好きだから傍に居たい

麻沙綺

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カクトウ…遥

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 病室に入れば、亜耶が呆然として目の前の食事を見ていた。

 どうしたんだ?

 よく見れば、スプーンを左手に持ち果敢に食事を掬おうとしたが、掬えずに落ち込んでるのか……。
 利き腕じゃないから仕方ないとはいえ、どこまでぶきっちょなんだよ。
 そう思いながら、亜耶に側にある椅子に座る。
「どうした、亜耶?」
 わかっているが、本人の口から聞きたいから問いかけた。
「あのね……。ご飯を食べようとして左手でスプーンを手にして試してみたんだけど…ね。難しくて……。」
 恥ずかしそうに、困った顔をして亜耶が言い出す。
 語尾が小さくなってることから、食べれなかったんだろう。
「わかった。今日は、俺が食べさせてやるから、少しずつ練習しような。」
 俺は、亜耶からスプーンを奪いご飯を掬い。
「ほら、亜耶。アーン。」
 って口許に持っていくと。
「あーん。」
 って、少し恥らながらも口を開ける。
 こういう時だけは、素直なんだから……。
 何て思いながら、咀嚼し終わるのを待つ。
 飲み込んだところに口を開けて待つ亜耶に次のを入れてやる。
 まるで雛鳥に餌を与える親鳥になったみたいだ。
 待ってる間の頬に紅が射し、可愛く思えるのは仕方ないだろう。


 何度も繰り返してるうちに器に入った物が空になり残るは、お茶と牛乳なのだが……。
 亜耶は、牛乳を苦手としてる。さて、どうやって飲ませようか……。
「亜耶。牛乳もちゃんと飲めよ。じゃないと早く治らないぞ。」
 と脅してみる。
 まぁ、こんな脅しは亜耶には通じないのはわかってる。
「えー!! ヤダ。飲みたくない!! 遥さん、知ってるでしょ、私が牛乳嫌いなの。」
 どこの駄々っ子だよ。
 って、俺の嫁だな。
「どうしたら、飲んでくれるんだ?」
 亜耶に訪ねる。
 飲んで貰わないと困るからな。
「……ミルクティー……。」
 小声で呟くように答える亜耶。
 ミルクティーって……。
 ったく、仕方ないな。
「じゃあ、ミルクたっぷりのミルクティーにしてくる。」
 俺は、そう言ってトレーを手にして部屋を出る。
 トレーは、廊下にあるワゴンに戻し、牛乳パックを手にしてはたと気付いた。
 この牛乳を温めるにしても、コップに移さないとできない。
 ハァ~。
 仕方がないが、下の階にある売店でミルクティーを買うか。
 エレベーターで売店のある階まで降りた。



 店内を見渡せば、ここである程度の必要なものが揃えることができるようだ。
 まぁ、急な対応にもできる様にだろうが……。
  
 さて、亜耶のお望みのミルクティーと……。そういや、今日は未だ何も食べてないや。
 そう思いあたり、レジ横の陳列棚に並ぶおにぎりコーナーで、おにぎりを物色する。
 最近のおにぎり、種類が豊富だな。
 何て感心しながら、悩んでいると。
「あのー、どなたかの付き添いの方ですか?」
 突然右側から声を掛けられた。
 そちらに目を向ければ、看護師の格好をした女性だった。
 やけに自分に自信ありげに近付いてきて、俺を観察し出す。

 ハァ~。

 何で、こんなところでナンパしてるんだよ。
「そうですが? 因みに妻の付き添いなので、ナンパはお断りします。」
 先手必勝? 先に口すれば、付きまとわれなくて済むと思い口にした。
 女は俺の顔を凝視して。
「えっ……、妻……?」
 って、口にする。
「えぇ、妻は、この病院に支援してる家の娘なので、何かあれば義父に言って病院を変更させてもらいますが……。」
 ここは、鞠山家御用達の病院。俺の家が御用達してる病院もあるので、どちらに入院しても変わらないのだが。
 この言葉で理解できなければ、偽りだと告げているようなものだ。
「……あっ、すみません。失礼します。」
 女は、俺の言葉に思い当たったのか、顔を青くして去って行った。

 さぁーて、何にしようかな。
 俺は、再びおにぎりを選び出し、レジに向かう。



 支払いを済ませ、部屋に戻る途中にある談話室でおにぎりを口にした。















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