何か知ってるのか?」
焦っている、という自覚は有純にもある。なるべくきつい口調にならないよう、精一杯自制しなければならなかった。有純の言葉に、美桜と夢は顔を見合わせ――ちょっとだけ、と頷きあった。
「私の友達、三組だったの。……でも、その子もちょっとおかしくなっちゃってて。あんまり話は聞けなかったんだけど……」
少しためらいがちに、夢が口を開いた。
「死んだ子の遺書が、あったんだって。でもその遺書が……ちょっとヘンなんだってさ」
同時に、別のところの名探偵はこんなことも言っていた。真実は、いつだって一つしかないのだ――と。
それを思うたび、中野有純は思ったものだ。じゃあ、真実ってそもそも一体なんなんだろうか、と。
『夏騎ー!計算ドリルまじ助けて、死亡フラグ立ってる!!』
あれは二年生の夏だっただろうか。有純はその年も、幼馴染の五十嵐夏希に泣きついていた。家がすぐ近くというテンプレ、幼稚園から小学校まで一緒に通った友人同士。いわゆる恋愛小説でもなんでも、最終的にくっつくフラグが立っているならばこうだろう、という二人の関係。
問題があるとすれば一つだ。自分達は真逆どころではなく真逆だった。有純は男勝りという言葉では測れないほどボーイッシュで勝気(というか、胸もペッタンコなので初見で男の子と勘違いされなかったことがほぼない)、大して夏騎はおとなしくてクール、上品、中性的な美少年と来ている。一緒に遊んでいると、性別が逆だと誤解されることも珍しくなかった。残念ながら、可愛い雰囲気だのそれっぽい空気だの、というものを経験したことは一度もない。
そして、自分で言っていても悲しくなるが、有純は非常に頭が悪かった。この時も掛け算九九を覚えるのに四苦八苦して、夏休みの計算ドリルが終わらず夏騎の家に突撃したという経緯である。また、八月も半ばというのに読書感想文も自由研究も終わっていなかった。遊び歩いていたせいもあるが、そもそも“何故夏休みの宿題なんてものをやらないといけないのかわからん”という理由で、母の忠告もなんのその放置し続けてしまうというのが正しい。
一年生の夏と同じような状況を作り出した有純に、夏騎は心底呆れていたのをよく覚えている。
『有純、計算ドリルだけ?……他は終わってるんだろうね?』
『終わってると思うか?俺だぞ?中野有純様だぞ?』
『うん終わってないね、知ってた』
夏騎の方は要領もよく、なんと夏休みは始まって一週間程度で全部終わらせたというのだから凄い話である。夏騎はすっげーな!と心底褒め称えると、彼は少しだけ照れて、でも同じだけ呆れた顔で言うのだった。
『褒めても何も出ないから。というか、今のご時世ネットっていう便利なものあるんだから、自由研究系は簡単に終わらせられるんだって気づこうよ。感想文だって、コツさえあればすぐ終らせられるんだし。計算ドリルと漢字ドリルはあれだけど。頑張って覚えるように』
『それができれば苦労はしねーよお……!』
運動神経は良くないけれど、頭がよくて大人しく、それでいて面倒見のいい夏騎。そんでもって見た目も大変よろしい。有純にあるのかどうかもわからない母性本能もくすぐられっぱなしだし、無愛想に見えて不言実行で優しいところもあるので彼に感謝しなかった年は殆どないと思っている。
はっきり言おう。有純の初恋は夏騎だった。そして、その恋は今でも繋がっている。男友達、みたいな関係が定着してしまったせいで、とても口にすることなどできなくなってしまったけれど。
――そりゃ、俺は“俺”だし。女の子らしい可愛げとかねーし、口で言うより先に手が出る足が出るなのは否定しねーけど。料理とかも全然できねーけど。
でも、別に男の子になりたくてこんな喋り方や服装をしているわけじゃない。ただ気楽なだけ、自分にあっていると思うだけ。でも一般的には、そういう女の子が男の子にモテることはないらしい、とクラスの女子達はみんな話している。男の子達が“可愛い”と名前を挙げる女子も、大抵髪が長くてお淑やかで家庭的っぽい女子ばっかりだ。
自分は、女の子としても魅力が1ミリもない。美人でもないし、ガサツ。けれど、それを自分でどうにかできるというわけでもない。
それがわかっていて、どうして告白なんて気恥ずかしいことができるだろうか。最初から見込みがない恋なんて、するだけ無駄でしかないというのに。
幼稚園から、小学校まで。一緒にいて笑いあえば笑いあうほど、募るのは“好きだなあ”という気持ちばかりなのである。
『九九は、歌にして覚えると楽なんだよ。あと、リズム。いい動画教えてあげるから、ヨウチューブで見てみて。すごく覚えやすいから』
突然押しかけても、嫌な顔一つしない。有純にできないこと、困ったことがあっても必ず助けてくれる夏騎。
今から思うとそんな彼に、自分は甘えすぎていたのかもしれないと思う。――恋人になりたい、なんて気持ちが少しでもあるというのなら。片方が片方にばかり依存する関係なんて、そんなものでは正しく成り立つ筈もなかったというのに。
――なあ、夏騎。俺さ。……俺にも、夏騎を助ける方法、あるのかな。
クラスが離れてしまったのは、四年生になった時。
そして五年生になって、運良くまた同じクラスになることができた頃には――夏騎はまるで、笑わない子供になってしまっていた。三年生までは、不器用でも小さくても、確かに可愛い笑顔を見せてくれる男の子だったというのに。
実は、毎年の恒例は――その四年生の夏だけ、発生していない。
何故なら彼は、四年生の半分を不登校で過ごしたからだ。
いくら教師達が奔走したところで、人の口に戸を立てることはできない。子供達の間で流れた噂は一つだった。いわく夏騎のクラス、四年三組ではいじめが起きている、と。夏騎が不登校になったのも恐らくそれが原因だろう、と。そもそも、不登校になったのは夏騎だけではなかったらしいから、余程酷い状況であったのは想像がつくことだろう。
そして、やがて決定的な事件が起こることになる。
有純達が四年生の時の、春――四年三組の、生徒の一人が自殺したのだ。
***
「あ、あのさ夏騎!」
五年生になった年、夏。もうすぐ夏休みという七月の終わり、教室にて。有純はいつものように夏騎に声をかけていた。今日はクラブ活動などもない。学校が終われば、あとはもうすぐ家に帰るだけである。
クラス替えがあり、再び同じクラスになったというのに――夏騎との関係は、元に戻ることなどないままだ。彼が不登校から復帰して学校に来てくれた時は純粋に喜んだものだが、今から思うとそれも本当に喜ばしいことであったのかどうか。母親が厳しい人であるという話は聞いたことがある。不登校だった間、家族の理解が得られずに無理矢理学校に行けと炊きつけられたのかもしれない。そして、学校に来たこと、イコール彼の心の傷が癒えたということではないのかもしれなかった。
「一緒に帰ろうよ、久しぶりにさ!あ、あの、できればちょっと相談したいこともあるというか……!」
嘘だった。相談したいことがあるというより、夏騎の話を聞きたいだけである。しかし、とにかく何か用がある体裁を取り繕うわなければ、彼と一緒にいる理由を見つけられないような気がしてならなかったのだ。
「……」
夏騎は、いつも無視はしない。視線はちゃんとこちらを向いてくれる。有純の存在を、なかったことにしようとはしていない。でも。
「……悪いけど、一人の方が気楽だから」
言葉は違えど、返ってくる返事はいつもその一種類だけだった。最後に一緒に帰ったのはいつのことだっただろう。三年生の終わり――いや、四年生のはじめの頃までは、一緒に待ち合わせして帰宅することもあったような気がする。しかし、いつの間にか彼は、待ち合わせそのものをしてくれなくなり、一人で帰るばかりになって。やがて不登校になり、それきりだった。五年生になって、同じクラスになって、再び一緒に帰る機会を得てもそれは変わらない。
彼の時間はどこかで歯車が狂って、そのままになってしまっているようだ。
「……そ、そっか。ごめん」
今までの彼だったら。有純がこう告げると、困ったように笑って“謝って欲しいわけじゃないんだけど”とかなんとか返してくるはずだった。しかし今は、それで彼は会話を終わりにして、そのまま立ち去ってしまう。まるで、有純と長く会話を交わすことそのものが辛くて仕方ないとでも言うように。
――去年。ほんと、何があったっていうんだよ。
四年生の教室は、一組と二組が三階、三組と四組は四階という配置になる。他のクラスや特別教室との配置上の問題であるらしい。四年一組であった夏騎は、彼らのクラスがある四階に上がることそのものが殆どなかった。自分の意思で見に行かなければ、三組の様子を外から伺うことさえない。
それでも、自分がその気になれば、もう少し何か手は打てたのではないかと思わなくもないのだ。何かトラブルがあるのではないか、という気配は実際に察知していたわけなのだから。確かに夏騎からは、あまり関わって欲しくなさそうな雰囲気を感じ取ってはいたけれども。
「有純ちゃん」
「!」
所在なげに彼の背中を見送る有純に、後ろから声をかけてきた人物がいた。今年から同じクラスになった友人、長谷川美桜と相田夢の二人である。
「あのさ、夏騎君と有純ちゃんって、幼馴染なんだよね?」
「?そーだけど……」
「じゃあ、夏騎君の去年のクラス……四年三組についても、ある程度聴いてる?」
美桜も夢も、去年のクラスは三組ではなかったはずである。美桜は二組、夢は四組だ。ただ、夢の方は四組ということは、教室も同じ階で隣。何か知っているのかもしれない。
「いじめがあったことと、夏騎とそれ以外にも不登校があったってこと。あと、一人クラスの子が自殺しちゃったってことだけは知ってるけど、それ以外は。お前ら、何か知ってるのか?」
焦っている、という自覚は有純にもある。なるべくきつい口調にならないよう、精一杯自制しなければならなかった。有純の言葉に、美桜と夢は顔を見合わせ――ちょっとだけ、と頷きあった。
「私の友達、三組だったの。……でも、その子もちょっとおかしくなっちゃってて。あんまり話は聞けなかったんだけど……」
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