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番外編 ミニバカンス 投稿47ヶ月記念小説 バスツアー魔性の女と筋肉男
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富士川紗英は、ナチュラルブラウンのセミロングの髪の上に大きなツバの広い女優帽と言われるベージュの帽子を被っていた。日に焼けていない肌は白く、黒いロングワンピースを着て、ヒールのある黒いサンダル、帽子と同じ色のミニ鞄をかけていた。彼女の側には、シルバーのキャスター付きコンパクトサイズのスーツケースがある。
夏休みシーズンで人が押し寄せる駅の一角に立つ彼女は、スタイルの良さが目立ち、人々の視線を奪う。
だけど彼女は、そんな人々の視線には気がつかず、ただ1人の男を待っていた。
その男の名は、金田郁也。1泊2日のバスツアーで出会った私達は、参加者のほとんどが友人や家族のなか、1人者だった2人が仲良くなって、ひょんなきっかけで付き合う事になったのだ。
学生時代にラグビーをしていて、元々ガタイがいいにもかかわらず、毎日筋トレが趣味という彼は、普通体型と言われている私よりも2倍か3倍くらい大きな身体をしていた。
いつもはどこかに行く時は、どちらかの家で泊まってから一緒に出るのが当たり前だった。けど、酒屋の問屋の営業をやっている彼の得意先である酒屋が、帰省する者が多い地域にあり、郁也の会社が夏季休暇に入る前に大量の注文が入った関係で、珍しくプチ繁忙期がやってきたらしい。
先週から朝から晩まで得意先とアルコール在庫のある倉庫や、仕入れ先である酒類の倉庫に直接行って忙しなく動いているらしい。
それに比べて会社から出ない私は、8月に入った辺りから、繁忙期もなく夏季休暇に入ったのだった。
行き交う人々を見ながら、私はこれから行く2泊3日の旅行先を思い馳せていた。
夏の避暑地として有名なそこは、川も流れる大自然の中にあった。2階建ての丸太のコテージを借りて、BBQをしたり、1階にあるジャグジーのミニプールで遊んでも何しても私と郁也以外誰もいないのだ。
日中は他の所をいくつか回ろうか、と話していたが、避暑地だからって涼しいとは限らない。その時ものすごい暑さだったら、熱中症になるから、その時はコテージにいようと決めていた。
──1階にジャグジーミニプール…か
私はコテージのHPに書かれたその単語を見て、この場所にしようも郁也に言って決めたようなものだ。
バスツアーよりも、自由に動ける電車移動にしたのもこのためだ。
──どっちでもいいけど
観光しながら美味しいものを食べるのもいいけど、大自然の中で2人きりで過ごすってのもまたいい。きっと郁也に言っても、どっちでもいいと言うと思うけど、最初っからコテージに篭るのもなんだかなぁと思っていたから、暑さとかもあるし、その時に決めようにした。
「あっ、きた」
私は待ち合わせ場所に現れた、誰よりも大きな身体をした彼を見つけて、口元が勝手に弛んでしまう。髪が短いし、その身体の大きさで何かスポーツをやっていたのがわかる外見、一重の鋭い眼差しが特徴の強面の彼を見たら、誰も声を掛けないだろう。
──でも私だけは違う
彼の熱い眼差しも好きだし、大きな手で私の身体を触り、大きな身体で覆い被されたら幸せな気持ちになる。ただ触れ合うだけでもいい、側にいるだけでもいいけど、もうそれだけじゃ我慢できないのも事実だ。
付き合った男はみな不幸になる、魔性の女。性欲が人よりも強く、最初は彼氏も応えてくれだが、次第に私の底なしの性欲に体力がついていけなくなり、げっそりしていって、最後は懇願されるように別れを切り出されるから、いつからかそう呼ばれていたのは、遠い昔みたいだ。
──でも今はもう郁也って彼がいるし
そう私でさえ、たまについていけない時がある、私が欲しいと言ったら応えてくれるのに、一度スイッチが入ったら、私が泣いても許してくれない、私以上に体力のある彼だ。
そんな事を思っていたら、郁也が私の前まできた。シンプルな白いポロシャツとベージュのハーフパンツ、黒いサンダルと手には黒いボストンバックを持っている。
「すまん待ったか?」
「ううん、そんなには」
本当は楽しみすぎて結構前から来ていたけど、約束の時間までまだ5分くらいあるし、待っている時間はあっという間に過ぎてたから、気にしない。
「そうか行こうか」
郁也は私が持ってきたスーツケースの取手に手を置くと、私の荷物を持って行く。私は郁也の腕に自分の腕を絡めると、私たちは目的地へと行く列車のあるホームへと行くために改札へと歩き始めた。
***************
特に問題もなく目的地に着くと、今日の予定をどうするかの前に一旦荷物を置きにコテージに向かうことにした。そのためにはまず、レンタカーを借りに行くことにした。
降りた駅から車で30分ほど山奥にあるコテージに着くと、郁也はトランクに詰めた荷物を取り出してコテージの中へと運ぶ。
「意外と涼しい」
住んでいる場所の暑すぎる夏から逃げて、電車で1時間半ほど移動するだけでこんなに暑さが変わるなんて不思議だ。
「そうだな、このくらいの暑さなら観光できるか」
私はまだ車から降りたばかりだというのに、荷物をコテージに置き終わったのか彼はもう私の元へと戻ってきた。
「観光…はどこ行くんだっけ?」
「そうだな、予定は名物の滝が流れる所を見てアウトレットも人気らしいからとりあえずそこに行くか」
いくつか有名な候補を口にした郁也も、事前に調べたらしい。
「うん!あっなんか美味しいパン屋あるみたいだから行きたい!」
行く場所を調べていたら、有名なパン屋があるらしくずっと行きたいと思っていたのだ。
「決まりだな」
細かな所は道中で決めようと、郁也はそう言って私達は車に乗った。
涼を求めて観光名所である滝を見に行くと、みんなも同じ考えで人がいた。でも広い駐車場にら駐車スペースがいっぱいあるから、待つって事はしなくて、すんなりと車を止められた。
暑いってよりも、太陽が出ていて綺麗な青空でも過ごしやすい日で、私は気にせず郁也の腕に自分の腕を絡めた。
──暑がりの郁也には辛そう
と、額に薄ら汗をかいてる郁也を見ながら思ったけど、彼は私がべったりくっついても拒否する反応も見せないから、大丈夫だと自分に言い聞かせた。
「ふー着いたね」
そうたいして遠くない目的地でもある滝に行くと、ネットで見て想像していた滝よりも小さいような気がした。それでも滝の前には高台みたいのがあって、そこには柵があり、人々が入らないようになっていた。数十人の人が写真を撮りながら柵の前で滝を見て、滝とは反対側には飲食ができるレストランとお土産が売っているところで、ご飯を食べたりお土産を見たり、ベンチに座って柵の向こうの滝を見ていたりしている。
「あっ、ねっ行こ」
ちょうど滝の前からひと組がいなくなり、私は写真を撮るために郁也の手を引っ張った。
***************
「紗英、焼けた」
「んー、今行く」
滝を見た後、スーパーで買い物をして、コテージの庭でやるBBQの材料と飲み物を買った。
コテージに戻った後は、郁也が庭にあるBBQグリルの前に立って、まるで鍋将軍のようにBBQのお肉や野菜の焼き加減を見極めていた。
私は郁也がBBQの準備に時間をかけていた間に、グリルの近くにある丸いジャグジーのミニプールに水を入れ、そして室内に戻って着替えた。
しばらくして郁也に呼ばれて庭に出ると、さっきまで調理前の食材と調味料と空のお皿しかなかった細長いウッドテーブルの上には、すぐにお肉や野菜が食べれる状態になっていた。2人分にしては量が多いけど、郁也は食べる量が私より多いから残らないだろう。
15時というお昼にしては遅いご飯を食べるが、道中は水分しか口にしていなかったから、すごくお腹が空いていた。お昼兼夕飯って感じで、郁也はグリルの近くにある細長いテーブルの上にある2枚のお皿に焼けたお肉を乗せた。片方のお皿は少し多めに盛り付けられているのは、もちろん郁也の分だ。
クーラーボックスに入れた冷えたお茶を2つ出すと、私は細長いテーブルに持って行った。
「もう食べれ…っ紗英⁈」
テーブルに自分の飲み物を置いて、もう一つ彼に渡すと彼は私の方をやっと見て驚いて目を見開いた。
「美味しそう!あーん」
彼の前で口を開けると、彼ははっと我に返って私の口の中に小さなお肉を入れる。
「んー、美味しい」
あまりの美味しさに感動していると、郁也は手渡したペットボトルのお茶のキャップを回してごくごくと半分くらい飲んだ。
「紗英、その格好」
やっと彼はそれだけ言うと、私の全身を上から下まで舐めるように見つめていた。
「格好?」
わざととボケて、首を傾げた。郁也がびっくりするのもそのはずで、私はさっきまで着ていたロングワンピースから、水着姿に変わっていたからだ。黒のレザーのビキニ水着。胸の所を支える三角のレザーの3つの角にゴールドの丸いリングが付いていて、そこから紐で首と背中に結んでる。下も同じデザインで腰の辺りに、ゴールドの丸いリングが付いていた。その上にはシアー素材のほぼ肌が見える白色のカーディガンのような羽織もの。
じっと見つめられて──郁也の場合は顔が強面だから睨んでるようにも見えるが──私の心の中は嬉しくてしょうがない。
郁也はなぜかTシャツを脱いだかと思えば、私の腰に手を回すと、自分の身体の方へと私を寄せた。
「美味しいか」
「ん、美味しい」
さっきまでの郁也の驚きはなくなり、いつもの会話へと戻る。だけど、ご飯を食べるには近い距離のままになっていた。
「これ美味しいな」
立って食べていたが、半分ほどまで食べると今度は座って残りのご飯を食べた。テーブルの上のお肉や野菜などを満足するまで食べて満腹になると、残りが彼が食べるとして私は郁也の肩に頭を乗せた。
「なかなかうまい」
私よりも倍は食べている彼は、私と同じペースで食べているのも驚きだ。食べる時に親指の先に付いたお肉のタレをペロッと舐める姿に、ドキッとしてしまう。
「このあとは?…どうする?」
「…このあと?」
私よりも多く食べた彼が、テーブルの上にあったティッシュを一枚取って口と指を拭いた。郁也が食べ終わった頃合いを見て、私は郁也の足の上に跨いで向き合って座った。彼にべったりと寄りかかりながら、肩越しに見えた丸いジャグジーのミニプールに入りたいと思った。引き締まった固い筋肉の郁也と重なった肌が、気持ちいい。
「ジャグジーに入らない?」
サイトを見た時から、ずっと入りたいと思っていたのだ。横を向いて彼を見たら、郁也は私の腰に手を回して、私を落ちないようにしっかりと支えてる。
「涼むか」
「ん…暑いの苦手でしょ、入ろうよ」
と、2人しかいないのに彼の耳に囁くように小声で喋りかけて、郁也を煽るようにわざと耳朶を甘噛みすれば、郁也は私を支える手に力を入れた。
あからさまな誘いに乗ってくれる郁也が面白くて、くすくすと笑ってしまう。郁也の手を引き、プールの方へ向かう。
プールに入った水は食べる前から準備していたからもうすでに満タンになっていて、綺麗な青色の水面が風で揺れた。
「気持ちいな」
暑かった気温も、プールの水温のおかげで和らぐ。最初は気持ちよくて身体を浸からせていたが、それも飽きるとプールの縁に背もたれて座る。するとしばらくして郁也が私の元にやってくる。私を水中で持ち上げ、自分の足の上に向かい合わせにして乗せると、郁也はプールの縁に首をのせて顔を上に向け、目を閉じてゆっくりと呼吸をする。私は郁也の顔を見ながら両肩に手を置いて、耳に入る風の音や水の音を聞きながらのんびりとした時間を過ごしていたが、郁也の顔を眺めることにした。
私より濃い色の硬い肌、太い眉と綺麗なアーチがある目と厚い唇、太い首、広い肩幅と鍛えられた筋肉。全てが私を夢中にさせる、郁也という存在。うっとりと見惚れていると、目を閉じていた郁也が目を開いた。
「起きた?」
「ふっ、寝てないよ」
プールの底に付けた膝に力を入れて膝立ちになると、私は上を向いたままの郁也の顔に自分の顔を近づけた。雰囲気などすっ飛ばして、自分の唇を彼の唇に重ねると、私は薄く口を開き彼の唇を舐めようとしたが、その前に郁也の舌に絡め取られた。
「っん」
油断していたから甘い声が漏れてしまったが、そのままキスは続行した。郁也の舌が私の口の中を傍若無人に動き回り、私は彼の舌を追いかけるのがいっぱいいっぱいになる。郁也は水の中で私の太ももとお尻を、ゆっくりと撫で回す。私は郁也の肩に置いていた手を水中に入れると、鎖骨、胸板、お腹に指先を這わしながら、履いていたハーフパンツのおへその下にある腰のゴムに手を入れると、郁也は腰を浮かせた。
ハーフパンツを下におろして、大きくなっていない昂りを握ると、私は彼の口から自分の口を少しだけ離した。
「もう入れたら早い?」
郁也の口の端にキスをして囁くと、私は水着をずらして郁也の昂りの先端をめがけて腰を下ろした。
「ッ…今日はいきなりだな」
眉を顰める顔もかっこいいと思いながら、私は郁也の頬を舐める。
「だって…最近してないから…っあ」
大きくなってない昂りは、蜜口から蜜壺へと入っていく。決してすんなり入る大きさではないが、それでも十分に解さなくても入る。徐々に足の力を抜き、ぺたんと彼の腰の上に座る頃には、私たちは完全に繋がった。
「っ、紗英っ…締めるな」
咎める声の郁也だけど、私はお構いなしに彼の頬と首筋を舐め、お腹に力を入れた。
「無理っダメっ…あっ」
しばらくこのまま私の蜜壺の中にある昂りを大きくしたかったけど、久しぶりの情事に身体が言う事を聞いてくれない。腰を前後に動かすと、それと同時に水面が揺れ始めた。緩やかな波から、バシャバシャと荒い波となると、私の腰に郁也の両手が置かれた。蜜壺の中にある郁也の昂りが火傷しそうなくらい熱く、みるみる固くなっていくのを感じる。鼻息も荒くなっていて、普段なら感じない私の肌に息が当たる。下から突き上げるように動かす彼は、もうプールの縁に頭を乗せてはいない。
「…っ…っ」
揺れる水着の谷間に顔を埋めると、彼は私を強く抱きつく。私も郁也に抱きつく事しかできなくなり、気持ちいい事を追求していく。
「はぁ、んっ、ぁっ、んんっやばっい」
お互い腰の動きを緩めることはしないで、絶頂へと達するために、自分の悦びを優先させた。
「あっ、やばっ、もっ…むりっ、いくっ」
「紗英っ」
絶頂がやってきて、背中が仰け反った勢いで身体が背後へと倒れると、郁也は私の背中にある手に力を入れて、プールに入るのを阻止してくれた。
「はぁ、ぁ、っん」
荒い息をしながら、郁也に寄りかかる。
バシャッと、郁也がプールの水を蹴ると、立ち上がって私を持ち上げた。プールの縁に座ると、私たちはしばらく抱き合っていた。
「…っ、紗英っ」
息が少し整った私が目の前にあった郁也の頬を、ペロリと舐めると、郁也は途端に慌てた声を出す。
「…ふふっ、可愛い」
もうそれなりに付き合いは長いのに、私のする事に驚く彼が可愛くてしょうがない。
「お腹いっぱいにもなったし…部屋に行こうか」
「でも、まだ片付けが」
ぐるっと唸る低い声に、聞き惚れてしまうけど、あえて今気にする場面じゃない、どうでもいい事を言うと、彼は口の端を上げてニヤリと笑った。
「…明日やればいいさ」
そう言って、郁也は私を逃さないように持ち上げると、そのままコテージの中へと入っていったのだった。
こうして私達のミニバカンスは、初日に観光を少しだけして、あとはコテージに引きこもっていつも通り熱い時間を過ごす事になったのだった。
夏休みシーズンで人が押し寄せる駅の一角に立つ彼女は、スタイルの良さが目立ち、人々の視線を奪う。
だけど彼女は、そんな人々の視線には気がつかず、ただ1人の男を待っていた。
その男の名は、金田郁也。1泊2日のバスツアーで出会った私達は、参加者のほとんどが友人や家族のなか、1人者だった2人が仲良くなって、ひょんなきっかけで付き合う事になったのだ。
学生時代にラグビーをしていて、元々ガタイがいいにもかかわらず、毎日筋トレが趣味という彼は、普通体型と言われている私よりも2倍か3倍くらい大きな身体をしていた。
いつもはどこかに行く時は、どちらかの家で泊まってから一緒に出るのが当たり前だった。けど、酒屋の問屋の営業をやっている彼の得意先である酒屋が、帰省する者が多い地域にあり、郁也の会社が夏季休暇に入る前に大量の注文が入った関係で、珍しくプチ繁忙期がやってきたらしい。
先週から朝から晩まで得意先とアルコール在庫のある倉庫や、仕入れ先である酒類の倉庫に直接行って忙しなく動いているらしい。
それに比べて会社から出ない私は、8月に入った辺りから、繁忙期もなく夏季休暇に入ったのだった。
行き交う人々を見ながら、私はこれから行く2泊3日の旅行先を思い馳せていた。
夏の避暑地として有名なそこは、川も流れる大自然の中にあった。2階建ての丸太のコテージを借りて、BBQをしたり、1階にあるジャグジーのミニプールで遊んでも何しても私と郁也以外誰もいないのだ。
日中は他の所をいくつか回ろうか、と話していたが、避暑地だからって涼しいとは限らない。その時ものすごい暑さだったら、熱中症になるから、その時はコテージにいようと決めていた。
──1階にジャグジーミニプール…か
私はコテージのHPに書かれたその単語を見て、この場所にしようも郁也に言って決めたようなものだ。
バスツアーよりも、自由に動ける電車移動にしたのもこのためだ。
──どっちでもいいけど
観光しながら美味しいものを食べるのもいいけど、大自然の中で2人きりで過ごすってのもまたいい。きっと郁也に言っても、どっちでもいいと言うと思うけど、最初っからコテージに篭るのもなんだかなぁと思っていたから、暑さとかもあるし、その時に決めようにした。
「あっ、きた」
私は待ち合わせ場所に現れた、誰よりも大きな身体をした彼を見つけて、口元が勝手に弛んでしまう。髪が短いし、その身体の大きさで何かスポーツをやっていたのがわかる外見、一重の鋭い眼差しが特徴の強面の彼を見たら、誰も声を掛けないだろう。
──でも私だけは違う
彼の熱い眼差しも好きだし、大きな手で私の身体を触り、大きな身体で覆い被されたら幸せな気持ちになる。ただ触れ合うだけでもいい、側にいるだけでもいいけど、もうそれだけじゃ我慢できないのも事実だ。
付き合った男はみな不幸になる、魔性の女。性欲が人よりも強く、最初は彼氏も応えてくれだが、次第に私の底なしの性欲に体力がついていけなくなり、げっそりしていって、最後は懇願されるように別れを切り出されるから、いつからかそう呼ばれていたのは、遠い昔みたいだ。
──でも今はもう郁也って彼がいるし
そう私でさえ、たまについていけない時がある、私が欲しいと言ったら応えてくれるのに、一度スイッチが入ったら、私が泣いても許してくれない、私以上に体力のある彼だ。
そんな事を思っていたら、郁也が私の前まできた。シンプルな白いポロシャツとベージュのハーフパンツ、黒いサンダルと手には黒いボストンバックを持っている。
「すまん待ったか?」
「ううん、そんなには」
本当は楽しみすぎて結構前から来ていたけど、約束の時間までまだ5分くらいあるし、待っている時間はあっという間に過ぎてたから、気にしない。
「そうか行こうか」
郁也は私が持ってきたスーツケースの取手に手を置くと、私の荷物を持って行く。私は郁也の腕に自分の腕を絡めると、私たちは目的地へと行く列車のあるホームへと行くために改札へと歩き始めた。
***************
特に問題もなく目的地に着くと、今日の予定をどうするかの前に一旦荷物を置きにコテージに向かうことにした。そのためにはまず、レンタカーを借りに行くことにした。
降りた駅から車で30分ほど山奥にあるコテージに着くと、郁也はトランクに詰めた荷物を取り出してコテージの中へと運ぶ。
「意外と涼しい」
住んでいる場所の暑すぎる夏から逃げて、電車で1時間半ほど移動するだけでこんなに暑さが変わるなんて不思議だ。
「そうだな、このくらいの暑さなら観光できるか」
私はまだ車から降りたばかりだというのに、荷物をコテージに置き終わったのか彼はもう私の元へと戻ってきた。
「観光…はどこ行くんだっけ?」
「そうだな、予定は名物の滝が流れる所を見てアウトレットも人気らしいからとりあえずそこに行くか」
いくつか有名な候補を口にした郁也も、事前に調べたらしい。
「うん!あっなんか美味しいパン屋あるみたいだから行きたい!」
行く場所を調べていたら、有名なパン屋があるらしくずっと行きたいと思っていたのだ。
「決まりだな」
細かな所は道中で決めようと、郁也はそう言って私達は車に乗った。
涼を求めて観光名所である滝を見に行くと、みんなも同じ考えで人がいた。でも広い駐車場にら駐車スペースがいっぱいあるから、待つって事はしなくて、すんなりと車を止められた。
暑いってよりも、太陽が出ていて綺麗な青空でも過ごしやすい日で、私は気にせず郁也の腕に自分の腕を絡めた。
──暑がりの郁也には辛そう
と、額に薄ら汗をかいてる郁也を見ながら思ったけど、彼は私がべったりくっついても拒否する反応も見せないから、大丈夫だと自分に言い聞かせた。
「ふー着いたね」
そうたいして遠くない目的地でもある滝に行くと、ネットで見て想像していた滝よりも小さいような気がした。それでも滝の前には高台みたいのがあって、そこには柵があり、人々が入らないようになっていた。数十人の人が写真を撮りながら柵の前で滝を見て、滝とは反対側には飲食ができるレストランとお土産が売っているところで、ご飯を食べたりお土産を見たり、ベンチに座って柵の向こうの滝を見ていたりしている。
「あっ、ねっ行こ」
ちょうど滝の前からひと組がいなくなり、私は写真を撮るために郁也の手を引っ張った。
***************
「紗英、焼けた」
「んー、今行く」
滝を見た後、スーパーで買い物をして、コテージの庭でやるBBQの材料と飲み物を買った。
コテージに戻った後は、郁也が庭にあるBBQグリルの前に立って、まるで鍋将軍のようにBBQのお肉や野菜の焼き加減を見極めていた。
私は郁也がBBQの準備に時間をかけていた間に、グリルの近くにある丸いジャグジーのミニプールに水を入れ、そして室内に戻って着替えた。
しばらくして郁也に呼ばれて庭に出ると、さっきまで調理前の食材と調味料と空のお皿しかなかった細長いウッドテーブルの上には、すぐにお肉や野菜が食べれる状態になっていた。2人分にしては量が多いけど、郁也は食べる量が私より多いから残らないだろう。
15時というお昼にしては遅いご飯を食べるが、道中は水分しか口にしていなかったから、すごくお腹が空いていた。お昼兼夕飯って感じで、郁也はグリルの近くにある細長いテーブルの上にある2枚のお皿に焼けたお肉を乗せた。片方のお皿は少し多めに盛り付けられているのは、もちろん郁也の分だ。
クーラーボックスに入れた冷えたお茶を2つ出すと、私は細長いテーブルに持って行った。
「もう食べれ…っ紗英⁈」
テーブルに自分の飲み物を置いて、もう一つ彼に渡すと彼は私の方をやっと見て驚いて目を見開いた。
「美味しそう!あーん」
彼の前で口を開けると、彼ははっと我に返って私の口の中に小さなお肉を入れる。
「んー、美味しい」
あまりの美味しさに感動していると、郁也は手渡したペットボトルのお茶のキャップを回してごくごくと半分くらい飲んだ。
「紗英、その格好」
やっと彼はそれだけ言うと、私の全身を上から下まで舐めるように見つめていた。
「格好?」
わざととボケて、首を傾げた。郁也がびっくりするのもそのはずで、私はさっきまで着ていたロングワンピースから、水着姿に変わっていたからだ。黒のレザーのビキニ水着。胸の所を支える三角のレザーの3つの角にゴールドの丸いリングが付いていて、そこから紐で首と背中に結んでる。下も同じデザインで腰の辺りに、ゴールドの丸いリングが付いていた。その上にはシアー素材のほぼ肌が見える白色のカーディガンのような羽織もの。
じっと見つめられて──郁也の場合は顔が強面だから睨んでるようにも見えるが──私の心の中は嬉しくてしょうがない。
郁也はなぜかTシャツを脱いだかと思えば、私の腰に手を回すと、自分の身体の方へと私を寄せた。
「美味しいか」
「ん、美味しい」
さっきまでの郁也の驚きはなくなり、いつもの会話へと戻る。だけど、ご飯を食べるには近い距離のままになっていた。
「これ美味しいな」
立って食べていたが、半分ほどまで食べると今度は座って残りのご飯を食べた。テーブルの上のお肉や野菜などを満足するまで食べて満腹になると、残りが彼が食べるとして私は郁也の肩に頭を乗せた。
「なかなかうまい」
私よりも倍は食べている彼は、私と同じペースで食べているのも驚きだ。食べる時に親指の先に付いたお肉のタレをペロッと舐める姿に、ドキッとしてしまう。
「このあとは?…どうする?」
「…このあと?」
私よりも多く食べた彼が、テーブルの上にあったティッシュを一枚取って口と指を拭いた。郁也が食べ終わった頃合いを見て、私は郁也の足の上に跨いで向き合って座った。彼にべったりと寄りかかりながら、肩越しに見えた丸いジャグジーのミニプールに入りたいと思った。引き締まった固い筋肉の郁也と重なった肌が、気持ちいい。
「ジャグジーに入らない?」
サイトを見た時から、ずっと入りたいと思っていたのだ。横を向いて彼を見たら、郁也は私の腰に手を回して、私を落ちないようにしっかりと支えてる。
「涼むか」
「ん…暑いの苦手でしょ、入ろうよ」
と、2人しかいないのに彼の耳に囁くように小声で喋りかけて、郁也を煽るようにわざと耳朶を甘噛みすれば、郁也は私を支える手に力を入れた。
あからさまな誘いに乗ってくれる郁也が面白くて、くすくすと笑ってしまう。郁也の手を引き、プールの方へ向かう。
プールに入った水は食べる前から準備していたからもうすでに満タンになっていて、綺麗な青色の水面が風で揺れた。
「気持ちいな」
暑かった気温も、プールの水温のおかげで和らぐ。最初は気持ちよくて身体を浸からせていたが、それも飽きるとプールの縁に背もたれて座る。するとしばらくして郁也が私の元にやってくる。私を水中で持ち上げ、自分の足の上に向かい合わせにして乗せると、郁也はプールの縁に首をのせて顔を上に向け、目を閉じてゆっくりと呼吸をする。私は郁也の顔を見ながら両肩に手を置いて、耳に入る風の音や水の音を聞きながらのんびりとした時間を過ごしていたが、郁也の顔を眺めることにした。
私より濃い色の硬い肌、太い眉と綺麗なアーチがある目と厚い唇、太い首、広い肩幅と鍛えられた筋肉。全てが私を夢中にさせる、郁也という存在。うっとりと見惚れていると、目を閉じていた郁也が目を開いた。
「起きた?」
「ふっ、寝てないよ」
プールの底に付けた膝に力を入れて膝立ちになると、私は上を向いたままの郁也の顔に自分の顔を近づけた。雰囲気などすっ飛ばして、自分の唇を彼の唇に重ねると、私は薄く口を開き彼の唇を舐めようとしたが、その前に郁也の舌に絡め取られた。
「っん」
油断していたから甘い声が漏れてしまったが、そのままキスは続行した。郁也の舌が私の口の中を傍若無人に動き回り、私は彼の舌を追いかけるのがいっぱいいっぱいになる。郁也は水の中で私の太ももとお尻を、ゆっくりと撫で回す。私は郁也の肩に置いていた手を水中に入れると、鎖骨、胸板、お腹に指先を這わしながら、履いていたハーフパンツのおへその下にある腰のゴムに手を入れると、郁也は腰を浮かせた。
ハーフパンツを下におろして、大きくなっていない昂りを握ると、私は彼の口から自分の口を少しだけ離した。
「もう入れたら早い?」
郁也の口の端にキスをして囁くと、私は水着をずらして郁也の昂りの先端をめがけて腰を下ろした。
「ッ…今日はいきなりだな」
眉を顰める顔もかっこいいと思いながら、私は郁也の頬を舐める。
「だって…最近してないから…っあ」
大きくなってない昂りは、蜜口から蜜壺へと入っていく。決してすんなり入る大きさではないが、それでも十分に解さなくても入る。徐々に足の力を抜き、ぺたんと彼の腰の上に座る頃には、私たちは完全に繋がった。
「っ、紗英っ…締めるな」
咎める声の郁也だけど、私はお構いなしに彼の頬と首筋を舐め、お腹に力を入れた。
「無理っダメっ…あっ」
しばらくこのまま私の蜜壺の中にある昂りを大きくしたかったけど、久しぶりの情事に身体が言う事を聞いてくれない。腰を前後に動かすと、それと同時に水面が揺れ始めた。緩やかな波から、バシャバシャと荒い波となると、私の腰に郁也の両手が置かれた。蜜壺の中にある郁也の昂りが火傷しそうなくらい熱く、みるみる固くなっていくのを感じる。鼻息も荒くなっていて、普段なら感じない私の肌に息が当たる。下から突き上げるように動かす彼は、もうプールの縁に頭を乗せてはいない。
「…っ…っ」
揺れる水着の谷間に顔を埋めると、彼は私を強く抱きつく。私も郁也に抱きつく事しかできなくなり、気持ちいい事を追求していく。
「はぁ、んっ、ぁっ、んんっやばっい」
お互い腰の動きを緩めることはしないで、絶頂へと達するために、自分の悦びを優先させた。
「あっ、やばっ、もっ…むりっ、いくっ」
「紗英っ」
絶頂がやってきて、背中が仰け反った勢いで身体が背後へと倒れると、郁也は私の背中にある手に力を入れて、プールに入るのを阻止してくれた。
「はぁ、ぁ、っん」
荒い息をしながら、郁也に寄りかかる。
バシャッと、郁也がプールの水を蹴ると、立ち上がって私を持ち上げた。プールの縁に座ると、私たちはしばらく抱き合っていた。
「…っ、紗英っ」
息が少し整った私が目の前にあった郁也の頬を、ペロリと舐めると、郁也は途端に慌てた声を出す。
「…ふふっ、可愛い」
もうそれなりに付き合いは長いのに、私のする事に驚く彼が可愛くてしょうがない。
「お腹いっぱいにもなったし…部屋に行こうか」
「でも、まだ片付けが」
ぐるっと唸る低い声に、聞き惚れてしまうけど、あえて今気にする場面じゃない、どうでもいい事を言うと、彼は口の端を上げてニヤリと笑った。
「…明日やればいいさ」
そう言って、郁也は私を逃さないように持ち上げると、そのままコテージの中へと入っていったのだった。
こうして私達のミニバカンスは、初日に観光を少しだけして、あとはコテージに引きこもっていつも通り熱い時間を過ごす事になったのだった。
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だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。
エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。
そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。
「やっと、あなたに復讐できる」
歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。
彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。
過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。
※ムーンライトノベルにも掲載しております。
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