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クラスメイトとの壁…亜耶
しおりを挟む今日から、遥さんと一緒に登校した(何でだかはわからないけど)。
学校内は、静かでこれから朝練をする生徒の声と姿を教室の自分の席から伺っていた。
こんなに早く来てるんだから、自分も部活に出た方がいいことはわかってるんだけど、先輩たちにどんな顔をして会えばいいのかわからなくて、今に至る。
クラスの皆の反応も怖いけど、不登校になるのは嫌だし、ちゃんと話し合いたいって思うからすくむ足でここまで来たって感じだ。
机に顔を俯せ、目を閉じた。
暫くすると、教室内がザワメキたってきた。
ゆっくりと顔を上げるが、誰一人私に声をかける人が居なくて、遠巻きでこそこそと話ながら、こちらをチラチラ見てるのが目につく。
明らかに距離をとられてる。
言いたいことがあるなら、直接言って欲しい所なんだけど……。
落ち込んでいく気持ちを顕にしないように顔を伏せる。
「亜耶! おはよう!!」
って、教室内に響き渡る元気のいい声。
バッと声がした方に顔を向ければ、梨花ちゃんが何も無かったかの様に満面な笑みで私の方に近付いてくる。その横には、彼氏でもある龍哉君がクスクス笑みを溢している。その後ろには、ユキちゃんと愛美ちゃん、田中くん、和田くんの姿もあった。
「おはよう!!」
って、そう言葉を返した。
それからは、周りの目なんて気にせずに話すことができてた。
「そうだ、龍哉くん。体育祭の抜けてしまったところのメンバー、早目に決めて欲しいって遥さんが……。」
あっ、遥さんって言っちゃった。学校ではダメだったわかってても、普段からそう言ってるから直ぐ口にしちゃう。気を付けないと……。
「あー、そうか。戸波は200だったか? 篠田はハンド、小野は……。」
龍哉くんが思い出しながら言う。
「小野さんは、障害物競争だった。」
私はそう答えた時だった。
「あり得ない!!」
って梨花ちゃんの言葉に四人が口を開けて頷いてる。
何が?
何て思いながら、首を傾げる私。
「二人とも、何で他人の出る種目を覚えてるんだ?」
和田くんが、私が疑問に思ったことを口にした。
その言葉に私と龍哉くんは顔を見合わせて。
「普通だと思うけど、何かおかしいか?」
って、キョトンとした顔で龍哉くんが答えた。
「「「「「ありえない!!」」」」」
五人の声がハモり、教室内に轟く。
「……で、どうする?」
龍哉くんは、そんな五人を放置して話を続け出した。
「う~ん。今の私では、話を聞いてくれそうにもないしなぁ……。」
何て、私も龍哉くんに習ってそう口にしたら。
「私たちの事、無視しないで。」
梨花ちゃんが、切実な声で言ってくる。
その言葉に四人も頷く。
無視してるつもりは、無いんだけど……。
「小野さんの空きのところは、私が入るよ。」
って、ユキちゃんが言ってくれた。
「えっ、いいの?」
驚いて、聞き返せば。
「うん。私、リレーだけだしね。」
って、笑顔で答えてくれた。
自分が出ようと思ってたところにユキちゃんの申し出は、ありがたかった。
「ありがとう。助かります。」
そう言って、頭を下げれば。
「頭を上げて、亜耶ちゃん。亜耶ちゃんが、人一倍頑張ってるのを見れば、手伝いたいって思うもん。」
って、真顔で言われ、照れてしまい戸惑う自分。
「あっ、俺が200で田中がハンドに出れば納まるだろ。」
と言い出したのが、和田くん。
「お前ら、いいのか?」
龍哉くんが、二人を交互に見て確認の意思をとる。
「ん? それが一番だと思うが、違うか?」
田中くんがそう言って、場を落ち着かせていく。
「ありがとう。」
龍哉くんが、二人に頭を下げる。
私は、メモ帳を取り出して、決まった事をそこに記した。
「ねぇ、相沢さんたち。こっちで話そう。」
クラスの女子が、梨花ちゃんたちを誘う。
行っちゃうのかな?
何て、胸に不安が募る。
だけど。
「エッ、別に私はあなたたちと話すことなんて無いよ。それより亜耶、高橋先生との事聞かせて。」
面倒臭そうな顔をして梨花ちゃんが、対応する。
エッ……。
「そんなの聞いても、仕方ないと思うけど。」
私が答える前にクラスの子が口にする。
「あなたに聞いてない。」
愛美ちゃんの口調が、何時もと違う。何処となしに怒ってる気がするのだが……。
「っていうか、さっきからあなたたちの態度、一体何なの? 亜耶が、あなたたちに何かした? それとも、軽蔑してるの? 嫉妬? 自分達がモテないからって、僻んでるの?」
梨花ちゃんが、彼女たちを睨み付ける。
「先生と恋愛どころか、結婚してるなんてどう考えったって、可笑しいでしょうが!」
蔑む目でみてくる。
「へぇ~。あなた自身も年上の彼が居るのにそんな発言していいんだ。」
ユキちゃんが良からぬ言葉を吐き出した。
その言葉に怯む彼女に。
「こないだ、見たんだよね。社会人の大人の男性と腕を組んで歩いてるとこを……。」
愛美ちゃんがユキちゃんの言葉を聞いて、続きを言い出す。
「それとこれとは別でしょ!!」
すると、彼女はみるみるうちに顔を真っ赤にさせて、開き直る様に言う。
「亜耶と何処が違うの? 結婚しててお互いを好きでいて今、恋愛を楽しんでるだけだと思うのだけどね。」
梨花ちゃんの言葉に周りがどよめき出す。
「だって、そうでしょ? 政略だって言ってたわりには、お互いを信頼しあって、支えてる感じするし、二人の雰囲気が甘いの気付いてないの?」
うっ、そんなに甘いかなぁ……。
「本人たちは気付いてないだけで、お互いを愛しい目で見てることに気付いてないのか? それって、普通に恋愛してると思うんだけど、俺は。」
龍哉くんが、周りを見渡して言う。
って言うか、何この爆弾発言の応酬は。
なんか、居たたまれないんだけど……。
「お前ら、何やってるんだ。席に着けよ。」
そこに、教室に入ってきたのは元凶の遥さんで。
ホッと胸を撫で下ろしながら、そうだ、これ渡さないと。
私は、メモを手にして前に行き。
「高橋先生。これ……。」
そう言って、手の物を遥さんに渡した。
遥さんがそれを見て。
「サンキュー。仕事が早いな。」
って、笑みを浮かべて言う。
「何、恋文? 俺らにも見せて」
冷やかす声が聞こえてきた。
恋文?
何の事だかわからずにいる私に。
「鞠山は席に戻れ。」
って、遥さんの声に促され、自分の席に戻る。
「お前ら、これが恋文に見えたんか?」
って、さっき渡したメモを掲げてクラスを見渡す遥さん。
私の傍に居た六人は、呆れた顔で見ている。
「違うんですか?」
そんな声に。
「違うな。」
遥さんが静かに答えた。
「じゃあ、何だって言うんですか?」
周りが詮索し出す。
「抜けたところの体育祭のメンバーが、書かれてあるだけのメモだ。お前たちが、鞠山を軽蔑してる間に、委員の仕事をしてただけだ。」
遥さんの目が、厳しく周りを見据えてる。
「お前たちは、一体今まで鞠山の何を見てきたんだ! 上部だけで判断する何て、もっての他だ。彼女自信を見ていなかったんだろう」
遥さんの言葉が一段と厳しくなった。
でも、まだ序の口だ。
言葉が、変わっていないから。
「俺は、嫁を擁護するつもりは、これっぽっちもない。ただ後悔する学校生活を送って欲しくないだけだ。折角同じクラスになった仲間なんだから、楽しい方がいいだろ。こんなことでいざこざ起こして、後でしこりになるのも嫌だろ。それに、俺はただの補充要因に過ぎない。新しい先生が決まり次第出て行く者だと思ってくれ。」
寂しげな顔でそう言葉を紡ぐ遥さん。
胸が締め付けられそうで、でも何もしてあげることができない自分がもどかしい。
「亜耶ちゃん。遥さんにメチャ愛されてるね。」
って、龍哉くんが振り向きそう言葉を呟いた。
「うん、私の大好きな人ですからね。」
って、笑顔で返せば。
「ごちそうさま。」
って返された。
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