29 / 183
厄介事①…雅斗
しおりを挟む「雅斗、おはよう。」
突然、俺の所に来た親父。
「おはようございます。で、朝からどうしたんですか?」
親父が、浮かない顔をしてるから、何かあったのかと心配になって聞いてみた。
「さっき、遥くんから電話があってな、亜耶と遥くんのご家族との顔合わせして無かったのと、学校に婚姻の報告するの忘れてたんだよ。」
親父の言葉に、俺も誰にも言わなかった事を思い出した。
「俺から、遥の実家に連絡しましょうか?」
俺が聞けば。
「遥くんのお姉さんから、電話が来ると思うからその時は、頼む。僕は、今日一日外回りだから。」
と親父が言う。
そういや、ここに居るの珍しいもんな。
「わかりました。時間とか決まりましたら、メール入れておきます。」
「ああ、頼むな。」
親父は、それだけ言うと部屋を出て行った。
あの姉さんと話すのか……。
まぁ、仕方ないか……。
こっちの落ち度だしな。
『副社長、一番に高橋カンパニー様からお電話が入ってます。』
と、内線が入る。
俺は直ぐに受話器を取り対応する。
「お待たせしました、鞠山雅斗です。」
『久し振りね、雅斗くん。で、早速本題に入るけど、遥が雅斗くんの妹の亜耶ちゃんと婚姻したって、本当?』
本当、この人直球しか投げてこないなぁ。
「本当です。こちらの都合で、婚約発表も無しで、亜耶の誕生日に婚姻届けを出してしまったこと、お詫びします。すみませんでした。」
俺は、つい頭を下げてしまった。
『そう、本当なのね。前から遥には聞いてたのだけどね。で、顔合わせはどうする?』
直球だけど、直ぐに受け入れてくれるこの人が、俺は好きですがね。
「うちの父は、今日しか空いてないんですが、そちらの都合は?」
俺の言葉に。
『うちは、両親と私だけ出席するわ。弟たちもとなると、騒がしいだけになってしまうからね。それと、この間の事のお詫びも兼ねて、うちの三ツ星ホテルで十九時でどう?』
多香子さんが、提案してくれた。
お詫びって、あの件(何処ぞの令嬢が、突撃してきた)だよな。
「わかりました。それでは、後程。」
俺は、それだけ言って電話をきって、親父と遥、由華にメールした。
待ち合わせの場所のホテルのロビーに俺は来ていた。
十九時十分前には、両親と由華が到着した。
が、当事者達が、まだ来ない。
時間厳守のアイツが、遅れるなんてあり得ないんだが……。
「雅斗くん。」
背後から声をかけられて、振り返れば、多香子さんとご両親が居た。
「お久し振りです。おじさん、おばさん。」
俺は、そう声をかけた。
「久し振りだな。元気そうで何よりだ。」
ニコヤカな笑顔で挨拶された。
「ご無沙汰してます、孝幸さん。」
おばさんが、言う。
「本当に。今回は、こちらの不手際で申し訳ないと思ってます。」
母さんが、頭を下げた。
「いえいえ、前々から遥からは聞いてたので、その点は大丈夫です。大切な娘さんを遥がもらったと聞いた時は、ビックリしましたけどね。亜耶ちゃんが、遥で良いかだけですから。」
おじさんが、真顔で言う。
両親が、互いに挨拶してる時に俺の携帯が鳴った。
「ちょっと、失礼します。」
俺は、一言断って、その場から離れた。
「もしもし。」
俺が出れば。
『お兄ちゃん? ごめん。学校を出る時にトラブって、少し遅れそう。』
亜耶が、申し訳なさそうな声で言ってきた。
学校を……って、あぁ、今日からだったか……。
って事は、遥が生徒に絡まれたのか……。
「そうか。まぁ、遅れるのは仕方ないが、安全運転で来いよって、遥に伝えてくれ。」
『……うん、わかった。そう伝えておく。じゃあ、また後で。』
それだけ言って、電話が切れた。
俺は、元の場所に戻って。
「亜耶たち、遅れるって。」
そう両親達に伝えれば。
「そうか。先に場所を移動してますか。」
そう言って、エレベーターホールに向かうなか、由華と多香子さんが楽しそうに話してる。
まぁ、この二人は直ぐ仲良くなると思ってた。
「雅斗。遅れる理由は聞いたか?」
親父が小声で聞いてきた。
「なんか、トラブルがあって出るのが遅くなったって言ってた。」
亜耶が伝えてきた言葉をそのまま伝えた。
「なるほどな。彼なら仕方ない事なのかもな。」
親父が納得気に頷いていた。
展望レストランの窓側の個室を貸切りにしていた。
夜景が綺麗な場所だ。
流石、多香子さんだ。
「料理は、二人が来てからで、先に飲みましょう。」
おばさんがそう言うとそれぞれに飲み物が注がれる。
俺は、車出来ているから断った。
うちの親と遥の親は、昔から仲が良いんだよな。
高校、大学での先輩・後輩だとか言ってたっけ……。
その事は、亜耶は知らないんだよな。
うちの親は、ずっと隠したがってたし……。
それに、遥がこの事知らないみたいだし、な。
「そろそろ着くと思うので、迎えに行ってきます。」
俺は、それだけ告げて席を立った。
エレベーターに乗り込み一階に着くと何だか、変な空気が漂ってきた。
そんな中に俺は、入って行く。
「遥、亜耶。遅いぞ。」
と声をかける。
二人の後ろに見知らぬ男が立ってはいたが、無視に限るな。
「雅斗……。」
遥の顔が、来てくれて助かったって顔をしてる。
あぁ、また何か言われたんだろう。
しかも、亜耶まで巻き込んでか……。
さっきから後ろの男が、亜耶の事を訝しげに見てるし、俺が現れた途端、驚愕している。
こいつ、俺と遥が繋がってるって事知らなかったんだろうな。それに亜耶の事もな。
まぁ、社交界デビューを未だしてない亜耶が、何処の令嬢かわかってないって事だよな。
「悪いな。学校を出ようとしたら、生徒に捕まってな。」
遥が、遅れた理由を言い出す。
まぁ、予想出来た事だし、それはいいんだ。
「そうか。今日からだったか。教師の仕事。まぁ、仕方ないか。亜耶との事で何かあったんだろう。気にするな。」
亜耶の事も関係してるだろうな。
しかし、後ろの男、さっきから落ち着かないのか、そわそわし過ぎじゃないのか?
遥に対してか?
イヤ、亜耶に対して何か言ったんだろうな。
仕方がない、俺から仕掛けるか。
「……で、さっきから顔を青くしている後ろの方は?」
俺は、目線だけを向ける。
これ、他の人には怖いって言われてるんだよなぁ。
まぁ、真顔で、射ぬく様に見れば仕方ないか……。
「あぁ、うちの系列で働いてる、多田専務。」
遥が、面倒臭そうに言い出す。
そうたいした相手ではないって事か……。
「そう。お初にお目にかかります、鞠山雅斗と申します。以後お見知りおきを。」
俺は、そう言って軽く頭を下げた。
俺は、業と会社名を伏せた。
何故かって、それは今はプライベートの時間だし、会社の事で此所に居るわけではないから……。
「ここの系列の専務をしてます、多田泰彦と申します。こちらこそ宜しくお願いします。」
似非笑いを浮かべて、挨拶されてもな。
俺は、もう関わりたくない人だ。
俺は、そいつの存在を消して亜耶に。
「亜耶。今日一日、大変だったんじゃないか?」
と話しを振った。
案の定奴が食らい付いた(細い目を見開いて)。
「うん。遥さん、凄くモテるんだもん。それに、お兄ちゃんが言ってたブラックな遥さん、始めて見たよ。」
亜耶が、普通に俺に言葉を返してきた。とても楽しそうだ。
ほう、ブラック遥が降臨したか。
亜耶の前では、絶対見せない姿を見せたとは、これは揶揄う要素が増えたな。
楽しくなりそうだ。
「おにい…ちゃん」
ポツリと声が聞こえる。
亜耶とは違う野太い声。
そっちに目をやれば、さっきの不愉快な男が呟いた声だった。
何だ、まだ居たのか。
仕方ねえなぁ。
「えぇ。亜耶は、私の実妹ですが、どうかしましたか。」
俺は、睨み付けながらそう言葉を放つ。
その言葉に顔面蒼白になっていく。
「いいえ、別に……。」
何か、やましい事でも言ったのか?
