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中学生と婚約解消
俺の想い…遥
しおりを挟む俺の背中で、スヤスヤ眠る大切な亜耶。
とても気持ち良さそうだ。
しかし、さっきの亜耶、可愛かったなぁ……。
あんなに甘えてきたの何時以来だろう? 否、無かったか?
まぁ、どっちでも良いか……。
あいつらに、少しは牽制出来ただろう。
こんなに毛嫌いしている俺に、甘えた声を出す亜耶が可愛くて仕方ない。
亜耶の中にある俺の存在が、少しずつ大きくなっていればそれで良い。
だが、俺よりも悠磨の存在が大きかったら 俺は……。
って、今考えるべき事ではないな。
俺は、自分で "待つ" と決めたんだ。
亜耶が、俺の事を好きになるのを……。
今は、同年代の男が気になる時期だとわかってる。
だけど、そんな亜耶を見るのは辛い。
亜耶。
早く気付いてくれ。
俺の想いに……。
「は……るか……さん……。」
突然亜耶の声が、俺の耳に届く。
夢にまで、俺が出てきてるのか?
一体どんな夢を見てるんだか……。
嬉しいような、恥ずかしいような気になりながらも家に足を進める。
鞠山家の玄関を開けて、潜る。
不法侵入とかじゃないからな。
一様、合鍵預かってるんだ。高校の時に一時お世話になってたこともあってな。
「まぁ、遥さん。重かったんじゃありません?」
玄関の戸が開いた音に気が付き亜耶の母親が、リビングから顔を出す。
亜耶そっくり(……違うか、亜耶が母親に似てるのか)で、おっとりしてるんだが気が抜けない人だ。
「大丈夫ですよ。このまま亜耶の部屋に向かいますね。」
俺は、そう言って亜耶の靴を脱がして二階の部屋まで背負って行く。
「お願いね。」
母親の声を背に受けて、階段を上る。
亜耶の部屋は、階段を上って、右手奥の部屋。手前側は雅斗の部屋だ。
部屋のドアを開けて、中に入り荷物を勉強机の上に置き、亜耶をベッドの上に静かにゆっくりと下ろした。
あどけない寝顔を見ながら、髪を撫でるが起きる気配もない。
暫くそうしていたが、そろそろ帰らないと明日も朝早くから仕事だ。
あっ、そうだプレゼント。
俺は、自分の鞄から亜耶へのプレゼントを取り出し、机の上に置いた。
先ほど置いた荷物を改めて見る。
紙袋が三つある。一つは、雅斗のだろうと目星がつく(兄妹仲良いからな)。じゃあ、後二つは?
一つは、俺のだろう。何だかんだ言いながら、毎年準備してくれてたもんな。
後一つは、悠磨のだろうか?
そんな憶測を浮かべながら、自分へのプレゼントが何れだか、悩んだ。
大抵の場合、プレゼントにカードが付いてるのだが、今回のは付いていない。
何れだ?
包装されてるリボンの色を見てみる。
一つは、赤色で高さがあるモノ。二つ目は、緑色のリボンで高さはそんなにないが掌が入るぐらいのモノ。 三つ目は、青色のリボンで一つ目のよりは高さはないが二つ目のモノより少し長めだ。
これは、たぶん三つ目のモノが俺のなのだろう。亜耶は、俺へのプレゼントは大抵青いリボンで飾られてるからな。
俺は、三つ目のプレゼントを手にして、亜耶の額にかかる髪を払いそこにキスを落として部屋を出た。
「遥。ありがとうな。」
部屋を出るとドアの前で雅斗が待ち構えていた。
「気にするな。俺がしたいと思っただけさ。お礼を言いたいのはこっちさ。」
接待抜けれたしな。
「亜耶、半分落ちてただろ。」
雅斗が、苦笑する。
「あぁ。悠磨にあんな顔見せられないしな。早めに行けてよかったよ。」
完全に寝落ちるする前でよかったよ。
「……でお前の方はデートじゃないのか?」
俺が聞けば。
「由華が、今日は家族と過ごしたいって言うからな、今日は時間があるんだよ。」
雅斗が、肩を落として言う。
「そうか。俺、明日も早いから帰るな。」
俺は、雅斗と共に階段を降りていき、リビングに居るであろう母親に挨拶をしようと行くと。
「あら、遥くん。今日は、遅いから泊まっていけばいいじゃない。」
不意に声をかけられた。
泊まりたいとは思うものの。
「すみません。明日も早いから今日は帰ります。」
萎縮しながらそう答えると。
「そう……。体調だけは気を付けてね。」
心配気に言って来る母親に。
「有難う御座います。」
俺は玄関に足を向ける。
「雅斗、亜耶にプレゼントありがとうって言っておいて。」
俺がそう口にすれば。
「そんなの直接に亜耶に言えばいいじゃん。」
雅斗が突き放す様に言う。
直接って……。俺、今の時期滅茶苦茶忙しいのに、どうやって会って言うんだよ。
俺が、翻弄してる間に。
「明日の夕方六時半に駅で待ち合わせな。」
唐突の雅斗の誘いに。
「何だよそれ。俺の都合は、お構いなしか。」
不貞腐れるように言えば。
「そうだよ。お前は、無理矢理にでも約束を入れないと来ないだろうが。」
呆れたように言われる。
まぁ、そう言われればそうなんだが……。
だからと言って明日とは急すぎじゃないか。
と思いながらも。
「わかった。」
渋々了承する俺。
「メンバーは、俺と由華、お前と亜耶な。」
メンバーを聞き落胆する。
亜耶は、良いんだが、沢口が来るのか……。
「わかった。じゃあおやすみ。」
俺は、玄関を出ると家路に急いだ。
翌朝。
雅斗から写メが届いた。
そこには、俺がプレゼントしたチョーカーをつけて笑顔の亜耶の写真
亜耶、身に着けてくれたんだ。
感動しながら、雅斗からのメッセージに目を向ける。
"亜耶。嬉しそうに身に付けたぞ"
とのこと。
そうか、よかった。
俺は、送られてきた写メを待ち受けに設定した。
疲れた時、直ぐに見れる癒しとして……。
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