冒険者パーティー黒猫の気まぐれ

sazae9

文字の大きさ
125 / 238
15.誕生日と予定外

海の魔物

しおりを挟む
船旅の2日目になった。
順調に進んでおり、今日中に交易都市サザにつくようだ。
港から一番近いところは、第一都市となっている。

ラウールとサクラは、自分たちで用意した食事を甲板で摂っている。
周りにも人はおり、家族、恋人同士、1人もの、庶民までいる。更にどこかの貴族なのか、身なりの良いものもいたり、教会関係者と思しき人までいる。
そんな船旅だからこそ、魔物から船を守る冒険者ももちろん乗っている。滅多に襲われないだけで、絶対襲われないわけではないのだ。

時々小さな魚型の魔物がいるようだが、銛で突くか、船でそのまま弾き飛ばすことで何事もなく進んでいた。
しかし、小さな魚の群れが進行方向と逆に進んだ姿が見えた時、目の前に触手が見えた。

「魔物だ~! 乗客は中に入れ! 戦えるものは先頭の方に来い!」

そう叫び声が上がると、一斉に人々が船の中に入っていった。
そして甲板には、船長にやとわれている冒険者と、魔法が使える数人の乗客が残った。
もちろんラウールとサクラもいて、あの声をかけてきたマッチョもいた。

「俺たちはこの船を守るためにやとわれている! 海の上だから魔法が主体だ。おそらくあの大きさはクラーケンだ。ランクは高いが、小さいところを見ると、幼体だと思う。一気に魔法で倒したい。俺の合図で一斉に魔法を売撃ってくれ!」

「「「おう!!」」」

と返事が聞こえたが、小声で隣にいる人に聞いてみた。
「クラーケンって、弱点と無効な攻撃はありますか?」

「確か水は無効だな。火も海だから、半端な威力の物はダメだったはず。風と土が無難かな。使い手の少ない雷だったか?は効いたような。」

「そうですか。ありがとう。」

そう短く話を終えるとサクラに、
「雷が一番、次が風や土みたいだけど、サクラどうする?」

「そうね、初めて海の上だから・・・。何がいいかな? クラーケンって食べられるのかな?」

「そっか、食べられるなら少しほしいかな。じゃあ焼けないように火はなしで。意外に凍るかな?」

「凍るだろうけど、その後どうする?」

「そっか、どっちみち倒さなきゃいけないものね。じゃあ風の魔法で切り裂こっか?」

「そうね、それが無難かな? じゃあ2人一緒に打つ?」

「1人でいいんじゃない? それで1人は回収で。」

「わかった。じゃあサクラが倒したら、僕が海の表面を凍らせて、出来るだけ回収してくるよ。騒ぎになったらSランク冒険者だって言えば普通だと思ってくれるでしょ。」

そういって2人は冒険者に声をかけに行った。
初めは2人でやらせえてほしいと。
しぶった冒険者だったが、時間がもったいないと、じゃあやってみろと場所を譲った。

サクラはやりすぎたゴブリン戦を振り返り、もう少し威力を抑えるイメージで詠唱を始めた。
「空を漂う世界の歯車よ、我が求めに応じ、目の前の敵を切り裂け・・・、エアカッター改!」

詠唱を終えると巨大なエアカッターが1つと、周りに無数の小さなエアカッターが付き添い、クラーケンに飛んで行った。
クラーケンは魔力を纏おうとしたが、間に合わず、全身を引き裂かれた。

そして次の瞬間ラウールが「フリージング!」と唱え海を凍らせた。
凍った海を素早く進み、クラーケンの体が海に落ちる前にクラーケンの後ろから風を吹かせた。
そして海の上に出ていた部分は、氷の上に乗せることが出来た。

振り返ったラウールは、必要な部位はあるか船の方に声をかけたが、サクラ以外が口を開けたまま固まっていた。

その後もしばらく返事がなかったので、魔石と体の一部を持ち、ラウールは甲板にジャンプしもどった。

戻ったラウールを見てもう一度ポカーンと口を開けてしまった冒険者だが、何とか持ち直し話し出した。
クラーケンはその身がおいしく食べられるが、大きいため、ラウールが持っている程度の身があれば十分なこと。魔石は討伐したラウールとサクラがもらっていいこと。クラーケンの体はもったいないが、貨物船ではないので、あきらめる事が伝えられた。

そこでラウールはもう一度クラーケンの元に戻り、身を海に落とすふりをして土の魔法で質量のある物が海に落ちるように見せかけた。そしてばれないように、アイテムボックスXにクラーケンの肉をしまう事に成功した。

その後ラウールが船に戻るとサクラが、「フレア!」と唱え、目の前の氷を溶かした。

~~~~~~~

一連の出来事を見ていた護衛冒険者は何が起きているのか分からなかった。
そこへラウールは説明した。2人はSランクの冒険者だと。
目の前の冒険者は驚いたが、高ランク者であれば、今の出来事も納得するしかないと思った。
船長も出てきており、被害が全くなかったという事で、食事をごちそうしてくれた。
クラーケンの身を焼いてくれ、初めて食べたが、おいしかった。

その後の船旅は順調で、無事に港に着くことが出来た。
ラウールとサクラが船から降りる姿を見ていた冒険者は、いくらSランクでもあれは無理なのでは?と考えていた。あえて高ランク者にそのことは話をしないが・・・。
しおりを挟む
感想 100

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

処理中です...