155 / 183
話し相手はお兄ちゃん…亜耶
しおりを挟む遥さんたちが出て行き、お兄ちゃんと二人っきりになった。
何となく場が持たない気がした。
気まずい雰囲気が室内を充たす。
「亜耶。由華から、赤ちゃんの事聞いたんだろ? 何で知らせてくれなかったんだ?」
お兄ちゃんが、問い詰めてきた。
顔を見れば少し拗ねてる感じがする。
「お義姉さんに口止めされたの。だから、言えなかったの。お義姉さん、お兄ちゃんに自分の口から伝えたかったんだと思うよ。」
あの時のお義姉さん、とても楽しそうだったもの。
「そっか。あいつならそうするか……。でも、何で一番は俺じゃなかったんだ?」
お兄ちゃんが口にする。
私も、そこは不思議に思ってたところなんだよね。
普通に考えれば、最初に伝える相手って、パートナーだよね。それなのに、私に最初に言うってのが、謎なんだよね。
お義姉さんとは、それなりに仲良くさせて貰ってるけどね。
「私にも分からないよ。ただ、お義姉さんは私に "一番最初に言いたかった" としか言わなかったから……。」
あの時、とても嬉しそうな顔をして言ってきたお義姉さんを思い出すが、何で私が一番だったのか良く分からない。
お兄ちゃんに伝えた後でも、お兄ちゃんから報告でも私は構わないのに……。
「そっか……。で、遥には直ぐにバレたんだな。」
お兄ちゃんの言葉に頷く。
「私はね、お兄ちゃんが幸せであるならそれで良いと思ってるんだよ。私では、お兄ちゃんの肩の荷物を預かることはできないから、プライベートだけでもお兄ちゃんが寛げる場所があるならそれで良い。と思ってる。」
お兄ちゃんの肩には、社員さんの生命が掛かっている。それを私は表だって助けることは出来ない。
だったら、せめてプライベートの時間だけでもゆっくりできる場所が確保できてる方がいいと思うから。
「亜耶……。ありがとうな。その気持ちだけでも俺は嬉しいぞ。」
お兄ちゃんが、私の頭をポンポンと叩く。
「少し気になる事があるんだが……。」
お兄ちゃんが口にする。
何だろうと続きを待っていると。
「遥との生活、上手くいってるのか? ほら、学校でも家でも一緒だろ。何か困って無いかと心配でな……。」
心配そうな顔をして聞いてくる。
「お兄ちゃん、気にしすぎだよ。最初のうちは登下校別だったけど、あの事件以来一緒に登校してて、学校では四六時中一緒って訳でもないし、それにね、遥さんの以外な一面が見えたりして、私は楽しんでいるよ
。遥さんは、どうか分からないけど……。」
私は思ってることをそのまま口にする。
「変わったな、亜耶。あんなに毛嫌いしてたのに……。」
お兄ちゃんが苦笑する。
確かにね、物凄く毛嫌い(鬱陶しい)していた時期もあったよ。
「あの時は、私よりも素敵な女性が遥さんの傍に居たから、諦めようと思って、わざと……。」
そこまで言って、ハッとした。
私は、一体何を口にしようとしてるの?
あれは、過ぎたことなんだから、今更振り返す必要ないのに……。
突然口を塞いだ私を怪訝そうに見ながら。
「遥を諦める? 一体、何を目撃したんだ?」
声音は優しく問い詰められた。
「えっ……、あっ……。」
焦って、どう伝えればいいのか分からなくなる。
「亜耶、ゆっくりでいいから話して。」
お兄ちゃんが、私を宥めるため偽に手をやり擦ってくる。
「……去年のクリスマス過ぎ位だったかな。 ほら、お兄ちゃんとお昼をファミレスに食べに行ったよね。あの帰りに、悠磨くんと会って、お兄ちゃんたちと別れた後、遥さんを見かけたの。その時、遥さん綺麗な女の人と腕を組んで歩いて居たから、てっきり彼女だと思って……。」
あの時の事を思うと胸が締め付けられる。
その後に、遥さんに話したから解決はしてるんだけど……。
「えっ…と、あの日って遥が家に泊まって、翌日急な呼び出しで慌てて帰って行った日だろ?」
お兄ちゃんも思い出したかのように口にした。
私はその言葉に頷いた。
「その時の女性に特徴覚えているか?」
お兄ちゃんが聞いてきた。
「覚えてるも何も、最近会ったよ。しかも "遥さんは渡さない" って言われた。」
ネットにアップされた時の事を思い出し、体が震えた。
「最近って……、っえ、場所は学校か?」
お兄ちゃんが聞いてきたから頷いた。
「ゆかりか……。あいつにはもう近づくなよ。」
お兄ちゃんが警告するように言うが。
「近付くも何も、私には何処の誰か分からない相手に、どう警戒すれば良いの?」
私が知っているのは、顔だけなのだ。名前さえ知らない相手を警戒するのは、難しいと思う。
「はぁ…、そうだよな。対応しかねるよな……。」
お兄ちゃんが、苦虫を食べてような顔をして言う。頭では、多分何か考えてるんだろうけど……。
「登下校は、遥が一緒だと言ったな。校舎内の移動は?」
心配そうな顔をして聞いてくる。
「ん? 龍哉くんや梨花ちゃん、その友達と殆んど一緒に居るよ。」
「そうか……。もう暫くは、その友達と一緒に行動するように。」
釘を刺すように言う。
その言葉に、私はその名前も知らない彼女に狙われてるんだと推測できた。
「うん、そうする。」
この時、素直に頷いた。
「そういえば、悠磨くんとは?」
お兄ちゃん、気になってるのかな。
まぁ、唯一中学から繋がりのある人だからね。
「悠磨くんとは、仲の良い男友達だよ。強いて言えば、龍哉くんみたいな付き合いかな。」
情愛はあるけど、遥さんに感じるものとは違う。本当に只の中学からの同級生ってだけ。
「そうか……。」
考え深げに頷くお兄ちゃんに新たな情報を与えることにした。
「悠磨くんの事、そんなに気にしなくても良いと思うよ。私の代わりの子が居るから、ね。」
泉さんの事を見ていれば分かるから……。
「そうか。なら良いんだが……。」
納得していないみたいだけど、それでもどうにか飲み砕いたみたいだった。
0
あなたにおすすめの小説
永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる
鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳――
それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。
公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。
だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、
王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。
政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。
紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが――
魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、
まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。
「……私が女王? 冗談じゃないわ」
回避策として動いたはずが、
誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。
しかも彼は、
幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた――
年を取らぬ姿のままで。
永遠に老いない少女と、
彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。
王妃になどなる気はない。
けれど、逃げ続けることももうできない。
これは、
歴史の影に生きてきた少女が、
はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。
ざまぁも陰謀も押し付けない。
それでも――
この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。
【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ
月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていたユウトとの恋は、彼のインスタ投稿によって一方的に終わりを告げた。
泣くのも違う。怒るのも違う。
ただ静かに消えよう。
そう決意してトーク履歴を消そうとした瞬間、指が滑った。
画面に表示されたのは、間の抜けたクマのスタンプ。
相手に気付かれた? 見られた?
「未練ある」って思われる!?
恐怖でブロックボタンを連打した夜。
カモメのフンより、失恋より、最後の誤爆が一番のトラウマになった女子大生の叫び。
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね!
※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル
生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します
桜桃-サクランボ-
恋愛
人身御供(ひとみごくう)は、人間を神への生贄とすること。
天魔神社の跡取り巫女の私、天魔華鈴(てんまかりん)は、今年の人身御供の生贄に選ばれた。
昔から続く儀式を、どうせ、いない神に対して行う。
私で最後、そうなるだろう。
親戚達も信じていない、神のために、私は命をささげる。
人身御供と言う口実で、厄介払いをされる。そのために。
親に捨てられ、親戚に捨てられて。
もう、誰も私を求めてはいない。
そう思っていたのに――……
『ぬし、一つ、我の願いを叶えてはくれぬか?』
『え、九尾の狐の、願い?』
『そうだ。ぬし、我の嫁となれ』
もう、全てを諦めた私目の前に現れたのは、顔を黒く、四角い布で顔を隠した、一人の九尾の狐でした。
※カクヨム・なろうでも公開中!
※表紙、挿絵:あニキさん
【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。
美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる