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忘れていた…亜耶
しおりを挟む学校に行く準備を終えて、玄関を出てエレベーターで地下駐車場に降り、車に乗り込む。
運転席に遥さんが座ると。
「亜耶、悪い。今日のお昼だが、学食で買ってくれるか、俺、作り忘れた。」
遥さんが、申し訳なさそうに言い出した。
「えっ……、あっ。私もすっかり忘れてた。何処かのコンビニで買って行けば良いと思う。時間もまだあるし……。」
私がそう言うと。
「そうしたいんだが、他の目がな……。」
困ったように言う遥さん。
ん?
そっか、普段着ならまだしも、制服とスーツじゃ変な目で見られるか。それに、あんな騒動起こした後だから、余計に厳しいか……。
「じゃあ、そうする。遥さんはどうするの?」
疑問に思って問えば。
「ん? 俺は、空き時間にでも買いに行ってくるよ。」
あっけらかんと答えるけど、絶対にしない。
"別に一食食べなくても大丈夫" って前言ってたし……。
食べないつもりなんだろう。
「ごめんね。もうちょっと早く起きれたら、お弁当作れたんだけど……。」
肩を竦めて言えば。
「気にしなくていいよ。俺も、朝食作り終えた時点で満足して、お弁当に気が回らなかったのが悪いんだから。」
そう言いながら、私に頭をポンって叩く。
「目、少し腫れてるな。大丈夫か?」
私の目元を左の親指で擦り、心配そうに見てくる。
「ちょっと見にくいけど、大丈夫。」
「そう、ならよかった。……で、週末だけど、ちょっと早めに出ることになったから。透には伝えてあるから、準備だけしておいて……。」
突然話が代わって、気がつけば真由ちゃん達との旅行が近付いていた。
二年振りに会うから、ちょっと緊張している。
真由ちゃん、元々大人っぽい子だったから、自分がお子さまに見えないか心配だ。
「どうした?」
「えっ、あ、うん。お泊まりだよね。何泊するの?」
心配かけないようにそう訪ねれば。
「一泊だ。早めに出て、亜耶と真由が行きたがってた水族館に行って、ゆっくり館内を巡ってイルカショーとか見るんだろ? ……で、夜は真由の誕生日パーティーするというプランだけど、他に行きたい所とか有れば、連れて行くが……。」
淡々と告げる遥さん。
「水族館、楽しみ。それに真由ちゃんの誕生日のお祝いって、豪華ディナーなの?」
それによっては、服とか考えないとだけど……。
「ん? そこまでじゃないけど、ドレスコードはあるかもな。まぁ、現地で借りれば荷物の負担も軽減されるからな。」
確かに向こうで借りれば、荷物も減るけど……それより、予約してあることに驚きだよ。
「不安そうな顔をしてるが、大丈夫だ。ちゃんと見立ててやるから……。」
って、運転してる遥さんを見れば、やたらと嬉しそうだった。
「真由ちゃんのは?」
疑問が浮かび問いかければ。
「透が出すだろ? あれでも仕事はしてるしな」
遥さんが、私の頭を撫でながら言う。
透くん、仕事してたんだ。
「まぁ、ホテルの方は、半額だしな。」
えっ、半額って……。
驚きすぎて、言葉が出てこない。
「うちの系列だから、半額。まぁ、学生ってこともあってそれが妥当でしょ。」
悪戯が、成功したときの顔になる遥さん。その顔が、嬉しそうで私も笑ってた。
何時の間にか、学校の職員駐車場に車は止められていた。
「今日は、ごめんな。これで買って食べて。」
遥さんが、お財布からお金を取り出し手渡してくるが。
「お金はあるからいいよ。遥さんもお昼、ちゃんと食べてくださいね。」
そう釘を指す。
仕事に夢中になると、ご飯を食べないからね。心配してるんですよ。
「あぁ、わかってる。今日は、比較的余裕があるから、きちんと摂るよ。」
遥さんの返事を聞いてから、車から降り。
「じゃあ、行ってきます。」
そう言葉を掛けて、ドアを閉めた。
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