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18.状況によって? ああ、成程。
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「わー、すごー!!」
馬車で1時間も走れば、広大な海が広がる海岸に出た。砂浜とは全然違い、陸地との境目は綺麗に整備されている。近くに船がいくつも停まっており、人の出入りは多い。
馬車から降りて早々、ラチカは海岸まで駆けだした。ぎりぎりのラインに立ち、軽く波打つ海面を見下ろす。
「海は初めてか? エヴァイアンにもあると聞いたが」
「遠いの、かなり。大人になってからは初めて」
「ほお」
それを聞き、どこか誇らしげにギャムシアは笑む。強い潮風が、彼の黒髪を揺らしていた。
ギャムシアの腕が、ラチカの腰に巻かれる。ぎょっとして彼を見るも、ギャムシアはただ意地悪そうに笑うだけだ。
「外、ここ外っ」
「なに、お前が落ちそうだったから助けただけだ」
一応、今堂々と表に出してはいけないと理解しているらしい。彼は陸地に向けラチカの腰を引くと、そっと話した。黒く重たそうなコートを揺らし、歩き始める。ラチカはそれを慌てて追った。
漁師達はギャムシアとラチカを見ると、慌てたように一礼する。そういえば他国だとそう簡単に国主に連なる者達は街に下らないと聞いた。ロドハルトは恐らく、国主が医者のギャムシアだからそこまで驚かれないのだろう。
「ここには、よく来るの?」
「よく呼ばれる。溺れたり変な生き物に刺されたりとかあるからな」
なるほど、納得した。
奥の建物に入る。広い倉庫のような空間に、人がたくさん居た。それこそ漁師だけでなく、一般の国民も多数いる。それぞれ、地に乱雑に並べられた氷の上に置かれた魚を眺めていた。
ラチカも隙間を縫うようにして、魚を覗く。のそり、のそり、とまだ動いているのが分かった。
「生きてるの?」
「鮮度の問題だ。死ぬとそこから腐敗が進んでいくからな」
「へえ」
エヴァイアンには、少なくともこういった場所は無い。そもそもあまり魚を食す事はなく、ごくまれに珍味として出てくるような代物だ。ロドハルトでは、むしろ一般食のような扱いを受けているようにすら思える。
ギャムシアの後ろをついていくようにして歩く。しかし時折、どうしても向かってくる人間に呑まれそうになる。ギャムシアはその気配を感じる度に不機嫌そうに顔を歪め、終いにはラチカの腕を乱暴に掴んだ。
「大人しくついてこい」
「え、でもここ外っ」
「はぐれる方が一大事だろうが」
それもそう、なのだが。しかしこういう風な、言わば行為じゃない時に触れられるのはやはり心臓に悪い。実際、心臓が熱をもって止まない。
ちらちらと視線を受けはするが、しかし誰も何も言わなかった。というより、わざわざ進言するような人間は居ないだろう。
ギャムシアはちまちまと解説を挟みながら、ラチカを連れて建物内を一周した。気のいい係員から生の魚の肉を差し出されて口に含んだ時は、ラチカの中で革命が起きたりなどがあった。
「今度シャイネを連れてきてあげたい……」
美味の感動のせいで涙を堪えながら、呟く。それを聞いたギャムシアは一瞬黙り、「出るぞ」と手を引いた。先程と違って、指同士を絡められている。その動作にまたどきりとするも、彼の表情は見えなかった。
建物から出て、馬車へ向かう方向へ。ラチカの「もう帰るの?」という焦った問いに、何も応える事はなかった。
御者は今休憩中で、あと二時間は戻らないはずだ。まさか、と思っている内にラチカは馬車に押し込まれた。
「なんっ……」
聞くよりも早く口づけられる。深く、重く。唾液を流し込まれ一瞬パニックに陥るが、ギャムシアの舌により喉奥へとしっかり流し込まれた。口元から零す事も無く飲み切ると、ようやく彼は唇を離す。馬車の帳を締め切ると、ラチカの体を押し倒す。この状況、知っている。
「な、何なのいきなり」
「いや。俺の前で他の男との外出計画なんざいい度胸してるなと」
そんな事を言われても、ふとした独り言だ。しかもシャイネと二人きりで外出など今に始まった事ではない。何を今更、という話だ。
ギャムシアの掌が、ラチカのふくらはぎに触れそのまま上っていく。ぎょっとして彼を見上げると、目が据わっていた。
「ちょ、ここでっ!?」
「嫌だろ? ああそうだ、罰だ」
太ももを執拗に撫でまわされる。こんな焦らされるような感覚、知らない。それでも秘所のぬめりは始まっていた。抵抗しようにも、力が抜けていく。脚どころか上半身まで震えだした。
外なのに。見つかれば、お終いなのに。
「あのクソガキもお前を性的に見ているに決まってる」
どきり、とした。まさか、知っているのか。
「自覚しろよ、お前。いくら血縁があって護衛兼従者だとしても、奴はれっきとした男だ。何なら俺が兄君に解雇するよう進言してもいいんだぜ」
「そ、それはっ」
ああ、やってしまった。上ずった声を発し、すぐ後悔する。……さっきのあれだけでこんな状況に持って行った彼なら、きっと。
――予想通り、だった。彼の表情はすっと消え、眉間に皺が寄る。その目は、冷たくも……燃えていた。
「嫌かよ」
「嫌、というか」
「何だそれ」
口の中に、親指を突っ込まれる。そのまま上あごをなぞられ、くさぐったさと恐怖で血の気が引いていく感触。ギャムシアはそのまま、手に力を込めた。
「まあ、いい。エヴァイアンの掟に縛られている内は、お前達は絶対結ばれない。開放されるためには俺と結婚し、ロドハルトへ来るしかない。それは分かるだろ」
「あ、う、ぐくっ」
「ああ、そうだ」
にやり、と笑む。その顔は暗くも、心底楽しそうで。
「……その顔、可愛い」
うめき声をあげるラチカの目を、涙が伝う。
怖い。こんな事をする彼も、それを脅しに使う彼も、そこに悦を感じている彼も。ギャムシアはラチカの額に自らのものをのせる。痛みは一切無いはずなのに、衝撃のようなものを感じて体がびくついてしまう。その感触に、ギャムシアは楽しそうに笑った。
「お前は本当に、虐めたくなる」
「なっ」
「さっきのはただの脅しだ。そんな事すりゃお前は俺を嫌うだろ?」
だが、と彼は付け足す。
「……そうなってでもお前を手に入れたくなって、あいつが邪魔だって感じたら。まあ、そうなるな?」
……きっと、彼なら。やるだろう。
口から指が抜かれた。固定されていたせいか痛む口を何度もぱくぱくさせると、ギャムシアの体が密着してきた。
「せいぜい俺の機嫌を取れ。お前をあんなクソガキにやるくらいなら、俺はお前にとっての暴君にでも何にでもなってやるよ」
ぐちゅり、と。指が、侵入してくる。ちりちりと脳髄が焼かれ声にならない嬌声が上がってしまうが、ギャムシアは「声は出すな」と耳打ちしてくるので、口を必死に閉じる。じわり、とまた涙がにじんできた。
彼の……恐らく、中指だろうか。ラチカの子宮口を探るようにして動く。まるで生き物のようにぐりぐりと押し広げられる動きに、頭の奥がとろけそうになる。暑い、ひたすらに。
額を伝ってくる汗をなめとりながら、ギャムシアは笑っていた。
「俺と離れている間、誰にも手を付けられていないな?」
二本目……薬指か、人差し指か。一気に差し込まれ、それもまたラチカの官能を炙る。さっきよりも強い、灼熱。声を上げてしまいそうになるが、察したギャムシアが唇を重ねてその声ごと吸い上げた。
「ん、くぅ……ちゅ、ふっ……」
別にどうこう言われる筋合いは無いはずなのに。ただ、機会が無かっただけで。あったとしても、きっとシャイネが止めただろう。そうなると、シャイネとの件は「手を付けられた」に含まれるのだろうか。
指を引き抜かれた。ギャムシアのふやけた指が、ラチカの太ももに愛液を擦りつける。
「すっかり俺のための体になったじゃねぇか」
耳元で囁かれ、一気に熱が回る。
ギャムシアはズボンを下ろすと、猛りきった自身をラチカの入り口に宛がった。ぬめる秘所に充血しきった亀頭を擦りつけながら、荒い息をラチカの首元に当ててくる。それだけでもくすぐったくて、全身が荒く痙攣を繰り返す。
「や、ぁっ……」
もどかしい。入り口が、膣が、必死に彼の肉棒を呼び込もうとしているのが分かる。しかし彼は一向に侵入してくる気配を見せない。恐る恐る見上げると、ギャムシアは額に汗を浮かべて意地悪そうに笑った。
「お前が濡れ過ぎて、挿れられねえんだよ。この淫乱」
「いっ……」
何度も入り口の辺りを摩られる。ラチカの秘所のぬめらせる粘液が、まるで膜のようになっている。入り口を防ぎ切って、これからやってくるであろう快感を通すまいと。
ギャムシアの目が、ラチカの潤み切った目を見つめる。
「挿れてぇなぁ……絶対気持ちいいんだろうな、ここ……こんなに熱くてぬるぬるで……」
「い、言わないで……恥ずかしい……」
「んだよ、俺は願望言ってるだけだぜ? 俺の、な」
ああ、意地悪だ。こんなにも煽っておいて。こんなにも、熱を与えておいて、溶け込ませてくれないなんて。
唇が、勝手に動く。ギャムシアはその気配に気付き、ひとつだけニヤリと笑った。「聞こえねえ」と呟く声が降ってきて、泣きそうになる。それは羞恥のせいなのかどうかは、もはや馬鹿になった頭では分からなかった。
……それでも、欲はどうしても漏れ出す。
「い……挿れて、ほしい……」
羞恥を振り絞って漏れ出した声は、ギャムシアにしっかり届いたらしい。彼は一瞬で表情を消すと、腰にありったけの力を込めた。
一気に貫かれる。一瞬にして、子宮口にまで到達したかのようにすら錯覚した。
「――っあああぁ!!」
声が叩き出される。もはやギャムシアは止めなかった。ただ、夢中になって腰を振っている。ぐぢゅ、ぐぢゅ、とひたすら蜜壺の中をかき回されて泣きそうになる。全身がしびれるように、少しずつとろけていく。内部から蝋のように熱で理性が融けていくのが分かる。
「んだよ、こんなに濡らして……お前ここ外だぞっ……!?」
「やぁ、だって、きもちぃのっ……あ、あっ」
「っそうやってすぐ締めんなっ、妊娠してぇのかっ……」
ぐっ、と中の結合をより奥へ。ギャムシアの吐息が苦しそうで、ラチカの胸の奥がまた締まる。腕を恐る恐る彼の背に回し、力を込める。彼の越はより速度を増してきた。
「やだ、やだやだぁ早いっ、気持ちいいっ……」
「そんなにかよっ……あーもう出る、出るっ」
引き抜かれる。ラチカのドレスを捲り、太ももに彼の鈴口が押し付けられる。そのまま、勢いよく射精された。白濁の液体が、ラチカの太ももをどろどろに濡らした。
荒くなった息を、ゆっくりと整える。ギャムシアは衣服を整えると、馬車の帳をそっと開いた。
「……誰もいねぇ。聞かれては……おいどうした」
ラチカは馬車の隅の方で、体を丸めていた。彼女の肩を掴むと、背を向けながら何度も首を振った。
「やだ、もうやだ」
「何が」
「やだ。恥ずかしい。もうやだ」
「いや割とお前いつもあんな感じだったぜ」
ぼっ、と顔が熱くなる。今まで行った行為を思い返す。しかしそれでも、今回のは特別に酷かった気がする。
あれを、よりによってギャムシアに見られた。彼の手により引き出されたとはいえ、あまりにも恥ずかしい。これをネタに、より何かされてしまいそうな気すらしてしまう。
「安心しろ、とても良かった。何だ? こういう状況での方が興奮すんのか?」
「いやほんともうやめてお願い」
「また視察の時にするか」
「やめろと! 言って! いる!!」
枯れた薔薇の花を、もぎ取る。
かつて発していたであろう芳香は、一切感じられない。掌の中で、そっと握りつぶした。粉々になり、風に乗っていく。もう冬に入る事を告げる凍て風は、彼の体を裂く様に吹いていった。
馬車で1時間も走れば、広大な海が広がる海岸に出た。砂浜とは全然違い、陸地との境目は綺麗に整備されている。近くに船がいくつも停まっており、人の出入りは多い。
馬車から降りて早々、ラチカは海岸まで駆けだした。ぎりぎりのラインに立ち、軽く波打つ海面を見下ろす。
「海は初めてか? エヴァイアンにもあると聞いたが」
「遠いの、かなり。大人になってからは初めて」
「ほお」
それを聞き、どこか誇らしげにギャムシアは笑む。強い潮風が、彼の黒髪を揺らしていた。
ギャムシアの腕が、ラチカの腰に巻かれる。ぎょっとして彼を見るも、ギャムシアはただ意地悪そうに笑うだけだ。
「外、ここ外っ」
「なに、お前が落ちそうだったから助けただけだ」
一応、今堂々と表に出してはいけないと理解しているらしい。彼は陸地に向けラチカの腰を引くと、そっと話した。黒く重たそうなコートを揺らし、歩き始める。ラチカはそれを慌てて追った。
漁師達はギャムシアとラチカを見ると、慌てたように一礼する。そういえば他国だとそう簡単に国主に連なる者達は街に下らないと聞いた。ロドハルトは恐らく、国主が医者のギャムシアだからそこまで驚かれないのだろう。
「ここには、よく来るの?」
「よく呼ばれる。溺れたり変な生き物に刺されたりとかあるからな」
なるほど、納得した。
奥の建物に入る。広い倉庫のような空間に、人がたくさん居た。それこそ漁師だけでなく、一般の国民も多数いる。それぞれ、地に乱雑に並べられた氷の上に置かれた魚を眺めていた。
ラチカも隙間を縫うようにして、魚を覗く。のそり、のそり、とまだ動いているのが分かった。
「生きてるの?」
「鮮度の問題だ。死ぬとそこから腐敗が進んでいくからな」
「へえ」
エヴァイアンには、少なくともこういった場所は無い。そもそもあまり魚を食す事はなく、ごくまれに珍味として出てくるような代物だ。ロドハルトでは、むしろ一般食のような扱いを受けているようにすら思える。
ギャムシアの後ろをついていくようにして歩く。しかし時折、どうしても向かってくる人間に呑まれそうになる。ギャムシアはその気配を感じる度に不機嫌そうに顔を歪め、終いにはラチカの腕を乱暴に掴んだ。
「大人しくついてこい」
「え、でもここ外っ」
「はぐれる方が一大事だろうが」
それもそう、なのだが。しかしこういう風な、言わば行為じゃない時に触れられるのはやはり心臓に悪い。実際、心臓が熱をもって止まない。
ちらちらと視線を受けはするが、しかし誰も何も言わなかった。というより、わざわざ進言するような人間は居ないだろう。
ギャムシアはちまちまと解説を挟みながら、ラチカを連れて建物内を一周した。気のいい係員から生の魚の肉を差し出されて口に含んだ時は、ラチカの中で革命が起きたりなどがあった。
「今度シャイネを連れてきてあげたい……」
美味の感動のせいで涙を堪えながら、呟く。それを聞いたギャムシアは一瞬黙り、「出るぞ」と手を引いた。先程と違って、指同士を絡められている。その動作にまたどきりとするも、彼の表情は見えなかった。
建物から出て、馬車へ向かう方向へ。ラチカの「もう帰るの?」という焦った問いに、何も応える事はなかった。
御者は今休憩中で、あと二時間は戻らないはずだ。まさか、と思っている内にラチカは馬車に押し込まれた。
「なんっ……」
聞くよりも早く口づけられる。深く、重く。唾液を流し込まれ一瞬パニックに陥るが、ギャムシアの舌により喉奥へとしっかり流し込まれた。口元から零す事も無く飲み切ると、ようやく彼は唇を離す。馬車の帳を締め切ると、ラチカの体を押し倒す。この状況、知っている。
「な、何なのいきなり」
「いや。俺の前で他の男との外出計画なんざいい度胸してるなと」
そんな事を言われても、ふとした独り言だ。しかもシャイネと二人きりで外出など今に始まった事ではない。何を今更、という話だ。
ギャムシアの掌が、ラチカのふくらはぎに触れそのまま上っていく。ぎょっとして彼を見上げると、目が据わっていた。
「ちょ、ここでっ!?」
「嫌だろ? ああそうだ、罰だ」
太ももを執拗に撫でまわされる。こんな焦らされるような感覚、知らない。それでも秘所のぬめりは始まっていた。抵抗しようにも、力が抜けていく。脚どころか上半身まで震えだした。
外なのに。見つかれば、お終いなのに。
「あのクソガキもお前を性的に見ているに決まってる」
どきり、とした。まさか、知っているのか。
「自覚しろよ、お前。いくら血縁があって護衛兼従者だとしても、奴はれっきとした男だ。何なら俺が兄君に解雇するよう進言してもいいんだぜ」
「そ、それはっ」
ああ、やってしまった。上ずった声を発し、すぐ後悔する。……さっきのあれだけでこんな状況に持って行った彼なら、きっと。
――予想通り、だった。彼の表情はすっと消え、眉間に皺が寄る。その目は、冷たくも……燃えていた。
「嫌かよ」
「嫌、というか」
「何だそれ」
口の中に、親指を突っ込まれる。そのまま上あごをなぞられ、くさぐったさと恐怖で血の気が引いていく感触。ギャムシアはそのまま、手に力を込めた。
「まあ、いい。エヴァイアンの掟に縛られている内は、お前達は絶対結ばれない。開放されるためには俺と結婚し、ロドハルトへ来るしかない。それは分かるだろ」
「あ、う、ぐくっ」
「ああ、そうだ」
にやり、と笑む。その顔は暗くも、心底楽しそうで。
「……その顔、可愛い」
うめき声をあげるラチカの目を、涙が伝う。
怖い。こんな事をする彼も、それを脅しに使う彼も、そこに悦を感じている彼も。ギャムシアはラチカの額に自らのものをのせる。痛みは一切無いはずなのに、衝撃のようなものを感じて体がびくついてしまう。その感触に、ギャムシアは楽しそうに笑った。
「お前は本当に、虐めたくなる」
「なっ」
「さっきのはただの脅しだ。そんな事すりゃお前は俺を嫌うだろ?」
だが、と彼は付け足す。
「……そうなってでもお前を手に入れたくなって、あいつが邪魔だって感じたら。まあ、そうなるな?」
……きっと、彼なら。やるだろう。
口から指が抜かれた。固定されていたせいか痛む口を何度もぱくぱくさせると、ギャムシアの体が密着してきた。
「せいぜい俺の機嫌を取れ。お前をあんなクソガキにやるくらいなら、俺はお前にとっての暴君にでも何にでもなってやるよ」
ぐちゅり、と。指が、侵入してくる。ちりちりと脳髄が焼かれ声にならない嬌声が上がってしまうが、ギャムシアは「声は出すな」と耳打ちしてくるので、口を必死に閉じる。じわり、とまた涙がにじんできた。
彼の……恐らく、中指だろうか。ラチカの子宮口を探るようにして動く。まるで生き物のようにぐりぐりと押し広げられる動きに、頭の奥がとろけそうになる。暑い、ひたすらに。
額を伝ってくる汗をなめとりながら、ギャムシアは笑っていた。
「俺と離れている間、誰にも手を付けられていないな?」
二本目……薬指か、人差し指か。一気に差し込まれ、それもまたラチカの官能を炙る。さっきよりも強い、灼熱。声を上げてしまいそうになるが、察したギャムシアが唇を重ねてその声ごと吸い上げた。
「ん、くぅ……ちゅ、ふっ……」
別にどうこう言われる筋合いは無いはずなのに。ただ、機会が無かっただけで。あったとしても、きっとシャイネが止めただろう。そうなると、シャイネとの件は「手を付けられた」に含まれるのだろうか。
指を引き抜かれた。ギャムシアのふやけた指が、ラチカの太ももに愛液を擦りつける。
「すっかり俺のための体になったじゃねぇか」
耳元で囁かれ、一気に熱が回る。
ギャムシアはズボンを下ろすと、猛りきった自身をラチカの入り口に宛がった。ぬめる秘所に充血しきった亀頭を擦りつけながら、荒い息をラチカの首元に当ててくる。それだけでもくすぐったくて、全身が荒く痙攣を繰り返す。
「や、ぁっ……」
もどかしい。入り口が、膣が、必死に彼の肉棒を呼び込もうとしているのが分かる。しかし彼は一向に侵入してくる気配を見せない。恐る恐る見上げると、ギャムシアは額に汗を浮かべて意地悪そうに笑った。
「お前が濡れ過ぎて、挿れられねえんだよ。この淫乱」
「いっ……」
何度も入り口の辺りを摩られる。ラチカの秘所のぬめらせる粘液が、まるで膜のようになっている。入り口を防ぎ切って、これからやってくるであろう快感を通すまいと。
ギャムシアの目が、ラチカの潤み切った目を見つめる。
「挿れてぇなぁ……絶対気持ちいいんだろうな、ここ……こんなに熱くてぬるぬるで……」
「い、言わないで……恥ずかしい……」
「んだよ、俺は願望言ってるだけだぜ? 俺の、な」
ああ、意地悪だ。こんなにも煽っておいて。こんなにも、熱を与えておいて、溶け込ませてくれないなんて。
唇が、勝手に動く。ギャムシアはその気配に気付き、ひとつだけニヤリと笑った。「聞こえねえ」と呟く声が降ってきて、泣きそうになる。それは羞恥のせいなのかどうかは、もはや馬鹿になった頭では分からなかった。
……それでも、欲はどうしても漏れ出す。
「い……挿れて、ほしい……」
羞恥を振り絞って漏れ出した声は、ギャムシアにしっかり届いたらしい。彼は一瞬で表情を消すと、腰にありったけの力を込めた。
一気に貫かれる。一瞬にして、子宮口にまで到達したかのようにすら錯覚した。
「――っあああぁ!!」
声が叩き出される。もはやギャムシアは止めなかった。ただ、夢中になって腰を振っている。ぐぢゅ、ぐぢゅ、とひたすら蜜壺の中をかき回されて泣きそうになる。全身がしびれるように、少しずつとろけていく。内部から蝋のように熱で理性が融けていくのが分かる。
「んだよ、こんなに濡らして……お前ここ外だぞっ……!?」
「やぁ、だって、きもちぃのっ……あ、あっ」
「っそうやってすぐ締めんなっ、妊娠してぇのかっ……」
ぐっ、と中の結合をより奥へ。ギャムシアの吐息が苦しそうで、ラチカの胸の奥がまた締まる。腕を恐る恐る彼の背に回し、力を込める。彼の越はより速度を増してきた。
「やだ、やだやだぁ早いっ、気持ちいいっ……」
「そんなにかよっ……あーもう出る、出るっ」
引き抜かれる。ラチカのドレスを捲り、太ももに彼の鈴口が押し付けられる。そのまま、勢いよく射精された。白濁の液体が、ラチカの太ももをどろどろに濡らした。
荒くなった息を、ゆっくりと整える。ギャムシアは衣服を整えると、馬車の帳をそっと開いた。
「……誰もいねぇ。聞かれては……おいどうした」
ラチカは馬車の隅の方で、体を丸めていた。彼女の肩を掴むと、背を向けながら何度も首を振った。
「やだ、もうやだ」
「何が」
「やだ。恥ずかしい。もうやだ」
「いや割とお前いつもあんな感じだったぜ」
ぼっ、と顔が熱くなる。今まで行った行為を思い返す。しかしそれでも、今回のは特別に酷かった気がする。
あれを、よりによってギャムシアに見られた。彼の手により引き出されたとはいえ、あまりにも恥ずかしい。これをネタに、より何かされてしまいそうな気すらしてしまう。
「安心しろ、とても良かった。何だ? こういう状況での方が興奮すんのか?」
「いやほんともうやめてお願い」
「また視察の時にするか」
「やめろと! 言って! いる!!」
枯れた薔薇の花を、もぎ取る。
かつて発していたであろう芳香は、一切感じられない。掌の中で、そっと握りつぶした。粉々になり、風に乗っていく。もう冬に入る事を告げる凍て風は、彼の体を裂く様に吹いていった。
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