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リクエスト 守の気持ち お試し派遣
しおりを挟む「松田さん!悪いけど、ここ先にやって!」
フォークリフトを動かして天井近くにある棚から、透明なビニールラップに包まれた段ボールの沢山積んであるコンテナを下ろすと、急ぎと言われた注文書をフォークリフトの近くにいたパートさんに手渡した。
土曜日まで稼働する倉庫は、俺――岸谷守の職場だ。最寄りのバス停まで徒歩10分、さらにバス停から最寄りの駅まで30分という田舎に建てられた倉庫。通勤するのに車必須なこの倉庫は、俺が勤め始めてもう5年が経とうとしていた。
紅白にも出場した事のあるアイドルやバンドマン、国内有数のアーティストや俳優などが所属する事務所が開いた専門のオンラインショップの全ての発送業務を担うこの会社に入社したのは、別に好きなアーティストやアイドルがいたからではなかった。そもそも音楽やテレビもあまり見ず淡々と生きていた俺は、ただ高校卒業と同時にこの会社に就職出来ただけだった。
倉庫作業のピッキング――注文書に書かれた商品を取ってくること――から始まり、フォークリフトの免許を取ると、次第に在庫管理を任されるようになった。28歳となった今では、職場の大半を占めるクセの強いおばちゃんとの接し方も学び、独り身でも十分に生きていける給料とそれに見合う仕事量、順風満帆に思われていた俺が、一目惚れをする日が来るなんて夢にも思わなかった。
「明日は、2社の派遣会社から1日目に10人、2日目に15人、3日目に10人入れる」
毎年恒例の棚卸しの時期になると、ピリピリする職場。それは一つでもパソコン上にある数と実際に数えた数が違うと倉庫全体を捜索しなければいけなく、最悪1日が潰れてしまうこともあるのだ――他にも決算日とか、無茶な注文をする部長のせいで新商品の納品が遅れて発送が滞る時も職場の雰囲気は最悪になるが――棚卸しは、また違った種類でやっかいな職務内容だったりする。そしていつもいるパート従業員や正社員を総動員しても、3日間という短い間で、この3階建ての倉庫で数を数えるのは理論上無理なのだ。オンラインショップの発送を遅らせて、もう少し時間をかけてもいいが、出荷業務がパンクして、結局発送待ちの商品を無くすために休みなしにして出勤してもらう事になるからすごい負担がかかるのだ。それを解消するために数年前から派遣会社に人材を頼み、棚卸しくらいは早いスピードで対応しようと決まっていたのだ。2日目に派遣会社に頼んだ人が多いのは、小物が並ぶ大きな棚を2日目にするので、早く終わらせるにはその分人が必要だからだ。
社員は強制的に3日間出るが、パート従業員は家庭の事情もあるから、必ず毎年数人休むがこれだけ派遣会社の人材がくれば、まぁ回るだろうとこの時も楽観視していたのだ。
***************
「守さんっ!お疲れ様ですっ」
駅前で待ち合わせした最近出来た俺の彼女――川上未宇は、仕事終わりのまま巷では"オフィスカジュアル"というらしいシンプルな茶色のロングスカートと、黒いニットを着ていた。見慣れた少し大きめな白のレザーバッグは彼女の仕事用鞄で、平日会う時は大体この鞄を持っている。
――本当俺と180度違うタイプだ
休日一緒に過ごす時はすっぴんの彼女も、マスクをしているが仕事の時はばっちりメイクをしてるし服装にも気をつけている。
『職場の人達、みんなおしゃれだから私も気をつけないといけないの』
そう言っておしゃれをする理由を教えてくれた。普段の無防備な格好も好きだけど、こうしておしゃれをしている彼女と過ごすのも好きだ。毎日ではないが、仕事帰りに待ち合わせしてご飯を食べてどちらかの家へ行くのが当たり前となっている。以前までは服に無頓着だった俺は、胸元に会社名が刺繍された制服の濃紺色の上下の作業着を着て、彼女に会っていたが…少しだけ反省してシャツだけでも清潔に見えるものに着替える事にしたのだ。
――ほんの気持ち程度だけどな
自嘲気味になってしまうのは、生まれてから過ごしてきた環境の性格もある。
一般的な俺の職場のおばさん達の意見は、目つきが悪い、ボソボソ何を言っているのかわからない、威圧感がある――だ。
目がぱっちりしていて、楽しそうにコロコロ笑う背の低い未宇とは正反対の俺だが、彼女の口から俺への不満の声を聞いたことがない。それどころか、俺の目をうっとりとした表情で見つめ、甘えてくる彼女を一度だけ心配したことがあった。
『もしかして、未宇って視力悪い?』
『視力?ううん、普通だと思うけど…なんで?』
『いや、俺の顔を見たって面白くないだろ』
『え~そうかな、好きな人の顔っていつも見てたいじゃん?守さんも私の顔をよく見るし』
『…まぁ、確かによく見るが』
自分の顔は見飽きて出来るなら見たくないが、好きな人の顔はじっと見ていられるのと同じ事だと知った。思ったよりも彼女が俺の事を好きで安心したし、これからも大切にしようと決めた瞬間だった。
「…っの…守さん?聞いてる?」
「んっ?ああ、ごめん何だっけ」
彼女との出会いから最近までのやり取りを思い起こして、うわの空になっていたらしい、未宇がいつの間にか助手席に座り喋っていたのに、ワンテンポ遅れて反応してしまった。
「だからねっ、今日は外食じゃなくて守さんの家で過ごしたいなって言ったの」
「俺の家…?いいけど食材ないから何か買いに行かないとな」
「あ…そうなの…じゃあスーパーに寄ってから行く?」
「そうだな、スーパー行くか」
この時は惣菜かなんか買えばいいだろと思っていたが、スーパーに着いてから未宇が選んだのは惣菜ではなく食材だった。
「美味っ」
「本当?今日のために、色々勉強したのっ」
世界的に大流行している感染症で、不要不急の外出の自粛を求められて早1年。彼女と出会ったのも、自粛している中で光熱費がぐんと上がったため派遣に出る事になった事が原因だった。だけど、ソーシャルディスタンスは保ったまま、だんだんと日常が戻っていっている中、俺たちは変わらず"蜜"な関係を崩していない。オンボロの1kアパートで小さなローテーブルに座る俺の前にあるのは、ビーフストロガノフという料理だ。ビーフシチューのような見た目で、白い生クリームがトッピングされ、お皿の隅には白いご飯が添えてある。一度では発音出来ないような料理は、魔法のように彼女の手から生み出され完成した。もう今は家の中にいるからお互いのマスクは外していて、素顔を見せ合っている。
最初は照れ臭かったマスクを外すのも結構慣れてきて、未宇の顔を自分だけが堪能していると思うと何だか気分が良い。
にこにこと笑う彼女は俺の前に座って、同じ料理を食べている。この後は、もういつものパターンとなる。
――お風呂に入って、彼女の好きな海外ドラマを見ながらお互いくっついて座るのだ
座る…と言っても、ソファーなどおしゃれなものがない。床に布団を敷いただけの寝る所、カラーボックスを横にした上に置いたテレビと、シルバーのラックには乱雑に置かれた洋服と小物だったり色々だ。決して広くはないこの部屋は住み慣れた一人暮らしの部屋たが、未宇が来る時だけは何故か自分の部屋とは思えないくらい異空間に感じる。
彼女がお皿を洗っている間は手持ち無沙汰になって、ローテブルの横に座るが、そわそわと落ち着かなくなる。意味もなく布団のシワを伸ばしたりして、未宇が振り向いたらきっと何やってんだ、と呆れてしまうだろう…本当アホみたいだ。
自分の台所――と言っていいのか、一人分くらいしか立てない小さなスペースの小さな流しと一つのミニコンロの所で、俺に背を向けてお皿を洗う未宇の背中を盗み見る。じっと見過ぎると、挙動を怪しまれるから俺の方を見てない事をいい事にチラチラと彼女を見る。
