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本の一時の時間…遥
しおりを挟むデザートも食べ終わった事だし、時計を見れば午後10時を少しだけ回った所だ。時間的にも亜耶が持たないかと思い。
「顔合わせもすんだし、御披露目パーティーの予定もついた。詳しい話しは、後日でいいですか?」
俺は、亜耶の両親と雅斗に目を向けてそう言った。
うちの両親と姉、雅斗の嫁がキョトンとした顔をする。
知らないから仕方ないのだが。
「何、そんなに慌てて……。あっ、そういう事か。」
雅斗が時計を見て思い至ったのか、そう口にし亜耶の両親も気付いた。
まぁ亜耶自信は、未だ気付いていないみたいだが……な。
俺の慌てようにキョトンとした顔をして見ているのだから……。
「今日は、未だ大丈夫そうだけど、早めに切り上げた方がいいか……。」
雅斗は、一瞬だけ亜耶に目を向けて、そう言う。
お義父さんも頷き。
「詳しい事は、こっちで決めておくから……。遥くん、亜耶の事宜しくな。」
そう言って、目で行きなさいと言っている。
「はい。じゃあ、俺達はこれで失礼します。亜耶、行くよ。」
俺は、亜耶の鞄を肩に担ぎ、亜耶の腕を捕り立ち上がらせた。
亜耶が、戸惑いながら俺を見上げてきた。
「ほら……。」
今は、気が張ってるから眠気はないんだろうけど、時間的には何時落ちてもおかしくないんだ。
俺は、なかば強引に引っ張る。
「お先に失礼します。」
亜耶が、振り返り挨拶する。
うちの両親と姉、それから雅斗の嫁が唖然としてる。
うん、そのうち話せばいいか……。
今は、早く帰って寝かせないと……。
「よかったんですか?」
亜耶が心配そうに聞いてきた。
っていうか、未だ大丈夫なのか?
「ん、いいんだ。両親と姉さんに亜耶を会わせておきたかっただけだから……。」
とにかく、車まで無事に着けば後は、寝てても俺が運べばいいだけだ(亜耶は、人前でお姫様抱っこを嫌うからな)。
そう思いながら、足早に来た道を戻って行くが。
「はるかさ……ん」
不意に亜耶が呼ぶから、俺は亜耶の顔を覗き込んだ。
やばい。
亜耶の目が、トロンとなってて今にも眠りそうだ。
「ちょ、亜耶。もう少しで車に着くから、我慢してくれ……」
俺は、亜耶にそう声をかけて腰に腕を回す。
亜耶は、亜耶で俺の体に腕を回してきた。
これ、無意識だろうが……、俺としては嬉しい限りだ。
「ん……頑張る」
これ、何かの拷問ですか?
俺は、可愛くて仕方の無い奥さんをしっかりと抱き込みながら、車に急いだ。
どうにか支えて車に辿り着くと助手席のドアを開けて。
「ほら、乗って……。」
亜耶を座らせ、鞄を足元に置きドアを閉めた。
運転席側に回り乗り込むと、亜耶のシートベルトをする。
「亜耶、お疲れ様。もう寝ていいよ。」
俺は、亜耶の頭を撫でながらそう言うと、ゆっくりと瞼を閉じて眠りについた。
ハァー。
ギリギリだったな。
今日一日緊張しっぱなしだったからな。
ゆっくり寝て欲しい。
俺は、車をゆっくりと発進させた。
マンションの駐車場に車を入れて、エンジンを切る。
車を降りると助手席に回り込み、亜耶の鞄を肩に掛けて、お姫様抱っこをしてドアを閉めた。
よく眠ってる。
キーレスで車をロックするとゆっくりと足を進めて、部屋に戻った。
靴を脱がし、寝室に入るとベッドに寝かせた。
本当は、制服を脱がして着替えさせた方がいいんだろうが、やっぱり、年頃の女の子の服を脱がすのは気が引けてそのまま寝かせた。
俺は、寝室を後にしてリビングに足を向けた。
ソファーに座り、ネクタイを緩めた。
