異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第187話 出征の準備開始 前編

翌朝、侍女の案内で部屋に向かう
「セーレン様、本日も美しいお姿を拝見できて嬉しく思います」
イールスが丁寧に挨拶をしながら頭を下げている
「イールス、魔法使いの件ですが、既に出征する人が決定していますが…割り当て直しが中々難しい状況です。 家の従者から追加で集めさせますが…おそらく５名になります」
セーレンが説明をしている
「セーレン様、ありがとうございます…商会に登録して御者を集めた方が良いですか？」
イールスが考えながら聞く
「イールス、商会に登録は必要でしょう…家柄が無くては紹介はされません」
「え！ どうしたら？」
「商会持っているでしょう！！ 傘下に連絡させれば、問答無用で集められるのを忘れてないですか？ 権力は使い方次第ですよ」
セーレンが微笑みながら見ている
「あ！ ジエルさんに連絡します」
イールスが笑顔で言う
「魔法研究院に向かいますよ」
セーレンが微笑みながら言うと、侍女が入ってきてイールスに耳打ちする
「セーレン様シリカローレン様が来訪してくれましたので…」
イールスが申し訳なさそうに言う
「シリカローレンさんですか？ 早速兵が集まるのですか？ 待ってますわ」
セーレンが微笑みながら言う

応接室に向かうと、アーセリオドールとロイホールとシリカローレンが話している
「シリカローレン様、本日も美しいお姿を拝見できて本当に嬉しく思います」
イールスが丁寧に挨拶を終わらせると、ロイホールとアーセリオドールにも丁寧に挨拶をしている
「イールス様、本日は出征の件で参りました。 実は既にビーレルバウム男爵家として、６名と分家から各３名合わせて１２名王都に向かっています。 元々出征予定でしたが、昨夜の内に合流予定だった家に連絡を取り、イールス様の傘下に入る許可を得ています」
シリカローレンが笑顔で説明している
「重荷になりませんか？ ロイホール様の許可も…」
イールスが少し心配そうに聞く
「イールス様！！ ビーレルバウム男爵家はイールス様の為なら更に集めさせます。 借金も気にしなくて良くなり、常備兵の余裕もあります。 商隊も領地に良い影響が出始めています…」
シリカローレンが笑顔で説明している
「イールス御兄様、使ってください…必ず御帰還してください」
ロイホールが頭を下げて言うと、アーセリオドールが微笑んでいる
「ロイホール様、シリカローレン様、御厚意感謝申し上げます…おそらく荷馬車の護衛を任せると思います」
イールスが頭を下げて言う
「荷馬車ですか？ 重要なお役目兵士達も喜ぶと思います」
シリカローレンが笑顔で言うと、イールスとシリカローレンが相談を始め、ロイホールとアーセリオドールが相談内容を聞いている

セーレンと魔法研究院に向かいメデルの部屋に向かう
「メデル様、本日も美しいお姿を拝見できて本当に嬉しく思います」
イールスが丁寧に挨拶をしている
「イールス、出征の件で国王陛下に抗議しておきましたが、全員で反対するなと相当焦っていましたよ…バウルトリア師より、この魔導書を渡すように頼まれました」
メグルが本を積み上げながら言う
「魔導書ですか？ 本当に嬉しく思います」
イールスが嬉しそうに笑顔で言う
「鍛冶師から剣を受け取って欲しいと言っています。受け取ったら騎士団の本部に寄って帰って下さい」
メデルが笑顔で言う
「え？ 騎士団の本部に？」
「公爵様が動いています。 クレストファー隊を呼び出す事ですぐに相談したいそうです。アリーオには昨夜怒鳴って起きましたから、しばらく立ち直れないでしょう」
メデルが少し呆れ気味に言う
「アリーオ様に？」
イールスが驚いたようにメデルを見ている
「この原因作ったのですから、軽口２度と出来ませんわ！！ アリーオ相当堪えてますわ！ 今頃シンシリアとエリーゼちゃんがトドメを討ってますわ！！ 交代で責めに行きますわ」
セーレンが笑いながら説明している
「アリーオ様への仕返し考えていたのに…必要ないのかな？」
イールスが呟く
「必要ないですわ！！ イールスは安心して出征の準備をしなさいですわ」
セーレンが笑みを浮かべている

鍛冶師の部屋に向かうと白髪の男がイールスを見ている
「若造がイールスか？」
白髪の男がイールスを値踏みする様に見ている
「お初にお目に掛かります。半人前の未熟者のイールスと申します」
イールスが丁寧に頭を下げていると、セーレンが驚いている
「受け取れ！！ 隠居しているのに、呼び出されたら、ミスリルの剣を作れと言われる始末…人生最後の剣だ！！」
白髪の男が笑いながら剣を差し出す
「人生最後の剣？」
イールスが驚くように剣を受け取ると、剣をじっくり見ている
「イールス、この方は元王宮鍛冶師長ヴェルゼンス様です。 まさか自ら剣を打って貰うなんて」
セーレンが驚いたようにイールスを見ている
「名前などどうでも良い！！ 杖はもう少し掛かるぞ！！ 伝説級の杖を必ず作成するぞ！ もっと早く依頼を出してくれれば引退はしなかったぞ！！ 楽しみにしておけ！」
ヴェルゼンスが上機嫌に笑っている。セーレンが驚いたようにヴェルゼンスを見ている
（イールスは頑固者に好かれるのですか？ デタラメな人脈になりすぎです…）

「感謝申し上げます。 準備をしたら剣の付与魔法をします」
イールスが頭を下げている
「付与魔法をする時は呼ぶように！！」
ヴェルゼンスが笑っている
「今日は魔法のランプの準備が終わった分の付与魔法したら帰ります」
イールスが笑顔で言うと、ヴェルゼンスがイールスの後を付いていき、イールスが魔法陣を書き込んでいるのを真剣な眼差しで見ている

６個魔方陣を書き終わると、メデルとセーレンが手に持って魔法陣を確認している
「メデル様、セーレン様魔力を流して貰っても良いですか？ 動作確認も」
イールスが頭を下げて言うと、メデルとセーレンが魔力を流して、魔法のランプのが魔力の輝きが広がり、収まるのを待っている

「完成ですね…完璧です」
セーレンが点灯させて言う
「本当に出来た…報告に行かないと…鑑定士を…」
メデルが考えながら入口を見ていると職員が入ってきて、鑑定している
「問題は無いと思いますが…イールス様、何故構造強化まで？」
職員が苦笑いしている
「壊れたらダメですよね？」
イールスが笑顔で言うと、メデルが頭を押さえている
（イールス簡単に言わないでください！！ 完璧に作って余計な事までしていたなんて…これの報告したくなくなります…自重しなさい…内容が違うと買取価格がはね上がります…バウルトリア師もイールスの恐ろしさを知って下さい！！）

鍛冶師が嬉しそうに完成した物を持って鍛冶場に入っていく
「何をするのですか？」
イールスが鍛冶師が出て行った方を見ている
「外装を取り付けます…完成した物から２つは持ち帰りなさい…４つは王家とバウルトリア師に買い取らせます」
メデルがイールスを見て怒鳴る
「２つも持ち帰って良かったのですか？」
「持ち帰りなさい！！ 買取価格は後で………あーーーーすぐに用意してきなさい」
メデルが思い出したように叫ぶと、職員が苦笑いしている

職員が金貨の袋を持ってくる
「イールス、買取価格です！！ 魔法のランプに使った分を引いて、金貨４０００枚にです…数が多過ぎて、最低ラインで支払います…国庫を空にするつもりですか！」
メデルが呆れ気味に怒鳴る
「金貨４０００枚か…山分けしないとな…仕返しの為に国庫空にした方が良いね」
イールスが笑みを浮かべていると、セーレンが頭を押さえている
（言いましたよね？ 仕返しと…本気で王家に仕返しするつもりですか？ 自重しなさい）
「はーーーーーーしししし仕返しーーー！ 何を考えているのですか！！ イールス！」
メデルがイールスの襟を掴み怒鳴る
「この頃色々潰されたから仕返しもしないと…」
イールスが笑顔でメデルを見ている
「セーレン御姉様！！ どうにかして下さい」
「無駄です…イールスの仕返しの仕方が相手が望んでいます…過剰にして潰す気でしょう…薬草を集めさせない様にしなさい」
セーレンが苦笑いしていると、鍛冶師が魔法のランプを持ってくる
「セーレン御姉様家庭教師なら教育して下さーーーい！！」
「面白そうな小僧だな！！ メデル、この魔法のランプはいくらで買い取らせるのか？」
ヴェルゼンスが笑いながらメデルを見ている
「金貨１００枚…いえ…バウルトリア師に鑑定して決定させます！！ 無理です」
メデルが叫ぶ
「簡単に金貨４００枚以上か！！ 何か欲しい物は無いか？ 何でも作ってやるぞ」
ヴェルゼンスが笑いながらイールスを見ている
「剣も準備して貰えますか？ ４０人に闘気を覚えさせたら、使って貰います」
イールスが笑顔で言う
「解ったぞ！！ ふふふ、楽しみが増えたぞ」
ヴェルゼンスが笑っている
「絶対にやめなさい！！ ４０本の魔剣なんて目立ちすぎます！！」
メデルが叫び、職員達が想像して苦笑いしている
「自重が吹き飛びましたか？ 元々無かったですが…等々王家まで仕返し対象なんて…国庫を空にするつもりですか………」
セーレンが頭を抱えている