冒険者パーティー黒猫の気まぐれ

sazae9

文字の大きさ
181 / 238
21.拠点と特訓

黒猫の初めて?の勇者との会話

しおりを挟む
サンクリットからの遣いが来て、僕たちが勇者を訓練する日が決まった。
初めは各冒険者が順番に訓練をして、僕たちの順番は最後になると言われた。


初めに【春の気配】とパーティー名を付けていたダイチ、ヒミカ、グンジョウの勇者チーム。
次にソロの冒険者ホイット。
三番目に【白銀の尾】狐の冒険者チューランがリーダーの狐の獣人チーム。
四番目に【新緑の守人】エルフの冒険者モサルル率いるエルフチーム。
最後に僕達【黒猫】が受け持つ。

訓練方法やコミュニケーションの意味もあり、初めは2日間交代で回す予定だ。
訓練方法は各チームに任せられ、勇者育成パーティーではなくチームと呼ばれるそうだ。
その辺の違いはよくわからない・・・。

まー僕たちのパーティーは八日は暇な時間が出来てしまった。
各チームの訓練方法を見てもいいそうだが、あまり興味がわかなかった。

だから僕たちはいつものように気まぐれな日常を過ごしながら、勇者の育成方法を話し合っていた。
その気まぐれな日常でも、特に語りたいことがあった。
両親の呪いをソフィアが解いてくれたのだ。
簡単に言うが・・・、うれしい・・・・。
両親もだが、僕も大泣きしてしまった。

そんな重要なことがありながらも、頭では勇者の育成方法をどうするか悩ませている。
僕達と同じ地球の日本から来た勇者。
十八歳で高校三年生だ。
すでに得意な分野もあるだろう勇者をどう強くしていくか。

~~~~~

勇者の育成方針を考えながら、僕たちが受け持つ日がやってきた。
訓練場所は各自で決めても良いという事で、僕たちの拠点に来てもらう事にした。

僕たちの拠点は鍵があるので、門の鍵はデーブンに渡してあるので、デーブンに案内を頼んだ。

そして約束の時間になり、デーブンと勇者たち、お目付け役が確定したのかサンクリットが一緒に現れた。

鍵があるとはいえ門の鍵で、家に勝手に入れるわけではない。
デーブンが呼び鈴を鳴らしたところで、僕たちが外に出た。

今回は牧場で訓練をすることにしたため、デーブンに引き連れられた勇者が牧場に移動した。

「ほぼ初めまして。僕は【黒猫】のラウールと言います。メンバーはサクラにソフィア、ヤマト。そして僕の肩に乗っているのが従魔のクロウです。これからよろしく。」

「「「よろしくお願いします!」」」

さすが日本人。挨拶がよろしい。

「他の冒険者がどう指導しているのかは聞いていませんので、僕たちなりに指導します。だから口調は普段通りにさせてもらうよ。」

「「「はい!!」」」

「じゃあやりたい事別に別れて。日によってどの訓練に入ってもいいから、武芸による戦闘をしたい人はヤマトに。攻撃魔法をしたい人はサクラに。回復や戦闘補助をしたい人はソフィアに。その他やりたいことが決まらない人や、創作系をしたい人は僕とクロウに来てほしい。じゃあ別れて!」

僕の号令で勇者は悩み始める者、真っすぐに決めていた人に行く者と性格が出ているようだ。

・・・・
・・・・

最後まで悩んでいた者も移動が終了し、僕の前には二人だけがいる。
ポルフォ家の勇者のセツナ。
申し訳ないけど名前を憶えていない勇者。

幾分緊張した面持ちで僕の前にいる勇者。

「僕はラウール。みんなと一緒で十八歳だよ。小さいころから両親について冒険者活動をしていたから、色々な経験はあるかな。君たちの先輩の【春の気配】の勇者とも一緒にダンジョンに潜ったこともあるよ。大変だろうけど、頑張りすぎないように頑張ろうね?」

まだ緊張している勇者にクロウも口を開く。

「我はクロウ。ラウールの従魔で仲間。魔王位なら大丈夫!」

何が大丈夫なんだクロウ・・・。
勇者は何とも言えない表情になっている・・・。

「ごほんっ! ん~、まー、クロウの言った事は置いておいて、何がしたいの君たちは?」

僕の言葉を聞いた勇者はなかなか口を開かない。
何か言いにくいのか・・・。
どう聞いて行けばいいんだ?

「我はSランクの魔物も倒せるから、我と戦う?」

クロウがぶっこんで来た・・・。

目の前の勇者はおびえている・・・。

「いいんだよ戦わなくても・・・。僕たちは直接戦わない人でも何かを教えることが出来るよ? もちろん戦う事も教えることが出来るけど、好きに生きたらいいよ。君たちは好きでこの世界に来たわけでないんだから・・・。」

・・・・
・・・・

「君たちはこの世界の都合で勝手に連れてこられた。怒ってもいいんだよ。これまでの期間で勇者同士でもいろんなことを話し合ったんだと思う。だけど、こんな短期間で割り切れるものではないと思うよ? 僕は同じ気持ちになることが出来ないから言うだけだけど・・・。だけど、この世界でも面白いことはあると思うから・・・。戦いだけに染まらなくていいよ。」

・・・・
・・・・

目の前の勇者がうつむいている・・・。
他の勇者も後半は聞き耳を立てていたからか、うつむいている・・・。

言わなきゃよかったかな?

・・・・・
・・・・・

僕が気まずい空気が流れている。

・・・・・
・・・・・

勇者が泣いている・・・。
僕のつたない言葉でも泣いている。
ここまでの期間勇者は気を張っていたのだろう。

勇者としての期待。
魔王を討伐してほしいと言うこの世界の思い。
重い思い・・・。

十八歳には重い期待だと思う。
日本では平和な青春を過ごしている世代。
そんな若者が急に立場の変化を求められる。
異世界転移を思い浮かべていた者もいたかもしれないが、現実とはこんなものだろう。

そんな勇者を見て僕はできるだけ力になりたいと思った。
僕の柄じゃあないけれど、おそらく日本には帰ることが出来ない。
Sランク冒険者として勇者を気にかけて行こうと心の中で決めた。



訓練をするはずがこの日はもうそんな雰囲気ではなくなり、サンクリットも思う所があったのか、一度宮殿に勇者は戻ることになった。

また明日の同じ時間に来ると言い残して・・・。
しおりを挟む
感想 100

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

処理中です...