好きだから傍に居たい

麻沙綺

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透の悩み事…遥

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 今日の授業は、全て終わり、職員室での雑務をしながら、旅行プランを立てていた。
 そういや、アイツ等ツインでよかったんだろうか?
 まぁ、何かあれば変更できるだろうけど……。
 何て考えていたら、職員室のドアが大きな音を立てて開いた。
 残ってる先生方も少ない中のその音が、やけに煩く聞こえた。
 一斉に先生方がそちらを向く(そこに俺も含まれているが)。
 そこに居たのは、透でキョロキョロと辺りを見渡し、俺を見ると近付いてきた。
 と思ったら。
「遥さん。ちょっと相談が……。」
 と、深刻な顔をして言い出す。
 仮にもここは、職員室であってプライベートで話せる場所ではない。
 透は、それにも気付いていないようで、首を傾げてる。
「湯川。ここは、学校だ。先生と呼べよな。」
 と注意を促すが、それも素通りしてる様だが……。
 いくら、親戚関係だからって、公私を混ぜられたら、困るんだが……。先生方も俺たちのやり取りを見て怪訝そうな顔をしだしてる。
 仕方がないな。
 今日は切り上げて、こいつの相談にのってやるか……。

「廊下で待ってろ。直ぐ準備する。」
 俺の言葉に透が顔をあげる。
「わかりました。」
 透が、それだけ言って廊下に出て行った。
 アイツは、何を落ち込んでるんだよ。
「高橋先生。湯川くんには、名前で呼ばせてるんですか?」
 奈津先生が、これみよがしに聞いてきた。
 どうするっかなぁ……。
 ここで許したら、亜耶の泣き顔を見ることになるだろうな。って言うか、その前に俺が受け付けないだろうけど。
「湯川とは、親戚ですからね。名前で呼び慣れてるだけですよ」
 俺が、そう言うと疑問が生じたのか、首を傾げてる。
「理事長の娘さんと湯川が許嫁なんです。ですから、俺にとっては従妹の婚約者なので、親戚になりますよね。」
 淡々と答えて、席を立った。
「はッ? えっ…どういう、事…ですか?」
 奈津先生が、未だ困惑してる。
 って言うか、これぐらい察しろよな。プライベートなことを話すわけにはいかないし。
「そのままの意味ですよ。湯川を待たせてるので、失礼します。」
 俺はそう告げて、職員室の出入り口に向かった。


「待たせたな。」
 廊下の壁に背を預けてた立っている透に声を掛ける。
 俺の顔を見るなり。
「高橋先生、すみません。軽率なこと言って……。」
 そう頭を下げてきた透。
 反省はしてるみたいだから、今回だけは許すか。
「良いよ。ここでは話せないんだろ。場所を移すぞ。」
 俺は透を連れて、校舎を後にし、駐車場に向かった。

「ほら、乗れよ。っても、後部座席な。助手席は、亜耶専用席だから。」
 俺がそう言えば。
「そんなのわかってますよ。失礼します。」
 透は、そう言って後部席に乗り込む。
 この時間だと、カフェテリア系かなぁ……。
 頭の中で考えながら、運転席に乗り込む。亜耶も真由も夕飯の準備してるだろうし……。
 おっと、亜耶にメールしとかないと……。

  "亜耶へ
  ちょっと帰り、遅くなる。相手は、透だから、心配するな。
  終わったら、電話かメールするな。夕飯は、一緒に食べたいから、待っててな"

 俺は、それだけ打って送信した。
 すると、直ぐに返ってきて。


  "わかったよ。気を付けてね。
  後……その、遥さんの好物を作って待ってるね"

 と返ってきた。

 それは、楽しみだ。
 そうだ、遅れたお詫びに何かデザートを買っていくか。
 心でそう呟きながら、車を走らせた。



 カフェテリアの駐車場に車を止めて降りる。
 店に入れば、客は疎らで、ちらほらと空いている席があった。
 俺たちは、カウンターに行く。
「透は、何飲むんだ?」
 こいつの好きなの俺知らねえし、自分が飲みたいのを飲めば良いとメニューを指す。
「俺は、モカコーヒーのMで……。」
 透が遠慮がちに告げる。
「それと、ブレンドコーヒーを飲食で。後、このフルーツタルトとモンブランを持ち帰り用にしてください。」
 俺は、レジ横に在るディスプレイに並んでいるケーキを見て言う。
「かしこまりました。」
 店員に支払いをし。
「透。席に座ってろ。持って行くから……。」
 そう透に声をかける。
「えっ、あ、はい。」
 透は、慌てて返事をし、空いてる席に座りに行く。
 そこまで、動揺することだろうか?
「お待たせしました。モカコーヒーとブレンドコーヒー。フルーツタルトとモンブランです。ごゆっくり。」
 店員の元気な声が聞こえて、トレーに乗ったそれを受け取り、透のところに行く。

 俺が席に着くと、透が顔をあげた。
 眉間にシワを寄せて……。

「ほら……。」
 俺は、透の前にモカコーヒーを置く。
「…で、何をそんなに悩んでるんだ?」
 俺は、そう言ってコーヒーを啜る。
 早く話を終わらせて、帰りたいからなんだけど……。
「……あの、ですね。来週、真由の誕生日があるじゃないですか……。」
 あれ、真由の誕生日って来週だったけ……。
 すっかり忘れてたな。
 最近は、亜耶中心だったから……。
「それが、どうかしたのか?」
 検討はつくが、ちょっとだけ意地悪をしてみたくなった。
「今度の遊びに行く日に何か、サプライズしてやりたくて……。」
 透が、弱々しく言う。
 って言うか、遊びって?
 ちょっと待てよ。
「透。亜耶から聞いてないか? 泊まりがけになった事?」
 俺が聞けば、驚いた顔をする透。
 やっぱり聞いてなかったか。
「今度の土・日。泊まりがけの小旅行になったんだよ。亜耶は、真由に連絡してて、行き先も真由が行きたがってるところになったし……。そこで、仕掛けてるんだよ。亜耶も真由もきっと喜んでくれることをな。」
 こいつに全部話すと、筒抜けになるから詳細は教えてやらないが……。
「えっ、じゃあ……。」
 透の動揺した声に。
「うん。今日中に手配は済ませた。後は、行くだけだ。」
 俺は、澄ました顔でコーヒーを飲む。
 亜耶に喜んでもらうためなら、何でもするぞ俺は。
「後するとしたら、透が真由にプレゼントをすることと、ケーキの注文すること位じゃないか? 真由好みのケーキを宿泊するホテルに注文するのは、お前がやれよ。これ、宿泊するホテルの番号。後、注文する時に俺の名前を出して頼む事を忘れるなよ。」
 俺の名前で予約してあるからな。
 俺は、紙に走り書きをして、透に渡す。
「有難う御座います。遥さん。」
 透が深々と頭を下げてくる。
 別にお前の為にやったんじゃないんだが……。
「頭を上げろよ。それ、飲んだら送って行く。真由、心配してるだろうし……。あぁ、後、真由には当日十時に迎えに行くって、亜耶から連絡がいってると思うが、八時に○○駅に変更な。」
 俺は、さっき考えてた事を透に告げた。
「わかりました。」
 頭を上げて言う透。



 真由の誕生日か……。
 何をやろうか……。
 明日、亜耶と一緒に買いに行くかな。

 そう考えながら、コーヒーを口に含んだ。











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