好きだから傍に居たい

麻沙綺

文字の大きさ
137 / 183

真由ちゃんの悩みごと…亜耶

しおりを挟む


「真由ちゃん。さっきから浮かない顔をしてるけど、悩みごと?」
 久し振りに会うから、私の勘違いかもしれないけど、何となく憂いを漂わせてるんだよね。
「……えっ。」
 そう驚いた顔を見せて。
「亜耶ちゃんには、やっぱり隠せないか……。」
 真由ちゃんが、独り言の様に呟いた後に "ハ~" と溜め息を吐き顔を上げると。
「あのね。透くんの事なの。」
 と静かに言葉を出す。
 湯川くんのこと?
 何かあったんだろう?
「こんな事亜耶ちゃんに言っても仕方ないとは思ってるんだけど、でも話せる相手が他に居ないから……。」
 悲し気に話し出す真由ちゃん。
「ううん。私でよければ話を聞くよ。親友が困ってるのを見てるの辛いから……。」
 私が言うと真由ちゃんが真顔になり。
「亜耶ちゃん。私と透くんが婚約してるのは、聞いてるんだよね?」
 真由ちゃんが確認するかのように聞いてくるから、私はその質問にコクりと頷く。
「何時?」
「3ヶ月前。湯川くんから直接聞いた。その時に同棲してることも……。」
 その時の事を思い出す。
 湯川くん、とても幸せそうな顔をしてたなぁ。
「うん。婚約は、中学の時にね。父が勝手に決めたの。で、同棲は高校に入ってから。同棲するにあたって、契約まで有ったんだ。」
 淡々と話してるけど声は微かに震えてる真由ちゃん。
「最初は、ね。父が選んだひととは絶対嫌だった。私は、亜耶ちゃんみたいに愛されて結婚したいって思ってたから、反発してたんだよね。でも、実際に会ってみたら、とっても優しくて、意外と気遣いが出来る人で、気が付いたら好きになってたんだ。」
 恥ずかしそうにしながら、口調を変えずに話す真由ちゃん。
 湯川くんの普段の態度からすれば、真由ちゃんを好きなのは目に見えてるけど……。
「中学の3年間は、お互いに無理をせずに時間を見つけて会ってたんだけど、どうしても私の方が我儘になっちゃって、気付いたら一時でも離れたくなくて、父に "同棲したい" って言ってた。」
 真由ちゃんが苦笑する。
 何か、その気持ち分からなくもないな。
「それ、我儘じゃないと思うよ。誰しもが思う事だと思うよ。好きだから離れたくない気持ち分かるよ。」
 私だって、遥さんへの好きな気持ちが強くなった時、一時も離れたくないって思った。
「……そっか。で、高校に入ってから同棲を始めたんだけど、四苦八苦するばかりか、私だけが透くんの事を好きなんじゃないかって、思ったりしてて……。」
 やたら、落ち込んでいく真由ちゃん。
 何か、元気になる言葉無いかなぁ……。
「ほら、私たち、結局のところ親に言われるまま政略結婚みたいなものじゃん。だから、余計に透くんに私の存在が負荷になってるんじゃないかって……。それにね、昨日から透くん何か悩んでるみたいなんだけど、私には一切話してくれないの……。」
 真由ちゃんの悩みの種は、湯川くんだったんだ。
 う~ん、何て言えば良いのかなぁ。
「相談については、私には分からないけど、湯川くんが真由ちゃんの事を一番に考えて行動してるのは、確かだと思うよ。だって、湯川くん真由ちゃんの事を話す時凄く愛しそうな眼で語るんだよ。それに今回駄目になっちゃったけど、湯川くんが真由ちゃんの為に何かして上げたくて、遥さんに相談してたよ。だから、真由ちゃんの気持ちを湯川くんに話せば、きちんと答えてくれると思うよ。」
 学校でもクラスが違うから、そんなに関わる事はないけど、真由ちゃんの話をする時は嬉しそうな顔をしてるもんね。
「そうなの?」
 半信半疑で聞いてくる真由ちゃんに。
「嘘吐く必要が私には無いけど、そんなに不安なら遥さんにも聞いてみたら良いと思う。」
 湯川くんの相談を受けたのは私じゃないから、直接本人に聞くか遥さんに聞いた方が良いと思う。
「……うん、そうするね。しかし、最近の亜耶ちゃんはついてないね。入学して半年の内に入院を二回もするなんて。」
 真由ちゃんが心配そうに言ってきた。
「アハハ……。本当にね。私が知らない内に悪い事でもしたのかなぁ、何て思うもん。」
 空笑いを浮かべる。
「まぁ、はる兄と結婚した事にも繋がってるんだろうけどね。」
 真由ちゃんの言葉にあの女性の姿が浮かぶ。

 まさか、ね。

「それって、そんなに広まってるの?」
 私は、学校内だけでの話しだと思ってたんだけど……。
「亜耶ちゃんは疎いなぁ。一時でもネット上に上がったんだよ。気付く人は気付くでしょ。学校の先生と生徒の結婚話。しかもトップ企業の二人なんて、余計に話が盛る上がるでしょうが。」
 呆れた顔で言う真由ちゃんだが、何処かニタニタと笑ってるのは私の見間違いでしょうか?
「それにはる兄はイケメンだから、ずっと注目されてたのに、気付けば "結婚してました。相手は、大財閥のお嬢様" ってなれば、話題になら無い方がおかしいって。」
 楽しそうに報告する真由ちゃんに今度は私が苦虫を噛む羽目に。
「でもさ、亜耶ちゃんの隣に居る時のはる兄は、普段の顔付きよりも柔らかくなるから、他人が入る余地なんて無いと思うんだよね。」
 って、何かを思い出すかの様に言う真由ちゃん。
「そうかな。お兄ちゃんにも真由ちゃんと同じようなこと言われたんだけど……。」
  『亜耶の横に居る時の遥は、とても穏やかだぞ。』
 って、お兄ちゃんが嬉しそうな顔で言ったのを覚えてる。
 まぁ、普段の遥さんを知らないから、そこまで分からないんだけど、それでもあの優しい瞳は忘れられそうにないかも。
「亜耶ちゃんは可愛いから、はる兄と並んでも遜色無いしね。」
 本日二回目のニマニマ笑顔の真由ちゃん。
 ちょっと恐いかも。
「そうかなぁ。でも、有り難うね。煽てても何も出ないからね。」
 苦笑して答えると。
「うん、知ってる。その分はる兄が出してくれるから……。」
 何やら、最後の方が聞き取りにくかったが、別に良いのかな。
 今の真由ちゃん、病室に入って来た時よりも明るくなってるし……。
 少しは、吹っ切れたのかななんて思いながら、真由ちゃんを見つめていた。

「そう言えば、結婚に至った経緯って何だったの?」
 唐突に聞いてくる真由ちゃん。
 私が困った様な顔をしていたのか。
「無理に話さなくても良いよ。」
 って、慌てててを横に振り言い換えてる。
「別に話せない事では無いのだけど、家の都合と言えば良いのかな。」
 独り言の様に呟けば、真由ちゃんの目が興味深気に此方を見てくる。
「まぁ、簡単に言うと、お爺様が引退してお婆様と世界旅行に行ってしまい、お屋敷の方がもぬけの殻になるのはヤバイので、お屋敷に両親が住むことになり住んでいた家はお兄ちゃん夫婦が、でそこに問題が発生したんだよね。」
 うん、普通じゃ有り得ない事なんだけどね。
「お屋敷から学校までの距離と一人での登校が危険だと言うこと。そして新婚夫婦の家に居候するわけにも行かずで、まあ家族会議の場ではあったんだけど遥さんも同席していて、学校の通学と会社への通勤距離を考慮しつつも社会人と女子高生が一緒に住んでる事を少しでも緩和させるために結婚という形になったの。」
 一気に伝えれば、真由ちゃんが複雑そうな顔をする。
「……そっか。雅斗さん、半年前に結婚したばかりだもんね。」
真由ちゃんが家の事を把握してからそう告げてきた。
「うん。急だったから私何も出来なくてさ、遥さんに迷惑ばかりかけてると思う。今回の入院だって……。」
 こんな事になるなら、結婚しない方が良かったかもって思ってしまう。
 弱気な自分が出てきてしまう。
「亜耶ちゃん。考え過ぎは良くないよ。はる兄にとっては役得だって思ってるよ。」
 真由ちゃんが苦笑を浮かべている。
「そうかな?」
「絶対そうだって。はぁ~、亜耶ちゃんに何もかも先に行かれそう……。」
 ポツリと聞こえてきた言葉。
「それは分からないよ。これからの事なんて誰にも分からないし、ね。それよりも、来月の家が行うパーティーの招待状って、真由ちゃんの所に届いてるのかな?」
 私の唯一の親友の真由ちゃんには来て欲しいと思ってるんだけど。
「どうだろう。私の手元にはまだ来てないから、お父さんに方に届いてると思うから一度聞いてみるね。まぁ、どちらにしてもはる兄とは親戚関係だから届いてると思うよ。」
 少しだけ躊躇したけど、真由ちゃんは嬉しそうに言う。
「うん、真由ちゃんが居てくれると心強いと思ってたから、絶対に出席してね。」
 釘を刺すような言い方になってしまったけど、事実だから仕方がない。
「そっか。亜耶ちゃんのレビュー日でもあるのか……。うん、当日は近くに居るね。」
 って約束してくれた。
「有り難う。よろしくね」
 ニコリと笑みを浮かべたのだった。









しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる

鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳―― それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。 公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。 だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、 王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。 政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。 紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが―― 魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、 まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。 「……私が女王? 冗談じゃないわ」 回避策として動いたはずが、 誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。 しかも彼は、 幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた―― 年を取らぬ姿のままで。 永遠に老いない少女と、 彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。 王妃になどなる気はない。 けれど、逃げ続けることももうできない。 これは、 歴史の影に生きてきた少女が、 はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。 ざまぁも陰謀も押し付けない。 それでも―― この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね! ※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル

生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します

桜桃-サクランボ-
恋愛
人身御供(ひとみごくう)は、人間を神への生贄とすること。 天魔神社の跡取り巫女の私、天魔華鈴(てんまかりん)は、今年の人身御供の生贄に選ばれた。 昔から続く儀式を、どうせ、いない神に対して行う。 私で最後、そうなるだろう。 親戚達も信じていない、神のために、私は命をささげる。 人身御供と言う口実で、厄介払いをされる。そのために。 親に捨てられ、親戚に捨てられて。 もう、誰も私を求めてはいない。 そう思っていたのに――…… 『ぬし、一つ、我の願いを叶えてはくれぬか?』 『え、九尾の狐の、願い?』 『そうだ。ぬし、我の嫁となれ』 もう、全てを諦めた私目の前に現れたのは、顔を黒く、四角い布で顔を隠した、一人の九尾の狐でした。 ※カクヨム・なろうでも公開中! ※表紙、挿絵:あニキさん

【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。

美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯? 

【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします

恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。 王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい? つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!? そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。 報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。 王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。 2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……) ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

恋が温まるまで

yuzu
恋愛
 失恋を引きずる32歳OLの美亜。 営業課のイケメン田上の別れ話をうっかり立ち聞きしてしまう。 自分とは人種が違うからと、避けようとする美亜に田上は好意を寄せて……。

処理中です...