ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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中学生と婚約解消

告白…悠磨

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 その時から、彼女に相応しい男になる為に努力を続けてきた。
 片想いを脱却したくて、今日にでも告白したいと思ってる。
 幸いにも、帰りは彼女と二人っきりになれる。その時が、チャンスだと思っている。


 待ち合わせの駅についたが、まだ誰も来ていなかった。
 はぁ~。
 オレは、息を吐いて自分を落ち着かせ
「おっ、相変わらず早いな、悠磨。」
 順一が、声を掛けてきた。
「まぁな。」
 言い出したのオレだしな。
 それに、こうでもしないと彼女に休みの日に会うことなんて出来ないだろ。
 そんな事を考えてたら、ある程度集まってきた。
 だが、肝心の彼女の姿がない。
 まさか、事故に遭ってなんかいないだろうなぁ。
 不安が芹上がってきて、焦りだした時だった。
「おーい、亜耶。遅いよ!」
 誰かの声に安堵した。
 だが、しかしその後に。
「亜耶。後ろの人誰?」
 との声にオレも亜耶の後ろの人物に目を向ける。
 そこに居たのは、二年前の体育祭の時、亜耶のお兄さんと一緒に走っていた男性だった。
 亜耶が振り返ると。
「お兄ちゃんの友達の……。」
 と言い出し。
「高橋遥。亜耶のフィアンセだ!」
 とその人が言い出した。
 はっ?
 フィアンセ、だと?
 何言ってるんだ、この人。
 頭でも打ったのか?
 オレは、自己紹介した男を睨み付けていた。
 気付けば、目が合って互いに牽制し合ってた。
「遥! 何を言い出すんだ!」
 との声も聞こえてきたが、そんな事よりも、この人が、オレにとっての天敵だと悟った。

 図書館への移動中。
「それにしても、亜耶ちゃんにフィアンセが居るとは……。結構年上に見えたが……。」
 義幸が聞いてるのを耳にすると。
「フィアンセは、冗談だよ。年はね、お兄ちゃんとは十離れてるからね」
 亜耶が、苦笑しながら口にしてるが、本当の所は分からない。
 それよりも十も年が違うのか……。
 だったら、オレにも分があるんじゃないか思わされる。
「十って……結構いい大人じゃん。」
「でも、カッコよかったよ。」
 男女で意見が割れてるが。
 そんな中、オレは亜耶の傍に行き。
「なぁ、亜耶。本当に、高橋遥あのひととは、婚約関係じゃないのか?」
 再度と問い質した。
「うん、違うよ。こんなお子さま、相手にしない、って。よく、揶揄われるから。」
 何て、空笑いしだす。
 本当にそうならいいのだが……。
「それより、私、悠磨に聞きたい箇所があるから、早く行こ。」
 亜耶が、オレの袖を引っ張ってくる。
 可愛いなぁ。
 何て思いながら。
「わかったから、そんなに引っ張らないで。」
 苦笑混じりで返していた。


「で、どこがわからないんだ?」
 図書館に着き、空いてる席に隣どうしに座ると、そう口にした。
 すると、亜耶は参考書を広げ出して、問題を指で指し。
「ここなんだけれど……。」
「あぁ、これは……。」
 オレは、参考書を覗き込み解りやすく説明する。
「あっ、そっか……。ありがとう。」
 亜耶が、お礼を言ってくる。
「じゃあ、オレもここを教えてくれ。」
 交換条件のように亜耶に言えば、顔を赤らめて急に顔を逸らした。
 どうしたんだ?
「亜耶?」
 不思議に思いながら聞けば、問題集に目を向けて。
「あ、うん。これは……。」
 赤い顔のまま説明しだす亜耶。
 そんな姿も可愛く映るんだから、どうしよもない。
「お前ら、見せ付けてくれるなよ。」
 順一が、冷やかすように言ってくる。
「そうだよ。こっちの方が恥ずかしいよ。」
 と斎藤が冷静に言う。
「ばっ……、そんなんじゃねえよ。」
 オレは、慌てて言い返す。
「そうだよ。ただ、教えあってるだけ……。」
 って、フォローになってない言葉が、亜耶の口から出てくる。
「二人とも慌てすぎ。」
「って言うか、それじゃあ亜耶ちゃん、悠磨が可哀想だけど……。」
 義之が、揶揄かい出す。
 って、要らんこと言わなくても……。
 オレは慌て出すが、亜耶には気付かれてないようだ。
「何でもない。気にしなくて良いよ。」
 オレはそう言って、気付かないでくれなんて思った。
「アイツは、何突然言い出すんだよ……。焦ったじゃねえか。」
 そう小声で言葉にしていた。


 図書館の閉館と共に外に出る。
 吐く息が白くなる。

「明日からのテスト、悔い無いようにな。」
「うん。」
「おうよ。」
 誰かしらの言葉にそれぞれが、返事する。
「男子は、女子を送って行けよ。」
 そんな中にオレは声をかける。
 すると、自然と同じ方向のグループが幾つか出来、そ  れぞれが帰路に着く。
 そんな背中を見送ってから。
「オレらも、帰るか。」
 そう亜耶に声をかけた。


 暫くの沈黙の後。
「あのさぁ、亜耶。」
 オレは思い切って声をかける。
「ん? 何。」
 亜耶が、不思議そうな顔をして聞き返してきた。
「昼間のさぁ、男の人って、本当に亜耶とは関係無いんだよな?」
 確認するように亜耶に聞けば。
「うん。お兄ちゃんの友逹ってだけ。それがどうかしたの?」
 その言葉に勇気をもらい、足を止めて亜耶に向き直った。
「亜耶……。オレ……オレさぁ、亜耶のこと、好きなんだ。だから、オレと付き……付き合って。」
「亜耶ーー!!」
 肝心な最後の言葉が、途絶えた。
 邪魔物によって。
「迎えに来たよ。」
 絶妙なタイミングだ。
 どこかで、見張っていたんではないかって、思わされるぐらいに。
 唖然としながらもオレは。
「迎えが来たのなら、オレはこ。れで」
 そんな言葉を口にしてその場を後にした。

  
 何で、告白の邪魔するかなぁ。
 折角良いチャンスだったのに……。
 オレは、そう思いながら家まで走って帰った。







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