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後日談 精霊祭の蜂蜜酒
しおりを挟む「あれ?なんか調子が悪そうだね。」
そうおっしやったのは、神の国の令嬢もとい令息であるシンリ様。我が旦那様の弟である転生者コウラン皇子の転生前の弟様。
まあ、早く言えば転生者です。
そんな彼は清楚な白色のワンピースを身に纏いその水色の瞳には心配気な色を浮かべて私を見ている。
あっ、ワンピースを着ていますがシンリ様は男の子ですので。
「なんか何時もと様子が違うけど。」
「……そうですね。最近、熱っぽい感じがしますけど大丈夫です。」
「仕事のしすぎじゃない?イオス様も心配していたよ。」
「彼も私に劣らず働いているんですけど。でも、そう、今の仕事が一段落したら休みを取りますわ。」
そう言って私は、手に持っていた企画書を机に置いた。
その企画書は国民からの要望で今回初めて企画した催し物である。
我が国では精霊様方が実りや季節を運んでくると信じられている。各地では収穫祭等で精霊様を崇める人も居るほどです。
今秋はとても豊作で、その豊作の手伝いをしてくれた精霊様達に感謝を込めての国を上げてお祭りを行うことにしたのです。勿論、豊作になったのは国民の努力でもあることは知っていますので、この日ばかりは祝日にしてどんな人でも楽しめるように企画を作りました。
あとは皆が喜んでくれれば大成功なんですが。
そしたら、一週間位休んで旦那様とプチ旅行もいいですわね。シンリ様は心配してくれましたが、熱っぽい感じと少しだけ食欲が落ちただけですし、疲れが貯まっているだけだろうから、旅行に行ったら治るはずよ。
「シシリア様、無理は駄目だからね?」
「わかっておりますわ。」
シンリ様は今回のお祭りを参加するためいらしたらしい。しかも、私には見えませんが精霊様を大勢連れてきてくれたのだとか。
イオス様曰く、砂糖に群がる蟻の様で近くの地域の精霊を根こそぎ連れてきたのではないかと言っていた。
今は、収穫も終わり、冬越えの準備中だから精霊が二、三日居なくても問題ないから良かったものの。
「そういえば、シンリ様はどうして執務室?」
「気晴らしの話し相手になってくれって。」
「確かに気晴らしに成りましたわ。」
企画書とにらめっこしながら張りつめた空気を醸し出していた私はどうやら部屋に侍女さんも入りずらかったらしくて、シンリ様が突入してきた時、廊下でほっとしていたのをみた。
そして、すかさずハーブティーとレモンピールを用意して、すっと邪魔にならないようにはけたのは流石としか言えない動きだった。
彼女には悪いことをしたわね。
「ねぇねぇ、ちょっとだけシシリア様に触れても良い?」
「?別に良いですけど。」
シンリ様は軽く私の額にてを当てたり背中を擦るようにしたあと、とても良い笑顔をくださいました。
母親に似たという可愛らしい顔がまぶしいです。
いったいその笑顔なんなんでしょうか?
「とりあえず、本当に無茶しないでよね。」
その笑顔の意味を教えてもらう前に彼は風のように執務室から出ていかれました。
1人残された私は首をかしげた後、残りの書類の処理を再開することにします。
────────
今日はお祭りの当日。
城から見える城下町は、精霊様に感謝を表す為の供物や巫女達による踊りにと盛り上がっているようでした。
オレンジや紫の装飾品があちらこちらに見えて、国民達も楽しんでいるみたいです。
この日ばかりは、どのような人でも手を取り遊ぶ。
見ていて気持ちがいい。
「こんな所に居たのか。」
「イオス様。」
「身体が冷える。」
どこから取り出したのか、イオス様は緑掛かった白のストールを私に掛けてくれた。
イオス様が持っていたからか仄かに暖かいそれは私の身に熱を与えてくれる。その優しさにくすぐったさを感じて思わず笑みがこぼれた。
「大成功のようだね。」
「ふふ、ええ。」
『私の以前いた異世界はね、色んな人種や立場の人が居るのよ。』
小さな頃に姉から聞いた小さな島国の話し。
それを聞いてから、民主国家を目指し頑張ってきた。戸籍を調べ国民すべてに戸籍を作り上げた。そして戸籍ができたらこの国の代表者を決めた。
王族を含めない国民全員の代表は、本当に良い方ですの。
