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嫉妬された…亜耶
しおりを挟む遥さんと別れ、下駄箱に向かう。
その途中で、鋭い視線が着き纏っているのを感じた。不思議に思いながらそちらに目を向けるが、何の変哲もない登校風景。少しの疑問を持ちながら、教室に向かった。
昨日より幾分か落ち着いてはいたが、嫌な視線が時々混じっている。
こんの状態、何時まで続くのかなぁ。
何て、落ち込みながら教室の自分の席に着く。
窓の外を見ながら、週末の旅行に胸を弾ませ、現実逃避を行っていた。
「おっはよ! 亜耶。」
一際大きな声で挨拶されて、教室の入り口に視線を向ければ、満面な笑みを浮かべて手を振る梨花ちゃんとその横で苦笑している龍哉くんが居た。
私は、苦笑しながら。
「おはよう。」
とだけ返す。
さっきまでの憂鬱さは、梨花ちゃんの笑顔で消え去っていた。
梨花ちゃんは、鞄を自分の席に置くとこちらに足取りも軽くやって来る。
その行動が、主人を見つけて嬉しそうにしてる犬みたいで、可愛いなんて思っちゃった。
「亜耶ちゃん、おはよう。朝から悪いね。」
って、龍哉くんが自分の席に着きながら、申し訳なさそうに言う。
「ううん。寧ろありがたいよ。梨花ちゃんが居てくれて、助かってるから……。」
これは、私の本音だ。
梨花ちゃん本人は気付いてないかもしれないけど……。
私の言葉に龍哉くんが驚いた顔をする。
何か変なこと言ったかな?
と考えてると。
「亜耶、うちの龍くん捕っちゃや。」
って、梨花ちゃんが慌てて龍哉くんに抱きつき、鬼の形相で此方を睨んでくる。
そんな梨花ちゃんを優しく見つめてる龍哉くん。
この二人、本当に私に刺激ばかりくれる。
そんな心配しなくていいのに……。
何て思ってると。
「梨花、そんなこと言ったらクラスの奴等がまた亜耶ちゃんを苛めるだろうが……。それにだ、俺があの人に叶うわけ無いだろう。あの人がどれだけ亜耶ちゃんを溺愛してるか見れば一目瞭然だし……。亜耶ちゃんも、俺よりもあの人の方が断然お似合いだ。まぁ、俺には梨花が一番だけどな。」
って、恥ずかしげもなく語り出す龍哉くん。
こっちの方が恥ずかしくなる。しかも、さらりと惚気てくれてるし……。
「えっ……。高橋先生って、そこまで変わるの?」
梨花ちゃんが、変なところに食いついた。
食い付くところそこなんですか?
「あぁ、凄いぞ。普段冷気が発せられてるのに、亜耶ちゃんが傍に居るとデレデレに溶けるほど甘くなるんだ。しかも、周囲の事全然気にかけることなくな。」
面白そうに言う龍哉くんの言葉に、梨花ちゃんが興味津々に私の方に目を向けてくる。
それは、私に答えを求めてるのかな?
「う~ん、どうなんだろう? 私が普段見ているのと龍哉くんが見ているのは違うと思うけど……。実際、目の当たりにしてるお兄ちゃんが言うには、物凄く違うみたいだね。」
雰囲気までも変わるとか言ってたなぁ。
「じゃあさ、亜耶ちゃんが居ない時にあの人に質問しに行けば、わかると思うよ。」
龍哉くんがニヤケながら提案して梨花ちゃんが。
「そんなに違うなら、見たいかも。今日の昼放課にでも突撃しよう。」
真剣な顔で言う梨花ちゃん。
「それは良いな。で、暫くしてから亜耶ちゃんに遭遇れば、表情が分かりやすいぞ。」
龍哉くんが、面白半分に付け足す。
余計なこと言ってるけど、後で遥さんに怒鳴られても知らないよ。
まぁ、いいんだけどね。遥さんの事だから、お昼抜くに決まってるもの学食でサンドウィッチでも買って、持って行こうかな。
何て思っていれば。
「……と言うことで、お昼休みに高橋先生のところに押し掛けに行きます。」
梨花ちゃんが、堂々と宣言したのと同時に始まりのチャイムが鳴ったのだった。
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