好きだから傍に居たい

麻沙綺

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甘い二人…亜耶

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 お昼になり、昼食を食べてるところに。
 コンコンコン……。
 ノックが聞こえてきて。
「はい。」
 遥さんが返事をすると戸が開いた。

 その時ちょうど、大きな口を開けて遥さんに口にご飯を入れてもらってる時だった。
 目線を動かせば、お兄ちゃんと由華さんがこっちを見て凝視していた。
 
 うわぁ……。
 恥ずかしいよ。

 私は、慌てて顔を俯かせた。
 こちらに近付く足音が聞こえたかと思ったら。
「先輩。ラブラブですね。」
 って遥さんをからかうようなはしゃぐ声。
 由華さんが楽しそうだ。
 だけど、そんな声につられること無く。
「あぁ、いいだろう。ほら亜耶、あーん。」
 って私の顔を覗き込むようにして、口を開けるように言ってくる。
 あうっ……。
「あーん……。」
 言われた通りに口を開ける。
「ん? 亜耶、顔が赤いが熱でも出たか?」
 って、お兄ちゃんが額に手を充ててくる。
 口にモノを入れられて、喋れない私は、首を横に振る。
「ならいいが……。」
 お兄ちゃんのホッとした声。
「何か、面白くない。」
 て、声が聞こえてきて、目線だけを向ければ由華さんが口を尖らせて言っていた。

 ん?
 何が面白くないんだろう?

 小首を傾げながら、二人のやり取りを伺うがそれ以上の事はなく、答えが見えずにいると。
「由華、その辺にしておけよ。亜耶、体調の方はどうだ。」
 お兄ちゃんが、由華さんを諌めながら聞いてくる。
 急に話を振られて、口の中のモノを慌てて飲み込み。
「ん? 右手が動かせないだけだから、それ以外の問題はないよ。……後、お兄ちゃんが聞きたそうな事は、 "覚えていない" かな」
 私がそう答えると、驚いた顔をして眉間にシワを寄せ。
「はっ、覚えていない? 何かあるだろ? 例えば背中を押された感触とか……。」
 って、例えを上げながら私に詰め寄ってくるお兄ちゃん。
  だけど、本当に覚えていないのだ。
「うん、何も覚えていないの。有るのは、気付いたら足元には何も無くて、浮遊感があっただけで何もわからない。あの時、他の事を考えていたから、辺りの警戒を怠ってた。」
  あの時は、龍哉くんたちのやり取りの事が気になって急いでいたこともあるけどさ。
「そうか……。で、何が気になったんだ?」
  お兄ちゃんが落胆した顔で問いただしてくる。
「亜耶、あ~ん。」
  って、遥さんが、何時もと異なる雰囲気で横から促す。
「あ~ん。」
  って、つい口を開けてしまう。
  どんな雰囲気かって、う~ん何て言うんだろ、甘やかしたいのだけど、周りに見せたくないみたいな、変な雰囲気?
 モグモグ……。
 でも、お兄ちゃんの問いに答えなきゃいけないのかなぁ。
 口を動かしながら、お兄ちゃんを見れば苛立った顔で、早く言えって睨み付けてくる。
 うっ、怖いから止めて。
 萎縮しながら。
「うんと……ね。龍哉くんたちが、遥さんの表情が変わるところが見たいって話になって、二人が押し掛けて行った時の遥さんは、どんな顔をしてるのかなぁ……なんて思いながら歩いてたから、辺りを気にしていなかったんだよね。」
 まぁ、顔は見られなかったけど……。
「なんだそれ? あいつらは、そんな事の為に俺の所に来たのかよ」
 遥さんが呆れたように言う。
「まぁ、そのお陰か、事件が起きて直ぐに連絡が取れたから、今回は多めに見てやるか。」
 遥さんの言葉に、皆にも心配掛けてしまったんだなって、落ち込む。
「おい、それじゃあ犯人は?」
 とお兄ちゃんが苛立ちをマックスにして、攻め立てる。
「その事だが、後で話すから待ってくれるか?ほら、最後の一口。あ~ん。」
 遥さんがお兄ちゃんに落ち着かせるように言う。

 ん?
 遥さん、犯人知ってるの?

「あ~ん。」
 その前に事故と言わず事件って言ってたから、犯人は居るんだろうけど……。
 う~ん?

 モグモグ……。
 病院食って、あまり好きじゃない。
 でも、ちゃんと食べないと入院長引きそうだから、無理矢理口にしてるのだけど……。
「ここでは、話せないんだな?」
 お兄ちゃんが、遥さんに確認してる。
「ちょっとな。亜耶には関わって欲しくないかな。」
 言いにくそうに遥さんに対して。
「わかった。外で話すか。」
 納得顔のお兄ちゃん。
 当事者の私は、部外者になるのですか?
 私は、知ったらいけないのですか?
 昨日のあれは、嘘だったの?
 って思ったら、虚しくなってきた。
「後は、お茶と牛乳だけだ。お義姉さん、亜耶が飲み終えたら、トレーを外にあるワゴンに戻しておいて」
 遥さんがそう言って椅子から立ち上がる。
「えっ……。」
 由華さんが遥さんを見て凝視してる。
 遥さんは、そんな由華さんを見て。
「俺、何か変なこと言ったか?」
 不思議そうな顔をする。
「いや……、あの……、先輩が、 "義姉さん" なんて言うから、驚いただけ……。」
 戸惑いながら答える由華さん。
「亜耶の "義姉" なんだから、俺からでもそうなるだろうが……。」
 呆れた顔で答える遥さん。
「まぁ、そうなんだけど……。何か背中に変な汗が……。」
 由華さんが落ち着きない。
「何言ってるんだ。義姉さん、後はよろしく。亜耶、牛乳もちゃんと飲めよ。」
 釘を指してくる遥さん。
「うぇっ……。飲みたくない。他のなら飲む。」
 って言えば、困った顔をする遥さん。
「仕方がないなぁ。イチゴミルクで良いか?」
 お兄ちゃんが横から言う。
 イチゴミルク……。
「うん、それでお願いします。」
 何も味が付いてないよりはましかな。
「雅斗、亜耶に甘すぎ!」
 遥さんがお兄ちゃんに言うが、遥さんが言えた事ではない。
「そんな事無いだろ? 俺よりも甘やかすやつが言う言葉か。」
 ってお兄ちゃんが言い返し、私は "うんうん" とその場で頷く。
「二人共です!!」
 って、由華さんが横から口を出す。
「だと思った。ということで、後は宜しく。」
 遥さんが茶化すように言って、二人は部屋を出て行った。














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