126 / 145
高校生編と再婚約の条件
閑話 湯川透サイド
しおりを挟む俺、湯川透。
一様、令息なんだが、三男という立場何で、自由気儘ではある。
まぁ、高校入学と同時に婚約者と同棲を強いらげてはいるが(親に決められた)。
彼女も同じ年なんだが、お嬢様が通う女子高に行っている。
それなりに充実した日々を送っているんだが……。
まさか、あの鞠山財閥の秘蔵っ子(孫娘)が、同じ学校に居て、兼ねてから決まっている相手じゃなく、極一般の男子生徒と付き合ってるなんて、思ってもいなかった。
そんな中で、俺はその彼と親友(自分だけがそう思ってるだけかもしれないが)の間柄になり、彼女の事を色々と相談を受けるまでになった。
彼女の気持ちが何処に在るかは、俺にはわかりかねるが、たぶんこいつは捨てられる運命だとわかったのが数日前。
で、レクという校内イベントを控えた前日の朝、悠磨が俺に頭を下げてきた。
俺は、安請け合いで"任された"なんて言葉を口にした直後、そいつが言った言葉に頭を抱え込んだ。
そして、再度掲示板を確認しに行ったのは言うまでもない。
何で、寄りにも寄って篠崎先輩と泉も一緒なんだよ。
先輩だけならいいんだ、まだなんとか出来るっていうかして見せる。
……が、泉はまずいだろう。
親友は気付いてないだろうが、泉は悠磨を狙ってる。そして、鞠山さんを敵視してる節がある。
女の嫉妬ほど醜いものはない。……けど、悠磨の前だけ猫を被ってる泉だ。何するかわかったもんじゃない。
あいつの行動を逐一見張ってるわけにもいかない。
かといって、鞠山さんに何かあれば、高橋遥に攻められるのは目に見えている。
そのあの人は、彼女の為に今ここに居ないとなれば親友が守るより仕方がないのだが……、班が別となると、そう言うわけにもいかない。
何で、こんな板挟みになってるんだよ俺。
「どうしたの透くん。何か悩み事?」
自宅のソファーに座ってた俺の膝に戸惑うことなく座ってきたのは、俺の可愛い婚約者。
彼女が心配そうに俺を見つめてくる。
「うん……。真由も良く知ってる、鞠山財閥の孫娘の亜耶ちゃんをどう守るか、思案中。」
俺は、迷いもなくそう告げた。
「何で亜耶ちゃん? どう言うこと?」
真由は、一瞬不機嫌な顔をしてまた心配そうな顔をする。
「俺の一番は、真由だから安心してな。明日、俺の学校でレクリエーションがあって、全校生徒参加、学年ごちゃ混ぜの班でな。で、俺、鞠山さんと同じ班な訳で、他に同じクラスの女子も一緒なんだが、その子の狙ってるのが、鞠山さんが付き合ってる彼なんだが……。彼って言っても高橋さんじゃないからな。」
俺は、最後を強調するように言う。
真由は、コクリと頷く(高橋遥と真由は、従兄どうしだ。)。
「その子の評判、余り良くないんだよ。狙った男の彼女には、酷い仕打ちをするって噂なんだよ。」
悪戯で済めばいいんだが……。
「えっ……。亜耶ちゃん、凄くいい娘なのに……。本当の事を知ったら、その子亜耶ちゃんの事苛めとうしちゃうんじゃ?」
真由の言葉に俺は、はっとした。
何で気付かなかったんだ。
悠磨とは、仮の彼氏だ。それがばれたら、あいつ何するかわからない。
余計に頭を抱える事になる。
「ねぇ、透くん。明日だけ私も一緒に行こうか? その方が、亜耶ちゃんも安心すると思うし。」
真由の言葉は、正直ありがたかった。
そうしてくれたら、どれだけ楽になるか……。
「気持ちだけもらっておく。真由が、うちの生徒じゃないってバレたときの方が怖い。」
俺は、そう言いながら真由の頭を撫でる。
バレるってのは、理事長になんだけど……。
親に怒られる真由の姿が目に見えてるからだ……。
「だけど、私も亜耶ちゃんが心配だよ。はる兄の唯一の人だから、何かあったときが怖いよ。」
真由が、本当に鞠山さんを心配してるのがわかる。
それにあの人の怖さは、真由が一番体験してると言っても過言ではない。
「でもさぁ、こればかりは、明日にならないとどうなるかわからない。まぁ、残りの二人も俺の知人だったし、それとなく見張るように言ってある。」
一人は、女の先輩で鞠山さんに絶えず寄り添ってて欲しいって言っておいたから大丈夫だと思う。
真由が大きな目を曇らせながら。
「透くん。明日は、亜耶ちゃんをちゃんと守ってあげてね。私からのお願いです。」
自分の事のように言う彼女。
「そのつもりだよ真由。彼女に何かあったら、ちゃんと知らせるから。」
俺は、彼女を抱き締める。
「必ずだよ。約束して。」
彼女の必死さに。
「あぁ、約束な。」
俺は、約束の印として彼女の額に口付けた。
この過信が、間違いだとも知らないで。
0
あなたにおすすめの小説
先生
藤谷 郁
恋愛
薫は28歳の会社員。
町の絵画教室で、穏やかで優しい先生と出会い、恋をした。
ひとまわりも年上の島先生。独身で、恋人もいないと噂されている。
だけど薫は恋愛初心者。
どうすればいいのかわからなくて……
※他サイトに掲載した過去作品を転載(全年齢向けに改稿)
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します
縁 遊
恋愛
幼い頃から可愛いあまりに知らない人に誘拐されるということを何回も経験してきた主人公。
大人になった今ではいかに地味に目立たず生活するかに命をかけているという変わり者。
だけど、そんな彼女を気にかける男性が出てきて…。
そんなマイペースお嬢様とそのお嬢様に振り回される男性達とのラブコメディーです。
☆最初の方は恋愛要素が少なめです。
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
お嬢様は新婚につき誘惑はご遠慮します
縁 遊
恋愛
初恋の人との恋を実らせて結婚したお嬢様の高宮 菫(たかみや すみれ)。
新婚の菫奥様には悩みがいっぱい。
旦那様には溺愛されてどう対応して良いかも分からないし、結婚してから地味な化粧を止めたらいろんな人から誘われる様になってしまって…こちらも対応に困ってしまう。
天然で憎めないお嬢様(新婚奥様)の何気ない日常のお話です。
溺愛いえ…激甘にする予定です。
苦手な方はご遠慮下さい。
作品は不定期更新になります。
これは『お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します』の続編です。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる