ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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中学生と婚約解消

お兄ちゃんと①…亜耶

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 さっきの遥さん、何か様子が可笑しかったけど、何かあったのかなぁ?

 本の少しだけ気になってしまい遥さんの事を思い描く。
 そんな時。

 コンコンコン。
 ドアのノック音が部屋に響いた。
  「は~い」
 私を返事をして、席を立ちドアに足を向ける。
 ドアを開けるとお兄ちゃんが居て。
「亜耶。遥は?」
 と聞きながら、部屋の中をキョロキョロと見渡す。
「ん? 遥さんなら、さっき帰って行ったよ。何か用事があったみたい」
 そう口にすれば。
「そっか……」
  残念がるお兄ちゃん。
 遥さんに用事があったのかな? 何て思いながらお兄ちゃんを見ていたら。
「なら、良いや。後で電話するから……。勉強で解らないところがあったら、何時でも聞きに来いよ。遥ほど上手く教えれないがな」
 そう言って、お兄ちゃんは自分の部屋に戻って行く。
「一体、何しに来たんだろう?」
 そう口にし首を傾げながら、勉強机に向かった。


 集中が途切れふと顔を挙げて時計に目をやる。
 午後一時半過ぎ。
 道理でお腹が空いてるわけだ。
 私は、空腹を満たすために下に降りた。

「あれ、亜耶居たの? てっきり、遥さんと一緒に出掛けたかと思った」
 リビングに入るなりにお母さんがそう口にした。
 えっ……?
 それって、もしかして……。
「私のお昼は?」
 とお母さんに訪ねると。
「居ないと思ってたから、作ってないわよ」
 ニコヤカな顔で言うお母さん。
 やっぱり……。
 どうしよう。
 お腹空きすぎて、集中できないよ。
 途方に暮れてれば。
「どうしたんだ、亜耶?」
 落ち込んでた私に声を掛けてきたのは、お兄ちゃん。
「お昼、食べ損ねた」
 って、落胆した声で言えば。
「外に食べに行くか?」
 お兄ちゃんの申し出に。
「いいの?」  
 聞き返せば。
「良いよ。遠慮するなよ。準備しておいで」
 お兄ちゃんの言葉に、私は部屋に戻り準備する。
 昨日もお兄ちゃんが色々と買ってくれたのに、今日も何て気が引けるんだけど……。
 かといって、自分のおこづかいじゃ払えるわけもなく……。
 結局お兄ちゃんに甘えるしかないんだなって、思ってしまう。
  
 準備を整えて、下に行けば玄関口でお兄ちゃんが待っててくれた。
「お待たせ」
 私はそう声をかけると。
「おう。歩いて行くか?」 
 私はそれに頷いて、ブーツを履いた。
 二人で玄関を出た。


「亜耶。遥の事、どう思ってるんだ」   
 道すがら、お兄ちゃんが聞いてきた。
「何で?」
 聞き返すと。
「亜耶が戸惑ってるように見えるから……かな」
 お兄ちゃんに言い当てられて瞠目する。
「な、何でわかったの?」
 当惑する私に。
「ん、まぁ、何と言うか……。ここの所、遥も亜耶に対する態度が少しずつ変わってきてるかなぁと思ったのと、亜耶がそれに対してどう対処すれば良いのか分からないって感じがしたんだが、違うか?」
 あ~あ、お兄ちゃんには、叶わないな。
「違わないよ。今までと違う遥さんに、どう対処して言いか分からなくて、オロオロしてる」
 素直に口にすれば。
「やっぱりか……。まぁ、亜耶はそのままで良いんだよ。変に気にすれば、遥の方が傷つくしな」
 って、お兄ちゃんが私の頭をポンポンと叩く。
「で、今の遥に対する気持ちは?」
 お兄ちゃんが、苦笑しながら聞いてくる。
「んー。わからない」
 私の返答に驚くお兄ちゃん。
「何かね、今まではただの鬱陶しい人だったんだけど、昨日から違うと言うか、見方が変わってきたと言うか……」
 自分が思ってることが上手く口に出来なくて、もどかしくなる。
 最近までは、"なんでこんな私を構うんだろう? 遥さんならモテルだろうに"って思ってた。
 でも、昨日のあの場面を見たら、何時もと違う一面を目の当たりにしたら、こんな顔もするんだって知ったら、胸がキュンと締め付けられたんだよね。
「そっか……。亜耶の中で、遥に対する気持ちが変わってきてるんだな」
 お兄ちゃんの言葉にドキッてする。
 だけど、今私が気になるのは、悠磨くんで。
「で、亜耶の心に今居座ってるのは、誰?」
 お兄ちゃんに見透かされてる気がする。
「えっと……」
 言い淀む私に。
「渡辺悠磨?」
 確信を付くように聞いてきた。
「えっ……、うん。悠磨くん」
 素直に答える。
「そっか……」
 複雑な顔をするお兄ちゃん。
 何で、そんな顔をするの?
 不思議に思いながら、お兄ちゃんを見上げる。
「どうかしたか?」
「えっ、何でもない」
 どうかしたのかは、私が聞きたかったんだけど、先に聞かれると聞き返せれない。
「ほら、着いたぞ」
 お兄ちゃんが、入り口のドアを開けて待っててくれる。
「ありがとう」
 私は、そのドアを潜り抜けると。
「いらっしゃいませ!!」
 元気な店員さんの声が店内に響いた。






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