好きだから傍に居たい

麻沙綺

文字の大きさ
25 / 183

幸せの時間…亜耶

しおりを挟む


「顔合わせもすんだし、御披露目パーティーの予定もついた。詳しい話しは、後日でいいですか?」
 突然慌てて遥さんが言い出した。
 ん?
 何か、あったっけ?
「何、そんなに慌てて……。あっ、そういう事か。」
 お兄ちゃんが、時計を見てから私を見る。
 ん?
 どうかしたの?
「今日は、未だ大丈夫そうだけど、早めに切り上げた方がいいか……。」
 お兄ちゃんまで、遥さんの言葉に同意する。
 何の事?
「詳しい事は、こっちで決めておくから……。遥くん。亜耶の事宜しく。」
 お父さんまでもが、頷いてるし……。
 一体なんなの?
「はい。じゃあ、俺達はこれで失礼します。」
 訳のわからないまま、遥さんに手を引かれる。
 鞄は、遥さんが持ってくれてるけど……。
 ちょ……一体なんだって言うのだろう。
「ほら……。」
 珍しく催促する遥さん。
「お先に失礼します。」
 振り返り、そう言うのがやっとだった。



「よかったんですか?」
 部屋を出て、隣で歩く遥さんを見る。
 何時もよりも早足になってる。
「ん、いいんだ。両親と姉さんに亜耶を会わせておきたかっただけだから……。」
 って、笑顔で答える。
 本当によかったのかなぁ?
 当事者の私達が途中で抜けてしまって……。
 何て思いながら、来た道を戻ってるんだけど、どうも足に力が入らなくなってきて、なんだか眠くなってきた。
「はるかさ……ん」
 私が、声をかけると遥さんが私を見て、慌て出した。
「ちょ……亜耶。もう少しで車に着くから、我慢してくれ……」
 遥さんが、私を支えるようにして歩く。
「ん。……がんばる」
 私は、遥さんに抱きつくようにして歩く。
 端から見れば、熱々カップルなんだろうけど、ただ私が眠くなって、くっついてるだけって……ね。遥さんには、申し訳ない気持ちで一杯になる。
 何とか車に辿り着き、助手席を開けてくれた遥さん。
「ほら、乗って……。」
 私は、助手席に座り込む。
 遥さんが持っていた私の鞄を足元の置くと、ドアを閉め運転席に乗り込む。そして、私のシートベルトをする。
 その様子をボーと見ていた。

「亜耶、お疲れ様。もう、寝ていいよ。」
 遥さんの優しく労りのある声と頭を撫でられ、誘導されるように、眠りについた。




 翌朝。
 目を覚ませばベッドの上で、横には遥さんが気持ち良さそうに眠っている。
 えっと、昨日の顔合わせが終わった後の事、何も覚えてない。
 ここに運んでくれたのは、遥さんしかいないだろうけど……。

 またやっちゃったんだ。
 って思った。


 遥さんを起こさないようにベッドから抜け出し、シャワーを浴びるために着替えを持って脱衣所に移動した。

 はぁー、何時になったら治るんだろう。
 シャワーを浴びながら、反省し後悔してる自分が居る。
 やだなぁ、遥さんに迷惑掛けたくないのに……。
 こればかりは、仕方ないのかなぁ。
 考えても埒の明かない問題。
 気持ちを切り替えるしかないか……。
 私は、髪と身体を洗い上がった。


 髪をある程度乾かしてから、後ろに束ねて朝食とお弁当を馴れないながら、作っていった。


「おはよう、亜耶。」
 そう言って、背後から抱きついてくる遥さん。
「おはようございます、遥さん。」
 私は、首だけを回して遥さんを見る。
 ピョコンと前髪が跳ねてて、遥さんが動くとそれに合わせるように髪が揺らぐ。
 可愛い。
 私は、寝癖になっているその髪に手で触れる。
「どうした?」
 不思議そうな顔をして私を見る。
「髪、跳ねてるよ。」
 私の言葉に遥さんは。
「そう。後で直すから、いいよ。今は、こうしていたい。」
 朝から抱き締められるのは、嬉しいけど。
「朝御飯食べよう。遅刻しちゃうよ。」
 私の言葉を聞くと。
「ん、そうだな。」
 って、遥さんも手伝ってくれて、準備が整う。
「「頂きます。」」
 二人で手を合わせて、合唱する。
 なんかいいな。
 幸せだって、感じれる時間。
 この感じが、何時までも続くといいんだけど……。
「亜耶。日が経つに連れて、料理の腕上がっていくな。旨いよ。」
 って、遥さんが美味しそうに食べている姿が、私にとっての励みだったりする。
「ありがとう。もっと、頑張るからね」
 遥さんにもっと "美味しい" って言ってもらえるよにね。
「頑張りすぎるなよ。もっと、力抜きな。亜耶の本業は、学業だからな。」
 遥さんの気遣いの言葉が、嬉しい。
「うん。」
「出来ないことは、出来ないでいいんだよ。ゆっくり出来るようになればいいんだからな。」
 遥さんが、私の頭にポンって手を置き、笑顔を見せてくれる。
 その言葉にゆっくりと頷いた。


 その後も楽しく朝食を食べた。



「遥さん、これ。」
 私は、おずおずとお弁当の入った袋を差し出す。
「お、ありがとう。亜耶。」
 遥さんが、嬉しそうな顔で受け取ってくれた。
 ムギュって抱き締めてきて。
「俺、先に行くな。亜耶も、遅刻しないように。」
 遥さんの優しい声が降ってくる。
「うん。気を付けてね。」
「あぁ、行ってくる。亜耶も気を付けるんだよ。」
 遥さんが、玄関を出て行く。


 さて、私も行くかな。

 自分の部屋に鞄を取りに行き、戸締まりとガス栓を確認して、玄関を出たのだった。









しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる

鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳―― それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。 公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。 だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、 王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。 政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。 紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが―― 魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、 まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。 「……私が女王? 冗談じゃないわ」 回避策として動いたはずが、 誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。 しかも彼は、 幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた―― 年を取らぬ姿のままで。 永遠に老いない少女と、 彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。 王妃になどなる気はない。 けれど、逃げ続けることももうできない。 これは、 歴史の影に生きてきた少女が、 はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。 ざまぁも陰謀も押し付けない。 それでも―― この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ

月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていたユウトとの恋は、彼のインスタ投稿によって一方的に終わりを告げた。 泣くのも違う。怒るのも違う。 ただ静かに消えよう。 そう決意してトーク履歴を消そうとした瞬間、指が滑った。 画面に表示されたのは、間の抜けたクマのスタンプ。 相手に気付かれた? 見られた? 「未練ある」って思われる!? 恐怖でブロックボタンを連打した夜。 カモメのフンより、失恋より、最後の誤爆が一番のトラウマになった女子大生の叫び。

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね! ※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル

【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします

恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。 王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい? つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!? そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。 報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。 王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。 2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……) ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します

桜桃-サクランボ-
恋愛
人身御供(ひとみごくう)は、人間を神への生贄とすること。 天魔神社の跡取り巫女の私、天魔華鈴(てんまかりん)は、今年の人身御供の生贄に選ばれた。 昔から続く儀式を、どうせ、いない神に対して行う。 私で最後、そうなるだろう。 親戚達も信じていない、神のために、私は命をささげる。 人身御供と言う口実で、厄介払いをされる。そのために。 親に捨てられ、親戚に捨てられて。 もう、誰も私を求めてはいない。 そう思っていたのに――…… 『ぬし、一つ、我の願いを叶えてはくれぬか?』 『え、九尾の狐の、願い?』 『そうだ。ぬし、我の嫁となれ』 もう、全てを諦めた私目の前に現れたのは、顔を黒く、四角い布で顔を隠した、一人の九尾の狐でした。 ※カクヨム・なろうでも公開中! ※表紙、挿絵:あニキさん

【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。

美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯? 

恋が温まるまで

yuzu
恋愛
 失恋を引きずる32歳OLの美亜。 営業課のイケメン田上の別れ話をうっかり立ち聞きしてしまう。 自分とは人種が違うからと、避けようとする美亜に田上は好意を寄せて……。

処理中です...