冒険者パーティー黒猫の気まぐれ

sazae9

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26.冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

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ダンジョンコアの言うことも聞きながら先に進んだ。
低階層で大怪我をする者もおらず、順調に移動している。

後から入った者のためにも魔物はできる限り倒し、回収している。

「このまま何もなければ良いのですが。都市の人々がいる場所は大丈夫ですか?」

「うーんとね、ダメかな? 入ったときから感じていたけど、君たちが急いでも間に合わないくらい衰弱してたよ。」

「そうなのですか。ラウールは大丈夫ですか今の話を聞いて。」

・・・

「うん、大丈夫・・・。僕にもできないこともあるし。」

なんでもできる人の称号でも、できないこともある・・・。

「あそこから、強い魔物が生まれるよ! 極端に狭いところに押し込められた多くの魔力が吸われたからね! 今までこんなことをした者はいなかったよ。興味深い!」

興味か・・・。


「その魔物はヤバイ? 僕たちなら倒せて、例えば僕たちより先に入った強い人でも大丈夫?」

「んーーー、大丈夫? かな? 一人くらい死ぬかもしれないけどね!」


大丈夫じゃあないね・・・。

「一番近い人でどのくらいでそこに着く?」

「今着いたよ! 一番先に入った人たちが!」

勇者か・・。
コウキたちはどれくらい強くなっているか見ていないな。



どうしようか、転移してつれていってもらおうか?


「あっそういえば比べた人数が違った! 先に入った大勢と比べたけど、今の人数じゃあ負けるかな?」

・・・・

頼むよ・・・。
様子がわかるから幸運と思っていたけど、惑わされる。

「僕たちを飛ばしてくれる?」

そう言うとダンジョンコアが光った。
そして次に目を開くと目の前で戦闘が始まっていた。

目の前には負の感情を一身に浴びて仲間を守るコウキだった。
全身に黒い靄を浴び苦痛に歪む顔で耐えていた。

その先には何と言えば通じるのか、人間や魔物、そして様々な物質が合成し歪な丸を形成している。
表面には顔や四肢が飛び出し不気味な姿で浮かんでいる。
恨みが固まり存在しているかのような魔物。

不気味玉とでも言うか・・・。

不気味玉は不気味な声の多重湊、呪われそうな奇声が響いている。


一先ずコウキの前に出て、これ以上攻撃を受けないよう結界を張る。

コウキはソフィアに任せ、他の冒険者の回復はサクラが行っている。

不気味玉は会話が成立せず、浄化する必要性を感じた。

浄化はクロウが受け持つと言い、詠唱すると言うため、結界で攻撃を防ぎながら時間を稼いだ。
表面にある手足から魔法が放たれるが結界は破壊されない。

どうなっているのか目からも光線が飛んでくるが防げている。

攻撃は結界に無数に降りかかった頃、クロウの詠唱が完成した。
「我に集まる聖なる光   我は誘う穏やかな世界に   この世界は安寧    光に集まれこの世を恨むもの    我が全て打ち払い誘う    新世界!」


クロウから光が放たれる。
その光はゆっくりだが確実に不気味玉を包み込む。
光は強くなり続け、目を開けていることが辛くなったとき、縮小し始めた。

光は小さく小さくなり、ビー玉位の大きさで固まった。

固まった物を見てみると魔石に近いものになっている。
おもむろにクロウはそれを飲み込んだ。

「これで完成! 我が通常の輪廻へと戻す!」

クロウ・・・、神鳥・・・・。

~~~~~

この場には多くの冒険者や騎士、勇者がいた。

コウキが攻撃を防いだが、ある一定のダメージは受けていたようで、サクラが回復に活躍した。

コウキのダメージは大きく、ソフィアが呪いは解いたが、強い魔物と戦うには心もとない。

「コウキはどうする? 僕たちは先に進んで魔王と話をしようと思っているけど、まだ進むことができる?」

・・・・

「やっぱり強かったんですね・・・。俺は勇者としてこの世界に呼ばれた・・・。だけどこの世界にいた人が俺より強いなら、俺は産まれた地を離れなくてもよかったんじゃあないのか!」

ここに来てコウキたち勇者の感情が揺さぶられたようだ。
確かに僕たちがこの世界の者として前線で活躍していたら召喚されなかったかも知れない。

だけど、これは僕のわがままだが、召喚したものは知ったこっちゃない。
ただ、召喚されたものは助けたいと思う気持ちはあるが。

「僕たちが君たち勇者より強かったからといって何か違うことがあるの? きっと僕たちが活躍しても呼ばれてたよ。」

「それでも! それでも・・・、もしかしたら俺たちが呼ばれない可能性もあった・・・。何故あなたたちはもっと頑張ってくれなかったんだ~!」

・・・
・・・

「人に頑張れって何様よ! 私もラウールも色々とあったのよ? 何も知らないあなたに何で頑張らなかったんだ~! 何て言われたくないわ!」


「そんなことわかってるよ! だけど・・・、俺は学生生活をっ! 俺は戻れないんだぞ! この世界が、元々ここにいたお前たちに俺たちの気持ちがわかるか!」


テザン皇国にいたときよりも何か溜まってるな。これくらいが素なんだろうな。


「わからないわよ! 人のことなんてわかるわけないじゃない! 私たちは一緒に冒険をしてようやくわかり合えることが増えたけど、そんなに簡単に人のことなんてわからないわよ!」


「そんなことを言いたいんじゃない! わかり合えるとかでなくて、この世界に来ることから不満なんだ! 何故俺たちなんだ! 何故お前たちでないんだ・・・。」

「選ばれてないもの。私たちはただの冒険者。強いかもしれないけれど、期待するなら偉い人にして! あなたたちみたいにこの世界に呼ばれた人も過去にいるみたいじゃない! その人たちが召喚を止める方法も作っていないでしょ? あなたたちは次の召喚を止めるつもりはあるの?」


・・・・
・・・・

「そんなの、今は考えられない・・・。」

「じゃあ考えたら? あなたたちはもうここにいる。だけど次に召喚の儀式が起こらないように行動できるんじゃない?」

・・・・
・・・・

「うるさい・・・」


今はこれ以上駄目だな。

「サクラ、それくらいにしてそろそろ行こう。勇者たちも今は休んだら。お望みの通り僕たちが行くよ。」

・・・
・・・

「でもね、そのままだとどうにもならないよ。どんな風でもいいから先に進もうよ。」

僕はそう告げ仲間の合図し先に進んだ。
勇者は立ち上がらず、冒険者も前に進まず、騎士だけは国のためにと無理をして僕たちの後をついてきた。

ダイチたちとファンフートも無言で歩み始めた。


さあ、次は本命の魔王か?

どう出てくる。
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