ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

文字の大きさ
121 / 145
高校生編と再婚約の条件

安定の日々は何処に…悠磨

しおりを挟む

  テストも無事(?)に終わった。
  順位? 学年五位(因みに一位が亜耶で、二位が河合龍哉って奴)だった。
  新入生代表をしてた、細川だっけアイツ意外と低かったなぁ、余談だけど……。

  やっと落ち着いたと思ったら、レクリエーションだと……。
  例年通りだと、学年毎のレクの筈なんだけど、なんだか今年は勝手が違うらしい……。
  何故らしいかって、校内の噂でどうも全校総交ぜのレクだとか……。(全くもって面倒くさい。)
  何でそうなったのかは、生徒会への意見が殺到したからってことらしいが……(多分だがオレの憶測だと亜耶に少しでも近付こうとする男子生徒の意見が多くて、そう動かず得なかったんだろうが……)。
  今日は、その集まり。


「悠磨くん、行こう。」
  泉が、オレの腕を引っ張る。
「わかった。だから引っ張るな。」
  オレの腕を楽しそうに引っ張る泉から無理に引っこ抜き、教室を出る。
  ハァー、全校レクって、どうやって班決めするんだよ。
  好きな奴同志組むわけ無いだろうし……。


  集合場所の教室に入ると既に生徒会役員、クラス委員も半数以上揃ってる。
  何で、こんなに早く集まってるんだ?
  それだけ、楽しみにしてるってことか?

  オレ達は、宛がわれてる席に着く。
「レク楽しみだね」
  泉が嬉しそうに言う。
「そっか? オレは面倒くさいが……。」
  眉間にシワを寄せて言う。
  イベント事ほど厄介な物はないと思ってるんだ。
「そんな事言って、本当は楽しみなんでしょ?」
  オレの腕をつついてくる泉。
  ハァー、厄介事が増えただけなんだが……。
  最近泉のボディータッチ、やけに多いなぁ……。
  何て思ってたら。
「ほら、亜耶ちゃん。俺等が最後だよ。」
  って声が聞こえてきた。
  この声は、河合の声か。その声で、一斉に(特に男子)入り口に集中する。
  そこに亜耶が、現れる。
「えっ、本当だ。遅くなってすみません。」
  亜耶が、入り口でそう言ってペコリ頭を下げる。その姿に釘付けになる男子(オレと河合はそうでもないが……)。そして、仄かに顔を赤らめてる。
  亜耶は、そんな事に気を止めることなく、自分の席に着きオレと目が合うとニッコリ笑って、手を振ってきた。
  うっ……、抱き締めてこいつらの視界から消したいって、いかんいかん亜耶は、あの人のだから……。
  オレは、そう自分に言い聞かせる。
「全員揃ったところで、始めるか。」
  生徒会長の言葉で、今回のレクの説明が始まった。

  今回のレクは全学年参加の学年入り乱れのレクリエーション。用は、学年の垣根無しのレクだそうだ。
  各チェックポイントの所に問題やお題があり、それをクリアしないと次に進めないとの事。
  で、班の割り振りだが、一班六人でレク前日に登校時間に校門でクジを引き班を決めるという事になった。

  ハァー。
  亜耶に群がる男達をどうするかなぁ……。
  オレが、亜耶と同じ班になる確率なんて極僅か。
  どうすればいいんだ?
  亜耶は、しっかりしてそうで何処か抜けてるところあるから、心配だ。
  あの人なら、守れるんだろうが……。
  考えろ、考えるんだ。


「悠磨くん、眉間に紫波が寄って怖い顔になってるよ。」
  話が終わり、教室に戻る途中で、隣を歩いている泉が声をかけてきた。
「何でもない。」
  オレは、そう答えて、足早に教室に向かう。
「ちょっ、悠磨くん。待ってよー。」
  泉が、慌てて追い駆けてくる。

  一人で考えてるより、事情を知ってる透に相談する方が早い。
  透なら、何かいい案があるかも? って、思った。


  教室に戻ると。
「透、ちょっといいか?」
  そう声をかけた。
  透が、オレを見ると何かを悟ったみたいに。
「あぁ……。」
  手短に返事を返してきて、直ぐに教室を出た。


  人気の無い教室に入って、レクの事と亜耶の事を話した。
「何? やっぱり、全学年レクになったんだ。」
  浮かれ気味の透。
「班の事は、仕方ないんじゃないか? まぁ、知ってる奴に声をかけてはおくよ。鞠山さんに手を出す奴が居たら、止めるように言っておくし……。まぁ、バックが黙っちゃい無いって。」
  透が、腕を前で組み、少し考えてから、そう告げてきた。
  って言うか、バックって何?
  どっかの強面の人が亜耶には着いているのか?
  透の裏情報ってどうなってるんだ?
「まぁ、当日何が起きても慌てるんじゃないぞ。今は、お前が鞠山さんの彼氏。本当の婚約者から一任されてるんだから、堂々としとけ。」
  透が、眉間にシワを寄せて言う。
  そうだな。今から当日の心配してても仕方がない。
「ほら、委員長。次の授業が始まるから、戻るぞ」
  おどけるように言う透にオレは、救われてるのかもしれない。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

先生

藤谷 郁
恋愛
薫は28歳の会社員。 町の絵画教室で、穏やかで優しい先生と出会い、恋をした。 ひとまわりも年上の島先生。独身で、恋人もいないと噂されている。 だけど薫は恋愛初心者。 どうすればいいのかわからなくて…… ※他サイトに掲載した過去作品を転載(全年齢向けに改稿)

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。

お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します

縁 遊
恋愛
幼い頃から可愛いあまりに知らない人に誘拐されるということを何回も経験してきた主人公。 大人になった今ではいかに地味に目立たず生活するかに命をかけているという変わり者。 だけど、そんな彼女を気にかける男性が出てきて…。 そんなマイペースお嬢様とそのお嬢様に振り回される男性達とのラブコメディーです。 ☆最初の方は恋愛要素が少なめです。

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

お嬢様は新婚につき誘惑はご遠慮します

縁 遊
恋愛
初恋の人との恋を実らせて結婚したお嬢様の高宮 菫(たかみや すみれ)。 新婚の菫奥様には悩みがいっぱい。 旦那様には溺愛されてどう対応して良いかも分からないし、結婚してから地味な化粧を止めたらいろんな人から誘われる様になってしまって…こちらも対応に困ってしまう。 天然で憎めないお嬢様(新婚奥様)の何気ない日常のお話です。 溺愛いえ…激甘にする予定です。 苦手な方はご遠慮下さい。 作品は不定期更新になります。 これは『お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します』の続編です。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

処理中です...