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3.閨の練習台
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「か、構いません……」
ラルスは決意を込めた目でアルバートを見上げる。
「最初からそのようなつもりでここに参りました。命令ではありますが、何をされるかわかっていて自分の意思で来たのです。ぼ、僕でよければお役目を果たさせていただきたいと思っています」
ラルスの言葉に、アルバートはピクッと身体を震わせた。一瞬目を見開いたが、すぐにアルバートは微笑んでラルスを抱き寄せ、つむじにキスをした。
「それでよいのだな?」
「はい」
ラルスが頷くと、アルバートはたまらないといった様子でラルスの身体をぎゅっと抱きしめる。
「では、まずは口づけを交わそう。これから私がお前にすることが嫌だと思ったら、嫌だと言え。そうしたらすぐにやめる。そこまでの行為で終わりにするから、遠慮なく言うのだぞ」
「はい、あっ……!」
返事をするかしないかの間に、唇を奪われた。
十秒ほどの長いキスで、呼吸を止めたままのラルスは苦しくなってきて唇を離そうとしたのにアルバートに手で後頭部を押さえつけられ逃れられない。
「んっ……んっ……!」
なんとか息をしようと口を開いた瞬間、アルバートの熱い舌が入り込んできてラルスの舌を捉える。
ラルスは誰かと唇を重ねたことはない。初めてのキスだ。
まさか口が、こんなに感じる場所だとは知らなかった。唇を合わせ、舌を絡ませていると自然と腰の奥がうずくことに気がついた。
いい。すごくいい。
「はっ……ぁ……っ」
必死で呼吸をしながら、アルバートを受け入れる。恥ずかしいことにキスだけで下半身が反応を示している。生まれて初めてキスがこんなに気持ちのよいものだと知った。
「どうした……? 苦しい? やめるか?」
アルバートはピタリと動きを止めてしまった。それに驚いてラルスは「えっ」と声をあげたが、大前提に気がついた。
これはアルバートからラルスへの愛の表現ではない。
ラルスはフィンの身代わりで、アルバートの閨の練習台だ。アルバートは来るべき妃との婚礼に備えてこのような行為をしているに過ぎない。
「いっ、いえ、あの……あの……」
恥ずかしがっている場合ではない。きちんと感じたことをアルバートに伝えなければ、アルバートが本番のときに誤ったことを妃にしてしまう。
「とっ、とてもいいです……殿下は口づけがお上手でいらっしゃって、あの、すっかり気分がよくなってまいりました」
これは本当のことだ。アルバートのキスは優しくて繊細で、上手にラルスをとろけさせてくれる。
「ではもう少し続けてもよいか?」
「は、はい」
よかった。あと少しだけアルバートとキスしていたいと思っていたから。
「なんと可愛いんだ。フィン……だったな。フィン。続きはベッドの上でやろう」
「あっ!」
簡単にベッドの上に押し倒された。アルバートに組み敷かれた状態で、ラルスはアルバートから情熱的なキスをされる。
そのままアルバートの手がラルスのローブの裾の乱れたところから中へと侵入してきた。熱い手はラルスの足を伝い、上へと上がってくる。
(あっ、ダメっ……)
と思った。でも、嫌だと言った瞬間アルバートは行為をやめてしまう。ラルスは言葉を飲み込んで、アルバートからの愛撫に耐える。
「あっ、あっ、触り方がとてもお上手です、殿下……」
ローブの中を弄るようにしてアルバートの手が這うたびに、ラルスは身をよじらせる。
アルバートの愛撫は柔らかくて、少しくすぐったくて、気持ちがいい。
恥ずかしいが、よいことはよいとアルバートに伝えねばならない。
「服を脱がしてもよいか?」
すっかり乱れたローブをアルバートの手で取り払われる。下着を履いていなかったラルスは全裸だ。身につけているものは銀のペンダントだけで身を隠すものは何もない。
アルバートはラルスのペンダントに甘い口づけをしたあと、ラルスの下半身に手を伸ばしてきた。直接的なところに触れられ、ラルスはビクビクと身体をわななかせる。
キスと愛撫だけではっきり反応を示していたところを熱心に上下に扱かれてラルスは一気に高みへと連れていかれる。
「ま、待ってください……」
ラルスは思わず声を上げる。
「どうした?」
「あのっ……殿下も、殿下も一緒に気持ちよくなってほしいです……」
おこがましいことを言っているという自覚はある。でも、さっきからラルスばかりが気持ちよくさせられてばかりだ。
「私は可愛いお前の姿を見ているだけで十分に楽しませてもらっているが」
アルバートは優しい。だがオメガとはいえ同じ男としてそれだけでは身体の熱は収まらないことをラルスは知っている。
「殿下。僕にも、さ、させてください。殿下にも気持ちよくなってほしいのです……」
偉そうにものを申すなと怒鳴られるかと思ったが、アルバートは怒るどころか「嬉しいぞ」と言ってラルスの唇にキスをした。
「では、ここを開いてもいいか?」
アルバートの指はラルスの後孔に触れてきた。オメガの蕾は入り口に触れられただけでヒクヒクとうごめいた。
そこにアルバートを受け入れたら、一緒に気持ちよくなってくれるのだろうか。
「あ……っ」
アルバートの指が試すように何度もそこに出入りする。それだけでオメガの身体が何かを期待して震えた。
「挿れるぞ」
焦らすように丁寧に入り口を散々ほぐされたあと、足を大きく開かされる。指とは比べものにならない大きなものがラルスの蕾をこじ開けて中を埋め尽くしていく。
「う、あ……!」
アルバートの凶器のような屹立で、中をみちみちにされる。内壁が押されてそのたびに下半身がピクピクと小刻みに震え、今まで感じたことのないくらいの強い快感がラルスを襲う。
「はっ、はぁっ……あぁぁん……っ」
アルバートがゆっくり動くだけでラルスの身体は十分すぎるほど感じている。
よすぎて、思わず「嫌ぁ、もうダメぇ」と叫びそうになってなけなしの理性がそれを制した。そんなことを言ってはいけない。アルバートには感じたままのことを伝えなくては。
「いい……すごく、気持ちいいです……もっと、もっと突いて……」
このままアルバートに激しくされたかった。身体が壊れてしまってもいい、快楽に溺れてしまいたかった。
「いいんだな? 奥まで突くぞ」
「うぁっ……! あっ、ああぁ……っ!」
アルバートに最奥まで穿たれ、身体が引き裂かれるかと思うくらい、ズンと衝撃を感じた。それと同時に甘い快感が腹の奥から迫り上がってきて、ラルスは絶頂に達し、耐えきれずに白濁を吐き散らした。
それでも行為は終わらない。
「い、いいっ……そこ、こすられると頭おかしくなっちゃ……っ」
アルバートが腰を打ちつけるたびに全身を揺さぶられ、オメガのいいところをこすられ、ラルスは感じることしかできなくなっていく。気がついたら自分から足を開いて、淫らに腰を振っていた。
「殿下っ、殿下っ」
ラルスはアルバートから与えられる快楽に身を委ね、思うがままに享受した。
ラルスは決意を込めた目でアルバートを見上げる。
「最初からそのようなつもりでここに参りました。命令ではありますが、何をされるかわかっていて自分の意思で来たのです。ぼ、僕でよければお役目を果たさせていただきたいと思っています」
ラルスの言葉に、アルバートはピクッと身体を震わせた。一瞬目を見開いたが、すぐにアルバートは微笑んでラルスを抱き寄せ、つむじにキスをした。
「それでよいのだな?」
「はい」
ラルスが頷くと、アルバートはたまらないといった様子でラルスの身体をぎゅっと抱きしめる。
「では、まずは口づけを交わそう。これから私がお前にすることが嫌だと思ったら、嫌だと言え。そうしたらすぐにやめる。そこまでの行為で終わりにするから、遠慮なく言うのだぞ」
「はい、あっ……!」
返事をするかしないかの間に、唇を奪われた。
十秒ほどの長いキスで、呼吸を止めたままのラルスは苦しくなってきて唇を離そうとしたのにアルバートに手で後頭部を押さえつけられ逃れられない。
「んっ……んっ……!」
なんとか息をしようと口を開いた瞬間、アルバートの熱い舌が入り込んできてラルスの舌を捉える。
ラルスは誰かと唇を重ねたことはない。初めてのキスだ。
まさか口が、こんなに感じる場所だとは知らなかった。唇を合わせ、舌を絡ませていると自然と腰の奥がうずくことに気がついた。
いい。すごくいい。
「はっ……ぁ……っ」
必死で呼吸をしながら、アルバートを受け入れる。恥ずかしいことにキスだけで下半身が反応を示している。生まれて初めてキスがこんなに気持ちのよいものだと知った。
「どうした……? 苦しい? やめるか?」
アルバートはピタリと動きを止めてしまった。それに驚いてラルスは「えっ」と声をあげたが、大前提に気がついた。
これはアルバートからラルスへの愛の表現ではない。
ラルスはフィンの身代わりで、アルバートの閨の練習台だ。アルバートは来るべき妃との婚礼に備えてこのような行為をしているに過ぎない。
「いっ、いえ、あの……あの……」
恥ずかしがっている場合ではない。きちんと感じたことをアルバートに伝えなければ、アルバートが本番のときに誤ったことを妃にしてしまう。