――俺の、彼女…なんだよな
柄もなく心の中で何度も問いかけるこの言葉を未宇が知ったら、どう思うのだろうか。気持ち悪いと思うのだろか、それともそうだよ、と言いながら笑うのだろうか。
布団のシワもピンと伸び切って、まるでホテルに入った時のように綺麗な状態になってしまうと、何をやってるんだ、とぐちゃぐちゃに元に戻した。
――アホらし
はぁ、とため息ひとつ吐いて、立ち上がってお皿を洗う未宇の背後へと移動した。
「ん?もう終わるよ」
背後から彼女を抱きしめると、機嫌の良さそうな未宇がお皿を洗う手を止めないまま俺に向かって喋る。
「…知ってる」
そう言って分かったフリをするが、鼻孔を掠める彼女の好きなシャンプーの香りに熱い気持ちが湧き上がる。未宇のお腹に回した手に力を入れて抱きつき、未宇の後頭部に鼻先を埋めた。
「ちょっ…まだお風呂入ってないよ」
「んー、気にしないから」
きっと汗をかいたから恥ずかしがっているが、何の問題もない。
「ちょっ…くすぐったいっ…ん…もう!怒るよっ…んっ」
すんすんと、髪の匂いを満喫しながら、柔らかな彼女の身体を弄る。お腹の辺りを摩っては揉み、脇腹や細いウエスト、胸にある2つの膨らみを揉むと、彼女の口から甘い吐息が吐き出された。最初は笑っていたのに突然怒り、強張っていた未宇の身体の力が抜けたかと思ったら、俺に身体を預けた。俺の胸板に彼女の後頭部が当たり、未宇が振り向いたと同時に彼女の口を塞いだ。
「待って…っ…お風呂っ…っあ」
「汚く無いから必要ない」
甘い声を上げてる彼女に、俺は一応返事をした。足がもつれ半ば倒れそうになりながらも布団へと雪崩れ込んだ俺たちは、最初は舌の絡まる濃厚なキスだけをしていた。
俺は彼女が料理をしている間に白のTシャツと水色のジャージの部屋着に着替えていたが、彼女はまだ待ち合わせした時と同じ格好をしている。彼女の舌をキツく吸い付き名残惜しく離したら彼女の太ももを跨ぎ、上半身を起こしてTシャツを布団の横に脱ぎ捨てた。貪欲に求めたキスをしていたからか、彼女は肩で息をしていて、俺が服を脱ぐ所を見ていた。下から見上げられるアングルは、俺の心を余計に熱くする。潤む瞳と薄く開いた口、その奥にある舌は俺と未宇の唾液で濡れた唇を遠慮がちにペロリと舐める。その姿はまさしく妖艶で、いつもの明るく可愛い未宇から、俺を誘惑するエロい未宇へと違う一面が現れる。無言で彼女の手を引くと起き上がったので、彼女の黒いニットを脱がすと、白いキャミソール姿になった。家にこもっていると言っていた通り、日に焼けてない肌は白く、肩にある黒いホクロが白い肌に映えてなんともまぁ艶めかしい。
「守さん…?」
未宇に見惚れていたために、動きの止まった俺に不安そうな顔をする。
「ん、悪い」
未宇を安心させるためにおでこに触れるだけのキスをして、キャミソールを脱がしてしまうとぷるんと揺れる柔らかそうな乳房が二つ現れた。
「もう、立ってる」
「それは…ッ…!」
乳房のトップにあるのは薄ピンク色の粒。触ってもいないのに、固くなった粒に、ふっ、と息を吹きかけると、未宇の身体が震えた。彼女の口から言い訳を聞く前にその粒を口に含むと、俺の頭に彼女の腕が回り抱きしめられた。
赤ん坊のように、ちゅうちゅうと吸い付き、溢れる唾液を飲み込む時に彼女の粒を甘噛みすれば、一際甲高い声と俺の髪に絡まった彼女の指に力が入る。彼女の腕の中で身を任せると、柔らかな乳房に顔を埋めたら彼女の匂いに包まれた。
交互に口で愛でて、空いた両手を彼女の乳房揉み始めたら、もぞもぞと動き出した未宇の膝が曲がり俺の腰の横に上がった。スカートの裾が上がりふくらはぎと膝頭がチラッと見えたら、可愛がっていた乳房から右手を離し、彼女のスカートの中へ足首から細い足を辿り入れた。
太ももの付け根に俺の手のひらが到達すると、未宇がお尻を少し上げたので、俺は上体を起こしながら下着を脱がせた。
俺の前でM字になる未宇はスカートと黒い靴下姿で、上半身の二つの乳房が薄らと赤くなっていて濡れている。変わらずぴんと天井を向いている粒の存在に心を惹かれるが、先に彼女の中へと入りたかった。スカートの中に顔を入れたら、ツンと彼女の蜜の匂いがする。感じているのは俺だけじゃないと嬉しい気持ちが湧き上がり、太ももの内側を甘噛みすると彼女の身体がぴくりと反応した。舌を這わせながら甘噛みをして強く吸い付くと、薄暗いスカートの中でもはっきりと分かる白い肌に点が付いた所有印が見れた。
よしよし、と思いながら彼女の足の付け根まで両方の太ももの内側に跡をつけたら、彼女の足を持ち上げて未宇の胸へと付けた。
明るくクリアになった視界で見えた、彼女の潤む瞳と荒い呼吸に連動して揺れる乳房、太もも内側にある無数の赤い印、靴下を履いているというだけで、もう感情が昂っている。
「待って…あっ…っ!」
俺のしようとしている事を理解して俺の頭を止めようと未宇は手を伸ばすが、その前に彼女の蜜口に唇をくっつけた。甘く溢れる蜜を啜り、丁寧に蜜口をぐるりと舌を這わし、蜜口から出てきた粒を口にして舌で転がし甘く吸い付くと、どんどん蜜が溢れてくる。
甘い声を聞きながら沸騰する頭は、無意識にズボンと下着を脱いでいく。痛いほどそそり立つ自分の昂りを握り、先端から溢れるツユを昂りに塗りつけた――彼女の中へ入れるために。
――まだっ、ちゃんと解してないけど、もう欲しい
彼女の蜜口から口を離すと、あっ、と残念そうに小さな声を発した未宇が、俺を見上げた。
「好きだ、未宇」
「私も…ッ…守さ…っ…んっ、っ」
彼女は一瞬俺の手の中にある昂りに視線を向け、ぽっと顔を赤たがすぐに女の顔に戻る。昂りの側面を蜜口に押し付け前後に擦り付けると、彼女の蜜が俺の昂りに絡みつき粘音が起こる。昂りの先端と側面にある凹凸を彼女の蜜口の粒に引っ掛ければ、甘い嬌声と同時に蜜が溢れて俺の昂りの側面にある蜜口がキュッと締まる。
――もうダメだっ、我慢出来ねえっ
ぐっ、と小さく唸るが、彼女は俺の切羽詰まった想いなど知る由もなく、俺の昂りに自分の蜜口を俺の擦り付けに合わせて腰を動かしている。いつも繋がる時に熱くキツく締まる蜜壺の中へ入りたいと、昂りは血管を浮き立たせてぱんぱんに膨らんでいる。ああ、と昂りの先端を蜜口に添えると、受け入れてくれた彼女の蜜口が柔らかく広がる。先端を中へと押し込むと視界から俺の昂りが消えていく代わりに、身体中に巡る快感が強くなる。ズズッと滑らかに入ると、あっという間に俺のが埋まり、彼女下生えと俺の下生えが絡みつく。
――えっちだ、すごく
彼女とぴたりと重なった時に、スカートが邪魔だと気がついたが、彼女の中から出ようとは思わなかった。
彼女の腰を掴み、抽送が始まると、蜜壺から抜けそうになるギリギリまで出す時に俺の昂りがテラテラと濡れている。そのまま奥へと勢いよく元に戻せば、ぎゅうぎゅうと締め付けられ痺れる快感に酔いしれる。
揺れる二つの乳房が視界に入れば、そうだ、こっちも触りたかったんだ、と思い出し抽送のスピードを緩めた。揺れる乳房の粒を口に含むと、背がのけ反る彼女のおかげで、好きなように乳房も繋がりも堪能出来て、己の絶頂を目指してラストスパートを掛ける事が出来た。
キツく締まる蜜壺は、俺の昂りが引くと名残惜しくぎゅぅっと締め付け、奥へ進めば歓迎するように受け入れぎゅうと包む。抽送を繰り返すうちに彼女の中が強くうねり、未宇の限界も近い事を知る。俺が絶頂を迎える時は、彼女も一緒の瞬間を過ごして欲しくなり、あれもこれもと貪欲に求めてしまう。
――あぁ、くそっ、気持ちいいなっ…っ
せめて余裕がある彼氏だと思われたいのに、スマートでいたいのにもうぐだぐだだ。
首の後ろへ手を回され、未宇の足が俺の太ももの裏へと掛けられた。ぴったりとくっついていたいという、未宇の可愛らしい一面がのぞき、彼女の唇を貪る。
「んっ…っ…ぁっ、ん」
彼女のお尻を両手で掴み、倉庫作業で鍛えられた力で繋がったまま起き上がり胡坐をかくと、下から突き上げながら舌の絡まる濃厚なキスをした。両手両足で俺の身体に抱きつく彼女の身体の柔らかさは、俺の固い身体とは違いプリンのようにぷるぷるしている。お互いの唇を求めて上唇だったり下唇だったり甘噛みして、上手く抽送が出来なくてもキスを止めようとは思わない。
「っ、ん…っ…ぅ」
「イっ…くぞっ、未宇っ」
「ん、ん、わた…っ…しもっ…ん、っ」
ぱんぱんと繋がった所の肌がぶつかり、未宇の柔らかな乳房が俺の胸にぷるぷる当たるのが最高に気持ちいい。彼女の最奥にある蜜壺に留まり、ぐりぐりと腰を回せば、今日一番にキツく締め付けられ、全身の意識が下半身の昂りに集中する。俺の意識とは別に、一気に膨れ上がった昂りが弾けると、彼女の蜜壺の中に己の証を注いだ。
「ああっ!」
「はっ…っ!」
蜜壺とは違う熱さの液体を注ぐと、蜜壺の中もより一層キツく締まり証を飲み込むように伸縮する。彼女の蜜壺の内側に証を染み込ませるように昂りを擦り付けると、節操のない下半身はまたむくむくと膨れ上がる。俺のお腹と後ろの腰の少し下についた布の感触に気がつくと、そういえば未宇はまだ服を着ているんだったと思い出す。先に脱がそうと思ったが、それよりもまだ身体を離したくないと、底なしの性欲に苦笑する。
「…未宇、もう一回」
「ん…っ…ぁ」
甘い吐息を零す彼女に了解を貰ったと、勝手に解釈して二度目の甘いひと時を過ごすべく腰を動かし始めたのだった。
「…ふふっ、守さん可愛い」
「それ言うの未宇だけだよ」
お風呂にもいちゃいちゃしながら一緒に入り、ぐちゃぐちゃになった布団を端に追いやり、敷布団の上に横になってタオルケットを被った俺たちは、たまに外で見かけるラブラブバカップルみたいに身を寄せて、お互いを褒めては淡い口づけを繰り返していた。俺のスウェットの部屋着を着た彼女は、いつも通り愛おしい。
とうに日付も変わり、明日も仕事で深夜の2時になろうとしているのに、寝る気配がなかなか起きない。
「…明日休むか」
「あははっ、またそんな事言って~、頼りにされてるの知ってるよ」
このまま朝までいちゃいちゃしたいと、暗に伝えると、ころころと笑う彼女に、無理でしょ、と返事をされる。
――未宇とたまには一日中ドラマを観たりしたいな
もちろん一緒に観ることもあるが、付き合いたてのカップルは蜜月なので結局は途中でエッチをしてしまう。
――落ち着く事なんかあるのか?…いや、一生ないな
我ながら未宇に溺れていると呆れてしまうが、もう単調だった日々に戻りたくないと強く願う。
「…おやすみ、未宇」
うとうとする彼女の頬にかかった髪を後ろへ退けて、そっと呟けば、
「ん…おやすみ守さん」
小さな声で返事をした未宇は、あっという間に眠ってしまった。
――彼女とこんな関係になれるなんて…あの時の俺、いい働きをした
一目惚れした未宇と、どうしても連絡先を交換したくて、滅多に派遣社員さんの休憩所でお昼を食べない俺を怪しむベテランのパートさんもいたが…なりふり構っていられなかった。咳き込むフリをして連絡先を交換した後は、まるで夢のような展開だった。マスクを外した素顔の未宇にまた惚れて、一緒に過ごすうちに無趣味だった俺に、未宇の影響で海外ドラマを観るようになった。
一緒に感想を言い合えるのが楽しいし、一緒に観るのも最高の時間だ。
淡々と過ぎていく日々の中で生きていた俺に、人生を楽しんで充実していると言う事を教えてくれた彼女――未宇と、一生一緒にいたいと強く願った。
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