ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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高校生編と再婚約の条件

テスト勉強…亜耶

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  放課後。
  私は、悠磨くんのクラスに赴いた。
  梨花ちゃん達には、先に行ってもらって、昨日と同じ部屋を取ってもらった。
  昼休みに悠磨くんと湯川くんが来て、人数が増えた事を聞いていた。
  昨日借りた部屋なら、多少増えても大丈夫だと思ったんだ。


「悠磨くん。」
  私は、教室を覗き込む。
「亜耶。ちょっと待ってて。」
  悠磨くんが、慌てて鞄を掴むとこっちに来る。
  それに逢わせるように湯川くんも。
「私もいい?」
  委員長の女の子が言う。
  この子、悠磨くんを狙ってる子だよね。
「泉が、行くなら、私も行く。」
  って、他の女の子が三人。
「僕もいいかな?」
  遠慮がちに声が上がって、計七人。
  多いなぁ。
  まぁ、いいか……。
  自分の復習になると思えば……。
  悠磨くんも居ることだし、龍哉くんも……。
「行こうか……。」
  私が声をかけると、ゾロゾロと図書室に向かった。


「亜耶。悪いな。こんな大勢で。」
  隣を歩いている悠磨くんが、申し訳なさそうに言う。
「いいよ。自分の為になるしね。」
  私は、笑顔でそう答えた。
「亜耶なら、そう言うと思ったよ。」
  って、苦笑してる。
「ごめんね、鞠山さん。まさか、こんなになるとは思ってなかった。」
  湯川くんが苦笑しつつ言う。
「大丈夫だよ。それに解らないところは、教え合った方がいいと思うしね。」
  私は、そう言いながら遥さんを思い出した。
  遥さんの教え方、凄く解りやすかったよなぁ。
  あれって、自分に身に付けてるから、解りやすく説明が出来るんだろうなぁ……。

  何て考えながら、歩いている内に図書室の前に着いた。

「亜耶、図書室に入らないのか?」
  悠磨くんが、不思議そうな顔をして聞いてきた。
「うん。こっちがそう。」
  私は、図書室の隣に設置されてる、自習室を指す。
「こんな場所に自習室何てあったんだ。」
  湯川くんが驚きの声をあげる。
「うん。私も昨日初めて知った。」
  私は、そう言いながらドアをノックした。
「はい。どうぞ。」
  中から龍哉くんの声。
  私は、ドアを開けて中に入ると昨日と同じ並びで座ってる六人。
「お待たせ。」
  私が、そう声をかけると。
「亜耶! ちょうどよかった。これ、教えて。」
  昨日のメンバーの愛美ちゃんが言う。
「あ、うん。」
  私は、鞄を空いてる席に置くと愛美ちゃんの所に行く。
「悠磨くん達も空いてる席に座って、始めて。」
  それだけ言って、愛美ちゃんに教え始めた。
  その間にも悠磨くん達が、席に着き、それぞれ問題集を広げて始めた。
「ありがとう。助かった。」
  愛美ちゃんから、解放され自分も席に着く。
  私の隣には、当然のように悠磨くんが座っていた。その横には、湯川くんが(私は、てっきり委員長の女の子が座るものだと思ってた)……。
「亜耶。朝言ってたところ何だけど……。」
「あっ、うん。どこ?」
  私が席に着いて直ぐに悠磨くんが聞いてきた。
「ここ……。」
  悠磨くんが指を差したところを見る。
「ここは……。」
  って、教え始めた。

  顔が近いのは何時もの事。然程気にすることもなく、進めていった。
「そっか……。ありがとう、亜耶。やっと理解できた。」
  悠磨くんの満面の笑み。
「どういたしまして。じゃあ、次は私だね。ここ、教えて欲しいんだけど……。」
  私が指したのは、数学。
  実は、数学は他の教科に比べて苦手だったりする。
「相変わらずだな。これは、これの応用だよ。だから、この公式を使って解けばいいんだよ。」
  悠磨くんが、そう言いながら教科書に載ってる公式を指して言う。
  ん?
  えっと、こうなってあーだから……。
「解けた。ありがとう、悠磨くん。」
  私はそう言って、微笑んだ。
「あ、ああ……。」
  悠磨くんが、口許を片手で押さえてそっぽを向く。

  ?
  耳が赤いのは何故?
「もしかして、鞠山さんって、誰かに教えてもらってたりする?」
  湯川くんが、悠磨くんを挟んで聞いてきた。
  そんな事始めて言われた。
「えっ、何で?」
「教え方が、上手だから」
  って言われてしまえば、言うしかないよね。
「うん。お兄ちゃんに聞いたりするし、極偶にだけどその友達にも聞くときがあるよ。だけどその人忙しいから、滅多に会わないし、会った時に纏めて解らない所を聞いてるんだ。」
  悠磨くんにはバレちゃうかなぁ。湯川くんも知ってそうだけどね。
「そうなんだ。」
  湯川くんが納得したように言うが、横に居る悠磨くんが、苦虫を噛んだ顔をする。
  やっぱり、わかっちゃったか。
「悠磨くん、教えて欲しいところがあるんだけど……。」
  猫なで声が聞こえてきた。
  悠磨くんのクラスの女の子だ。
「そっち行く。」
  悠磨くんが、席を立ち教えに行く。
「ねぇ、鞠山さん。あの二人を見てどう思う?」
  意味深な言葉を投げ掛けてくる、湯川くん。
「どうって。なんとも思わないけど?」
    二人が仲良く近付いて話しては居るけど、別になんとも思わない。それが、遥さんだったら、胸の奥がモヤモヤして苦しくなる。
  何でまた、遥さんに置き換えてるんだろう?
「鞠山さんって、悠磨と付き合ってるんだよね? それって、可笑しくない?」
  突っ込んだ質問をしてくる、湯川くん。
  可笑しいとは?
  少し考えてから、湯川くんが言わんとすることがわかり、どう答えようと考えあぐねていると。
「亜耶、これオレにも無理だ。教えてやって……。」
  悠磨くんのヘルプ要請。
  助かったのは、私の方だ。
「うん、わかった。」
  私も席を立ち、そこに行き説明した。

「えっ、あっ解った。ありがとう、鞠山さん。」
  嬉しそうにお礼を言われると、教えた会があったかなって思う。
  あっ、自分がやりたい仕事が見つかった。
  私、教師を目指そう。
  自分が教えて解ったときの笑顔って、凄く嬉しい。
  何で、遥さんが教免を取ったか、わかった気がした。

「亜耶、ボーとしてどうした?」
  悠磨くんに言われて。
「ううん。何でもない。」
  首を横に振って、席に戻り 勉強に取りかかった。

  その後もお互いの解らないところを教え合いながら、勉強を進めていった。

  一週間のテストの期間中、自習室での勉強会は、行われて、10科目のテストが終わった。





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