「とっ、とてもいいです……殿下は口づけがお上手でいらっしゃって、あの、すっかり気分がよくなってまいりました」
これは本当のことだ。アルバートのキスは優しくて繊細で、上手にラルスをとろけさせてくれる。
「ではもう少し続けてもよいか?」
「は、はい」
よかった。あと少しだけアルバートとキスしていたいと思っていたから。
「なんと可愛いんだ。フィン……だったな。フィン。続きはベッドの上でやろう」
「あっ!」
簡単にベッドの上に押し倒された。アルバートに組み敷かれた状態で、ラルスはアルバートから情熱的なキスをされる。
そのままアルバートの手がラルスのローブの裾の乱れたところから中へと侵入してきた。熱い手はラルスの足を伝い、上へと上がってくる。
(あっ、ダメっ……)
と思った。でも、嫌だと言った瞬間アルバートは行為をやめてしまう。ラルスは言葉を飲み込んで、アルバートからの愛撫に耐える。
「あっ、あっ、触り方がとてもお上手です、殿下……」
ローブの中を弄るようにしてアルバートの手が這うたびに、ラルスは身をよじらせる。
アルバートの愛撫は柔らかくて、少しくすぐったくて、気持ちがいい。
恥ずかしいが、よいことはよいとアルバートに伝えねばならない。
「服を脱がしてもよいか?」
すっかり乱れたローブをアルバートの手で取り払われる。下着を履いていなかったラルスは全裸だ。身につけているものは銀のペンダントだけで身を隠すものは何もない。
アルバートはラルスのペンダントに甘い口づけをしたあと、ラルスの下半身に手を伸ばしてきた。直接的なところに触れられ、ラルスはビクビクと身体をわななかせる。
キスと愛撫だけではっきり反応を示していたところを熱心に上下に扱かれてラルスは一気に高みへと連れていかれる。
「ま、待ってください……」
ラルスは思わず声を上げる。
「どうした?」
「あのっ……殿下も、殿下も一緒に気持ちよくなってほしいです……」
おこがましいことを言っているという自覚はある。でも、さっきからラルスばかりが気持ちよくさせられてばかりだ。
「私は可愛いお前の姿を見ているだけで十分に楽しませてもらっているが」
アルバートは優しい。だがオメガとはいえ同じ男としてそれだけでは身体の熱は収まらないことをラルスは知っている。
「殿下。僕にも、さ、させてください。殿下にも気持ちよくなってほしいのです……」
偉そうにものを申すなと怒鳴られるかと思ったが、アルバートは怒るどころか「嬉しいぞ」と言ってラルスの唇にキスをした。
「では、ここを開いてもいいか?」
アルバートの指はラルスの後孔に触れてきた。オメガの蕾は入り口に触れられただけでヒクヒクとうごめいた。
そこにアルバートを受け入れたら、一緒に気持ちよくなってくれるのだろうか。
「あ……っ」
アルバートの指が試すように何度もそこに出入りする。それだけでオメガの身体が何かを期待して震えた。
「挿れるぞ」
焦らすように丁寧に入り口を散々ほぐされたあと、足を大きく開かされる。指とは比べものにならない大きなものがラルスの蕾をこじ開けて中を埋め尽くしていく。
「う、あ……!」
アルバートの凶器のような屹立で、中をみちみちにされる。内壁が押されてそのたびに下半身がピクピクと小刻みに震え、今まで感じたことのないくらいの強い快感がラルスを襲う。
「はっ、はぁっ……あぁぁん……っ」
アルバートがゆっくり動くだけでラルスの身体は十分すぎるほど感じている。
よすぎて、思わず「嫌ぁ、もうダメぇ」と叫びそうになってなけなしの理性がそれを制した。そんなことを言ってはいけない。アルバートには感じたままのことを伝えなくては。
「いい……すごく、気持ちいいです……もっと、もっと突いて……」
このままアルバートに激しくされたかった。身体が壊れてしまってもいい、快楽に溺れてしまいたかった。
「いいんだな? 奥まで突くぞ」
「うぁっ……! あっ、ああぁ……っ!」
アルバートに最奥まで穿たれ、身体が引き裂かれるかと思うくらい、ズンと衝撃を感じた。それと同時に甘い快感が腹の奥から迫り上がってきて、ラルスは絶頂に達し、耐えきれずに白濁を吐き散らした。
それでも行為は終わらない。
「い、いいっ……そこ、こすられると頭おかしくなっちゃ……っ」
アルバートが腰を打ちつけるたびに全身を揺さぶられ、オメガのいいところをこすられ、ラルスは感じることしかできなくなっていく。気がついたら自分から足を開いて、淫らに腰を振っていた。
「殿下っ、殿下っ」
ラルスはアルバートから与えられる快楽に身を委ね、思うがままに享受した。
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