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違和感…亜耶
しおりを挟むユキちゃんと学食に行けば、生徒で溢れかえっていた。
「出遅れたかも……。」
と、ポツリ呟くユキちゃん。
「凄い人だね。」
私は、見たままを口にした。
「亜耶ちゃんは、学食来るの初めて? 今日は、何時もより少ない方だよ。」
苦笑しながら答えるユキちゃん。
「これで、少ない方なんだね。」
初めて見る光景だから、普段がどうかなんてわからないけどユキちゃんが言うんだからそうなんだろう。
「亜耶ちゃんこっち。」
ユキちゃんが手招きしている。
足をそちらに向ける。
その際にどこからともなく鋭い視線が突きさっさてくる。辺りを見渡すが、これといって何もなく首を傾げる。
「亜耶ちゃん、どうかしたの?」
ユキちゃんが心配そうに私を見てくる。
「なんか、誰かに見られてる気がして……。」
ユキちゃんの問いにそう答えると、ユキちゃんがキョロキョロと辺りを見渡し始めた。
すると、先程と同じ視線を感じて、そちらに目を向けたがそこは壁だった。
一体なんだというのか……。
ユキちゃんを見れば、私が見ていた方向を訝しげに見ていた。
「ユキちゃん?」
声を掛けると。
「何でもないよ。」
ヘラって笑うと列の最後尾に並んだ。
「そう言えば、ユキちゃんのお薦めって?」
私は、話を切り替えたのだった。
私が手にしたのは、サラダサンドとベーコンレタスサンド、焼きそばパンにメロンパン。後は、自動販売機でブラックコーヒーとミルクティーを買って教室に戻った。
その途中で。
「亜耶ちゃんって、以外と食べるんだね。」
って、ユキちゃんが驚いた顔をする。
「えっと……これ、遥さんの分も買ったから……。」
小声で答えた。
だって、恥ずかしかったから……。
「遥さんも、お弁当無いから持って行かないとお昼食べないから……。」
私の言葉に更に目を大きくさせたユキちゃん。
「ねぇ、亜耶ちゃん。お弁当は、亜耶ちゃんが作ってるの?」
ユキちゃんが真顔で聞いてきた。
「うん。遥さんの分もね。」
一つ作るのも二つ作るのも手間は一緒だからね。
「亜耶ちゃん、料理できるんだ。」
意外そうな顔で私を見てくる。
「そんなに上手くないよ。私、遥さんと結婚してから料理を始めたから失敗ばかりだよ。家に居る時は、少ししか手伝ったこと無いから、一人で作るとなると勝手が違って、戸惑ってばかりだよ。」
始めた頃の事を思い出し、苦笑する。
「高橋先生、文句言わないの?」
疑問に思うよね。
「うん、言われた事無いよ。逆にアドバイスくれるの。遥さん、あぁ見えて料理上手なんだよ。普段は忙しいから無理だけど、休日は一緒に作ったり、作ってくれたりするんだよ。」
休日は、気づいた時には目の前に料理が並んでることが多いもん。
「へぇ、以外。高橋先生料理するんだ。」
ユキちゃんから、感嘆な声が漏れ聞こえる。
「……で、これを持っていく口実を梨花ちゃん達が作ってくれたんだけども……。」
龍哉くんたちとの朝のやり取りを思い出すと憂鬱になるが……。
そんな私を不思議そうな顔でユキちゃんが見てくる。
そんなユキちゃんに。
「実はね、朝梨花ちゃんが、遥さんの表情が変わるところを見てみたいって言い出してさ、龍哉くんと先に職員室に行くって……。」
話すと、興味をもったみたいで。
「そんなに変化するの?」
と私に聞いてくる。
「どうなんだろう? 私じゃあ分からないんだよね。お兄ちゃんや龍哉くんが言うには、全然違うみたいだけどね。」
私の前では、無表情って事が無いからね。見たのは一回だけだし、何とも言えないんだけどさ。
「そうなんだ。私も見てみたいから、梨花ちゃんに付いて行こうかな。」
クスクス笑いながら、ユキちゃんが言う。
「やめておいた方がいいよ。物凄く嫌がるから。他のクラスに影響出ると困るしね。その代わりに、他の日に質問がてら行くと良いかな。」
クラスに居る時と職員室に居る時の雰囲気も違うだろうし……。
揶揄れた時の遥さんを見てみたいと思うのも如何なものかと内心思うわけで……。
「う~ん。亜耶ちゃんがそう言うなら、やめておこうかな。」
ユキちゃんが、素直に "やめておこうかな" なんて言うとは思わず、目が点になった。
「何、驚いてるの?」
ユキちゃんが不思議そうな顔をして私を見てくる。
「えっ、だってユキちゃんが、私の言葉でやめるって言うから……。」
大抵の人は、それでも見たいって言うのだけど……。
「亜耶ちゃんが言うからには、そうなのかなって思っただけ。うちのクラス、午後に高橋先生の授業があるからさ、影響しそうだしね。」
ユキちゃんが、言葉を選びながら伝えてくる。
「あ、ありがとう。」
「どういたしまして?」
疑問符付でユキちゃんが言う。
教室に着くと龍哉くんと梨花ちゃんの姿がなくて、二人が職員室に乗り込んで行ったのがわかる。
はぁ~、あの二人行動早くない?
「梨花ちゃんたち居ないから、職員室に行ってこれ渡してくるね。」
私は、手に下げている袋を掲げてユキちゃんにそう告げると、踵を返して職員室に足を向ける。
「亜耶ちゃん、一人になっちゃうから一緒に行くよ。」
ユキちゃんが、後ろを付いてくる。
後日、この時一人で行かなくてよかったと思うことになる。
職員室に向かう途中にある階段に差し掛かった時、背後に違和感があったと思ったら空中に投げ出された感じがし、咄嗟に何処かに捕まろうとしたが、届かずそのまま下に落ちた。
「キャーー!! 亜耶ちゃん!」
ユキちゃんの叫び声を聞き、そのまま意識を飛ばしてしまった。
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