異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇

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第174話 ブライドルの婚約パーティー 後編

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令嬢はフィーネリーゼを睨みながら挨拶をする
「あなたがあの極悪令嬢ですの? どうやってブライドル様に取り入りましたの!!」
令嬢が大声で怒鳴ると、周囲の視線が集まっている
「ただの噂だ!! そんな噂に踊らされる方が悪いな」
ブライドルが笑顔で令嬢を見ている
「ブライドル様はまだこの極悪令嬢の本性を知りませんのーーー」
令嬢が有ること無い事を大声で叫んでいる。ブライゼルスが令嬢の方を見て睨んでいると、視界に令嬢の集団が向かっているのを見付けて苦笑いする
(あれはイールスか? イールスの性格なら止めに向かうのか? )

イールスは怒鳴り声にブライドルの方を驚いたように見ている
「イールス様、何でしょうか?」
アリシナが怒鳴り声の方を見ている
「極悪令嬢か…申し訳ないですが、少し移動します」
イールスがアリシナ達を見て言うと、イールスが歩き始め、令嬢達が道を開けて、イールスの向かう方に移動していく

大声で叫んでいる令嬢の横まで来ると、多くの令嬢達の視線が集まっている
「大変申し訳ありませんが、何を叫んでいるのでしょうか?」
イールスが令嬢の前に入りながら言うと、エリーゼマリーナ達が令嬢の周囲を取り囲む様に集まっている
「そこ退きなさい!! 真実を話していますわ!! そこの極悪令嬢の真実を!!」
令嬢がイールスを睨んでいる
「そうですか? 古い噂を叫んでいるだけですね」
イールスが笑顔で言うと、周囲の令嬢達の視線が集まっている
「は? 事実ですわ!! 3人の婚約者から捨てられた極悪令嬢ですわ!!」
「まず1人目の婚約破棄は、御相手の婚約者が侍女と子を作り、それを内緒に婚約をしたのが原因です。 その御相手はフィーネリーゼ様が婚約破棄をしたのを恨んで、侍女を殴る趣味と噂を流したのが、その噂です。既に別の奥様を娶り、その時の事実を奥様も認めています。 2人目は拘束や拷問趣味の為、フィーネリーゼ様がギリギリで逃げ出して、婚約破棄をなされました。 その相手が動物を殺す趣味の為、婚約破棄をしたと噂を流したのが事実です。 3人目は悪趣味な商人で、身の危険に何とか脱出して婚約破棄になったとの事です。 逆上した相手が相当な噂を流した様ですけど、皆様も商会の噂は聞いていると思います」
イールスが丁寧に説明していると、周囲の令嬢達が顔を見合わせている

「そんな作り話、信じますか? 極悪令嬢の擁護しますの? 愚かな子息ですわ!! ブライドル様の事は一番知ってますわ!!」
令嬢がイールスを睨んでいる
「ブライドル様の趣味は何でしょうか? ご存知ですか?」
イールスが笑顔で言う
「ブライドル様はセルメリア侯爵家の為に日々努力してますわ!!」
「そうですか? 趣味の為にブライゼルス様より愚痴を言われる程、この頃は趣味に没頭しています」
「そうですの!! 趣味の剣の鍛練や勉強に精を出してます!! セルメリア侯爵家の鏡ですわ!」
令嬢が笑顔で言っていると、ブライドルが苦笑いしている

「本当にセルメリア侯爵家の人としか見てないのですね…ブライドル様自身を見てないのですか? 権力と家柄しか見てないから、ブライドル様に見向きもされなかったのですね」
イールスが笑顔で言うと、令嬢が物凄い形相で睨んでいる
「この無礼な!! セルメリア侯爵家のブライドル様を陥れる行為許されませんわ!!」
令嬢が怒鳴る
「どちらが陥れる事をしてますか? フィーネリーゼ様の変な噂を流して、それがセルメリア侯爵家を陥れる行為と思わないのですか?」
イールスが笑顔で言うと、令嬢達が同意している
「セルメリア侯爵家を陥れる? 本当に何も知らない愚か者ですわ!! 誰かこの男を摘まみ出しなさい!!」
令嬢が怒鳴ると、周囲の令嬢達が睨んでいる

「そこまでにしなさいですわ!! 本当に見苦しい、叫びですわ」
シンシリアが歩いてきて、令嬢を睨んでいる
「礼儀作法も知りませんの? 恥ずかしいですのーー 人前に出せませんわ」
メサリアが睨みながら言うと、アリーオが苦笑いしている
「はぁ…フィーネリーゼの噂に踊らされる人がいましたわ」
セーレンが苦笑いしている
「本当に面倒な事です」
メデルが苦笑いしている
「事実ですわ!! え!何故…」
令嬢が叫びながら振り向き、絶句して青ざめ始める
(シンシリア様、メサリア様、セーレン師まで何故? )
「フィーネリーゼ様を陥れるなら、セルメリア侯爵家を陥れてますわ! それに魔法研究院が怒りますわ」
セーレンが笑顔で言うと、周囲の人達がセーレンを見ている
「何故魔法研究院が出てくるのですか!! 極悪令嬢の擁護などしませんわ!!」
令嬢が慌てて叫ぶ
「ブライドルも趣味をバラしますの?」
メサリアが笑顔でブライドルを見ている
「イールスが持った仲を認めないなら、イールスの周囲を敵にしたいようですね」
シンシリアが笑顔で言うと、令嬢達が一斉にシンシリアを見ている
(イールス様が仲を持った!! 本当ですか!! 何処のパーティーでも見たこと無いですわ!!)

「恥ずかしくないぞ!! 友よ」
ブライドルが笑顔で言うと、フィーネリーゼがイールスを見ている
「は?友よ?」
令嬢が振り返りブライドルを見ている
「友を今更紹介は必要ないだろ? 友のお陰でフィーネリーゼに出会えて本当に嬉しく思っているぞ」
ブライドルが笑顔で言うと、イールスを見ている
「え? この男が、この極悪令嬢を紹介したの!! 許しませんわ!!」
令嬢がイールスを睨んでいる
「誰が許さないのですか!! 許しませんわ」
エリーゼマリーナが睨みながら言うと、令嬢達が睨んでいる
「何ですの!! 小娘が」
「お初に御目に掛かりますわ! エリーゼマリーナ・バーランムーアですわ! 小娘呼ばわりされる筋合いは無いですわ」
エリーゼマリーナが笑顔で挨拶をすると、令嬢が驚いたようにしてから慌てて頭を下げている
「礼儀作法も知りませんの」
メサリアが笑顔で言う
「挨拶も出来ない様ですわ」
シンシリアが笑顔で言うと、令嬢が慌てて挨拶をしている
(バーランムーア侯爵令嬢までここにいますの? 何故?)

「あーーー離縁された元男爵夫人でしたの」
メサリアが名前を聞いて笑顔で言う
「あの男爵夫人でしたの? 豪遊の為に家を追い出された…ブライドルも大変な令嬢に目をつけられましたわ」
シンシリアが笑顔でブライドルを見ている
「ブライドル様の嫌いなタイプなのですね」
イールスが振り向き、ブライドルを見て言う
「イールスの嫌いなタイプだろ? 同じだろ? 正直困っていた…」
ブライドルが笑顔で言うと、周囲の人達が驚いたようにブライドルを見ている
「ここで言う事ですか? 多くの人が見ています」
「気にならないぞ!! 友よ」
ブライドルが笑い始めると、令嬢が青ざめている
「ブライドル様!! 何故!! こんなに愛しているのに!!」
令嬢が叫ぶ
「フィーネリーゼを愛しているぞ」
ブライドルが笑顔で言うと、フィーネリーゼが真っ赤になっている
「何故!! ブライドル様ーーーーこんな悪趣味な女の何処が良いのですか!!」
令嬢が大声で叫ぶと、周囲の人達が呆れた様に見ている
「フィーネリーゼ様をこれ以上陥れると困ります」
イールスが令嬢を見て言う
「男爵令嬢ごときがーーー悪趣味の極悪令嬢に何を言って悪いのですか!!」
令嬢が怒鳴る
「メデル様、フィーネリーゼ様事を説明してあげて下さい」
イールスが笑顔でメデルを見ていると、メデルが苦笑いしている
「イールス…ここで振るのですか? フィーネリーゼ様は新設される魔法研究院、温室薬草研究者として国王陛下の勅命で任命されました。 フィーネリーゼ様を陥れるなら国王陛下に対する不満とされます」
メデルが呆れたように説明すると、周囲の人がフィーネリーゼに視線が集まる
「え! 恥ずかしいです…趣味が仕事になっただけです」
フィーネリーゼが真っ赤になりながら呟くと、令嬢が崩れ落ちる様に座り込んでいる。周囲の人達が令嬢を見ている

「余興はこれぐらいで良かろう!! 改めて紹介する!! ブライドルの婚約者フィーネリーゼだ!! 困ったことにブライドルと2人で温室に籠り、仲が良すぎて困っている!! 本当に困った令嬢を見付けたイールスには感謝している!! ブライドルとフィーネリーゼの幸せを祈っておいて欲しい!! 仲がよすぎる為、仕事をしないブライドルには少し仕事をするように伝えて欲しい」
ブライゼルスが笑いながら大声で言う
「2人の幸せを祝福しよう」
公爵が大声で言うと、周囲の人達が一斉に公爵を見ている
(はぁーーー侯爵と公爵が仲良くしている! 何故? あのイールスが2人の仲を持ったのですか!! )

令嬢は侍女が抱えて入口の方に連れられていく
「友よ、お陰でワザワザ説明する必要が無くなったぞ!」
ブライドルが笑顔でイールスを見ている
「会場にいる全ての人が知ったなら、良かったが…ブライドル少しは侯爵家の仕事をしてくれ」
ブライゼルスが苦笑いして言う
「御父様が元気な内は少し趣味に没頭させて貰います」
ブライドルが笑顔で言う
「イールス、ブライドルに言い聞かせてくれ…前妻が亡くなった後もこの調子だったからな…」
ブライゼルスが苦笑いしている
「前妻様が亡くなった後、社交界に出なかったのは…温室の所為ですか?」
イールスが苦笑いして言う
「その通りだ! 妻の残した温室維持が忙しかったからだ!! フィーネリーゼに会えて本当に嬉しいぞ」
ブライドルが笑顔で言うと、周囲の人達が驚いたようにブライドルを見ている
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