5 / 23
本編
だから何やってんのヒロイン
しおりを挟む
何事もなく最後の1年を過ごし卒業したマユリカは、王都のタウンハウスで3ヶ月後に迫った結婚式の準備をしていた。
王子も既に侯爵家に居を移しており、残務処理の為週の半分ほど王宮に通っている。
そんな忙しい中でも時間を捻出して週に数回お茶の時間を過ごし、結婚式や領地経営などの情報の共有をしていた。
天気が良いからと東屋でファーストフラッシュの紅茶と庭に咲き誇る花々を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごす。至福の時である。
「そういえば2年連続入学出来なかった令嬢が、今年やっと入学したようだよ」
「あら、入学出来たのですね」
紅茶をこくりと一口飲み、また入学出来ないものとばかり思っていたと含ませながら返事をする。本気でまたやらかすと思っていたし、マユリカは卒業したので関わる事はないだろうしと、ヒロインは既にマユリカの中でどうでもいい対象になっていた。
「しかし彼女凄いね、入学して1か月で北限の修道院に送致する事が決まったよ」
「あー・・・・・・」
北限の修道院、別名『花園』。別に花園に囲まれている修道院ではい。寧ろ夏の2週間以外雪に覆われた極寒の地である。
何故花園と呼ばれているかと言うと、ヒロインのように脳内がお花畑まみれの令嬢が送られる修道院だからだ。
ヒロインのようにこの世界が乙女ゲームヒャッハー!している訳ではなく、王族や高位貴族の伴侶を夢みて脳内に花を咲かせる令嬢がやらかすとここに入れられるのである。特に下位貴族の令嬢多く、子爵男爵令嬢なのに「王族や高位貴族に見初められる健気な私」と泥酔した酔っ払いも真っ青な酔い方をするらしい。
特に5年前、王太子殿下が学園に在籍中多発。しかも側近に内定している子息達も被害を受け、彼らが在籍した3年間でかなりの令嬢が北限の修道院に送られたようだ。
王太子殿下曰く「夢は寝ている時にだけ見てくれ」
ごもっとな言葉である。
お花畑な令嬢を受け入れてばかりで修道院にある部屋が足りなくなるんじゃないかと心配は無用。大半の令嬢は半年~1年で脳内の花畑が枯れ、現実を見るようになり落ち着くのでそうなったら何度も面談をし、家が責任を持つのを条件に退院出来るので年に複数人送っても大丈夫なのだ。
しかし今回修道院に送られるヒロインは男爵令嬢になってからの言動に加え、入学試験でのやらかしと入学してから「何で攻略対象が誰もいないのよ!」や「王子は!?公爵子息は!?ワンコ系子息は!?逆ハーレム出来ないじゃん!」など意味不明な事を言い、「てか高位貴族の男誰もいないってどういう事!?」という言葉で花畑令嬢認定され修道院送致が決まったらしい。
本当何やってんのヒロイン。
ヒロインよ、乙女ゲームの設定を思い出してほしい。2年遅れで入学してるんだから同い年の攻略対象以外卒業していると何故気づかなかったのだろうか。しかも同い年の攻略対象は2年末に隣国の学園に留学を決め、学園に在籍していない。もう乙女ゲームを開始出来る要素がないのだ。
現在学園に通っている生徒で高位貴族は全員令嬢。これは本当に偶然なのだが第二王子が生まれた年から数年、ベビーラッシュだったのに、王子の1、2歳下の高位貴族で1人も令息が生まれなかったのだ。
なのでいくら探しても学園には一番高い階級の子息でも伯爵家、残念無念また来世である。
そんな多数令嬢が生まれた高位貴族の中で王子の婚約者を勝ち取ったのがマユリカの侯爵家だ。
決め手は「しっかりしてそうなのにどこか抜けてそう」
小さいながら何かを捉えた王子。まだ開花していないのにおかんセンサー恐るべし。
王子も既に侯爵家に居を移しており、残務処理の為週の半分ほど王宮に通っている。
そんな忙しい中でも時間を捻出して週に数回お茶の時間を過ごし、結婚式や領地経営などの情報の共有をしていた。
天気が良いからと東屋でファーストフラッシュの紅茶と庭に咲き誇る花々を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごす。至福の時である。
「そういえば2年連続入学出来なかった令嬢が、今年やっと入学したようだよ」
「あら、入学出来たのですね」
紅茶をこくりと一口飲み、また入学出来ないものとばかり思っていたと含ませながら返事をする。本気でまたやらかすと思っていたし、マユリカは卒業したので関わる事はないだろうしと、ヒロインは既にマユリカの中でどうでもいい対象になっていた。
「しかし彼女凄いね、入学して1か月で北限の修道院に送致する事が決まったよ」
「あー・・・・・・」
北限の修道院、別名『花園』。別に花園に囲まれている修道院ではい。寧ろ夏の2週間以外雪に覆われた極寒の地である。
何故花園と呼ばれているかと言うと、ヒロインのように脳内がお花畑まみれの令嬢が送られる修道院だからだ。
ヒロインのようにこの世界が乙女ゲームヒャッハー!している訳ではなく、王族や高位貴族の伴侶を夢みて脳内に花を咲かせる令嬢がやらかすとここに入れられるのである。特に下位貴族の令嬢多く、子爵男爵令嬢なのに「王族や高位貴族に見初められる健気な私」と泥酔した酔っ払いも真っ青な酔い方をするらしい。
特に5年前、王太子殿下が学園に在籍中多発。しかも側近に内定している子息達も被害を受け、彼らが在籍した3年間でかなりの令嬢が北限の修道院に送られたようだ。
王太子殿下曰く「夢は寝ている時にだけ見てくれ」
ごもっとな言葉である。
お花畑な令嬢を受け入れてばかりで修道院にある部屋が足りなくなるんじゃないかと心配は無用。大半の令嬢は半年~1年で脳内の花畑が枯れ、現実を見るようになり落ち着くのでそうなったら何度も面談をし、家が責任を持つのを条件に退院出来るので年に複数人送っても大丈夫なのだ。
