ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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高校生編と再婚約の条件

閑話 湯川透サイド

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  俺、湯川透。
  一様、令息なんだが、三男という立場何で、自由気儘ではある。
  まぁ、高校入学と同時に婚約者と同棲を強いらげてはいるが(親に決められた)。
  彼女も同じ年なんだが、お嬢様が通う女子高に行っている。

  それなりに充実した日々を送っているんだが……。

  まさか、あの鞠山財閥の秘蔵っ子(孫娘)が、同じ学校に居て、兼ねてから決まっている相手じゃなく、極一般の男子生徒と付き合ってるなんて、思ってもいなかった。

  そんな中で、俺はその彼と親友(自分だけがそう思ってるだけかもしれないが)の間柄になり、彼女の事を色々と相談を受けるまでになった。
  彼女の気持ちが何処に在るかは、俺にはわかりかねるが、たぶんこいつは捨てられる運命だとわかったのが数日前。
  で、レクという校内イベントを控えた前日の朝、悠磨しんゆうが俺に頭を下げてきた。
  俺は、安請け合いで"任された"なんて言葉を口にした直後、そいつが言った言葉に頭を抱え込んだ。
  そして、再度掲示板を確認しに行ったのは言うまでもない。
 
  何で、寄りにも寄って篠崎先輩と泉も一緒なんだよ。
  先輩だけならいいんだ、まだなんとか出来るっていうかして見せる。
  ……が、泉はまずいだろう。
  親友は気付いてないだろうが、泉は悠磨を狙ってる。そして、鞠山さんを敵視してる節がある。
  女の嫉妬ほど醜いものはない。……けど、悠磨の前だけ猫を被ってる泉だ。何するかわかったもんじゃない。
  あいつの行動を逐一見張ってるわけにもいかない。
  かといって、鞠山さんに何かあれば、高橋遥あの人に攻められるのは目に見えている。
  そのあの人は、彼女の為に今ここに居ないとなれば親友が守るより仕方がないのだが……、班が別となると、そう言うわけにもいかない。
  何で、こんな板挟みになってるんだよ俺。

「どうしたの透くん。何か悩み事?」
  自宅のソファーに座ってた俺の膝に戸惑うことなく座ってきたのは、俺の可愛い婚約者。
  彼女が心配そうに俺を見つめてくる。
「うん……。真由も良く知ってる、鞠山財閥の孫娘の亜耶ちゃんをどう守るか、思案中。」
  俺は、迷いもなくそう告げた。
「何で亜耶ちゃん? どう言うこと?」
  真由は、一瞬不機嫌な顔をしてまた心配そうな顔をする。
「俺の一番は、真由だから安心してな。明日、俺の学校でレクリエーションがあって、全校生徒参加、学年ごちゃ混ぜの班でな。で、俺、鞠山さんと同じ班な訳で、他に同じクラスの女子も一緒なんだが、その子の狙ってるのが、鞠山さんが付き合ってる彼なんだが……。彼って言っても高橋さんじゃないからな。」
  俺は、最後を強調するように言う。
  真由は、コクリと頷く(高橋遥あの人と真由は、従兄どうしだ。)。
「その子の評判、余り良くないんだよ。狙った男の彼女には、酷い仕打ちをするって噂なんだよ。」
  悪戯で済めばいいんだが……。
「えっ……。亜耶ちゃん、凄くいい娘なのに……。本当の事を知ったら、その子亜耶ちゃんの事苛めとうしちゃうんじゃ?」
  真由の言葉に俺は、はっとした。
  何で気付かなかったんだ。
  悠磨とは、仮の彼氏だ。それがばれたら、あいつ何するかわからない。
  余計に頭を抱える事になる。
「ねぇ、透くん。明日だけ私も一緒に行こうか? その方が、亜耶ちゃんも安心すると思うし。」
  真由の言葉は、正直ありがたかった。
  そうしてくれたら、どれだけ楽になるか……。
「気持ちだけもらっておく。真由が、うちの生徒じゃないってバレたときの方が怖い。」
  俺は、そう言いながら真由の頭を撫でる。
  バレるってのは、理事長おやになんだけど……。
  親に怒られる真由の姿が目に見えてるからだ……。

「だけど、私も亜耶ちゃんが心配だよ。はる兄の唯一の人だから、何かあったときが怖いよ。」
  真由が、本当に鞠山さんを心配してるのがわかる。
  それにあの人の怖さは、真由が一番体験してると言っても過言ではない。
「でもさぁ、こればかりは、明日にならないとどうなるかわからない。まぁ、残りの二人も俺の知人だったし、それとなく見張るように言ってある。」
  一人は、女の先輩で鞠山さんに絶えず寄り添ってて欲しいって言っておいたから大丈夫だと思う。
  真由が大きな目を曇らせながら。
「透くん。明日は、亜耶ちゃんをちゃんと守ってあげてね。私からのお願いです。」
  自分の事のように言う彼女。
「そのつもりだよ真由。彼女に何かあったら、ちゃんと知らせるから。」
  俺は、彼女を抱き締める。
「必ずだよ。約束して。」
  彼女の必死さに。
「あぁ、約束な。」
  俺は、約束の印として彼女の額に口付けた。



  この過信が、間違いだとも知らないで。






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