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37.望まぬ成就は辛いものですね。
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「あ、はっ。ラチカちゃん、上手ねぇ」
ヴェリアナの足の指は、ブーツの中でしっとりと湿っていた。しかし嫌な臭いは不思議としない。一本ずつ、丁寧に舐っていく。
ああ、何故こんな事に。
「ええ、そう。気持ちいいわぁ……」
兄も、こんな事をしているのだろうか。自分はずっと周囲の人間をひたすら配下に置こうとすらしていたくせに。それか、案外性癖は逆転するものなのだろうか。そう考えながらも、ラチカは舌の動きに集中する。
正直、まったく興奮していないといえば嘘になる。以前あれだけ焦がれた……女の、足。まさかそれを嘗め回す日が来ようとは。少し酸味すら感じる味。塩気も柔らかく、脳へと少しずつ染みていく。
「ふふ、中指どうぞ」
「ん、ぐっ」
器用に中指だけ突っ込まれる。かりっ、と中指の爪が上あごを擦るがそれすらもほんの少し意地悪な刺激と化す。そっと中指を舌で包んだり、唾液を塗り付ける。しかしそんな必死なラチカを見て、ヴェリアナは淫靡な笑みをより深めた。
「ふふ、慣れているの? 一体誰に仕込まれたのかしら……それとも、元々そういう素質があったの?」
言葉の棘が、ざりざりと心を刺していく。何か反論しようにも、足の指が邪魔してくる。喉の壁すれすれを泳ぐ指は、何度もラチカの吐き気を誘う。それでも、必死で耐えた。
……退路だけは確保しなければ。そう思ったゆえの、承諾だった。
「ラチカちゃんって、女を相手にしたことはあるの?」
目線だけで答える。するとヴェリアナはそっと笑って、足の先をラチカの口から抜いた。同時に、ラチカの口から漏れ出す疑問。
「義姉さんは?」
ヴェリアナは「さあ、どうかしら」とだけ呟く。そのまま、ラチカを抱きしめた。柔い肉の感触がぶつかってきて、どこか心がこそばゆい。同時に、熱を抱く子宮。相手は精を吐く事も出来ない女性だというのに。薬の影響なのか、思い出によるフィルターなのかは分からない。
「さっきまで散々シャイネくんに抱かれていたんでしょう。連戦になっちゃうわねぇ」
ベッドに仰向けに転がされる。そのまま、ヴェリアナもまたベッドに帽子と服を脱ぎ置いた。顕れた裸体を見て、ラチカは絶句する。
真っ白な、石膏のような肌。艶のあるキメの細かい肌の上を幾重もの傷跡がのさばっていた。古いものも、最近治癒したてであろう傷跡も。あらゆる筋が、ヴェリアナの肌を荒らしていた。ああ、これを隠すためのあの服だったのか。
黙りこくったラチカを見て、ヴェリアナは寂し気に微笑む。
「びっくりしちゃうわよねぇ、ごめんなさい。でも私も初めてよ、あの人以外に見せるのは」
ああ、やはりそうか。すべては、兄か。それを、ヴェリアナはすべて受け入れているのか。
ヴェリアナはラチカの上に乗りあがる。ラチカよりも随分大きな胸が、ラチカの肌の上で潰れる。そのまま口づけてきた。くちゅ、くちゅ、と舌の交わる音が響き渡る。シャイネと違って、あまりにも粘りのある口づけだった。
「ん、んっ……」
確かにかつて夢を見た。しかし折り合いはつけたはずだった。薬さえなければ、恐らくラチカも笑って躱せただろう。しかしそれは、叶わなかった。
唇は離され、ヴェリアナにじっと見詰められる。彼女の手が、腰に触れた。
「ねえ、苦しいでしょう。その薬。きっとそろそろ解けると思うわ」
「そ、そうなの……?」
その声には、どうしても期待が漏れ出した。それを感じたのか、ヴェリアナは楽し気に微笑む。
「ええ、そうよ。ねえラチカちゃん、一つ聞かせて」
ヴェリアナはラチカの隣に寝そべった。不意な休止に面食らうも、彼女を見る。
「ねえ、ギャムシア殿の事本当に好きなの?」
どきり、と。心臓を齧られたかのような衝撃。その名を聞くだけで、再び震えが戻ってきた。そんなラチカを、ヴェリアナはただ見つめていた。
「薬のせいとはいえ、シャイネくんに散々抱かれてる。これはあくまで私の勘だけど、きっとあなたたちもっと前から関係があったんでしょう? コーマスはきっと気付いていないけれど」
ああ、そこまで知られていたのか。それでも何故黙っていたのかは分からない。あくまで身内でもめ事を起こしたくなかった、という事だろうか。
ヴェリアナは一切触れてこようとしない。不思議と胎内が疼く事は無かった。効力が切れ始めているのかもしれない。
「……大切な事よ。私は、私とコーマスはあくまでラチカちゃんが幸せになる事を祈っているわ。だからこそ、私達で与えられる試練はすべて与えてあげたいの。神様に無駄に振り回されるくらいなら。それが身内の慈悲よ」
何を言わんとしているかは、何となく分かる。
「あなたの義姉として、いえ、いち国主の妻として。これだけは伝えてあげる。人を一人支えるだけでもきっと楽ではないのに、相手は国をも抱えている、そして確実に、そんな人間はどこかが歪むわ」
コーマスとギャムシアを思い出す。ああ、確かに二人ともそういった兆候はある。コーマスは元から国主を目指し、その心意気もあった。併せて、他者への暴力癖も。ギャムシアもまた、有能な国主だが散々自分への振る舞いには暴力を交えていた。
……それでも。
「それでも、ラチカちゃんはギャムシア殿と居たいの?」
頷く。もう、迷わない。
「シャイネくんより、彼を選ぶの?」
それに関しては、すぐに答えられなかった。そんなラチカを見て、ヴェリアナは溜息を吐く。しかしその顔はどこか穏やかだった。
「強欲ね、案外」
自分でもそう思う。結局切り捨てられない。ギャムシアの伴侶になる覚悟は固めても、シャイネを切り捨てる気にはどうしてもなれない。最低なのは、とっくに自覚している。
ヴェリアナはラチカを抱きしめた。そのまま、髪を梳く。
「いいじゃない、それで」
「……え」
予想外の応えに目をぱちくりさせるも、ヴェリアナはただ微笑んでいる。ラチカに一瞬だけ口づけると、真剣な目に変わった。
「いいと思うのよ。法は確かに強固な壁だけど、想いだけなら簡単に掻い潜れる。そうじゃない?」
「義姉さん……」
「だから、ほら。こういう事もね」
ラチカの内部に、指が侵入してくる。唐突な刺激に声が上がってしまうが、ヴェリアナは止めない。ぐち、ぐち、重たるい水音が周囲に響き渡る。
「その強欲をどれだけ、どんな形で掻い潜れるか。見物ね?」
「あ、あぅ、うぁんっ」
「幸せになりなさい。いえ、掴み取りなさい。大丈夫よラチカちゃん、この体ならどんな男でも虜に出来るわ」
ヴェリアナの指が跳ねた。それだけで泣きそうな程気持ちいい。シャイネの、細いがあくまで男の指とは違う。柔らかくて細くて、尚且つ……気持ちいいところを的確に突いてくる。そうか、同性だからか。
再び、じっとりとラチカの内部が湿りだした。
「ね、気持ちいい? 気持ちいいでしょう?」
「きも、ちいぃ……、気持ちいいよ、義姉さんっ……」
「ふふ、素直ね。良い子良い子」
もう片方の手で頭を撫でられる。ギャムシアやシャイネとは違う包容力に陶酔しそうになるが、ひとまず堪えた。唇を噛みしめるラチカの首筋に何度も口づけながら、ヴェリアナは執拗に指を動かす。
「私なんか強欲の化身よ? 愛する人も、その可愛い妹も、手籠めにしたいもの」
「あ、あふ、うっ」
「憎い人だっているわ。けれど自分の手は染めたくない、何かの手違いで死んでくれたらいいくらいという程度の気持ちだけれど」
「や、あぁっ、おく、だめっ」
「私の愛しているものを奪おうとする人なんて、皆嫌いよ。大嫌い」
国主となって以来外では本性を隠していたはずのコーマスが気を許す程の男も、自分の気に入っている義妹を一途に愛し続ける下男も。ただ、自分から……いつか奪うかもしれないという懸念。
ああ、なら。美味いところだけ摘まみ食いすればいいのか。目をつむりさえすれば、案外気にせずに済む。
「義姉さ、ん、いきそっ」
「いいわよ。一緒にね」
ぐ、と陰核に親指がかかる。見ると、ヴェリアナ自身自分の秘所をいじっていた。ずっとだったのか。
気付いた瞬間に、圧された。
「びゃっ……!!」
脳内で高温のフラッシュ。快感のあまり上げた声に、ヴェリアナはくすくすと笑った。
「ふふ、いっちゃったわね」
急激に羞恥が襲い掛かってきて、顔が熱くなる。ヴェリアナはしれっとした手つきで衣服をまとった。そのまま、口を開く。
「堕胎薬は用意してあげる。落ち着いたら私の部屋に来るといいわ」
「な、なんで……こんな事……」
快感のあまり息が切れ、涙がぼろぼろと零れるのを止められない。しかしそれ以上に、すべてに困惑していた。
何故、ヴェリアナがこんな真似をしたのか。自らの初恋の想い出が、まさかこんな歪んだ形で……望まぬ様で、叶えにかかってきたのか。
ヴェリアナは微笑んだ。やっとわかった。彼女には、彼女なりの邪気がある。
「聞きたい事があったのと……それに言ったでしょう、強欲の化身だって」
そっと「お互いのために、今回の事は黙っていましょうね」とだけ呟いてヴェリアナは出て行った。
下腹部の熱は、急速に収まりつつあった。恐らく、確実に薬は抜け始めている。しかしラチカの体力はかなり消耗していっているのが分かる。そこでようやく、シャイネの事を思い出した。
ヴェリアナが来てから、恐らくそれなりに時間が経っているはずだ。食事を調達しに行ったにしては、戻るのが遅すぎる。
……ラチカにはヴェリアナが差し向けられた。となると、まさか。
「シャイネ……!」
彼を切り捨てられない。いくら、ギャムシアを選んでも。
ラチカは急いで衣服を纏い、震える足を引きずるようにしながら……開けられたままの扉の向こう側へと向かった。
ヴェリアナの足の指は、ブーツの中でしっとりと湿っていた。しかし嫌な臭いは不思議としない。一本ずつ、丁寧に舐っていく。
ああ、何故こんな事に。
「ええ、そう。気持ちいいわぁ……」
兄も、こんな事をしているのだろうか。自分はずっと周囲の人間をひたすら配下に置こうとすらしていたくせに。それか、案外性癖は逆転するものなのだろうか。そう考えながらも、ラチカは舌の動きに集中する。
正直、まったく興奮していないといえば嘘になる。以前あれだけ焦がれた……女の、足。まさかそれを嘗め回す日が来ようとは。少し酸味すら感じる味。塩気も柔らかく、脳へと少しずつ染みていく。
「ふふ、中指どうぞ」
「ん、ぐっ」
器用に中指だけ突っ込まれる。かりっ、と中指の爪が上あごを擦るがそれすらもほんの少し意地悪な刺激と化す。そっと中指を舌で包んだり、唾液を塗り付ける。しかしそんな必死なラチカを見て、ヴェリアナは淫靡な笑みをより深めた。
「ふふ、慣れているの? 一体誰に仕込まれたのかしら……それとも、元々そういう素質があったの?」
言葉の棘が、ざりざりと心を刺していく。何か反論しようにも、足の指が邪魔してくる。喉の壁すれすれを泳ぐ指は、何度もラチカの吐き気を誘う。それでも、必死で耐えた。
……退路だけは確保しなければ。そう思ったゆえの、承諾だった。
「ラチカちゃんって、女を相手にしたことはあるの?」
目線だけで答える。するとヴェリアナはそっと笑って、足の先をラチカの口から抜いた。同時に、ラチカの口から漏れ出す疑問。
「義姉さんは?」
ヴェリアナは「さあ、どうかしら」とだけ呟く。そのまま、ラチカを抱きしめた。柔い肉の感触がぶつかってきて、どこか心がこそばゆい。同時に、熱を抱く子宮。相手は精を吐く事も出来ない女性だというのに。薬の影響なのか、思い出によるフィルターなのかは分からない。
「さっきまで散々シャイネくんに抱かれていたんでしょう。連戦になっちゃうわねぇ」
ベッドに仰向けに転がされる。そのまま、ヴェリアナもまたベッドに帽子と服を脱ぎ置いた。顕れた裸体を見て、ラチカは絶句する。
真っ白な、石膏のような肌。艶のあるキメの細かい肌の上を幾重もの傷跡がのさばっていた。古いものも、最近治癒したてであろう傷跡も。あらゆる筋が、ヴェリアナの肌を荒らしていた。ああ、これを隠すためのあの服だったのか。
黙りこくったラチカを見て、ヴェリアナは寂し気に微笑む。
「びっくりしちゃうわよねぇ、ごめんなさい。でも私も初めてよ、あの人以外に見せるのは」
ああ、やはりそうか。すべては、兄か。それを、ヴェリアナはすべて受け入れているのか。
ヴェリアナはラチカの上に乗りあがる。ラチカよりも随分大きな胸が、ラチカの肌の上で潰れる。そのまま口づけてきた。くちゅ、くちゅ、と舌の交わる音が響き渡る。シャイネと違って、あまりにも粘りのある口づけだった。
「ん、んっ……」
確かにかつて夢を見た。しかし折り合いはつけたはずだった。薬さえなければ、恐らくラチカも笑って躱せただろう。しかしそれは、叶わなかった。
唇は離され、ヴェリアナにじっと見詰められる。彼女の手が、腰に触れた。
「ねえ、苦しいでしょう。その薬。きっとそろそろ解けると思うわ」
「そ、そうなの……?」
その声には、どうしても期待が漏れ出した。それを感じたのか、ヴェリアナは楽し気に微笑む。
「ええ、そうよ。ねえラチカちゃん、一つ聞かせて」
ヴェリアナはラチカの隣に寝そべった。不意な休止に面食らうも、彼女を見る。
「ねえ、ギャムシア殿の事本当に好きなの?」
どきり、と。心臓を齧られたかのような衝撃。その名を聞くだけで、再び震えが戻ってきた。そんなラチカを、ヴェリアナはただ見つめていた。
「薬のせいとはいえ、シャイネくんに散々抱かれてる。これはあくまで私の勘だけど、きっとあなたたちもっと前から関係があったんでしょう? コーマスはきっと気付いていないけれど」
ああ、そこまで知られていたのか。それでも何故黙っていたのかは分からない。あくまで身内でもめ事を起こしたくなかった、という事だろうか。
ヴェリアナは一切触れてこようとしない。不思議と胎内が疼く事は無かった。効力が切れ始めているのかもしれない。
「……大切な事よ。私は、私とコーマスはあくまでラチカちゃんが幸せになる事を祈っているわ。だからこそ、私達で与えられる試練はすべて与えてあげたいの。神様に無駄に振り回されるくらいなら。それが身内の慈悲よ」
何を言わんとしているかは、何となく分かる。
「あなたの義姉として、いえ、いち国主の妻として。これだけは伝えてあげる。人を一人支えるだけでもきっと楽ではないのに、相手は国をも抱えている、そして確実に、そんな人間はどこかが歪むわ」
コーマスとギャムシアを思い出す。ああ、確かに二人ともそういった兆候はある。コーマスは元から国主を目指し、その心意気もあった。併せて、他者への暴力癖も。ギャムシアもまた、有能な国主だが散々自分への振る舞いには暴力を交えていた。
……それでも。
「それでも、ラチカちゃんはギャムシア殿と居たいの?」
頷く。もう、迷わない。
「シャイネくんより、彼を選ぶの?」
それに関しては、すぐに答えられなかった。そんなラチカを見て、ヴェリアナは溜息を吐く。しかしその顔はどこか穏やかだった。
「強欲ね、案外」
自分でもそう思う。結局切り捨てられない。ギャムシアの伴侶になる覚悟は固めても、シャイネを切り捨てる気にはどうしてもなれない。最低なのは、とっくに自覚している。
ヴェリアナはラチカを抱きしめた。そのまま、髪を梳く。
「いいじゃない、それで」
「……え」
予想外の応えに目をぱちくりさせるも、ヴェリアナはただ微笑んでいる。ラチカに一瞬だけ口づけると、真剣な目に変わった。
「いいと思うのよ。法は確かに強固な壁だけど、想いだけなら簡単に掻い潜れる。そうじゃない?」
「義姉さん……」
「だから、ほら。こういう事もね」
ラチカの内部に、指が侵入してくる。唐突な刺激に声が上がってしまうが、ヴェリアナは止めない。ぐち、ぐち、重たるい水音が周囲に響き渡る。
「その強欲をどれだけ、どんな形で掻い潜れるか。見物ね?」
「あ、あぅ、うぁんっ」
「幸せになりなさい。いえ、掴み取りなさい。大丈夫よラチカちゃん、この体ならどんな男でも虜に出来るわ」
ヴェリアナの指が跳ねた。それだけで泣きそうな程気持ちいい。シャイネの、細いがあくまで男の指とは違う。柔らかくて細くて、尚且つ……気持ちいいところを的確に突いてくる。そうか、同性だからか。
再び、じっとりとラチカの内部が湿りだした。
「ね、気持ちいい? 気持ちいいでしょう?」
「きも、ちいぃ……、気持ちいいよ、義姉さんっ……」
「ふふ、素直ね。良い子良い子」
もう片方の手で頭を撫でられる。ギャムシアやシャイネとは違う包容力に陶酔しそうになるが、ひとまず堪えた。唇を噛みしめるラチカの首筋に何度も口づけながら、ヴェリアナは執拗に指を動かす。
「私なんか強欲の化身よ? 愛する人も、その可愛い妹も、手籠めにしたいもの」
「あ、あふ、うっ」
「憎い人だっているわ。けれど自分の手は染めたくない、何かの手違いで死んでくれたらいいくらいという程度の気持ちだけれど」
「や、あぁっ、おく、だめっ」
「私の愛しているものを奪おうとする人なんて、皆嫌いよ。大嫌い」
国主となって以来外では本性を隠していたはずのコーマスが気を許す程の男も、自分の気に入っている義妹を一途に愛し続ける下男も。ただ、自分から……いつか奪うかもしれないという懸念。
ああ、なら。美味いところだけ摘まみ食いすればいいのか。目をつむりさえすれば、案外気にせずに済む。
「義姉さ、ん、いきそっ」
「いいわよ。一緒にね」
ぐ、と陰核に親指がかかる。見ると、ヴェリアナ自身自分の秘所をいじっていた。ずっとだったのか。
気付いた瞬間に、圧された。
「びゃっ……!!」
脳内で高温のフラッシュ。快感のあまり上げた声に、ヴェリアナはくすくすと笑った。
「ふふ、いっちゃったわね」
急激に羞恥が襲い掛かってきて、顔が熱くなる。ヴェリアナはしれっとした手つきで衣服をまとった。そのまま、口を開く。
「堕胎薬は用意してあげる。落ち着いたら私の部屋に来るといいわ」
「な、なんで……こんな事……」
快感のあまり息が切れ、涙がぼろぼろと零れるのを止められない。しかしそれ以上に、すべてに困惑していた。
何故、ヴェリアナがこんな真似をしたのか。自らの初恋の想い出が、まさかこんな歪んだ形で……望まぬ様で、叶えにかかってきたのか。
ヴェリアナは微笑んだ。やっとわかった。彼女には、彼女なりの邪気がある。
「聞きたい事があったのと……それに言ったでしょう、強欲の化身だって」
そっと「お互いのために、今回の事は黙っていましょうね」とだけ呟いてヴェリアナは出て行った。
下腹部の熱は、急速に収まりつつあった。恐らく、確実に薬は抜け始めている。しかしラチカの体力はかなり消耗していっているのが分かる。そこでようやく、シャイネの事を思い出した。
ヴェリアナが来てから、恐らくそれなりに時間が経っているはずだ。食事を調達しに行ったにしては、戻るのが遅すぎる。
……ラチカにはヴェリアナが差し向けられた。となると、まさか。
「シャイネ……!」
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