おっさん騎士はお疲れ魔法使いを癒やしたい

丸井まー(旧:まー)

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おっさん騎士はお疲れ魔法使いを癒やしたい

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 ディオルドは訓練の時間が終わると、一緒に訓練をしていた仲間達と共にシャワー室へと向かった。
 シャワー室がある騎士団寮へ向かう途中にある魔法省の建物の二階の窓を見上げれば、今日も今日とて疲れた顔をしている1人の魔法使いの姿がチラッと見えた。
 ディオルドは短く刈っている赤銅色の髪をがしがし掻いて、仲間と世間話をしながら、チラッと見えたあの疲れた顔をなんとかできないかなぁとぼんやり考えた。

 ディオルドは15歳から騎士団で働き始めて、もう20年になる。下級貴族の家に三男として生まれたディオルドは継ぐ家もないので、自分で生計を立てていかなくてはいけない。子供の頃から剣が大好きだったので、迷うことなく騎士団に入団した。
 ただひたすら真面目に働き続けていたら、今では隊長という立場になり、少数だが部下もできた。

 35歳になるディオルドだが、結婚はしていない。顔立ちは凛々しく整っている方で、新緑を思わせる瞳が素敵だと言われたこともある。身体つきは背が高くて、騎士らしく鍛え上げられている。
 若い頃は城で働く女官などから恋文を貰うこともあったし、上司経由で見合いの話がきたりしていたが、全て断っていた。

 ディオルドは男しか愛せない。自分がそうだと気づいたのは、騎士になって先輩に連れて行かれた娼館で女相手には何もできなかった時だ。
 そして更に、ディオルドを娼館へ連れて行った先輩の男に対して、自分が淡い想いを抱いていることに気づいた。先輩の男に抱かれる娼婦を羨ましいと思ってしまった。
 後日、試しに1人で花街にある男娼がいる娼館に行った。ディオルドはそこで男に抱かれる悦びを知った。

 いつまでも結婚しないディオルドを周囲は変わり者扱いしてくるが、男しか愛せないことを知られたくないので、先輩の男への恋心は封印し、それ以降花街にも行かず、今に至る。

 同性愛は禁じられているわけではないが、ごく少数派なので、奇異な目や白い目で見られやすい。ディオルドには堂々と男が好きだと言える勇気がなかった。いつまでも結婚しないディオルドに両親が焦れているが、ディオルドとしては一生1人でいいと思っている。

 そんなディオルドには、3年程前から気になる男がいる。魔法省に勤める魔法使いで、いつ見かけても疲れた顔をしている。歳は多分いくつか年下で、金髪碧眼で顔立ちそのものは甘くきれいに整っているが、いつでも目の下に隈があり、心底疲れた顔をしているので、モテそうな雰囲気ではない。
 ディオルドが一方的に見ているだけで、喋ったことがないから名前も知らない。

 訓練場から騎士団寮に行く途中にいつも窓から見えるその疲れた横顔が、何故だか妙に気になって仕方がない。とはいえ、騎士団に派遣される者以外の魔法使いとは接点がないし、正直話しかける勇気もないので、ただ遠目に疲れた顔をチラ見しているだけである。

 あの疲れた顔をどうにかして、笑顔を見てみたいと思うが、思うだけでなんの行動にも移せない。ディオルドは周囲から『堅物だが勇猛果敢な騎士だ』と評されているが、実際は単なる臆病者だ。気になる男に声をかけるどころか、近づくことさえできない。

 ディオルドはシャワーを浴びて着替えると、仕事を始めながら、心の中で小さく溜め息を吐いた。




ーーーーーー
 ディオルドは心地よい酔いに鼻歌を歌いながら、暗い道を歩いて、住まいである騎士団寮を目指していた。
 今日は部下の結婚式だった。同期は皆結婚しているし、後輩や部下もどんどん結婚していく。残されていくのはディオルドばかりだが、もう諦めているので今更気にならない。
 結婚式の後の披露宴は盛り上がり、とても楽しい酒が飲めた。幸せそうな部下を見れてよかったと素直に思う。とても頑張り屋な部下で、入団した頃から目をかけていたので、尚更幸せそうな笑顔が嬉しかった。

 一緒に結婚式に参列した独身連中は皆花街へ繰り出した。ディオルドは花街に行く気がないので、1人で先に騎士団寮へと戻っている。
 何気なく空を見上げれば、煌々と月が輝いている。なんとなく立ち止まり、まん丸の月を眺めていると、足を引きずるようなのろのろとした足音が聞こえてきた。

 音がした方に目を向ければ、あの疲れた顔をしている魔法使いがこちらに向かって歩いてきていた。
 ディオルドは驚き、キョロキョロと挙動不審に周囲を見回して、どうしたらいいのか分からずにピシッと固まった。

 魔法使いの男がのろのろと近づいてくる。ディオルドは月明かりに照らされる疲れた顔を見て、意を決して男に声をかけた。素面だったらきっと適当にすれ違うだけだっただろうが、ディオルドはそれなりに酔っており、ちょっとだけ気が大きくなっていた。


「魔法使い殿」

「あ、はい? えーと、なにか?」

「その……私はディオルド・ガードナー。騎士団に所属している。貴殿のお名前をお聞きしてもよろしいか」

「はぁ……シャリオン・フーリンです。魔法使いです。貴方、『隊長』って呼ばれてる人ですよね。魔法省の窓からたまに見えます。僕の机、窓際なんで」

「わっ、私も貴殿をたまに見かける。その……いつも疲れた顔をしているが、ちゃんと食事や睡眠はとれているのだろうか」

「いやぁ? 研究が忙しくて中々?」

「も、もし! もし、よければ、その、今夜の食事がまだなら、私の部屋に来ないか? 寮住まいだから温かい食事は用意できないが、パンやチーズ、ワインくらいならある」

「あーー。どうしようかな……腹は減ってるんですけど、疲れて食べる気力がないんですよねぇ」

「きちんと食べて、しっかり眠らないと疲労はとれない。貴殿はいつでも疲れた顔をしているだろう。あー、その、それがちょっと気になっていて……」

「はぁ……そうですか。んーー。じゃあ、ご馳走になります。どうせ家に帰っても水しかないし」

「あ、あぁ! では、私の部屋へ。一人部屋だから気兼ねしなくていい」

「はぁ……あ、騎士団寮って部外者が入っていいんですか?」

「問題ない。中には女を連れ込む者もいるくらいだ」

「はぁ……そうなんですね。じゃあ、お邪魔します」

「あ、あぁ。こっちだ」


 自分でもビックリな大胆さに心臓がバクバク激しく動いている。やっと名前を知ることができた。それだけでも嬉しいのに、ディオルドの部屋に来てくれることになった。
 別にシャリオンとどうこうする気はない。ただ、疲れた顔がちょっとでもマシになったら嬉しいような気がするだけだ。
 ディオルドは心臓を大きく高鳴らせながら、心底疲れた雰囲気のシャリオンを自室へと案内した。

 ディオルドは隊長職に就いているので、三階の奥の角部屋が自室になっている。基本的に平の騎士は相部屋だ。ディオルドは誰もいない騎士団寮の中を歩き、シャリオンを部屋の中へと入れた。

 ディオルドの部屋は、そこそこ大きなベッドと書物机、衣装箪笥と小さめの棚くらいしかない。
 椅子が一つしかないのでシャリオンを書物机の椅子に座らせ、棚に置いてあるワインとグラス、買い置きのパンとチーズを取り出した。
 パンとチーズは晩酌のお供にいつも常備している。硬めのパンを薄く切り、チーズをのせて食べるのが好きなのだ。

 パンをナイフで薄く切り、チーズも切ってパンの上にのせ、皿に盛る。ワインをグラスに注いで書物机の上に置けば、シャリオンが礼の言葉を口にして、のろのろと食べ始めた。
 ディオルドはベッドの上に腰掛け、黙々と食べているシャリオンの背中を眺めた。
 ゆるめのローブを着ていても、魔法使いらしく痩せているのが分かる。普段、まともな食事をあまりとっていないようだから、尚更痩せているのだろう。

