知らぬはヒロインだけ

ネコフク

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十一話(アリサ①)

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 おかしい。

 何でゲーム通りに進まないんだろ。

 私が前世の記憶を思い出したのは12歳、突然でびっくりしたけど鏡の中の今の自分を見て歓喜した。

 だって鏡に映るピンク色の髪、潤む大きな瞳、男ならむしゃぶりつきなくなるようなぷるんとした唇。前世でハマってやっていた乙女ゲームのヒロインがそこにいたんだから。

「これって俗に言う異世界転生ってやつ?」

 頬をつまみながら徐々に理解してくる。

「ふっ・・・・・・ふふふっ・・・・・・」

 なんてラッキーなの⁉男爵とはいえ一応貴族、身の回りは自分でしなくてもいいし、しかも男爵にしては裕福だから何でも買ってもらえる。両親は溺愛しているから余程の事が無い限り怒られない。

 し・か・も

 ここは乙女ゲームの世界。ハーレムルートでイケメンをはべらせ貢がせる事も出来る!それに毎日代わるがわるセックスできるし、何なら推しだったクエスフィールとミハエルと3Pできちゃう!ちょっとサイコーじゃない?

 そうと決まれば腕を磨かないと!あと3年でセックスのテクニックを磨いてメロメロにするわよー!

 って思ってたのにクエスフィールとミハエルの出会いイベントでは何故かアラベラやシスティアも一緒にいて、これまた何故かアラベラにぶつかり手を差し伸べられ、システィアに怪我を治されてしまった。

 いや、あんた達とイベントする気ないんですけど⁉つーか、ゲーム内のアラベラの胸大きいとは思ってたけどリアルの迫力よ。バインバインじゃん!ついスイカが2個って言っちゃったし!何あのデカさ。結局イベントは成立しなかった。

 でもちらっと見たクエスフィールとミハエルはゲームよりカッコ良かった。近い未来あの2人に組み敷かれると想像するだけで体が熱くなるのを抑えきれない。なので適当にそこら辺にいる生徒で想像しながら発散する。

 そうやってスッキリさせながら他の攻略対象者に近づくも、クエスフィールとミハエルだけは毎回アラベラとシスティアが一緒だったり、探しても見つからなかったりして近づけなかった。

 でも攻略対象者の共通イベントである学院主催のパーティーがあるから大丈夫。こんなに可愛い私が着飾って会いに行くんだもん。好感度なんて爆上がりじゃない?待っててクエスフィール、ミハエル!

 そう思ってたのに。え?何か私間違えた?
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