俺は、ふと考えた。
遥が、亜耶を妻として紹介したのなら、降りた時の空気に納得がいく。
って事は、俺が言えば丸く納まるのか。
なら、俺が取る行動は一つだな。
「あぁ。亜耶が、遥の妻ってことに納得がいってないんですね。亜耶は、高校生ですからね。年齢で釣り合いが取れてないって思ったんですね。ですが、当人同士も好きあっていますし、何より鞠山財閥の元会長が認めたとなれば、話は別でしょう。それに、この二人は約九年間、婚約者でしたからね。頃合いだと思いますが。」
俺の口から、するすると言葉が出てくる。
これだけ言えば、遥の事諦めるだろう。
「それより、二人とも、皆が待ってるから行くぞ。」
俺は、踵を返して、エレベーターのボタンを押す。
辛うじて止まっていたそれに乗り込んだ。
「多田さんは、乗らないのですか?」
遥が、冷静に奴に言葉を投げ掛けた。
「いえ、私は他に用を思い出しましたので、これで失礼します。」
多田さんが、慌てて逃げていった。
何だ?
まぁいいか。
俺が、気にもせずにボタンを押して扉を閉めた。
0
あなたにおすすめの小説
永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる
鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳――
それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。
公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。
だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、
王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。
政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。
紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが――
魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、
まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。
「……私が女王? 冗談じゃないわ」
回避策として動いたはずが、
誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。
しかも彼は、
幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた――
年を取らぬ姿のままで。
永遠に老いない少女と、
彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。
王妃になどなる気はない。
けれど、逃げ続けることももうできない。
これは、
歴史の影に生きてきた少女が、
はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。
ざまぁも陰謀も押し付けない。
それでも――
この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。
【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ
月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていたユウトとの恋は、彼のインスタ投稿によって一方的に終わりを告げた。
泣くのも違う。怒るのも違う。
ただ静かに消えよう。
そう決意してトーク履歴を消そうとした瞬間、指が滑った。
画面に表示されたのは、間の抜けたクマのスタンプ。
相手に気付かれた? 見られた?
「未練ある」って思われる!?
恐怖でブロックボタンを連打した夜。
カモメのフンより、失恋より、最後の誤爆が一番のトラウマになった女子大生の叫び。
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね!
※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します
桜桃-サクランボ-
恋愛
人身御供(ひとみごくう)は、人間を神への生贄とすること。
天魔神社の跡取り巫女の私、天魔華鈴(てんまかりん)は、今年の人身御供の生贄に選ばれた。
昔から続く儀式を、どうせ、いない神に対して行う。
私で最後、そうなるだろう。
親戚達も信じていない、神のために、私は命をささげる。
人身御供と言う口実で、厄介払いをされる。そのために。
親に捨てられ、親戚に捨てられて。
もう、誰も私を求めてはいない。
そう思っていたのに――……
『ぬし、一つ、我の願いを叶えてはくれぬか?』
『え、九尾の狐の、願い?』
『そうだ。ぬし、我の嫁となれ』
もう、全てを諦めた私目の前に現れたのは、顔を黒く、四角い布で顔を隠した、一人の九尾の狐でした。
※カクヨム・なろうでも公開中!
※表紙、挿絵:あニキさん
【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。
美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる