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<第九話・もどかしい距離>
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念のため地図はもう二枚ずつコピーしており、原本(まあその原本もコピーなわけだが)は念のため自宅に置いてきた有純である。そもそも学校に行く、と連絡を入れたのは夏騎の案だ。発覚は確かに早くなるが、同時に“万が一”なことが起きた場合、大目玉を食らうことも承知で行き先を残しておくべきだ、と彼は考えたらしい。
「そこがちょっとよくわからない……」
有純は職員用の出入り口から校舎に入りつつ、夏騎に尋ねる。
「万が一ってなにさ?まさか夏騎は本当に、市川美亜の件は港君の悪霊が祟ったから……とでも思ってるわけ?」
「さあ」
「さあって……」
「可能性なんていくらでもある。確かに俺が知っている港は人を酷い目に遭わせて喜ぶようなヤツじゃないけど、死んだあとの港も同じ性格かはわからない。加えて、それだけのことを市川美亜がしたと言われたらそれも納得できない話じゃない」
どういうことだそれは、と有純は混乱する。死ぬ前にいいヤツだったなら――死んだ後だってそれは変わらないのではないのだろうか。
確かに詳細は聞かないまでも、クラスの大半がトラウマになるほどのいじめがあったらしいのは理解できる。それほど悪どい少女だったのだろう、という予想ができなくはないけれど。
「納得してなさそうだな、有純。本当にわかりやすい」
押し黙った有純を見て、夏騎は少しだけ苦笑に違いものを浮かべた。
「先に言っておくが、俺は幽霊は否定派でも肯定派でもない。自分が見たこともないものを、存在するだのしないだの議論するだけナンセンスだろ」
「な、なんせんす……?」
「俺は自分が見るまで信じないし否定もしないってこと。でも仮定ならできないこともない。幽霊が存在すると“仮定”したら。参考にできるのは真実かどうかわからない胡散臭い心霊番組と、誰かが作った創作小説くらいだ。まあちゃんとした研究をしている人達もいるにはいるけど、それを理解できるほどの知識は俺にはないし。……とにかく、そういう真偽混じるだろう人達の大半が“人間は死ぬと性格が変わる”って考え方をしてるんだよな。悪霊が無関係の人間を祟るってのは、そういうことだろ」
それは、言われてみればそうなのかもしれない。例えば恋人にフラレた幽霊が、恋人を恨んで呪い殺したとする。そこまではいい。しかし、その幽霊が死んだ場所にたまたま近づいた無関係の人間を呪って、同じような死に方をさせたりするのはどうしてなのか?という話だ。恋人に似ていただの、恋人と間違えただのというのならまだわからないではないが、多くの創作や取材ではその標的が無差別であることが多いような気がする。
どこぞの呪われたビデオテープの幽霊だのがいい例だ。ちらっとだけ読んだあの原作は、男に殺された恨みが元で悪霊になったはずなのに――最終的には全く関係のない見ず知らずの存在を次々殺しに殺しているではないか。
本来ならば恨みの対象ではないはずの存在が、何故だかターゲットにされている。なるほど、死ぬと性格が変わってしまうというのはそういうことなのかもしれない。
「もし……だ。もしも港が本当に市川美亜を事故に遭わせた張本人であるとしたら。最低でも成仏できてないことは確定。いくら市川に自業自得としか思えない要因があっても、起きた報復の内容を見れば十分“悪霊の祟り”の領分になる。その港がどこまで報復の対象を広げてくるかは誰にもわからない。それは本人が生前いいやつだったかどうかなんて関係ない。旧三組の奴等が怯えるのは真っ当だろうさ。そしてもし呪いが他にも降りかかるなら、“何をすれば怒りを買うのか”も全くわからない状況と来てる」
「俺達にも可能性はある……ってことか?」
「そうだ。もっと言うと、市川美亜の事故が超常現象によるものだった場合、それが港以外の仕業である可能性も否定できない。あいつがオカルトに興味を持っていたようだから尚更にな。……だから、何が起きるかわからないとは思ってる。何も起きない可能性も半分以上あるけど」
言いながら彼はランドセルから食卓用の塩のビンを二つ取り出してひらひらと振って見せた。いつの間にそんなものを仕込んできたのだろうか。
まあ、幽霊が出たら塩を撒け、は定番だ。こんなものでも、某消臭スプレーを撒くよりは効果があると信じたいところではあるだろう。
「そんなわけで、一応訊く……有純」
そこで、ぴたりと足を止めて――夏騎は言った。
「帰るなら今だ」
「は……?」
「今回は夏騎の友達のおかげで遺書を手に入れられたし、俺が解決したかった問題に着手できそうにはなってる。その感謝をこめて一緒に調べようと誘った。でも、何があるのかは正直わからない。オカルトであっても敵が人間でもどちらでもない“ナニカ”でも、見つかるのはろくなものじゃない可能性が高いと俺は踏んでる。このまま一緒に行けば確実に有純は巻き込まれる」
何それ、と有純は思った。ここまで来てまさか“お前は帰っていい”などと言われようとは。
「……ふざけてんのかよ。俺は自分の意思で此処にいるんだぞ。お前また、そうやって一人で溜め込む気よ、不登校になった時みたいに!」
憤慨する自分は、間違っていないはずである。肝心な時に自分は除け者だった。いじめがあったことさえ、後で知らされた始末である。自殺の詳細も知らなかったし、主犯の市川美亜のことだって何もわからないまま初めて知ったことだらけで。
確かに、有純には知ろうとする努力が足りていなかったかもしれない。何も出来なかったのは、有純の力不足もあったことは十分わかっているつもりだ。あくまで事件そのものは夏騎も被害者の一人で、責められるべきなどではないということも。
――でも!俺が……俺がどんだけ心配したと思ってんだよお前は!
心配して、心配して、でも声をかける機会さえなくて。
やっと登校してきたと思ったら暗い顔ばかり、話しかけてもまるで話題が続かない状態。別の意味でも不安にさせたとどうしてわかってくれないのだろう。
「……お前に、無理してほしいつもりじゃないけど、でも!」
本当はもっと素直に言いたい。心配していたと、待っていたと。
もっと頼ってほしいと言ってしまいたい――なのに。
「お前が五年生になってガッコ来て……お前とまた同じクラスになって!人がどんだけ嬉しかったと思ってんだ!」
「嬉しかった……?」
「なんでそこで疑問系なんだよ鈍すぎんだろ!全部言わせる気か!」
ああもう、ほんと乙女心がわかってない――いや、そんなものが自分にあったことにも驚きだが。
「お前に嫌われたんじゃないかって!もう前みたいに一緒にいられないんじゃないかって!ずっと不安になってた俺が馬鹿みてぇじゃねえか!嫌われたかもしれないって、むしろそこまでお前が苦しんでたのに俺何してたんだよ馬鹿じゃねえのと思って、それで……」
段々と自分でも何を言っているのかわからなくなってしまう。どうしてこんなにも、キリキリ胸が痛いのだろう。もっと上手に言葉が選べないのだろう。
ただ一緒にいたい、一緒にいさせてほしい――そんな一言さえ、どうして出てこないのか。
――わかってる。半分八つ当たりだ。一番ムカついてるのは……俺自身だ。
無力で仕方ない。
役に立ちたいのに、どうすればいいのかもわからなくて、ただ。
「……嫌ったり、してない」
やがて。困ったように眉を下げて――夏騎が言った。
「連絡を取らなかったのも、何も言えなかったのも、有純のせいじゃない。全部俺のためだ」
「ナニソレ……」
「それこそ言わせないで欲しい。俺にだってプライドはある。今だって……」
少し躊躇って、それで彼は。
「有純に、万が一のことがあるくらいなら。一人で危ない目に遭った方がマシだと思って、言った。言葉が足らなかった……ごめん」
それこそ――なにそれ、だ。
――やめろよ、馬鹿野郎。
思わず滲みかけた情けない涙を、有純は慌てて服の袖で拭った。今年がやや冷夏で、まだ長袖で良かったなんて斜め上のことを思いながら。
――やめろってば、そういうの。誤解、させんじゃねーよ。
嬉しいと思う自分を、ギリギリで戒める。
いくら有純が夏騎を男の子として意識していても――向こうが有純を女の子として見ているはずがないのだから、と。
――決めただろ。俺はヒーローになるんだって。みんなにとっても……夏騎にとってもヒーローでいたいって、そう願ったのは俺じゃん。何のために喧嘩強くなったんだ。何のために“俺”になったんだ。……忘れんな、一番大事なこと。
そう、お姫様より、王子様がいい。
助けられるより助けたい、守られるより守りたい――誓ったのは、己自身だ。
「一緒に、行く。決まってんだろーが」
男の子より強い女の子にならなければ、夏騎の隣にいるのに相応しい存在になんかなれない。恋人よりも近い、相棒ではいられない。
だからドキドキした気持ちも全部蓋をして、有純は少年のように笑うことを選ぶのだ。
「もう二度と言うなよ。俺はお前よりデカいし力も強ぇ、喧嘩も負けたことなんかねぇ。確かに頭は良くないかもだけど……それでも俺の力は不要かよ」
「最低でも親の大目玉は確実だけど?」
「夏騎クンが一人で叱られてたらカワイソーだから付き合ってあげまーす。感謝しろよコノヤロー」
有純が流れるように歌ってやれば、夏騎は――あの頃よりは控えめだけど、それでも確かに――微笑んで見せたのだった。
「……そう。じゃあ、期待する」
美少年の、それも片想いの相手の唐突な笑顔。完全に反則だった。
ノックアウトされそうになりつつ、有純は赤くなった顔を誤魔化して言うのである。
「そ、そ、そそそそういうわけだから!理科室だよな、理科室!鍵しまってると思うんだけどどーすんだよ!」
「言っただろ、考えがあるって」
もう、彼の足取りに迷いはない。靴を脱いで上履きと履き替えると、すたすたと一階の廊下を歩き始める。
「見てみればわかる。なんとかなるから」
「そこがちょっとよくわからない……」
有純は職員用の出入り口から校舎に入りつつ、夏騎に尋ねる。
「万が一ってなにさ?まさか夏騎は本当に、市川美亜の件は港君の悪霊が祟ったから……とでも思ってるわけ?」
「さあ」
「さあって……」
「可能性なんていくらでもある。確かに俺が知っている港は人を酷い目に遭わせて喜ぶようなヤツじゃないけど、死んだあとの港も同じ性格かはわからない。加えて、それだけのことを市川美亜がしたと言われたらそれも納得できない話じゃない」
どういうことだそれは、と有純は混乱する。死ぬ前にいいヤツだったなら――死んだ後だってそれは変わらないのではないのだろうか。
確かに詳細は聞かないまでも、クラスの大半がトラウマになるほどのいじめがあったらしいのは理解できる。それほど悪どい少女だったのだろう、という予想ができなくはないけれど。
「納得してなさそうだな、有純。本当にわかりやすい」
押し黙った有純を見て、夏騎は少しだけ苦笑に違いものを浮かべた。
「先に言っておくが、俺は幽霊は否定派でも肯定派でもない。自分が見たこともないものを、存在するだのしないだの議論するだけナンセンスだろ」
「な、なんせんす……?」
「俺は自分が見るまで信じないし否定もしないってこと。でも仮定ならできないこともない。幽霊が存在すると“仮定”したら。参考にできるのは真実かどうかわからない胡散臭い心霊番組と、誰かが作った創作小説くらいだ。まあちゃんとした研究をしている人達もいるにはいるけど、それを理解できるほどの知識は俺にはないし。……とにかく、そういう真偽混じるだろう人達の大半が“人間は死ぬと性格が変わる”って考え方をしてるんだよな。悪霊が無関係の人間を祟るってのは、そういうことだろ」
それは、言われてみればそうなのかもしれない。例えば恋人にフラレた幽霊が、恋人を恨んで呪い殺したとする。そこまではいい。しかし、その幽霊が死んだ場所にたまたま近づいた無関係の人間を呪って、同じような死に方をさせたりするのはどうしてなのか?という話だ。恋人に似ていただの、恋人と間違えただのというのならまだわからないではないが、多くの創作や取材ではその標的が無差別であることが多いような気がする。
どこぞの呪われたビデオテープの幽霊だのがいい例だ。ちらっとだけ読んだあの原作は、男に殺された恨みが元で悪霊になったはずなのに――最終的には全く関係のない見ず知らずの存在を次々殺しに殺しているではないか。
本来ならば恨みの対象ではないはずの存在が、何故だかターゲットにされている。なるほど、死ぬと性格が変わってしまうというのはそういうことなのかもしれない。
「もし……だ。もしも港が本当に市川美亜を事故に遭わせた張本人であるとしたら。最低でも成仏できてないことは確定。いくら市川に自業自得としか思えない要因があっても、起きた報復の内容を見れば十分“悪霊の祟り”の領分になる。その港がどこまで報復の対象を広げてくるかは誰にもわからない。それは本人が生前いいやつだったかどうかなんて関係ない。旧三組の奴等が怯えるのは真っ当だろうさ。そしてもし呪いが他にも降りかかるなら、“何をすれば怒りを買うのか”も全くわからない状況と来てる」
「俺達にも可能性はある……ってことか?」
「そうだ。もっと言うと、市川美亜の事故が超常現象によるものだった場合、それが港以外の仕業である可能性も否定できない。あいつがオカルトに興味を持っていたようだから尚更にな。……だから、何が起きるかわからないとは思ってる。何も起きない可能性も半分以上あるけど」
言いながら彼はランドセルから食卓用の塩のビンを二つ取り出してひらひらと振って見せた。いつの間にそんなものを仕込んできたのだろうか。
まあ、幽霊が出たら塩を撒け、は定番だ。こんなものでも、某消臭スプレーを撒くよりは効果があると信じたいところではあるだろう。
「そんなわけで、一応訊く……有純」
そこで、ぴたりと足を止めて――夏騎は言った。
「帰るなら今だ」
「は……?」
「今回は夏騎の友達のおかげで遺書を手に入れられたし、俺が解決したかった問題に着手できそうにはなってる。その感謝をこめて一緒に調べようと誘った。でも、何があるのかは正直わからない。オカルトであっても敵が人間でもどちらでもない“ナニカ”でも、見つかるのはろくなものじゃない可能性が高いと俺は踏んでる。このまま一緒に行けば確実に有純は巻き込まれる」
何それ、と有純は思った。ここまで来てまさか“お前は帰っていい”などと言われようとは。
「……ふざけてんのかよ。俺は自分の意思で此処にいるんだぞ。お前また、そうやって一人で溜め込む気よ、不登校になった時みたいに!」
憤慨する自分は、間違っていないはずである。肝心な時に自分は除け者だった。いじめがあったことさえ、後で知らされた始末である。自殺の詳細も知らなかったし、主犯の市川美亜のことだって何もわからないまま初めて知ったことだらけで。
確かに、有純には知ろうとする努力が足りていなかったかもしれない。何も出来なかったのは、有純の力不足もあったことは十分わかっているつもりだ。あくまで事件そのものは夏騎も被害者の一人で、責められるべきなどではないということも。
――でも!俺が……俺がどんだけ心配したと思ってんだよお前は!
心配して、心配して、でも声をかける機会さえなくて。
やっと登校してきたと思ったら暗い顔ばかり、話しかけてもまるで話題が続かない状態。別の意味でも不安にさせたとどうしてわかってくれないのだろう。
「……お前に、無理してほしいつもりじゃないけど、でも!」
本当はもっと素直に言いたい。心配していたと、待っていたと。
もっと頼ってほしいと言ってしまいたい――なのに。
「お前が五年生になってガッコ来て……お前とまた同じクラスになって!人がどんだけ嬉しかったと思ってんだ!」
「嬉しかった……?」
「なんでそこで疑問系なんだよ鈍すぎんだろ!全部言わせる気か!」
ああもう、ほんと乙女心がわかってない――いや、そんなものが自分にあったことにも驚きだが。
「お前に嫌われたんじゃないかって!もう前みたいに一緒にいられないんじゃないかって!ずっと不安になってた俺が馬鹿みてぇじゃねえか!嫌われたかもしれないって、むしろそこまでお前が苦しんでたのに俺何してたんだよ馬鹿じゃねえのと思って、それで……」
段々と自分でも何を言っているのかわからなくなってしまう。どうしてこんなにも、キリキリ胸が痛いのだろう。もっと上手に言葉が選べないのだろう。
ただ一緒にいたい、一緒にいさせてほしい――そんな一言さえ、どうして出てこないのか。
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無力で仕方ない。
役に立ちたいのに、どうすればいいのかもわからなくて、ただ。
「……嫌ったり、してない」
やがて。困ったように眉を下げて――夏騎が言った。
「連絡を取らなかったのも、何も言えなかったのも、有純のせいじゃない。全部俺のためだ」
「ナニソレ……」
「それこそ言わせないで欲しい。俺にだってプライドはある。今だって……」
少し躊躇って、それで彼は。
「有純に、万が一のことがあるくらいなら。一人で危ない目に遭った方がマシだと思って、言った。言葉が足らなかった……ごめん」
それこそ――なにそれ、だ。
――やめろよ、馬鹿野郎。
思わず滲みかけた情けない涙を、有純は慌てて服の袖で拭った。今年がやや冷夏で、まだ長袖で良かったなんて斜め上のことを思いながら。
――やめろってば、そういうの。誤解、させんじゃねーよ。
嬉しいと思う自分を、ギリギリで戒める。
いくら有純が夏騎を男の子として意識していても――向こうが有純を女の子として見ているはずがないのだから、と。
――決めただろ。俺はヒーローになるんだって。みんなにとっても……夏騎にとってもヒーローでいたいって、そう願ったのは俺じゃん。何のために喧嘩強くなったんだ。何のために“俺”になったんだ。……忘れんな、一番大事なこと。
そう、お姫様より、王子様がいい。
助けられるより助けたい、守られるより守りたい――誓ったのは、己自身だ。
「一緒に、行く。決まってんだろーが」
男の子より強い女の子にならなければ、夏騎の隣にいるのに相応しい存在になんかなれない。恋人よりも近い、相棒ではいられない。
だからドキドキした気持ちも全部蓋をして、有純は少年のように笑うことを選ぶのだ。
「もう二度と言うなよ。俺はお前よりデカいし力も強ぇ、喧嘩も負けたことなんかねぇ。確かに頭は良くないかもだけど……それでも俺の力は不要かよ」
「最低でも親の大目玉は確実だけど?」
「夏騎クンが一人で叱られてたらカワイソーだから付き合ってあげまーす。感謝しろよコノヤロー」
有純が流れるように歌ってやれば、夏騎は――あの頃よりは控えめだけど、それでも確かに――微笑んで見せたのだった。
「……そう。じゃあ、期待する」
美少年の、それも片想いの相手の唐突な笑顔。完全に反則だった。
ノックアウトされそうになりつつ、有純は赤くなった顔を誤魔化して言うのである。
「そ、そ、そそそそういうわけだから!理科室だよな、理科室!鍵しまってると思うんだけどどーすんだよ!」
「言っただろ、考えがあるって」
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