異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第282話 伯爵に出撃の挨拶

イールス達は出発準備をして、ケビンは伯爵と相談をしながら、部隊の編成を手伝っている。イールス達は出発前の挨拶の為に伯爵の館に向かう
「伯爵様、本日もお元気そうなお姿を拝見できて安心しております」
イールスが丁寧に挨拶をしている
「イールス将軍様、不手際の数々大変申し訳ないと思っておる」
伯爵が頭を下げている
「伯爵様何か有りましたか？」
イールスが少し驚いた様に伯爵を見ている
「各領主や近隣の家々に書状を送ったが、やはり重臣達は何も連絡をしていなかった」
伯爵が申し訳なさそうに説明している
「家臣の不手際は仕方無いですが、どのぐらいで部隊の再編が終わりますか？」
「１月…２０日で何とかして見せる」
伯爵が考えながら言うと、ケビンが頷いている
「先に進軍を開始します。 最終目的地の渓谷を奪還したら、維持を任せます」
イールスが笑顔で説明している
「ほぼ、イールス将軍の手勢だけで大丈夫なのか？」
「厳しいと思っております。 時間の猶予もございません… 今回は時間は味方してくれません」
イールスが考えながら説明している
「すまぬ… ケビン殿より色々聞いたが、どれだけの愚策をしていたか… それに他力本願では領地は守れないとわかった… どうか民の安寧のために力添えをお願いする」
伯爵が頭を下げて言い、イールスとケビンと伯爵が相談をしている

「伯爵様！！ クライベルトン子爵家の軍と代表者が到着しました」
騎士が入ってきて伯爵に報告をしている
「クライベルトン子爵家の？ ノートン殿はここにいるが…」
伯爵が驚いた様に騎士を見ている
「後続の義勇兵とノーリス様が到着しました」
騎士が笑顔で説明している。しばらくしてノーリスが入ってくる
「伯爵様、クライベルトン子爵家のノーリスです。 我が父の名代として挨拶を伺いました」
ノーリスが少し緊張したように挨拶をしてから、手紙を伯爵に手渡して、伯爵が確認をしている
「先に各家に伝令を出してくれていたのか？ ２騎士爵家が共に到着なのか？ 」
伯爵が驚いた様に呟いている
「他の家々は日見よりしておりますが、伯爵様が立ち上がればきっと軍を編成して参上すると思います」
「ありがたい… 助けられたのか…」
伯爵が考えながら呟くと、ノーリスが少し驚いた顔をしている

「イールス将軍様、男爵領には騎士爵家の精鋭が駐屯してくれ、ケビン様の部隊も一緒にこちらまで来ました」
ノーリスが笑顔でイールスに説明をしている
「ノーリス様、良い判断です。 ケビン様の部隊が集まれば、軍の再編も進みます。 ノーリス様は今後どうなさいますか？」
イールスが笑顔でノーリスを見ている
「軍は兄様に任せて、補佐するようにします。 戦う事も軍の指揮も出来ませんが兄様の支えになります」
ノーリスが笑顔で説明をしている
「ノートン様、すぐに再編をしてください… ケビン大隊長様も部隊の確認をお願いします」
イールスが笑顔でノーリス、ノートンを見てからケビンを見ている
「ありがたい！！ 手勢が足りなく再編が難しくなっていた！！ ノーリス様感謝します」
ケビンが笑顔で頭を下げると、伯爵が驚いた様にケビンとノーリスを見ている
「伯爵様、準備が整い次第順次進軍を開始します。 ケビン大隊長様、後の事は頼みます」
イールスが笑顔で頭を下げている
「カシムに会ったら伝えてくれ！ この戦い国家の為よりも、どうやって民を守るか、しっかり判断をして戦えぬけと… 今は忠実な騎士よりも１人の将が必要な時だと伝えてくれ！！」
ケビンがイールスを見て言うとイールスが頷いている。伯爵がケビンとイールスを見て考えている
（これは… 伯爵として何も役に立ってないのか？ そもそもクライベルトン子爵家が一番乗りでは？ ここから巻き返しは無理かも… 名前だけの伯爵よりも一軍の将が必要と目の前で言われたら、更に自信を失うが… ノーリスよりも役にたってないなんて言えない… クライベルトン子爵に後で相談をしておいた方が良いか？ 没落したとは言え、名門子爵家が動いてほとんどの家が動かない状況も問題なのか？ イールス様は怖いし… 手柄はたてられない… 軍の招集も出来ない… 正に役ただず……）

「伯爵様、商人の代表が話が有ると来ています」
騎士が申し訳なさそうに入ってきて報告をしている
「各家の借金については、伯爵家は何も関与しないと伝えてくれ… 」
伯爵が頭を押さえて言う
「それが… 各家の者達が義勇兵として参上するから、伯爵様に何とか取りなして欲しいと参っています」
騎士が苦笑いして言う
「それも無理だと伝えてくれ… 軍はケビン大隊長様に任せる… 一兵卒にワザワザ取りなす必要も無い」
伯爵が頭を押さえて言う
「伝えていますが、クライゼンベスト騎士爵様の部隊に入るからと言ってますが… 」
騎士が苦笑いして説明している
「クライゼンベスト騎士爵家の… 騎士爵家の義勇兵なら商人には騎士爵家に話せと言えば良いだろう… 伯爵家は取り潰された各家の擁護はしないと伝えよ」
伯爵が困惑したように言うと、騎士が頭を下げて出ていく

「伯爵様、お久し振りですな」
１人の男が入ってきて伯爵を睨んでいる
「クライゼンベスト騎士爵殿、何か用か？」
伯爵が嫌そうに見ている
「今回の連合軍に参上するには、多額の費用が掛かります。 その費用を先に出資して欲しいと参りました」
騎士爵が笑顔で伯爵を睨んでいる
「王家からの命令である！ 今回の連合軍は国の存亡を掛けた戦いである！ 連合軍に入るからと資金援助は出来ない」
伯爵が困惑したように言う
「困りましたな… 資金が無い状況で軍は起こせませんな… 」
「王家の命令を無視するのか？ 何を考えている！！」
伯爵が驚いて叫ぶ
「我が領地は未だゴブリンの脅威にさらされていませんからな… そこまでの事態だか？ 直接勅命も来てませんな！！」
騎士爵が笑顔で伯爵を見ている
「何とか… 」
伯爵が嫌そうに言おうとすると、騎士爵が笑みを浮かべる
「伯爵様、連合軍に加わりたくないなら、それで良いと思います。 王家からの指示を無視するなら、この事態が終息後クライゼンベスト騎士爵家に王家も何も与えないでしょう」
イールスが微笑みながら伯爵を見ている
「若造が、駆け引きも解らなそうだな！！」
騎士爵がイールスを睨んでいる
「騎士爵様も理解をしてないと思います。 これだけの家々が無くなり、誰が今後その土地を管理しますか？ 考えてみたら解るでしょう」
イールスが笑顔で騎士爵を見ている
「そこは王家と交渉と駆け引きですな！！ 若造が何を言っても名門の実力を後で知るだろう！！」
騎士爵がイールスを見て笑っている
「騎士爵よ、帰るが良い… 支援はしないと決めた… 軍の再編が終わり次第伯爵家の全軍でゴブリンを迎え撃つ」
伯爵が騎士爵を睨んで言う
「そうか！ 後で泣きついて来るが良いぞ！！ 後で出撃を要請する時は、この倍の支援金が必要だと思うように！！」
騎士爵が怒ったように伯爵を見て怒鳴る
「帰るが良い… こちらはまだまだ準備が必要だからな…」
伯爵が騎士爵を睨み言うと、騎士爵がイールスを睨み、部屋を出ていく
「あれが橋の件で、揉めていた家か… 強欲そうだな… ケビン様、今回の事も記録を残しておいて下さい… 後で面倒になりそうですから」
イールスが考えてからケビンを見ている
「記録は残すが、何をするつもりか？ 聞いても理解は出来ないから… 伯爵様、確認とサインを頼みます」
ケビンがイールスを見て言おうとするが、途中で止めて伯爵と相談を始めている
（イールス様ならきっと相手を潰す事を考えているはず… 騎士爵も相手が何者か解らなかったのか？ 後で謝っても無駄な事だが… 騎士爵も今からでも詫びて連合軍に入った方が身のためだが…）