暗がりの中、今日の事を思い出し、明日、亜耶に何かあったらその時は、自分が盾になる覚悟をした。あの三人は、必ず亜耶に何か仕掛けてくるだろうと、そう思えたから。
それから、シャワーだけ浴びて亜耶の眠るベッドに潜り込んだ。
翌朝。
あるはずの温もりを手で探し、見つからずに慌てて目が覚めた。
もう、朝か……。
俺は、欠伸をしながら寝室を出た。
何やら、美味しそうな匂いがキッチンからしてくる。
俺は、それに釣られて足を向ける。最初は不馴れで、色んな物を焦がして、失敗して落ち込んでたけど……。
そこには、亜耶の手作りの朝食が並んでいた。
「おはよう、亜耶。」
俺は、そっと背後から亜耶を抱き締めた。
俺の声に首だけをこちらに向けて。
「おはようございます、遥さん。」
挨拶を返してくれた。
そして、ゆっくりと俺の頭に手を伸ばしてくる。
「どうした?」
不思議に思って聞けば。
「髪、跳ねてるよ。」
って、クスクス笑いながら言う。
何だ髪か……。
別にそれぐらいなんともない。
「そう。後で直すからいいよ。今は、こうしいたい。」
うん、俺の気力の充電をしないとな。
亜耶が、耳を赤くしながら。
「朝御飯食べよう。遅刻しちゃうよ。」
照れ隠しのように言う。
もう、本当に可愛いよ、うちの奥さんは。
「ん、そうだな。」
流石に遅刻は不味いから、俺も一緒に朝食の準備を手伝う。
席に着くと。
「「頂きます。」」
二人で手を合わせて合掌する。
俺は、一口目を食べる。
亜耶が、そんな俺をじっと見てくる。
ん、旨い。
それしか浮かばなかった。
「亜耶。日が経つに連れて、料理の腕上がっていくな。旨いよ。」
それも、俺の好みの味付けになってきてる。
俺の言葉に嬉しそうに笑ってる。
何かいいな、こういうのんびり出来る朝って。
「ありがとう。もっと、頑張るからね。」
亜耶の張り切ってる言葉に対して。
「頑張り過ぎるなよ。もっと、力抜きな。亜耶の本業は、学業だからな。」
そう俺は言葉にしていた。
亜耶の今の仕事は、勉学であって家事ではない。
少しずつ成長していけばいいんだ。
亜耶は、人に頼る事を苦手としてる。
そのくせ、人に頼まれると嫌と言えない性格だ。
だから、せめて俺の前だけでもいいから、気を抜いて頼って欲しいんだよ。
亜耶の目を見れば、うっすらと涙の膜が出来てる。
「う、うん。」
その返事を聞くと俺は、ほっとする。
ちゃんと伝えておかないと亜耶は無茶をするから、俺の言葉で言っておく。
「出来ない事は、出来ないでいいんだよ。ゆっくり出来るようになればいいんだからな。」
俺は、亜耶の頭に手を伸ばして、ポンポンと叩く。
ゆっくりでいいんだ。
その言葉に頷く亜耶。
その後、たわいのない話をしながら朝食を済ませた。
身仕度(跳ねてた髪も直した)を整えて、玄関に向かう。
「遥さん、これ……。」
亜耶が、後を追ってきて、オズオズと渡してきたのが弁当だとわかった。
えっ……。
一瞬驚いた。
まさかって……。
「おっ、ありがとう亜耶。」
準備してくれてたなんて、思ってもみなかった。
一体、何時に起きたんだよ。
俺は、亜耶を抱き寄せムギュッと自分の腕に閉じ込めた。
あぁ、もう…嬉しすぎるだろ。
「俺、先に行くな。亜耶も遅刻しないようにな。」
「うん。気を付けてね。」
「あぁ、行ってくるよ。亜耶も気を付けるんだよ。」
名残惜しいけど俺はそう言って、亜耶から離れると玄関を出た。
本当は、心配だから一緒に登校したい。
それを無理矢理押し込めて、車に乗った。
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