金に物言わせ代表に成ろうとした貴族の方を、姉が設立した監査機関が取り締まってくれたのが良かったのかも。
今日、やっと書類の目処もたったし良いことずくめで今後がちょっとだけ怖いです。
「あっ、いたいた。」
「おや、シンリ様。どうかしました?」
「イオス様じゃなくてシシリア様に用事。」
ふよふよと飛んで城の外から現れたのは、シンリ様でした。私の許可を得た後に私の閉じた目元に手を当て、不思議な発音の歌を短く歌っていた。歌が終わると目元から手が離れるのがわかる。
「ゆっくりと目を開けて。驚かないでね。」
「え、あっ、はい。」
言われた通りにゆっくりと目を開くと、目の前にはシンリ様と先程はいなかった絶世の美女がいた。
光が透き通りキラキラ輝く金糸の髪を彩り鮮やか花で飾り、若葉のような色の瞳を称えた目は慈愛に満ちている。薄ピンクの洋服はそのナイスボディを際立たせる形状をしていた。
「この方が見える?」
「あっ、ええ。とても美しい女性が。」
「えっ、見えるのかい?」
「こちら、光の精霊様。」
「せ、精霊様?」
どうやらさっきの行動は精霊様が見えるようにするための術らしい。
確かに、賑わいを見せる町を飛び交う光の塊の様なものが見えるようになっております。こんな美しい方が精霊様なんですね。あの塊も近くで見たらこの方の様なんでしょうか。
後日、その事についてお話しを聞くと人形の精霊様は上位の者なのだとか。光の塊は光の塊にしか見えないらしい。
「精霊様、お初にお目にかかります。シシリアと申します。」
『******************』
「なんと丁寧な娘かしら。気に入ったわ。だって。」
少しだけ間が空きましたが、相手は今回の祭りの主役である精霊様。失礼の無いように感謝の気持ちを込めての挨拶をすると、精霊様コロコロと鈴の音の様な音を奏でながら笑っていました。
その音を通訳してくださったのはシンリ様でした。
『**********』
「貴女達に私の加護を。って。」
私の頭上で精霊様が手を横に振ると、キラキラとした光が降ってきた。光は身体を光らせたあと中に入るように消えていった。
『*********』
「**********」
精霊様はシンリ様と少し話をしたあと、私に手を振り町へ消えて行きました。
あれ、イオス様へ加護は?貴女達って言ってたよね。
「さて、僕からもお祝いね。」
シンリ様は?を飛ばしている私やイオス様に飲み物を渡してきた。琥珀色の飲み物は甘い匂いと少しだけ発酵した匂いがします。飲め飲めと言われて一口飲めば、その液体は薄い蜂蜜だとわかりました。
そのままこくこくと飲んでいると、身体がぽかぽかしてきます。気に入ったのかイオス様はすぐに飲みおわり、容器を返しながらこの飲み物の事を聞いていた。
家族の結束等の意味を持つ飲み物らしく、私たちにピッタリだと用意してくれたのだとか。
「蜂蜜酒だよ。その身の新たな命を含め魔神の愛し子も祝福するよ。」
「あ、新たな……いのち……?」
「ほ、本当かシンリ!」
「うん、間違いないよ。光の精霊王も認めたし。」
ちょ、聞き捨てならない単語が出ましたけど、それは後にして、私が妊娠した?
確かに、微熱が続いたり、脂っこいものが気持ち悪かったりしたけど、まさか。
「お茶請けでレモンピール食べてたから調べさせてもらったらバッチリ。」
あのときの笑みはそういうことですか。
私は、まだ平たいお腹に触りほうと吐息を漏らした。ここに私と愛しの旦那様の……。
ふふ、早く会いたいわ。
「こんなところでは身体に悪いじゃないか。早く部屋で休まないと。いや、先に義父様へお知らせしなければ。シンリも分かったら早々に知らせてくれれば良いのに。」
「驚かせたくてね。」
「きゃっ!」
てへぺろと可愛らしくするシンリ様をよそにイオス様が私を抱き上げる。いわゆるお姫様抱っこだ。
蜂蜜酒が溢れないように慌てて胸元で支える。
そして、ブツブツ言いながらイオス様は城にまだ残る私の部屋に向う。先ずは私を休ませる事にしたらしい。本当に優しい旦那様。思わず、片手を頬に伸ばし手を当て優しく顎先にキスする。
「愛しの旦那様、我が子共々宜しくお願いしますね 。」
「まかせろ。世界一幸せにしてやる。」
END
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