しかし今回修道院に送られるヒロインは男爵令嬢になってからの言動に加え、入学試験でのやらかしと入学してから「何で攻略対象が誰もいないのよ!」や「王子は!?公爵子息は!?ワンコ系子息は!?逆ハーレム出来ないじゃん!」など意味不明な事を言い、「てか高位貴族の男誰もいないってどういう事!?」という言葉で花畑令嬢認定され修道院送致が決まったらしい。
本当何やってんのヒロイン。
ヒロインよ、乙女ゲームの設定を思い出してほしい。2年遅れで入学してるんだから同い年の攻略対象以外卒業していると何故気づかなかったのだろうか。しかも同い年の攻略対象は2年末に隣国の学園に留学を決め、学園に在籍していない。もう乙女ゲームを開始出来る要素がないのだ。
現在学園に通っている生徒で高位貴族は全員令嬢。これは本当に偶然なのだが第二王子が生まれた年から数年、ベビーラッシュだったのに、王子の1、2歳下の高位貴族で1人も令息が生まれなかったのだ。
なのでいくら探しても学園には一番高い階級の子息でも伯爵家、残念無念また来世である。
そんな多数令嬢が生まれた高位貴族の中で王子の婚約者を勝ち取ったのがマユリカの侯爵家だ。
決め手は「しっかりしてそうなのにどこか抜けてそう」
小さいながら何かを捉えた王子。まだ開花していないのにおかんセンサー恐るべし。
794
あなたにおすすめの小説
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
貴方が私を嫌う理由
柴田はつみ
恋愛
リリー――本名リリアーヌは、夫であるカイル侯爵から公然と冷遇されていた。
その関係はすでに修復不能なほどに歪み、夫婦としての実態は完全に失われている。
カイルは、彼女の類まれな美貌と、完璧すぎる立ち居振る舞いを「傲慢さの表れ」と決めつけ、意図的に距離を取った。リリーが何を語ろうとも、その声が届くことはない。
――けれど、リリーの心が向いているのは、夫ではなかった。
幼馴染であり、次期公爵であるクリス。
二人は人目を忍び、密やかな逢瀬を重ねてきた。その愛情に、疑いの余地はなかった。少なくとも、リリーはそう信じていた。
長年にわたり、リリーはカイル侯爵家が抱える深刻な財政難を、誰にも気づかれぬよう支え続けていた。
実家の財力を水面下で用い、侯爵家の体裁と存続を守る――それはすべて、未来のクリスを守るためだった。
もし自分が、破綻した結婚を理由に離縁や醜聞を残せば。
クリスが公爵位を継ぐその時、彼の足を引く「過去」になってしまう。
だからリリーは、耐えた。
未亡人という立場に甘んじる未来すら覚悟しながら、沈黙を選んだ。
しかし、その献身は――最も愛する相手に、歪んだ形で届いてしまう。
クリスは、彼女の行動を別の意味で受け取っていた。
リリーが社交の場でカイルと並び、毅然とした態度を崩さぬ姿を見て、彼は思ってしまったのだ。
――それは、形式的な夫婦関係を「完璧に保つ」ための努力。
――愛する夫を守るための、健気な妻の姿なのだと。
真実を知らぬまま、クリスの胸に芽生えたのは、理解ではなく――諦めだった。
良くある事でしょう。
r_1373
恋愛
テンプレートの様に良くある悪役令嬢に生まれ変っていた。
若い頃に死んだ記憶があれば早々に次の道を探したのか流行りのざまぁをしたのかもしれない。
けれど酸いも甘いも苦いも経験して産まれ変わっていた私に出来る事は・・。
私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます
・めぐめぐ・
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。
気が付くと闇の世界にいた。
そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。
この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。
そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを――
全てを知った彼女は決意した。
「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」
※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪
※よくある悪役令嬢設定です。
※頭空っぽにして読んでね!
※ご都合主義です。
※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)
見切りをつけたのは、私
ねこまんまときみどりのことり
恋愛
婚約者の私マイナリーより、義妹が好きだと言う婚約者ハーディー。陰で私の悪口さえ言う彼には、もう幻滅だ。
婚約者の生家、アルベローニ侯爵家は子爵位と男爵位も保有しているが、伯爵位が継げるならと、ハーディーが家に婿入りする話が進んでいた。
侯爵家は息子の爵位の為に、家(うち)は侯爵家の事業に絡む為にと互いに利がある政略だった。
二転三転しますが、最後はわりと幸せになっています。
(小説家になろうさんとカクヨムさんにも載せています)
【完結】愛くるしい彼女。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。
2023.3.15
HOTランキング35位/24hランキング63位
ありがとうございました!
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる