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番外編 2人のいちゃいちゃ クリスマス企画1週目 1泊2日のバスツアー
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「ここの温泉は江戸時代後期に源泉が湧いて、疲労回復、怪我の効能がある…怪我の効能じゃないや、むち打ちなどの痛みに効く、らしい」
配られたパンフレットを見ながら、私の背後にいる男に聞こえるように言うと、私を腕の中に収めている男の腕がぴくっと動いた。
「なら最初はこの温泉宿から行くか…どうせ疲労した後に行くし」
そう言って下ろしていた私の髪を退かし、露わになった首筋に口づけを落とした。
「…ん…ばか」
中々平日に取る休みの日が合わせられなくて、折角取れた休みで部屋に籠る気なの、と言いたかったけど、口から零れたのは甘い声だった。
私富士川紗英は、8月下旬のある平日に有給休暇を取ってぶどう狩りのバスツアーに参加した。そこのバスツアー参加者で、今私の首筋に顔を埋めて舌を這わす彼――金田郁也と出会い付き合う事になった。
彼はお酒の問屋の営業マンで、12月から2月初旬までの忘年会、年末年始と新年会シーズンは、年間の売上の最多を占めるほどの繁忙期らしく、ほぼ休みを取れないらしい。
なので出会ってまだ数ヶ月しか経っていない、付き合いたてのラブラブカップルの私達の最初のクリスマスは、会えるかも分からないのだ。
夜にご飯だけでも…と思っていたけど、11月30日と12月1日に休みを取ったと言った彼は、温泉宿を手配して二人で1泊2日の旅行をしようと私に言ったのだ。
年末だから少し忙しいかな、ぐらいで繁忙期ではなかった私は慌てて有休を取り、こうして二人で出かけているのだ。
都心から割と近いこの温泉街は電車一本、1時間もしないうちに到着して、朝早くには温泉街の最寄りの駅に着いたのだ。前もって温泉街に行く事を知っていたので、温泉に入りやすいように脱ぎやすいボタンで留めるタイプのグレーの厚手のロングワンピースと運動靴、寒さも本格化してきたので、もこもこのブルゾンを羽織っている。郁也は青いセーターの下に白いTシャツ、黒いスキニーパンツと黒の靴だ。泊まりとあって、黒のキャリーバッグには二人分の着替えが入っている。
「荷物はチェックイン前でも預かってくれるらしい」
でもその前にどこか珈琲でも飲んでひと休みしようと、駅にある観光名所案内所に近くの喫茶店を聞いたら、温泉街のマップが載ったパンフレットと温泉の種類のチラシを貰ったのだ。駅から歩いて5分ほどの所にあったのは、個室も完備されている大手の珈琲館で、扉入って手前が椅子で、テーブルを挟んで向こう側の壁際が黒いソファーの4人用の個室に案内された。郁也はコーヒーを、私はカフェラテを頼んだ。しばらくして飲み物を朝の時間に頼むと、サービスメニューとして縦半分に切られた食パンとゆで卵のお皿も二人分持ってきた店員さんが、
「ごゆっくりどうぞ」
と言って個室の扉を閉めた。
食パンも食べたし、この後どうしようか、と話すとソファー席に座った私の横に来た郁也が私を軽々と持ち上げ、テーブルを少し押して私を彼の膝の上に抱き上げたのだった。
そしてそれが、冒頭に戻る訳だが…
「まだ…だめ」
そう言って私は腕を上げて郁也の髪を触るが、ちゅぅっと強く吸い付かれチクッとした痛みを感じた。
「宿のチェックインは14時からだ…それからは、しばらく出ないからな」
そう低い声で耳元で言われて、ゾクゾクッと背筋に悪寒が走る。その声は二人が愛し合っている時に私に囁く音色に似ていて、自然と身体の力が抜けてしまう。
――自分の強すぎる性欲に悩んだ事もあったけど…郁也の方が私を遥かに上回っていて…今やついていくのに必死だ
付き合う男を好きすぎるが故に何度も求めてしまい、結局はついていけないと言われ別れてきた私に、郁也は応えてくれるし…なんならもう一度と何度も何度も求めてくれる。
――嬉しい
相手に求めてばかりだった過去も、今は何度も求められ愛される事を知った私は、心身共に郁也に夢中になっていた。付き合って半年も経たないうちに週末の逢瀬じゃ飽き足らず、平日に一日、もう一日、と増えていって、ついにはほぼ毎日一緒に過ごしているのだ。
もちろん、女性の周期の時やただ普通に一緒に眠るだけの日もあるけど、概ね満足している。
学生時代からやっていたと言っていたラグビーのおかげか、スポーツマンの私よりも何倍も太い筋肉で覆われた身体は大きい。お腹も綺麗に割れているし、ヘソの周りから下は毛で繋がっているため男らしくて好きと何度も言っている。
このままいちゃいちゃしたいのに、温泉にも行きたいジレンマが頭の中で葛藤する。
「…後でね」
たっぷりと含みを持たせて彼の耳元へ、お返しに囁き返せば頬に触れるだけのキスをして名残惜しくも彼の膝の上から離れた。
***************
「金田様、ようこそ我が宿へお越しくださいました、何かありましたらお声をおかけくださいませ」
昭和初期の頃の建物を改装して、5年前にリニューアルした旅館に到着してすぐにチェックインをした。月跨ぎの平日ともあって、あんまり混んでいなかったのかすんなりと和室へ通された私と郁也は、和装の中居さんに挨拶をされて二人きりとなった。
8畳ほどの部屋がふたつくっついた和室は、襖で仕切られていて入り口に近い部屋は大きなローテーブルと4つの座椅子が置いてあって、テーブルの中央には急須とポット、湯呑みとお菓子が載った御盆置いていた。
入り口と反対側の壁には大きな窓があって、庭園が見れる。
「紗英、荷物」
中を見ていた私に、郁也は私の手から荷物を取ると部屋の隅にある床の間にある金庫の横に荷物を載せた。
荷物を置いた後、郁也はローテーブルに座るとスマホを取り出して操作を始めたので、私は郁也の隣へと座った。
「…これ、美味しかったな」
テーブルの上にあった湯呑みを手前に置きながら、差し出されたスマホ画面を見ると、お昼に食べたしらす丼が画面いっぱいに広がっていた。
「うん!美味しかった!あのさ、甘酒も美味しかったよね」
温泉街を歩いていたら甘酒の露店販売もしていて、一杯250円だったので購入したのだった。郁也が指先で横にスクロールしていると、二人一緒に撮った写真や食べたもの、私が出来立ての温泉饅頭を頬張る瞬間も写っている。
「…やだ、こんなのも撮ったの…?」
と照れ臭くなったが、郁也からスマホを渡され私が操作をすると、私を抱き上げ郁也の足の間に座らされた。背後から抱きしめられながら、撮った写真を見て感じた事を話したりしていた。横にスクロールしていくと、写真のテイストが変わり今日撮った写真じゃなくなる。
「…これよく撮れてるだろ」
そう言った郁也の声が一段と低くなって私の耳へと囁きかける。
「…うん」
手が止まった私の視線は郁也のスマホ画面から目が離せない。
――これ…この間の…
スマホ画面に写るのは、眉を寄せて潤む瞳で頬を染めたカメラ目線の私。枕を掴み自慢の乳房が惜しげもなく画面に収まり、下生えから私のとは違う肌がぴたりとくっついていた。よく見ると薄らと汗ばんでいる私の肌には、無数の赤い所有印が所々に付いていて、ただの写真じゃない事が分かる。
――お互いどうかしていた
熱に魘されながらも、カメラを向ける彼に欲情し、大胆にももっと欲しいとねだった。いつもよりねちっこく責められたのを今でも思い出す。
「一個、前にしてみて」
郁也は私の耳の中に舌を這わしながら、固まる私にして欲しいことを強請る。
先日の甘いひと時を思い出して、震えてしまう指先がスマホ画面を横にスクロールすると動画が自動再生された。
『あっ、はっ、あっ』
『気持ち…いいかっ、ん?』
『気持ち…いい…イクのっ、ん、んっ』
ぱんぱんと肌のぶつかる音と、ぶつかった時の粘音がして、私の甘い声と郁也の掠れた声が聞こえる。ぷるんぷるんと前後する乳房と、下生えの奥から出たり入ったりする赤黒い昂りから目が離せない。
もぞっ、と足を動かすと、郁也の手が私のお腹に回った。
「…ん、郁也…っ」
スマホ画面から目が離せないのに、私の耳を嬲る郁也は私の反応などお構いなしにどんどん大胆に動いていく。
お腹から私の胸を服の上から揉み、胸の先端を摘み引っ張る。私は何度か乳房を弄られてからやっと背後を向くと、待っていたかのように郁也の口が私の口に重なり噛み付くように口づけをされた。
郁也はスマホを私の手から取りテーブルに置くと、私は自由になった手で郁也の首の後ろへと腕を伸ばした。
身体の向きが変わり、私の上半身が彼の胸板に当たる。キツく舌を吸われ、自分から彼の口内へと舌を入れお互いの舌を絡める。溢れる唾液を吸って飲み干すと、お返しとばかりに私の唾液が彼の口へと移る。
「は…ぁっ…っ」
息も吐かせない貪るキスに、頭がぼぅっとして何にも考えられなくなる。お尻を持ち上げられ身体が浮上するとお尻に固い感触がして、ローテーブルの上へと座らされた事に気がついた。郁也は私のロングスカートをたくし上げると、露わになる素足に口づけを落としていく。
私は自分の厚手のワンピースのボタンを上から順に外すと、白いキャミソールブラが現れた。スカートの裾までのボタンがあるワンピースに焦れていると、私の足にひと通り口づけをした郁也の顔が上がり、おへその上までボタンを外した私の手を止めた。
「郁…んっ」
彼の大きな身体は少しお尻を上げるだけでローテーブルに座る私と同じ目線になり、口を塞がれた後に下唇を喰まれた。
郁也の大きな手が私の太ももへと這い、下着に触れると彼のためにテーブルに手をつけて腰を浮かした。すると、するっと簡単に脱がされたボクサーパンツ型の下着に一瞥した郁也は床に落とし、私の白いキャミソールをたくし上げてお腹に顔を近づけ舌を這わし強く吸い付き赤い所有印を足していく。だんだんと郁也の唇がおへその方へ近寄っていくと、途中でボタンを外すのを止められた私のワンピースを彼の指先がちまちまとボタンを外していく。
スカートの裾まであったボタンを外す頃には、濡れた肌に所有印がさらに増えた。
彼の眼下に晒された下半身は焦ったい愛撫によって蜜を溢れさせ、私が座るスカートの内側にシミを作る。
「紗英、足…上げて」
彼の低い声に逆らえず、ローテーブルに両手を付けたまま足を上げると、彼の前に足を開脚させてしまった。
「…んっ、郁也…恥ずかし…い」
いつもは自分から挑発したりするのにじっくりと見られたりすると、何度も身体を重ねてきたのに恥ずかしいも何もないと思うが、毎回行為が始まる前に羞恥心があるのを知って自分でも驚く。
――最初からめちゃくちゃにされたら、大丈夫なのに
優しく愛撫される瞬間を見るから恥ずかしいのだろうか…そんな事をふと思っていると、下生えに舌を這わされ溢れる蜜を啜られ、一気に快感が全身を巡った。
「んぁぁっ!」
私が軽く達すると蜜口をぐるりとひと回り撫でた郁也は、チラッと私を見上げ目を細めた。
まるで、考え事か、と咎めるように――
丁寧に、丹念に私の蜜口を舐めて蜜を啜り、時々思い出したかのように太ももの付け根にも舌を這わし吸い付き跡を残していく。
「あっ…んん、郁也っ、欲しっ、の、んっ」
溢れる蜜を啜られるだけじゃ、蜜口を舐められるだけじゃ我慢出来なくなり、蜜壺に欲しくなると緩く腰を動かしてしまい、彼の顔に下半身を自分から近づけてしまう。名残り惜しく私の蜜口にある粒に舌を這わし終わると、起き上がった郁也は私を抱き上げ座椅子を退かすと、私の腕からワンピースを脱がし私を四つん這いにさせた。
「郁…んぁぁああっ!」
「…ぐっ、っ」
振り返ろうとすると、なんの前触れもなく蜜壺に彼の昂りで一気に貫かれ呆気なく絶頂を迎えた。郁也は私の腰に手をつけ、ぎゅぅぅっと強く締め付ける蜜壺をやり過ごしているみたいだった。
「あっ、あっまだっ、い…ってるぅっ、ん、ん」
身体が弓矢のようにのけ反ると、彼の胸板に後頭部が当たり、背後から回された手が私のキャミソールの胸を強く掴み揉み始め、肩紐が外れてぷるんと乳房の膨らみが現れた。
「ああ、っ、そうだな」
私の肩に顔を埋めて、ちゅっ、ちゅっ、とリップ音をさせながら背中にも腕にも口づけを落とす郁也。強すぎた快感が過ぎると、力が抜けて床に手をつけた。また四つん這いになった私の背中を郁也は愛おしそうに口づけを続け、肩に郁也の唇が到達すると私は振り向き彼と口づけをした。私が舌を出すと、彼が私の舌に自分の舌を絡める。だけど正面でのキスじゃないために、いつものように呼吸まで奪われるようなキスじゃなくて、お互いの舌の熱さやを感じるまったりとしたキスだ。もっと深く口づけをしたくて腕を上げて彼の頭に自分の手を回せば、ぐちゅっと繋がった下半身から音がする。
そうだ、まだ郁也はイッてないと、ぼんやりとする頭でそう思えば、緩やかに郁也の腰が動き出した。
「ん、んっ、あっ」
揺さぶられてキスも出来なくなると、床に手をついた。激しく求めるんじゃなくて、ゆっくりと中を堪能するかのように郁也の昂りが蜜壺の中を出たり入ったりする。正面で愛し合う時とは違い彼の昂りの凸凹した所が、私の蜜壺の中を余す事なく擦りつけられて、全身がピリピリと電流が走る。
普段の情事なら触れる事の少ない箇所を、執拗に責められて何度も達してしまう。
「や、ん、イっ、く…イクッ」
もう少し余裕があってもいいはずなのに、郁也仕様に変えられた身体は、気まぐれに愛撫されるだけでも…なんなら酷い時は耳元で彼の吐息が掛かるだけでも感じる身体になってしまった。それでも少しも嫌だと感じないのは、歴代の彼氏よりも私を愛してくれ、鋭い眼差しの奥に私を欲する欲を常に感じるからかもしれない。
「ぐっ、くそっ、エロい、エロいっ」
ぱんぱんっ、と肌がぶつかり激しくなっていく抽送に、身体が一緒に反応してしまい腰を掴まれ固定された。
まるで、動くなと言われているばかりに。
膝が擦れているからきっと後でみたら赤くなっているはず、とじわじわと絶頂に向かう意識の中でそう思ったけれど、すぐにどうでも良くなってしまった。
「はっ、ぁっ、郁也っ、郁…っ、也ぁああっ!」
ずんっと強く突き刺さった昂りは、私の蜜壺奥深くへと留まり、限界を迎えた彼の昂りから熱い証がドクン、ドクンと放出された。あまりの熱さに絶頂を迎えた蜜壺は、彼の昂りをぎゅうぎゅうに締め付けて離さない。最後の一滴までを最奥へと注いだ昂りは、蜜壺の中に染み込ませるように自身を擦り付けた。
両手が震えて力が入らなくなると、冷えた畳についた熱くなった頬の火照りが治っていく。
腕を取られ上半身が上がると、ぐるっと私の身体の向きを変えた郁也は、私に覆い被さった。
「気持ち、良かった」
はぁっ、と、荒い呼吸のままそう告げると、彼の唇が私のこめかみに押しつけられる。
「ああ、最高だ」
そう言って郁也の昂りが、太く固くなっているのに気がついた。足を上げて郁也の腰に足を巻き付ければ、熱い口づけとともにまた濃厚な時間が始まった。
くたくたになった身体で温泉に行こうとは思わなかった。夕飯前まで愛されて満たされていると、部屋に運ばれた料理が順に並べられる。
部屋に備え付けられた寝衣の浴衣姿に着替えた私は、料理を並べる中居さんの話を聞いていた。
「…こちらが、本日日替わりで提供させていただいております、ブリの塩鍋となっております」
コンロに載せられた小鍋にはブリと野菜、きのこが入って、他にも漬物の小鉢に刺身や肉団子、茶碗蒸しと白いご飯が並んだ。どれも美味しそうで、一つ一つ料理の説明をする中居さんの話を聞いていたら、シャワーを浴びた私と同じ柄の浴衣姿に変わった郁也が部屋に入ってきた。
「…では、ごゆっくりなさってください、後ほどお片付けに参ります」
正座して頭を下げた中居さんはそう言うと、そのまま部屋から出て行った。
「…うまそうだな」
「うん、おすすめは――」
さっき言われた中居さんの説明をそのまま郁也に言って、郁也は置かれたグラスにビールを注ぐ。二つ入れ終わった所で、片方のグラスを私に手渡し乾杯をした。
「…今日はありがと…無理言ってごめんね」
夕飯の片付けと横の和室に布団を敷いた中居さん達が居なくなり、夕飯を食べた所で座ってビールを飲む郁也の左横に座って、彼にもたれた。
繁忙期に入ると言っていたし、これから疲れるかもしれないのに一緒に過ごしたいとワガママを言って困らせてしまった自覚はある。
「何で謝るんだ、まだそんなに忙しくないし、この時期に休み申請する人多いから気にするな」
そう言って郁也は、私の腰に腕を回した。彼の肩に頭を乗せていると、ゴクとビールを飲む郁也の喉が上下に動き目が離せなくなる。
「…来年…は、一緒に温泉入れる所に泊まろう」
ぼぅっと見ていたら郁也から来年の提案をされ、途端に嬉しくなる。自分はなんて単純な女だと、可笑しくなる。
「温泉付き宿?」
「ああ、個室についてるヤツな」
私を片手で軽々と持ち上げた郁也は、私を彼の膝の上に向かい合わせに座らせた。
「うん…私、ね…郁也とだったらどこでもいいよ?」
そう言って郁也の首の後ろへ腕を回すと、郁也が屈みお互いの額が重なった。
「そうだな、だが、出来るだけ2人きりになれる所は…譲れないな」
小声で囁く郁也の声色は低く、欲情を孕んでいるみたいでドキドキする。なんだかこの宿に泊まった時もこんな雰囲気じゃなかった?と思ったが、彼の吐息が口元に当たり、どうでも良くなった。
「…好き」
「俺も、好きだ」
郁也の唇に自分の唇をくっつけると、何倍にもなって返ってきた彼の熱い口づけに私は夢中になってしまったのだ。
結局の所観光はあまりせず夕飯はしっかりと食べ、そのまま夜遅くまで愛し合ったのに朝起きてすぐに盛り上がってしまった私達は、朝食のバイキングへと向かわず部屋に籠った。チェックアウトの時間にバタバタと荷物をまとめて出た。求めていた最中にチェックアウトをしたものだから、中途半端に終わった熱に我慢出来るはずもなく、近くのホテルへと入った。
それから夕闇の頃にホテルを出たカップルは、腕を絡ませ温泉街を後にしたのだった。
配られたパンフレットを見ながら、私の背後にいる男に聞こえるように言うと、私を腕の中に収めている男の腕がぴくっと動いた。
「なら最初はこの温泉宿から行くか…どうせ疲労した後に行くし」
そう言って下ろしていた私の髪を退かし、露わになった首筋に口づけを落とした。
「…ん…ばか」
中々平日に取る休みの日が合わせられなくて、折角取れた休みで部屋に籠る気なの、と言いたかったけど、口から零れたのは甘い声だった。
私富士川紗英は、8月下旬のある平日に有給休暇を取ってぶどう狩りのバスツアーに参加した。そこのバスツアー参加者で、今私の首筋に顔を埋めて舌を這わす彼――金田郁也と出会い付き合う事になった。
彼はお酒の問屋の営業マンで、12月から2月初旬までの忘年会、年末年始と新年会シーズンは、年間の売上の最多を占めるほどの繁忙期らしく、ほぼ休みを取れないらしい。
なので出会ってまだ数ヶ月しか経っていない、付き合いたてのラブラブカップルの私達の最初のクリスマスは、会えるかも分からないのだ。
夜にご飯だけでも…と思っていたけど、11月30日と12月1日に休みを取ったと言った彼は、温泉宿を手配して二人で1泊2日の旅行をしようと私に言ったのだ。
年末だから少し忙しいかな、ぐらいで繁忙期ではなかった私は慌てて有休を取り、こうして二人で出かけているのだ。
都心から割と近いこの温泉街は電車一本、1時間もしないうちに到着して、朝早くには温泉街の最寄りの駅に着いたのだ。前もって温泉街に行く事を知っていたので、温泉に入りやすいように脱ぎやすいボタンで留めるタイプのグレーの厚手のロングワンピースと運動靴、寒さも本格化してきたので、もこもこのブルゾンを羽織っている。郁也は青いセーターの下に白いTシャツ、黒いスキニーパンツと黒の靴だ。泊まりとあって、黒のキャリーバッグには二人分の着替えが入っている。
「荷物はチェックイン前でも預かってくれるらしい」
でもその前にどこか珈琲でも飲んでひと休みしようと、駅にある観光名所案内所に近くの喫茶店を聞いたら、温泉街のマップが載ったパンフレットと温泉の種類のチラシを貰ったのだ。駅から歩いて5分ほどの所にあったのは、個室も完備されている大手の珈琲館で、扉入って手前が椅子で、テーブルを挟んで向こう側の壁際が黒いソファーの4人用の個室に案内された。郁也はコーヒーを、私はカフェラテを頼んだ。しばらくして飲み物を朝の時間に頼むと、サービスメニューとして縦半分に切られた食パンとゆで卵のお皿も二人分持ってきた店員さんが、
「ごゆっくりどうぞ」
と言って個室の扉を閉めた。
食パンも食べたし、この後どうしようか、と話すとソファー席に座った私の横に来た郁也が私を軽々と持ち上げ、テーブルを少し押して私を彼の膝の上に抱き上げたのだった。
そしてそれが、冒頭に戻る訳だが…
「まだ…だめ」
そう言って私は腕を上げて郁也の髪を触るが、ちゅぅっと強く吸い付かれチクッとした痛みを感じた。
「宿のチェックインは14時からだ…それからは、しばらく出ないからな」
そう低い声で耳元で言われて、ゾクゾクッと背筋に悪寒が走る。その声は二人が愛し合っている時に私に囁く音色に似ていて、自然と身体の力が抜けてしまう。
――自分の強すぎる性欲に悩んだ事もあったけど…郁也の方が私を遥かに上回っていて…今やついていくのに必死だ
付き合う男を好きすぎるが故に何度も求めてしまい、結局はついていけないと言われ別れてきた私に、郁也は応えてくれるし…なんならもう一度と何度も何度も求めてくれる。
――嬉しい
相手に求めてばかりだった過去も、今は何度も求められ愛される事を知った私は、心身共に郁也に夢中になっていた。付き合って半年も経たないうちに週末の逢瀬じゃ飽き足らず、平日に一日、もう一日、と増えていって、ついにはほぼ毎日一緒に過ごしているのだ。
もちろん、女性の周期の時やただ普通に一緒に眠るだけの日もあるけど、概ね満足している。
学生時代からやっていたと言っていたラグビーのおかげか、スポーツマンの私よりも何倍も太い筋肉で覆われた身体は大きい。お腹も綺麗に割れているし、ヘソの周りから下は毛で繋がっているため男らしくて好きと何度も言っている。
このままいちゃいちゃしたいのに、温泉にも行きたいジレンマが頭の中で葛藤する。
「…後でね」
たっぷりと含みを持たせて彼の耳元へ、お返しに囁き返せば頬に触れるだけのキスをして名残惜しくも彼の膝の上から離れた。
***************
「金田様、ようこそ我が宿へお越しくださいました、何かありましたらお声をおかけくださいませ」
昭和初期の頃の建物を改装して、5年前にリニューアルした旅館に到着してすぐにチェックインをした。月跨ぎの平日ともあって、あんまり混んでいなかったのかすんなりと和室へ通された私と郁也は、和装の中居さんに挨拶をされて二人きりとなった。
8畳ほどの部屋がふたつくっついた和室は、襖で仕切られていて入り口に近い部屋は大きなローテーブルと4つの座椅子が置いてあって、テーブルの中央には急須とポット、湯呑みとお菓子が載った御盆置いていた。
入り口と反対側の壁には大きな窓があって、庭園が見れる。
「紗英、荷物」
中を見ていた私に、郁也は私の手から荷物を取ると部屋の隅にある床の間にある金庫の横に荷物を載せた。
荷物を置いた後、郁也はローテーブルに座るとスマホを取り出して操作を始めたので、私は郁也の隣へと座った。
「…これ、美味しかったな」
テーブルの上にあった湯呑みを手前に置きながら、差し出されたスマホ画面を見ると、お昼に食べたしらす丼が画面いっぱいに広がっていた。
「うん!美味しかった!あのさ、甘酒も美味しかったよね」
温泉街を歩いていたら甘酒の露店販売もしていて、一杯250円だったので購入したのだった。郁也が指先で横にスクロールしていると、二人一緒に撮った写真や食べたもの、私が出来立ての温泉饅頭を頬張る瞬間も写っている。
「…やだ、こんなのも撮ったの…?」
と照れ臭くなったが、郁也からスマホを渡され私が操作をすると、私を抱き上げ郁也の足の間に座らされた。背後から抱きしめられながら、撮った写真を見て感じた事を話したりしていた。横にスクロールしていくと、写真のテイストが変わり今日撮った写真じゃなくなる。
「…これよく撮れてるだろ」
そう言った郁也の声が一段と低くなって私の耳へと囁きかける。
「…うん」
手が止まった私の視線は郁也のスマホ画面から目が離せない。
――これ…この間の…
スマホ画面に写るのは、眉を寄せて潤む瞳で頬を染めたカメラ目線の私。枕を掴み自慢の乳房が惜しげもなく画面に収まり、下生えから私のとは違う肌がぴたりとくっついていた。よく見ると薄らと汗ばんでいる私の肌には、無数の赤い所有印が所々に付いていて、ただの写真じゃない事が分かる。
――お互いどうかしていた
熱に魘されながらも、カメラを向ける彼に欲情し、大胆にももっと欲しいとねだった。いつもよりねちっこく責められたのを今でも思い出す。
「一個、前にしてみて」
郁也は私の耳の中に舌を這わしながら、固まる私にして欲しいことを強請る。
先日の甘いひと時を思い出して、震えてしまう指先がスマホ画面を横にスクロールすると動画が自動再生された。
『あっ、はっ、あっ』
『気持ち…いいかっ、ん?』
『気持ち…いい…イクのっ、ん、んっ』
ぱんぱんと肌のぶつかる音と、ぶつかった時の粘音がして、私の甘い声と郁也の掠れた声が聞こえる。ぷるんぷるんと前後する乳房と、下生えの奥から出たり入ったりする赤黒い昂りから目が離せない。
もぞっ、と足を動かすと、郁也の手が私のお腹に回った。
「…ん、郁也…っ」
スマホ画面から目が離せないのに、私の耳を嬲る郁也は私の反応などお構いなしにどんどん大胆に動いていく。
お腹から私の胸を服の上から揉み、胸の先端を摘み引っ張る。私は何度か乳房を弄られてからやっと背後を向くと、待っていたかのように郁也の口が私の口に重なり噛み付くように口づけをされた。
郁也はスマホを私の手から取りテーブルに置くと、私は自由になった手で郁也の首の後ろへと腕を伸ばした。
身体の向きが変わり、私の上半身が彼の胸板に当たる。キツく舌を吸われ、自分から彼の口内へと舌を入れお互いの舌を絡める。溢れる唾液を吸って飲み干すと、お返しとばかりに私の唾液が彼の口へと移る。
「は…ぁっ…っ」
息も吐かせない貪るキスに、頭がぼぅっとして何にも考えられなくなる。お尻を持ち上げられ身体が浮上するとお尻に固い感触がして、ローテーブルの上へと座らされた事に気がついた。郁也は私のロングスカートをたくし上げると、露わになる素足に口づけを落としていく。
私は自分の厚手のワンピースのボタンを上から順に外すと、白いキャミソールブラが現れた。スカートの裾までのボタンがあるワンピースに焦れていると、私の足にひと通り口づけをした郁也の顔が上がり、おへその上までボタンを外した私の手を止めた。
「郁…んっ」
彼の大きな身体は少しお尻を上げるだけでローテーブルに座る私と同じ目線になり、口を塞がれた後に下唇を喰まれた。
郁也の大きな手が私の太ももへと這い、下着に触れると彼のためにテーブルに手をつけて腰を浮かした。すると、するっと簡単に脱がされたボクサーパンツ型の下着に一瞥した郁也は床に落とし、私の白いキャミソールをたくし上げてお腹に顔を近づけ舌を這わし強く吸い付き赤い所有印を足していく。だんだんと郁也の唇がおへその方へ近寄っていくと、途中でボタンを外すのを止められた私のワンピースを彼の指先がちまちまとボタンを外していく。
スカートの裾まであったボタンを外す頃には、濡れた肌に所有印がさらに増えた。
彼の眼下に晒された下半身は焦ったい愛撫によって蜜を溢れさせ、私が座るスカートの内側にシミを作る。
「紗英、足…上げて」
彼の低い声に逆らえず、ローテーブルに両手を付けたまま足を上げると、彼の前に足を開脚させてしまった。
「…んっ、郁也…恥ずかし…い」
いつもは自分から挑発したりするのにじっくりと見られたりすると、何度も身体を重ねてきたのに恥ずかしいも何もないと思うが、毎回行為が始まる前に羞恥心があるのを知って自分でも驚く。
――最初からめちゃくちゃにされたら、大丈夫なのに
優しく愛撫される瞬間を見るから恥ずかしいのだろうか…そんな事をふと思っていると、下生えに舌を這わされ溢れる蜜を啜られ、一気に快感が全身を巡った。
「んぁぁっ!」
私が軽く達すると蜜口をぐるりとひと回り撫でた郁也は、チラッと私を見上げ目を細めた。
まるで、考え事か、と咎めるように――
丁寧に、丹念に私の蜜口を舐めて蜜を啜り、時々思い出したかのように太ももの付け根にも舌を這わし吸い付き跡を残していく。
「あっ…んん、郁也っ、欲しっ、の、んっ」
溢れる蜜を啜られるだけじゃ、蜜口を舐められるだけじゃ我慢出来なくなり、蜜壺に欲しくなると緩く腰を動かしてしまい、彼の顔に下半身を自分から近づけてしまう。名残り惜しく私の蜜口にある粒に舌を這わし終わると、起き上がった郁也は私を抱き上げ座椅子を退かすと、私の腕からワンピースを脱がし私を四つん這いにさせた。
「郁…んぁぁああっ!」
「…ぐっ、っ」
振り返ろうとすると、なんの前触れもなく蜜壺に彼の昂りで一気に貫かれ呆気なく絶頂を迎えた。郁也は私の腰に手をつけ、ぎゅぅぅっと強く締め付ける蜜壺をやり過ごしているみたいだった。
「あっ、あっまだっ、い…ってるぅっ、ん、ん」
身体が弓矢のようにのけ反ると、彼の胸板に後頭部が当たり、背後から回された手が私のキャミソールの胸を強く掴み揉み始め、肩紐が外れてぷるんと乳房の膨らみが現れた。
「ああ、っ、そうだな」
私の肩に顔を埋めて、ちゅっ、ちゅっ、とリップ音をさせながら背中にも腕にも口づけを落とす郁也。強すぎた快感が過ぎると、力が抜けて床に手をつけた。また四つん這いになった私の背中を郁也は愛おしそうに口づけを続け、肩に郁也の唇が到達すると私は振り向き彼と口づけをした。私が舌を出すと、彼が私の舌に自分の舌を絡める。だけど正面でのキスじゃないために、いつものように呼吸まで奪われるようなキスじゃなくて、お互いの舌の熱さやを感じるまったりとしたキスだ。もっと深く口づけをしたくて腕を上げて彼の頭に自分の手を回せば、ぐちゅっと繋がった下半身から音がする。
そうだ、まだ郁也はイッてないと、ぼんやりとする頭でそう思えば、緩やかに郁也の腰が動き出した。
「ん、んっ、あっ」
揺さぶられてキスも出来なくなると、床に手をついた。激しく求めるんじゃなくて、ゆっくりと中を堪能するかのように郁也の昂りが蜜壺の中を出たり入ったりする。正面で愛し合う時とは違い彼の昂りの凸凹した所が、私の蜜壺の中を余す事なく擦りつけられて、全身がピリピリと電流が走る。
普段の情事なら触れる事の少ない箇所を、執拗に責められて何度も達してしまう。
「や、ん、イっ、く…イクッ」
もう少し余裕があってもいいはずなのに、郁也仕様に変えられた身体は、気まぐれに愛撫されるだけでも…なんなら酷い時は耳元で彼の吐息が掛かるだけでも感じる身体になってしまった。それでも少しも嫌だと感じないのは、歴代の彼氏よりも私を愛してくれ、鋭い眼差しの奥に私を欲する欲を常に感じるからかもしれない。
「ぐっ、くそっ、エロい、エロいっ」
ぱんぱんっ、と肌がぶつかり激しくなっていく抽送に、身体が一緒に反応してしまい腰を掴まれ固定された。
まるで、動くなと言われているばかりに。
膝が擦れているからきっと後でみたら赤くなっているはず、とじわじわと絶頂に向かう意識の中でそう思ったけれど、すぐにどうでも良くなってしまった。
「はっ、ぁっ、郁也っ、郁…っ、也ぁああっ!」
ずんっと強く突き刺さった昂りは、私の蜜壺奥深くへと留まり、限界を迎えた彼の昂りから熱い証がドクン、ドクンと放出された。あまりの熱さに絶頂を迎えた蜜壺は、彼の昂りをぎゅうぎゅうに締め付けて離さない。最後の一滴までを最奥へと注いだ昂りは、蜜壺の中に染み込ませるように自身を擦り付けた。
両手が震えて力が入らなくなると、冷えた畳についた熱くなった頬の火照りが治っていく。
腕を取られ上半身が上がると、ぐるっと私の身体の向きを変えた郁也は、私に覆い被さった。
「気持ち、良かった」
はぁっ、と、荒い呼吸のままそう告げると、彼の唇が私のこめかみに押しつけられる。
「ああ、最高だ」
そう言って郁也の昂りが、太く固くなっているのに気がついた。足を上げて郁也の腰に足を巻き付ければ、熱い口づけとともにまた濃厚な時間が始まった。
くたくたになった身体で温泉に行こうとは思わなかった。夕飯前まで愛されて満たされていると、部屋に運ばれた料理が順に並べられる。
部屋に備え付けられた寝衣の浴衣姿に着替えた私は、料理を並べる中居さんの話を聞いていた。
「…こちらが、本日日替わりで提供させていただいております、ブリの塩鍋となっております」
コンロに載せられた小鍋にはブリと野菜、きのこが入って、他にも漬物の小鉢に刺身や肉団子、茶碗蒸しと白いご飯が並んだ。どれも美味しそうで、一つ一つ料理の説明をする中居さんの話を聞いていたら、シャワーを浴びた私と同じ柄の浴衣姿に変わった郁也が部屋に入ってきた。
「…では、ごゆっくりなさってください、後ほどお片付けに参ります」
正座して頭を下げた中居さんはそう言うと、そのまま部屋から出て行った。
「…うまそうだな」
「うん、おすすめは――」
さっき言われた中居さんの説明をそのまま郁也に言って、郁也は置かれたグラスにビールを注ぐ。二つ入れ終わった所で、片方のグラスを私に手渡し乾杯をした。
「…今日はありがと…無理言ってごめんね」
夕飯の片付けと横の和室に布団を敷いた中居さん達が居なくなり、夕飯を食べた所で座ってビールを飲む郁也の左横に座って、彼にもたれた。
繁忙期に入ると言っていたし、これから疲れるかもしれないのに一緒に過ごしたいとワガママを言って困らせてしまった自覚はある。
「何で謝るんだ、まだそんなに忙しくないし、この時期に休み申請する人多いから気にするな」
そう言って郁也は、私の腰に腕を回した。彼の肩に頭を乗せていると、ゴクとビールを飲む郁也の喉が上下に動き目が離せなくなる。
「…来年…は、一緒に温泉入れる所に泊まろう」
ぼぅっと見ていたら郁也から来年の提案をされ、途端に嬉しくなる。自分はなんて単純な女だと、可笑しくなる。
「温泉付き宿?」
「ああ、個室についてるヤツな」
私を片手で軽々と持ち上げた郁也は、私を彼の膝の上に向かい合わせに座らせた。
「うん…私、ね…郁也とだったらどこでもいいよ?」
そう言って郁也の首の後ろへ腕を回すと、郁也が屈みお互いの額が重なった。
「そうだな、だが、出来るだけ2人きりになれる所は…譲れないな」
小声で囁く郁也の声色は低く、欲情を孕んでいるみたいでドキドキする。なんだかこの宿に泊まった時もこんな雰囲気じゃなかった?と思ったが、彼の吐息が口元に当たり、どうでも良くなった。
「…好き」
「俺も、好きだ」
郁也の唇に自分の唇をくっつけると、何倍にもなって返ってきた彼の熱い口づけに私は夢中になってしまったのだ。
結局の所観光はあまりせず夕飯はしっかりと食べ、そのまま夜遅くまで愛し合ったのに朝起きてすぐに盛り上がってしまった私達は、朝食のバイキングへと向かわず部屋に籠った。チェックアウトの時間にバタバタと荷物をまとめて出た。求めていた最中にチェックアウトをしたものだから、中途半端に終わった熱に我慢出来るはずもなく、近くのホテルへと入った。
それから夕闇の頃にホテルを出たカップルは、腕を絡ませ温泉街を後にしたのだった。
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