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9話 ※
しおりを挟む―― Berlina side――
それから一年。
十六歳で成人を迎え、無事ベラード公爵様と婚約する事が出来たけれど、婚姻の準備には半年を要した。
ベラード公爵様の事業は国内外に及び、お付き合いのある高位貴族の方々は数知れず。招待状の作成、ウェディングドレスの仕立て、結婚パーティーの準備、公爵夫人になる為のお勉強と、本当に目まぐるしい毎日だった。
お父様と弟二人の対応も大変だった。
婚約をした後も、お父様はベラード公爵様と二人きりになろうとすると、ものすごく不機嫌になった。お父様のお仕事がお休みで屋敷にいる時なんて、彼に近付こうものなら、すぐに私を抱き上げて距離を取らされた。
アベルは、事あるごとに『節度を守ってください』とネチネチとベラード公爵様に釘を刺すし、アルフォンスは、良い雰囲気になった所で必ず私の部屋に突入してくる。何処かで見張っているの!? と思う程、ピッタリのタイミングで。
いくら私が成人と同時にお嫁にいってしまうのが寂しいからと言って、三人で結託して私とベラード公爵様の逢瀬を邪魔をするなんて、酷いわ……。
そのことがお母様にバレて、三人揃ってお説教されても、全然懲りないんだもの。
まあ、お父様はお母様に叱られると、この世の終わりみたいにションボリと項垂れていたのだけれど。そんなお父様を見て、お母様は顔を真っ赤にして、プルプルと悶えながら抱きしめていたわね。
いくつになっても仲良し夫婦なのは何よりだわ。
そんなこんなで、婚約期間中も殆どイチャイチャ出来なかった。口付けだってプロポーズの時と、お庭の散歩中に数回しただけ。
だから彼と一緒に過ごせるようになるのが、どれだけ待ち遠しかったことか。
…☆☆…
「ベルリナ、おまたせ」
結婚式を終え、今はベラード公爵様の寝室だ。ゆっくりと扉が開いた先には、湯浴みを終えたばかりのベラード公爵様の姿が見えた。
結婚式の際の、ダイヤを散りばめた美しい仮面を付けて、真っ白なタキシードをスマートに着こなす姿も素敵だったけれど、ガウンを羽織っただけのしどけない姿も素敵過ぎる。いつもは見ることの出来ない、ガウンの隙間から覗く綺麗な鎖骨のラインに、ドキドキしてしまう。
「ベラード公爵様……」
「ベルリナ、隣に座っても良いかな」
「は、はい」
夫婦の部屋に新しく新調されたベッドは、大人が四、五人寝ても大丈夫な程広い。サラリとした真っ白な絹の寝具は極上の肌触りで、そのベッドの端に私は腰を掛けている。
ゆっくりと彼が歩み寄る。緊張と不安で心臓が飛び出てしまいそう。閨に関する知識は、お母様やキャロルからバッチリ学んだ。でも、知っているという事と、実際に経験するという事には、雲泥の差がある。
ギシリとベッドを軋ませて、ベラード公爵様は隣に座った。お風呂上がりの彼からは、いつもの薔薇の香りじゃなくて、爽やかなハーブの香りがする。
石鹸の香りかしら、なんて思いながらそろりと伺い見る。それに気が付いたのか、真っ白な髪をフワリと揺らしながら、ベラード公爵様は私の顔を覗き込んだ。
柔らかなランプの光に照らされて、いつもより艶やかに見えるのは気のせいだろうか。真紅の薔薇の様な瞳に射抜かれて、こんな美しい人に今から抱かれるのかと思うと、胸が締め付けられた。
「可愛い夜着だね」
「あ……」
幾重にも重ねられた薄いレースの夜着の中央には、紅いベルベット生地のリボンが結ばれている。
胸の薄紅色の蕾は透けてしまっていて、彼に見られていると思っただけでツンと主張し始めた気がした。恥ずかしくて、咄嗟に胸元を手で隠すけれど、彼の手によって、やんわりと制される。
「僕の為に着てくれたの? 白に赤。ベルリナの大好きな色だね」
「はい。ベラード公爵様の色だから……大好きなのです」
「嬉しいよ。僕も黒と瑠璃色が好きだよ。あと、……夫婦になったんだし、そろそろ名前で呼んでほしいな」
彼は私の左手を手に取ると、結婚指輪を嵌めた薬指に口付けを落とした。その姿が凄く妖艶で、直ぐに名前を呼べなかった私を咎める様に、彼は指の間に舌を這わせる。
「ひぁっ、ん」
「ね、呼んでみて」
ピチャリと音を立てながら、一本一本指を舐められると、何故だか腰がゾクゾクと痺れる様な感覚が走る。
「ミュ、ミュゼ……さま」
「うん」
「ミュゼ様……」
「うん。もっとその可愛らしい声で、僕の名前を呼んでよ」
もう一度名前を呼ぶ前に、彼は私の後頭部をグッと引き寄せ唇を重ねた。
「……っ」
結婚式の時とは違い、何度も何度も啄まれ、上唇も下唇も、愛おしむように堪能される。
こんなに長い時間口付けをするのは初めてで、呼吸のタイミングが分からない。思わず大きく口を開けて空気を吸い込むと、ミュゼ様の舌が中に忍び込んできた。
「ぁ……、ん……んんっ」
ピチャピチャと口内を舐められて、熱い吐息ばかり漏れ出てしまう。段々と腰に力が入らなくなった私は、彼の胸に縋り付く事しか出来ない。
何度も彼の舌で口内を擦られると、腰から下腹部にかけて甘い疼きを覚え、瞳には涙が滲んだ。
ゆっくりと舌を引き抜かれる。彼の唇はどちらのものか分からない唾液で濡れていた。それが彼をより一層、艶やかに見せ、うっとりと魅入ってしまう。
「早く、君を僕のものにしたい…」
ミュゼ様は私の肩と膝に手を入れると、性急に抱き上げた。驚いて彼の首に手を回すと、ミュゼ様の瞳はトロリと溶けていて、チュッと口付けられた。もう胸はキュンキュンと痛い程締め付けられ、恥ずかしくて目が開けられない。そんな私を見て微笑むと、彼はベッドの中央にゆっくりと降ろした。
「ベルリナ、ほっぺが真っ赤。可愛い……」
「ミュゼ様……」
「君を手に入れる為に十年待ったんだ。初めての君に優しくしてあげたいけど、上手く抑えられないかもしれない」
「嬉しい……。私もこの日を……ずっと待っていました」
私の返答に、ミュゼ様は一瞬大きく目を見開くと、眦を紅く染め、照れたように笑った。彼はガウンを脱ぎ捨て、私に覆い被さる。
啄むような口付けが再開され、徐々にそれは深いものへと変わる。舌を執拗に愛撫されながら、彼の大きな手が私の胸をすくい上げる様に触れる。
「んっ……」
やわやわと優しく触れていた手は、確実に激しいものへと変わっていく。夜着の上から揉みしだかれ、硬くなった胸の蕾を見つけると指の腹でキュッと潰される。身体はビクビクと震え、私の小さく甘やかな喘ぎが静かな部屋に響く。
薄っすらと目を開けると、彼の喉がコクリと上下したのが分かった。
「ベルリナ……」
彼の溶けた薔薇色の瞳が、私を求めているのだと訴える。熱い吐息を吐きながら、彼の手は夜着の中に侵入してきた。先程とは違い、直接触れられた肌が燃えるように熱い。
硬く尖った胸の蕾をキュッと摘まれると、何故か触れられていない筈の下腹部が甘く疼く。この疼きをどうにかしたくて、もじもじと足を擦り合わせていると、ミュゼ様はクスリと笑った。
「ごめんね。ここも、触れて欲しかったよね」
下着の上から花弁をなぞられると、クチュッと小さな水音が耳に届いた。恥ずかしくて、どうにかなってしまいそう。それなのにミュゼ様は、嬉しそうに笑うと、私の頬や唇に口付けを落とした。
「濡れてるね……。もう全部、脱いでしまおうか」
「ん……っ、でも、恥ずかし……です」
「ベルリナに僕の全てを受け入れて貰うには、この下着は脱がなきゃいけないんだよ」
ミュゼ様は優しい眼差しで私を見つめてくれているのに、指の動きは止まる事がなく、花弁を擦り上げる。彼は硬くなりはじめた秘芽を見つけると、円を描くように指の腹で優しく刺激した。ビリビリと電気が走るような感覚と共に、下腹部から足先まで快感が突き抜け、腰は自然と跳ねてしまう。
「ふぁっ、あぁっ、んん……」
「ほら。どんどん下着がグショグショになってきちゃったよ?」
「あっ、んんんっ、ヤッ、そこダメ、変になっちゃいますっ、脱ぐ……から、そこ、指、やぁ……っ」
私から了承を得ると、彼は夜着を脱がせはじめた。下着のサイドのリボンを外し、彼の手によってスルリと抜き去られる。外気に触れた秘部は蜜で濡れている為か、ヒヤリと冷たく感じた。
「ベルリナ。綺麗だよ」
「やっ、そんなとこ見ないでくださ…」
「それは無理なお願いだね。隠さないで。もっと、君の全てが見たい。誰も見た事が無い所、僕にだけ見せてよ」
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