冒険者パーティー黒猫の気まぐれ

sazae9

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22.ラウールの迷い

小さな村で行商

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僕たちは街道や町の付近にある村でなく、街から離れた所にある村を訪ねる事にした。
これまでわざわざ訪れた事がなかった。

道は荷車が通る程度の幅はあるが、おおよその方角を聞き、草木をかき分け進んだ。

道から外れる者はいないようで、薬草などを回収しながら進んだ。

フロックリンで聞いた話では、これから行く村の特産物は目立った物はなく、何処にでもある特徴のない村と言っていた。

急ぐ必要もなかったが、高速で移動してもクロウがいつの間にか素材を回収しているので、すぐに到着した。

村の回りは木で組んだ簡単な防壁があった。この防壁は質量の大きな動物が突っ込むと壊れそうだ。
村の目の前まで到着すると、入り口にはガッチリした男が立っていた。

「この村に何か用事があるのか?」

男は話しかけてきた。

「私は行商をしています。まだ商人になりたてですが、商売ができたらと町や村を周り始めています。村で何かを売買したいのですが。」

胡散臭い者を見るような視線を向けてきたが、入村の許可が出た。
まっすぐ進んだ所にある、村で一番大きい家に行き村長の許可をとるように言われ向かった。

エルフが珍しいのか村人はソフィアを見ると動きが止まっている。

そんな視線に晒されながら村長の家と思われる建物に到着した。

ソフィアは家の戸をノックし声をかけた。
家の中から返事が聞こえ、だれかが戸を開けると、その人物も動きが止まった。

・・・・
・・・・

少し間が空いたが、出てきた老人が口を開いた。

「初めて見る顔だな。この村に何かようかな?」

「はじめまして。私は商人のソフィアと申します。行商を始めましたので、この村で今日は商売をしたいのですが。」

ソフィアは商人プレートを見せた。

「行商などいつ以来だ、この村に来たな。何もないところだが良いぞ。」

「ありがとうございます。どのような物がご入用ですか? この村で必要そうな者を見繕いますが?」

「ふむ・・・。あなたは身軽な格好で商人をしているからには魔道具を持っているのだろうな。ん~、病気や怪我になった時にこの村には治せる者がおらん。だが高価な治療薬は買えるだけの見返りもない。だから村人でも買えるような治療薬が欲しい。他の皆は何が欲しいか聞いてみないとわからんな・・・。商売は明日にしてもらってもいいか?」

「明日でもよいのですが、どこで過ごしたらよいでしょう?」

「この村にも客が訪れた時に滞在する家がある。そちらを手配しよう。いきなり来た商人だが、エルフがわざわざ悪いことはしないだろ?」

「滞在できるところがあるのはありがたいです。私が悪いことをするのであれば、姿も見せませんよ。」

この男は村長だった。少しばかり歩きながら話をしていると一軒の家に着いた。
村長はこの家で過ごしてほしいと言い立ち去った。
この村は村長の名をとり、カウス村と言っているそうだ。

ソフィアについて僕たちは家の中に入り荷物を置いた。ほとんど手荷物はないので、荷物を置いた後は村を見て周ることにした。

村を見て周ってみると、特に特徴的な物はなく畑や何か煙の出ている建物がある程度だった。
子供たちも手伝いをしているようで、小さな子供までも畑で過ごしている。

夕方になり村に戻ってくる男もいるようで、数人の男で猪を運んでいる姿も見えた。

村を歩いていると、商人が来たという事は言われたようだが、ソフィアはエルフ。話しかけてくるものはいなかった。明日も村長の家を貸してくれるそうだが、誰も集まらなかったらどうしようかと不安だった。

その後は貸し出された家に戻りこの日は休むことにした。

~~~~~

商売をする当日、ソフィアと僕たちは村長の家の前を借り商品を並べた。
村長が言う治療薬と高価なポーション類も置いた。
村で使うような農具も魔の森で作っていたので、並べてみた。
他に欲しいものがあった時は相談してほしいと村長にも言っておいた。

そして商品を並べ終わるころには村人が集まっていた。
僕の不安をよそに、こんなに村人がいたのかと思うほどには集まっている。

村人はソフィアが並べた商品を見て他の人と話したり考えたりと中々買いたいと言う人がいなかった。
ソフィアは物々交換でもいいと村長に伝えていたが、村人は手荷持つ物と商品を見比べていた。

こわごわと村人が治療薬と手に持っている物を交換できるか聞いてきた。
手の中の物を見ると、この村で採れたであろう穀物だった。
ソフィアは今まで商売をしたことがなかったので、その物と交換で良いと返事をすると村人は喜んだ。

その売買を皮切りに他の村人も積極的にソフィアに話しかけていた。
ある者は治療薬を買い、ある者は農具を買う。
目の前に並べられた商品は少しずつ減り、満足そうに立ち去る村人だった。

そして目の前に村人がいなくなった時に村長がソフィアに話していた。

「そんなに安く売って利益になるのか? 通常であればもっと高価な商品だぞ。我々は得をしたが、あなたは損していると思うのだが・・・。」

僕たちは知らなかった。
世の中の商品の売値を。
僕たちは籠っていた、魔の森に・・・。
僕たちが簡単に採取したり作ったりするものは、思っている以上に価値がある物だったのだと思い知った。

そして、僕たちには商人は無理なのではないかと初商売で感じた。
あまりにも世の中の事を知らないために・・・。

この日も村長の好意で村に泊めてもらった。
村長は良い物を安く売ってくれたお礼だと言い。
僕たちにとっては商売の難しさを思い知らされる日になった。
材料はただで、労力も短時間で作って損はしていないが、通常であれば損をしている失敗商人として。
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