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真由ちゃんの悩みごと…亜耶
しおりを挟む「真由ちゃん。さっきから浮かない顔をしてるけど、悩みごと?」
久し振りに会うから、私の勘違いかもしれないけど、何となく憂いを漂わせてるんだよね。
「……えっ。」
そう驚いた顔を見せて。
「亜耶ちゃんには、やっぱり隠せないか……。」
真由ちゃんが、独り言の様に呟いた後に "ハ~" と溜め息を吐き顔を上げると。
「あのね。透くんの事なの。」
と静かに言葉を出す。
湯川くんのこと?
何かあったんだろう?
「こんな事亜耶ちゃんに言っても仕方ないとは思ってるんだけど、でも話せる相手が他に居ないから……。」
悲し気に話し出す真由ちゃん。
「ううん。私でよければ話を聞くよ。親友が困ってるのを見てるの辛いから……。」
私が言うと真由ちゃんが真顔になり。
「亜耶ちゃん。私と透くんが婚約してるのは、聞いてるんだよね?」
真由ちゃんが確認するかのように聞いてくるから、私はその質問にコクりと頷く。
「何時?」
「3ヶ月前。湯川くんから直接聞いた。その時に同棲してることも……。」
その時の事を思い出す。
湯川くん、とても幸せそうな顔をしてたなぁ。
「うん。婚約は、中学の時にね。父が勝手に決めたの。で、同棲は高校に入ってから。同棲するにあたって、契約まで有ったんだ。」
淡々と話してるけど声は微かに震えてる真由ちゃん。
「最初は、ね。父が選んだ男とは絶対嫌だった。私は、亜耶ちゃんみたいに愛されて結婚したいって思ってたから、反発してたんだよね。でも、実際に会ってみたら、とっても優しくて、意外と気遣いが出来る人で、気が付いたら好きになってたんだ。」
恥ずかしそうにしながら、口調を変えずに話す真由ちゃん。
湯川くんの普段の態度からすれば、真由ちゃんを好きなのは目に見えてるけど……。
「中学の3年間は、お互いに無理をせずに時間を見つけて会ってたんだけど、どうしても私の方が我儘になっちゃって、気付いたら一時でも離れたくなくて、父に "同棲したい" って言ってた。」
真由ちゃんが苦笑する。
何か、その気持ち分からなくもないな。
「それ、我儘じゃないと思うよ。誰しもが思う事だと思うよ。好きだから離れたくない気持ち分かるよ。」
私だって、遥さんへの好きな気持ちが強くなった時、一時も離れたくないって思った。
「……そっか。で、高校に入ってから同棲を始めたんだけど、四苦八苦するばかりか、私だけが透くんの事を好きなんじゃないかって、思ったりしてて……。」
やたら、落ち込んでいく真由ちゃん。
何か、元気になる言葉無いかなぁ……。
「ほら、私たち、結局のところ親に言われるまま政略結婚みたいなものじゃん。だから、余計に透くんに私の存在が負荷になってるんじゃないかって……。それにね、昨日から透くん何か悩んでるみたいなんだけど、私には一切話してくれないの……。」
真由ちゃんの悩みの種は、湯川くんだったんだ。
う~ん、何て言えば良いのかなぁ。
「相談については、私には分からないけど、湯川くんが真由ちゃんの事を一番に考えて行動してるのは、確かだと思うよ。だって、湯川くん真由ちゃんの事を話す時凄く愛しそうな眼で語るんだよ。それに今回駄目になっちゃったけど、湯川くんが真由ちゃんの為に何かして上げたくて、遥さんに相談してたよ。だから、真由ちゃんの気持ちを湯川くんに話せば、きちんと答えてくれると思うよ。」
学校でもクラスが違うから、そんなに関わる事はないけど、真由ちゃんの話をする時は嬉しそうな顔をしてるもんね。
「そうなの?」
半信半疑で聞いてくる真由ちゃんに。
「嘘吐く必要が私には無いけど、そんなに不安なら遥さんにも聞いてみたら良いと思う。」
湯川くんの相談を受けたのは私じゃないから、直接本人に聞くか遥さんに聞いた方が良いと思う。
「……うん、そうするね。しかし、最近の亜耶ちゃんはついてないね。入学して半年の内に入院を二回もするなんて。」
真由ちゃんが心配そうに言ってきた。
「アハハ……。本当にね。私が知らない内に悪い事でもしたのかなぁ、何て思うもん。」
空笑いを浮かべる。
「まぁ、はる兄と結婚した事にも繋がってるんだろうけどね。」
真由ちゃんの言葉にあの女性の姿が浮かぶ。
まさか、ね。
「それって、そんなに広まってるの?」
私は、学校内だけでの話しだと思ってたんだけど……。
「亜耶ちゃんは疎いなぁ。一時でもネット上に上がったんだよ。気付く人は気付くでしょ。学校の先生と生徒の結婚話。しかもトップ企業の二人なんて、余計に話が盛る上がるでしょうが。」
呆れた顔で言う真由ちゃんだが、何処かニタニタと笑ってるのは私の見間違いでしょうか?
「それにはる兄はイケメンだから、ずっと注目されてたのに、気付けば "結婚してました。相手は、大財閥のお嬢様" ってなれば、話題になら無い方がおかしいって。」
楽しそうに報告する真由ちゃんに今度は私が苦虫を噛む羽目に。
「でもさ、亜耶ちゃんの隣に居る時のはる兄は、普段の顔付きよりも柔らかくなるから、他人が入る余地なんて無いと思うんだよね。」
って、何かを思い出すかの様に言う真由ちゃん。
「そうかな。お兄ちゃんにも真由ちゃんと同じようなこと言われたんだけど……。」
『亜耶の横に居る時の遥は、とても穏やかだぞ。』
って、お兄ちゃんが嬉しそうな顔で言ったのを覚えてる。
まぁ、普段の遥さんを知らないから、そこまで分からないんだけど、それでもあの優しい瞳は忘れられそうにないかも。
「亜耶ちゃんは可愛いから、はる兄と並んでも遜色無いしね。」
本日二回目のニマニマ笑顔の真由ちゃん。
ちょっと恐いかも。
「そうかなぁ。でも、有り難うね。煽てても何も出ないからね。」
苦笑して答えると。
「うん、知ってる。その分はる兄が出してくれるから……。」
何やら、最後の方が聞き取りにくかったが、別に良いのかな。
今の真由ちゃん、病室に入って来た時よりも明るくなってるし……。
少しは、吹っ切れたのかななんて思いながら、真由ちゃんを見つめていた。
「そう言えば、結婚に至った経緯って何だったの?」
唐突に聞いてくる真由ちゃん。
私が困った様な顔をしていたのか。
「無理に話さなくても良いよ。」
って、慌てててを横に振り言い換えてる。
「別に話せない事では無いのだけど、家の都合と言えば良いのかな。」
独り言の様に呟けば、真由ちゃんの目が興味深気に此方を見てくる。
「まぁ、簡単に言うと、お爺様が引退してお婆様と世界旅行に行ってしまい、お屋敷の方がもぬけの殻になるのはヤバイので、お屋敷に両親が住むことになり住んでいた家はお兄ちゃん夫婦が、でそこに問題が発生したんだよね。」
うん、普通じゃ有り得ない事なんだけどね。
「お屋敷から学校までの距離と一人での登校が危険だと言うこと。そして新婚夫婦の家に居候するわけにも行かずで、まあ家族会議の場ではあったんだけど遥さんも同席していて、学校の通学と会社への通勤距離を考慮しつつも社会人と女子高生が一緒に住んでる事を少しでも緩和させるために結婚という形になったの。」
一気に伝えれば、真由ちゃんが複雑そうな顔をする。
「……そっか。雅斗さん、半年前に結婚したばかりだもんね。」
真由ちゃんが家の事を把握してからそう告げてきた。
「うん。急だったから私何も出来なくてさ、遥さんに迷惑ばかりかけてると思う。今回の入院だって……。」
こんな事になるなら、結婚しない方が良かったかもって思ってしまう。
弱気な自分が出てきてしまう。
「亜耶ちゃん。考え過ぎは良くないよ。はる兄にとっては役得だって思ってるよ。」
真由ちゃんが苦笑を浮かべている。
「そうかな?」
「絶対そうだって。はぁ~、亜耶ちゃんに何もかも先に行かれそう……。」
ポツリと聞こえてきた言葉。
「それは分からないよ。これからの事なんて誰にも分からないし、ね。それよりも、来月の家が行うパーティーの招待状って、真由ちゃんの所に届いてるのかな?」
私の唯一の親友の真由ちゃんには来て欲しいと思ってるんだけど。
「どうだろう。私の手元にはまだ来てないから、お父さんに方に届いてると思うから一度聞いてみるね。まぁ、どちらにしてもはる兄とは親戚関係だから届いてると思うよ。」
少しだけ躊躇したけど、真由ちゃんは嬉しそうに言う。
「うん、真由ちゃんが居てくれると心強いと思ってたから、絶対に出席してね。」
釘を刺すような言い方になってしまったけど、事実だから仕方がない。
「そっか。亜耶ちゃんのレビュー日でもあるのか……。うん、当日は近くに居るね。」
って約束してくれた。
「有り難う。よろしくね」
ニコリと笑みを浮かべたのだった。
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