 グラスのワインを飲み干した気配がしたので、ディオルドは立ち上がり、ワインのおかわりを注いだ。


「ありがとうございます。このワイン美味しいですね。パンもチーズも美味しい。なんか久しぶりにまともなもの食べた気がします」

「これでか?」

「普段は携帯食で済ませることが多いので。あと水」

「携帯食って、もしかして遠征用のものか? あれは硬くてパサパサしていてマズいだろう?」

「栄養価はそれなりに高いし、申請すればタダでいっぱい貰えるんで楽なんですよ」

「その……不躾なことを聞くが、金に困っているとか……」

「いえ? 貯金はありますよ。使う暇がないので貯まる一方です」

「それなら、少しでもまともな食事をした方がいいんじゃないか? あ、余計なお世話ならすまない」

「いえ。どうにも面倒なだけなんですよ。ここ数年は研究主任を任されているので、とにかく忙しくて」

「その……歳を聞いても?」

「29です」

「その歳で研究主任を任されるなんて、すごく優秀なんだな」

「ありがとうございます。研究馬鹿なだけなんですけどね」


 シャリオンがゆるく笑い、その後で大きな欠伸をした。


「あー。駄目だ。久しぶりにワイン飲んだから寝そう。すいません。床を借りてもいいですか?」

「まさか床で寝る気か!? 私のベッドでよければ、ベッドで寝て欲しい。その、余計なお世話かもしれないが、貴殿は本当に疲れた顔をしている。ちゃんと眠った方がいい」

「あー。じゃあ、一緒に寝ます? 雑魚寝ということで」

「えっ!? あ、あ、あぁ。か、構わないが……」

「すいません。限界です。寝ます」

「あ、あぁ。おやすみ」

「おやすみなさい」


 シャリオンが立ち上がって羽織っていたローブだけを脱ぎ、靴を脱いでベッドに上がった。ベッドに横になった途端に、規則正しい寝息が聞こえ始めた。
 ディオルドは予想外の急な展開にどきまぎして意味もなくシャツの裾を指先で弄った。
 シャリオンを襲うつもりはないし、シャリオンにしっかりと睡眠をとってもらいたい。しかし、一緒のベッドで寝るのは如何なものだろう。

 ディオルドはベッドの側で棒立ちになり、暫し悩んでから、おずおずとブーツを脱いでベッドに上がった。
 穏やかな寝息を立てているシャリオンの寝顔をじっと見つめた後で、ディオルドは2人の身体に掛け布団をかけてから、シャリオンに背を向けて寝転がった。
 背中にシャリオンの背中が当たっている。背中に伝わる体温にドキドキして眠れる気がしない。

 ディオルドは、結局朝まで眠れなかった。

 翌朝。今日は公休日だ。シャリオンも休日の筈である。
 朝日が完全に昇るまでベッドの中で固まっていたディオルドは、穏やかな寝息を立てているシャリオンを起こさないように慎重にベッドから抜け出た。

 備え付けの簡易シャワー室にある洗面台で顔を洗って髭を剃り、寝癖をなおして私服に着替えたタイミングで、シャリオンが小さく唸り声を上げ、のろのろと起き上がった。
 まだ眠そうな顔をしているシャリオンと目が合った瞬間、ドキッと心臓が高鳴る。


「お、おはよう」

「……おはようございます。なんか久しぶりにまともに寝ました」

「そうか。今日は貴殿も公休日だろう?」

「んーー。やらなきゃいけない書類仕事があるんで、職場に行きますよ」

「……最後にまともに一日休んだのは?」

「さぁ? 覚えてないです」


 いくら多忙だと言っても、これはあんまりである。どうやらシャリオンは、本気で身体を壊しそうな生活をしているようだ。
 ディオルドはとても心配になったが、よく知りもしない相手から余計なことを言われるのは嫌かもしれないと思い、言いたいことをぐっと堪えた。


「せめて朝食を一緒にどうだろうか。寮の食堂で食べられるから」

「え? いいんですか?」

「あぁ。食堂の者に頼めば、外部者でも食べていいことになっている」

「あー。じゃあ、ありがたく。あ、お金は払います」

「いや。食費は給料から天引きされているから、一食の値段は分からないんだ。その、気にせずにしっかり食べてもらえると嬉しい」

「んーー。じゃあ、ご馳走になります。ディオルド殿は優しいんですね。こうして気遣ってもらえるのはとても久しぶりです。ディオルド殿の体温が温かくて朝まで快眠でしたし、助かります」

「い、いや! 私が好きでしたことだから、その、気にしないでもらいたい。んんっ。顔を洗ったら朝食を食べに行こう。髭剃りは、気にならないのであれば私のものを使ってくれ」

「あ、じゃあお借りします」

「あぁ」


 シャリオンがベッドから下りたので、簡易シャワー室へ案内し、ディオルドは落ち着かなくてそわそわしながらシャリオンがシャワー室から出てくるのを待った。
 顔を洗って、少し伸びていた髭を剃ったシャリオンの顔は、疲れの色が若干薄れていた。なんだかすごく嬉しい。思わず笑ってしまいそうになるのをぐっと堪えて、ディオルドはローブを羽織ったシャリオンと一緒に部屋を出て、食堂へと向かった。




ーーーーーー
 ディオルドが一日の仕事を終え、寮の共同風呂で汗を流し、自室で晩酌していると、部屋のドアがノックされた。椅子から立ち上がってドアを開ければ、疲れた顔をしたシャリオンがいた。


「ディオルド殿。ご飯ください」

「あぁ。中へ」

「お邪魔します」


 ディオルドは買い置きのパンとチーズ、それから追加で常備するようになった果物と干し肉を皿に盛り、ワインをグラスに注いだ。
 椅子に座ったシャリオンが黙々と食べるのをチラッと見てから、自分用のワインをベッドに腰掛けてちびちびと飲む。

 初めてシャリオンがディオルドの部屋に泊まった日から、数日に一度、夜にふらっとシャリオンが部屋へ訪れるようになった。ディオルドは、シャリオンに少しでも栄養と睡眠をとらせようと、せっせとシャリオンに食べさせ、一緒にベッドで寝ている。

 シャリオンと友人になれたのかもしれないのだが、シャリオンが訪れるようになって二か月もすれば、ディオルドは明確にシャリオンへ恋心を抱いていることを自覚した。
 叶うはずがない恋なので、墓までこの気持ちは持っていくつもりだ。ただ、シャリオンに恋心を知られずに、シャリオンの疲れを少しでも癒やしてやりたい。
 ディオルドは暇な時間ができると街の市場に行き、シャリオン用の食べ物を買うようになった。ちょっと餌付けをしている気分になっているのは秘密である。

 食事を終えたシャリオンが椅子から立ち上がり、大きな欠伸を連発しながらローブを脱いだ。シャリオンはシャワーを浴びたり風呂に入るのも面倒なようで、自分の身体や服に清浄魔法をかけているらしい。

 ベッドに横になったシャリオンが眠そうな顔でこちらを見てきたので、ディオルドは内心ドキドキしながら、ブーツを脱いでベッドに上がった。
 シャリオンの方を向いて横になれば、シャリオンがディオルドのシャツに包まれた逞しく盛り上がった胸筋に顔を埋めた。心臓がバクバク激しく高鳴っているが、いつものことなので、多分シャリオンはそういうものだと思っている気がする。

 シャリオンと数日おきに一緒に寝るようになり、一か月くらい経った頃から、シャリオンがディオルドの胸に顔を埋めて眠るようになった。なんか落ち着くらしい。ディオルドはシャリオンと密着してしまって、全く落ち着かない。
 すぐに穏やかな寝息を立て始めたシャリオンの背中の中ほどまで伸ばしている金髪をなんとなく指で弄り、ディオルドはシャリオンを起こさないように、そーっとシャリオンの痩せた身体をゆるく抱きしめた。これくらいは許して欲しい。腕の中の体温が愛おしくて堪らない。
 ディオルドは小さく息を吐いて、胸元に顔を埋めて眠っているシャリオンの髪に鼻先を埋め、静かに目を閉じた。

 ディオルドは腕の中でもぞもぞと動く振動で目が覚めた。ベッド横のカーテンの隙間から微かに月明かりが差し込んでいるので、まだ真夜中の時間帯だ。
 はっ、はっ、と微かに荒い息遣いが聞こえてくる。ごそごそと下の方から微かな布ずれの音も聞こえる。

 ディオルドは確信した。シャリオンがディオルドの胸元に顔を埋めたまま、自慰をしている。かっと一気に顔が熱くなる。ディオルドはごくっと口内に溜まった唾を飲み込んでから、そーっとシャリオンの頭を撫でた。

 シャリオンが顔を上げて、ディオルドを見た。以前よりもずっとマシになったが、疲れが見える顔が、今は頬が紅潮してとろんとした目をしている。
 ディオルドの心臓はさっきからいつもよりバクバク激しく高鳴っている。
 ディオルドは挙動不審に目を泳がせながら、何度も唾を飲み込み、思い切って掠れた小さな声でシャリオンに話しかけた。


「その……もし、私の身体がおかずになるのなら……ふ、触れてもらっても構わない」

「いいんですか?」

「あ、あぁ……」

「では、遠慮なく」


 シャリオンがうっとりと笑い、ディオルドのシャツのボタンを外し始めた。薄暗い中、むっきりと逞しく盛り上がった胸筋が露わになる。
 シャリオンがディオルドの胸筋の谷間に顔を擦りつけてから、胸筋の下の方にある右の乳首に吸いついてきた。ちゅくっと優しく乳首を吸われ、ちろちろと舌先で乳頭を擽られる。ちゅっちゅくちゅくちゅく乳首を吸われると、じんわり気持ちよくて、酷く興奮して、股間が急速に熱くなっていく。

 ディオルドははぁっと熱い息を吐き、ごそごそと自分のペニスを弄りながら夢中でディオルドの乳首を吸っているシャリオンの頭をやんわりと撫でた。
 シャリオンに促されて仰向けに寝転がると、シャリオンが今度は左の乳首に舌を這わせ、優しく吸い始めた。

 ディオルドは少しだけ迷った後で、思い切って右手をシャリオンの股間に伸ばし、熱く硬く勃起しているシャリオンのペニスを掴んで、自慰をする時と同じように、ゆるゆるとシャリオンのペニスを扱き始めた。
 シャリオンが夢中でディオルドの乳首を吸いながら、右の乳首も指先で優しく弄り始めた。
 ディオルドは、はっ、はっ、と興奮した息を吐きながら、シャリオンのペニスの形を確かめるように、シャリオンのペニスを撫で回した。

 ちゅぽっと乳首から口を離したシャリオンが、ディオルドをじっと見つめてうっとりと笑い、乳首を弄っていた手をディオルドのもっこりしている股間に伸ばして、やんわりとディオルドの股間を撫でた。


「ディオルド殿。気持ちいいこと、したいです」

「あ、あぁ。……その、貴殿の好きなように……」

「ふふっ」


 ディオルドはシャリオンに促されてのろのろと服を脱ぎ、全裸になった。シャリオンに促されるがままに四つん這いになれば、腰から尻に向けて撫でられた。多分、魔法で中をきれいにしたのだろう。
 セックスをするのは、娼館で男娼に抱かれた以来だ。ものすごくドキドキして、まだ何もしていないのに汗が滲み始める。

 シャリオンに筋肉質でむっきりとした尻肉を両手で掴まれ、ぐにぃっと大きく広げられた。瞬間、ディオルドはハッとした。
 ディオルドのアナルまわりにはちょろっと毛が生えている。密かに恋をしているシャリオンにケツ毛を見られてしまった。
 ディオルドがピシッと固まっていると、外気に触れているアナルに熱くぬるついたものが触れた。一拍後にそれがシャリオンの舌だと気づいて、ディオルドは羞恥と歓喜と快感に身体をビクッと震わせ、ぽたっと涙を一つ零した。

 ぬるぬるとアナルの皺の隙間を広げるように丁寧に丁寧にアナルを舐められる。普段は自分の指しか挿れないアナルが喜んで、すぐに柔らかく綻ぶのが嫌でも分かった。
 恥ずかしい。でも気持ちよくて堪らない。
 ディオルドは漏れ出そうな喘ぎ声を必死で殺しながら、背筋を駆け上がる快感に腰をくねらせた。

 しつこいくらいにアナルを舐められた後、ぬるついた細い指がアナルの中へと入ってきた。探るような動きをしているシャリオンの指が、前立腺なる腹の中の一番気持ちがいいところに触れた。


「あぁ!?」

「あ、ここですね。ディオルド殿。声を出しても大丈夫です。防音の魔法をかけてます。いっぱい可愛い声を聴かせてください」

「あっ! あぁっ! そこはっ! だめだっ!」

「気持ちよくないですか?」

「きっ、きもちいいからっ、だめっ! あっ!? あっあっあっ! んぅーーーーっ!」

「はぁ……貴方の中は熱くて柔らかくてキツくて素敵です。早く貴方の中に入りたい」

「も、もういいっ、からっ!」

「まだです。しっかり解さないと」

「あぁ! あっ! あっ! そこばっか! やだぁ!」

「こっちも弄りますね」

「あぁ!? んぁーー! りょうほうっ、むりっ! いくっ! いっちゃうっ!」

「あ、どうせならイク顔が見たいな。仰向けになってください」

「んぁっ。あ、あぁ……」


 前立腺をすりすり優しく刺激しながらディオルドの勃起して先走りが滲むペニスを扱いていたシャリオンの手が離れたので、ディオルドは言われた通りにのろのろと仰向けになり、膝を立てて足を大きく広げた。
 シャリオンが楽しそうに笑って、再び濡れた指を今度は二本ディオルドのアナルの中に押し込んだ。ゆるゆると指を抜き差ししながら、前立腺を優しく刺激される。それだけでイキそうなのに、シャリオンがディオルドの今にも射精してしまいそうなペニスをぱくんと口に含んで、敏感な亀頭を舐め回し始めた。


「あーーっ! だ、だめっ! ほんとっ! いくっ! いくっ! あ、あ、あぁぁぁぁぁぁっ!」


 トントンッと前立腺を指で優しく叩かれながら亀頭をじゅるっと吸われた瞬間、ディオルドは呆気なくシャリオンの口内に精液をぶち撒けた。

 はぁー、はぁー、と荒い息を吐いているディオルドの射精したのに萎えないペニスから口を離したシャリオンが、ごくんと嚥下した。まさか精液を飲まれるとは思っていなかったディオルドは、驚いて目を見開いた。
 シャリオンがふふっと楽しそうに笑い、ずるぅっとアナルから指を引き抜いて、勃起して反り返っている自分のペニスをゆるゆると扱いた。

 いよいよ繋がるのかもしれないと思ったディオルドは腰を少し浮かせた。すぐに欲しがって勝手にひくつくアナルに熱くて硬いものが触れる。
 シャリオンがディオルドに覆いかぶさり、ちょこんと控えめに勃っている乳首に吸いつきながら、ゆっくりとディオルドの中に硬いペニスを押し込み始めた。

 解しても尚狭いアナルを抉じ開けるようにして、ゆっくりとシャリオンのペニスがディオルドの中に入ってきて、腹の中を満たしていく。ちゅーっと少し強めに乳首を吸われながら、前立腺をぐりっと強くペニスで突き上げられた。


「あぁっ!!」

「はぁ……すごいな。我慢できない。動きます」

「あっ! あっ! あっ! あぁっ! きっ、きもちいいっ!」

「んーーっ」

「あぁ! ちくびもっ! いいっ! いいっ! ま、またっ! いくっ! いっちゃう!」

「ちゅぽっ。僕のちんちんでイクとこ見せて。ほらっ。ほらっ」

「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁ!」


 腹の中でシャリオンのペニスが激しく暴れ回り、容赦なく前立腺を突かれまくる。興奮と強烈な快感が頂点に達して、ディオルドは枕に後頭部を押しつけるように仰け反りながら、触れてもいないペニスからまた精液を吐き出した。

 快感で潤む目でシャリオンを見上げれば、嬉しそうにうっとりと笑っていた。
 シャリオンが再びディオルドの乳首に吸いついてきたので、ディオルドは、熱心に乳首を吸いながら腰を振り始めたシャリオンの頭を抱きしめ、やんわりとシャリオンの頭を撫でた。
 目だけでこちらを見ているシャリオンが、どこか嬉しそうに目を細めた。腹の中で暴れ回るシャリオンのペニスの動きはどんどん激しくなり、乳首を引っ張るように強く吸われる。

 休む間もなく与えられる強烈な快感がまた弾け飛ぶ予感が大きくなっていく。大きく喘ぎながら、ディオルドはシャリオンの腰に足を絡めた。

 シャリオンが何度もディオルドの腹の中に射精して寝落ちるまで、ディオルドは愛おしい人が与えてくる快感に喘ぎ、泣きじゃくった。

 翌朝。ディオルドが自然と目覚め、しぱしぱする目を開けると、カーテンの隙間から日差しが差し込んでいた。完全に日が昇っている時間帯らしい。たまたま今日が公休日で助かった。

 ディオルドは、盛り上がった胸筋に顔を埋めて穏やかな寝息を立てているシャリオンの頭に鼻先を埋めた。すーっと匂いを嗅げば、ほんのり汗の匂いがする。
 シャリオンとセックスをしてしまった。今更ながらに心臓がバクバク激しく動く出す。
 シャリオンの痩せた身体を抱きしめながら、ディオルドはシャリオンが目覚めるまで、どうしよう、どうしよう……と、ぐるぐる頭を悩ませた。

 腕の中のシャリオンがもぞもぞと身動ぎして、ディオルドの胸筋に顔を擦りつけた。大きな欠伸をしたシャリオンが顔を上げ、ゆるく笑って口を開いた。


「おはようございます」

「お、おはよう……あー……あの、その……」

「昨日は素敵でしたね」

「ぐふっ。あの、えっと、その、な、なんで……」

「ん? あぁ。僕は貴方のことが好きなので。貴方も僕のこと好きでしょ?」

「なっ! なんで知ってっ!」

「なんとなくそうかなって。ディオルド殿」

「な、なんだろうか」

「僕を惚れさせた責任はちゃんととってくださいね。拾ったものは最後まで面倒みるのが筋ですよ」

「えっ!? その……貴殿を拾った覚えはないのだが……」

「拾われましたよー。餌付けもしてもらったし? あ、寮住まいだと毎回防音の魔法かけなきゃいけないから、僕の家に引っ越しませんか? ものすごく散らかってるけど、一応一軒家なんです。亡くなった伯父から継いだ家でして」 

「そっ! それは、その、同棲というやつだろうか……?」

「そうですよ。できるだけ毎日帰るようにしますんで、ご飯ください。あと甘やかしてください。僕は甘やかされるのが好きみたいです」

「……は、ははっ。思う存分甘やかすよ」

「そうしてください」


 ディオルドが嬉しくて泣き笑いみたいな顔をすると、シャリオンがちょっと照れたように笑って、ディオルドの唇に触れるだけの優しいキスをした。
 唇を触れ合わせながら、シャリオンが囁いた。


「仕事を引退してお爺ちゃんになっても一緒にいましょうね。今まで気づかなかったんですけど、僕は重い方だったみたいです。浮気は許しませんから。ずっと僕だけを見て、僕だけを甘やかしてください」

「……ん」

「泣かないで。愛おしい人」

「ずずっ。泣いてない」


 嘘だ。嬉しすぎて泣いている。ディオルドはシャリオンの唇にキスをして、こつんと額をくっつけて見つめ合った。


「私と一緒に暮らすのならば、しっかり健康体になってもらう。食事と睡眠はきっちりとらせる」

「はい。僕のお世話よろしくお願いします。僕、研究以外は割とポンコツなんで」

「ははっ。シャリオン殿。その、あ、あ、愛してる……」

「ふふーっ。僕もです。早速ですが、お腹空きました」

「一緒にシャワーを浴びたら朝食を食べに行こう」

「はい」


 ディオルドは起き上がり、シャリオンと一緒にベッドから下りて、シャワー室に向かった。
 狭いシャワー室で洗いっこをして、何度もキスをした。

 嬉しそうに笑うシャリオンが愛おしくて仕方がない。一緒に暮らせるのならば、痩せた身体を健康的に太らせたい。
 ディオルドは料理を覚える決意をした。野営料理は一応作れるので、料理本を教材にすれば、きっと料理ができるようになる筈である。

 シャリオンと一夜を過ごした次の公休日に、ディオルドはシャリオンの家に引っ越した。ディオルドもそれなりに仕事が忙しいので通いの家政婦を雇い、公休日にはディオルドがシャリオンのために料理をしている。

 朝。2人だと少し狭いベッドで目覚めたディオルドは、胸筋に顔を埋めてぐっすり寝ているシャリオンの頭にキスをした。
 もうすぐで同棲して半年になる。シャリオンはほぼ毎日、どれだけ遅くなっても帰ってきてくれる。毎晩一緒に寝て、『おはよう』と『おやすみ』のキスをしている。

 ディオルドはシャリオンの頭をやんわり撫でながら、可愛らしい年下の恋人を優しく起こした。



(おしまい)

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