2 / 17
2.誓いの指輪
しおりを挟む
「陸斗。俺はずっと陸斗のことを愛してる」
二人が恋人同士になる時に、大河はそう言って陸斗を抱き締めた。
「俺を陸斗の恋人にしてくれるの?」
大河がこの台詞を言うのはもう何度目だろう。
「大河、しつこいな。さっきからいいって言ってるだろ」
「『いい』って何? 要らないの意味? それとも俺を受け入れてくれるって意味?」
わかってるくせに確認するな。
「俺も大河が好き。大河の恋人になりたい。何回も言わすなよっ。これ以上は恥ずかしくて言いたくないっ」
大河にいいように乗せられて「好きだ」「恋人にして欲しい」を散々連呼させられて、陸斗は羞恥の限界だ。
「可愛い、陸斗、大好き。もう絶対にこのまま離さないっ!」
大河は陸斗を身動き取れないくらいに強く抱き締めてきた。
「何言ってんだよ、どうせすぐに離れるだろ。ずっとくっついたままじゃ、メシも食えないだろうが!」
「俺はメシくらいこのままでも食えるけど、そう言う意味じゃねぇよ」
あ、大河は食えんの? こんなに抱き合ってままで? バカだなお前。
「絶対に陸斗と別れないって意味だよ。……まぁ、陸斗が俺と別れたいって言ったらそれは諦めるけどさ。俺から言うなんてありえない。命を懸けて誓ってもいい」
大河はそれから本当に離してくれない。
さすがに苦しくなって陸斗から「いい加減にしろっ」と言ったら「お前がそう言うなら、離れるよ」とやっと解放してくれた。
「そうだ陸斗。これ、貰って」
大河は急にポケットから何かを取り出した。
——指輪だ。
同じデザインの、ゴールドとシルバーの色違いの指輪。
「わざと金と銀にした。男同士で同じ指輪は恥ずかしいだろ? 陸斗、どっちがいい?」
陸斗と大河の指のサイズは同じだ。以前アクセサリー屋で測った時に「同じじゃん」と大河と笑い合った事がある。
「いきなり指輪かよ……」
今どき告白する時に指輪を用意する奴なんていないだろ。
「えっ? ごめん! 引いた? 引くか。引くよな……」
「違う。俺に告白して振られるかもしれないのによく買うよな……」
「なんだそっちかよ。びっくりしたな……。別にいいだろ、俺は陸斗を見える物でも縛っておきたいんだよ!」
「俺、指輪は好きじゃない」
「嘘つけ。いつもジャラジャラ付けてるだろ」
ジャラジャラは言い過ぎだ。プライベートの時に気に入ったものを一つ二つだけだ。
「俺シルバーがいい」
陸斗の持っているアクセサリーはシルバーばかりだ。ゴールドでは目立ってしまうから。
「貰ってくれるんだ」
大河はものすごく嬉しそうな顔をした。
「仕事の時は着けないからな」
陸斗と大河は同じ会社の同期で、会社ではほぼ他人のふりをしている。そして陸斗は会社では『付き合ってる人はいない』ということになっている。それなのに指輪なんてできる訳がない。
「いいぜ。陸斗の好きにしろ。お前が受け取ってくれるだけで俺は最高に幸せだから」
大河はシルバーの指輪を手に取り、陸斗の左手を引き寄せる。
「右っ! 右がいいっ!」
左手薬指なんて耐えられない。あからさま過ぎて恥ずかしい。
「右ね。わかったよ」
大河は陸斗の右手の薬指にシルバーの指輪をはめる。そして大河はゴールドの指輪を左手の薬指に自らはめた。
そして陸斗を愛おしそうに見つめて言う。
この指輪に誓う。俺はずっとお前のそばにいるよ。変わらずお前を愛し続ける。お前が必要としてくれてる限り、お前に嫌だと拒絶されるまでは、俺は絶対に離れないから——。
二人が恋人同士になる時に、大河はそう言って陸斗を抱き締めた。
「俺を陸斗の恋人にしてくれるの?」
大河がこの台詞を言うのはもう何度目だろう。
「大河、しつこいな。さっきからいいって言ってるだろ」
「『いい』って何? 要らないの意味? それとも俺を受け入れてくれるって意味?」
わかってるくせに確認するな。
「俺も大河が好き。大河の恋人になりたい。何回も言わすなよっ。これ以上は恥ずかしくて言いたくないっ」
大河にいいように乗せられて「好きだ」「恋人にして欲しい」を散々連呼させられて、陸斗は羞恥の限界だ。
「可愛い、陸斗、大好き。もう絶対にこのまま離さないっ!」
大河は陸斗を身動き取れないくらいに強く抱き締めてきた。
「何言ってんだよ、どうせすぐに離れるだろ。ずっとくっついたままじゃ、メシも食えないだろうが!」
「俺はメシくらいこのままでも食えるけど、そう言う意味じゃねぇよ」
あ、大河は食えんの? こんなに抱き合ってままで? バカだなお前。
「絶対に陸斗と別れないって意味だよ。……まぁ、陸斗が俺と別れたいって言ったらそれは諦めるけどさ。俺から言うなんてありえない。命を懸けて誓ってもいい」
大河はそれから本当に離してくれない。
さすがに苦しくなって陸斗から「いい加減にしろっ」と言ったら「お前がそう言うなら、離れるよ」とやっと解放してくれた。
「そうだ陸斗。これ、貰って」
大河は急にポケットから何かを取り出した。
——指輪だ。
同じデザインの、ゴールドとシルバーの色違いの指輪。
「わざと金と銀にした。男同士で同じ指輪は恥ずかしいだろ? 陸斗、どっちがいい?」
陸斗と大河の指のサイズは同じだ。以前アクセサリー屋で測った時に「同じじゃん」と大河と笑い合った事がある。
「いきなり指輪かよ……」
今どき告白する時に指輪を用意する奴なんていないだろ。
「えっ? ごめん! 引いた? 引くか。引くよな……」
「違う。俺に告白して振られるかもしれないのによく買うよな……」
「なんだそっちかよ。びっくりしたな……。別にいいだろ、俺は陸斗を見える物でも縛っておきたいんだよ!」
「俺、指輪は好きじゃない」
「嘘つけ。いつもジャラジャラ付けてるだろ」
ジャラジャラは言い過ぎだ。プライベートの時に気に入ったものを一つ二つだけだ。
「俺シルバーがいい」
陸斗の持っているアクセサリーはシルバーばかりだ。ゴールドでは目立ってしまうから。
「貰ってくれるんだ」
大河はものすごく嬉しそうな顔をした。
「仕事の時は着けないからな」
陸斗と大河は同じ会社の同期で、会社ではほぼ他人のふりをしている。そして陸斗は会社では『付き合ってる人はいない』ということになっている。それなのに指輪なんてできる訳がない。
「いいぜ。陸斗の好きにしろ。お前が受け取ってくれるだけで俺は最高に幸せだから」
大河はシルバーの指輪を手に取り、陸斗の左手を引き寄せる。
「右っ! 右がいいっ!」
左手薬指なんて耐えられない。あからさま過ぎて恥ずかしい。
「右ね。わかったよ」
大河は陸斗の右手の薬指にシルバーの指輪をはめる。そして大河はゴールドの指輪を左手の薬指に自らはめた。
そして陸斗を愛おしそうに見つめて言う。
この指輪に誓う。俺はずっとお前のそばにいるよ。変わらずお前を愛し続ける。お前が必要としてくれてる限り、お前に嫌だと拒絶されるまでは、俺は絶対に離れないから——。
148
あなたにおすすめの小説
別れたいからワガママを10個言うことにした話
のらねことすていぬ
BL
<騎士×町民>
食堂で働いているエークには、アルジオという騎士の恋人がいる。かっこいい彼のことがどうしようもなく好きだけれど、アルジオは自分の前ではいつも仏頂面でつまらなそうだ。
彼のために別れることを決意する。どうせなら嫌われてしまおうと、10個の我儘を思いつくが……。
恋人がキスをしてくれなくなった話
神代天音
BL
大学1年の頃から付き合っていた恋人が、ある日キスしてくれなくなった。それまでは普通にしてくれていた。そして、性生活のぎこちなさが影響して、日常生活もなんだかぎくしゃく。理由は怖くて尋ねられない。いい加減耐えかねて、別れ話を持ちかけてみると……?
〈注意〉神代の完全なる趣味で「身体改造(筋肉ではない)」「スプリットタン」が出てきます。自己責任でお読みください。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
夫には好きな相手がいるようです。愛されない僕は針と糸で未来を縫い直します。
伊織
BL
裕福な呉服屋の三男・桐生千尋(きりゅう ちひろ)は、行商人の家の次男・相馬誠一(そうま せいいち)と結婚した。
子どもの頃に憧れていた相手との結婚だったけれど、誠一はほとんど笑わず、冷たい態度ばかり。
ある日、千尋は誠一宛てに届いた女性からの恋文を見つけてしまう。
――自分はただ、家からの援助目当てで選ばれただけなのか?
失望と涙の中で、千尋は気づく。
「誠一に頼らず、自分の力で生きてみたい」
針と糸を手に、幼い頃から得意だった裁縫を活かして、少しずつ自分の居場所を築き始める。
やがて町の人々に必要とされ、笑顔を取り戻していく千尋。
そんな千尋を見て、誠一の心もまた揺れ始めて――。
涙から始まる、すれ違い夫婦の再生と恋の物語。
※本作は明治時代初期~中期をイメージしていますが、BL作品としての物語性を重視し、史実とは異なる設定や表現があります。
※誤字脱字などお気づきの点があるかもしれませんが、温かい目で読んでいただければ嬉しいです。
君の恋人
risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。
伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。
もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。
不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。
邪魔にならないように自分から身を引いて別れたモトカレと数年後再会する話
ゆなな
BL
コンビニのバイトで売れない美しいミュージシャンと出会った大学生のアオイは夢を追う彼の生活を必死で支えた。その甲斐あって、彼はデビューの夢を掴んだが、眩いばかりの彼の邪魔になりたくなくて、平凡なアオイは彼から身を引いた。
Twitterに掲載していたものに加筆しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる