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1話 ボルドー第四王子からの婚約破棄
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「フリージア・イルハートよ……本日はお前に大切な話がある」
「はい、なんでございましょうか? ボルドー様」
私はその日、婚約者であるボルドー・ウィクリフ第四王子殿下に呼び出されていた。ボルドー様はこのウィクリフ王国の第六位王位継承権の持ち主である。イルハート家は侯爵家系であり、昔からウィクリフ王国に仕えて来た名家らしい。
「お話しというのはなんでしょうか?」
「うむ、お前には妹のササリアが居たな?」
「ササリアでございますか……?」
確かに私の妹にはササリア・イルハートという人物が存在している。年齢は15歳であって、私より1つ年下だ。私が言うのもなんだけれど、貴族令嬢としては器量も良く頭も良いので、自慢の妹だったりする。その妹のササリアが今回の呼び出しに何か関係があるのかしら? 3人で会談でもしたいから呼び出してくれ……みたいな?
「実はササリアを既に呼んであるのだ」
「えっ? ササリアを呼んでいる……?」
ボルドー様の言葉とほぼ同時に、ササリアは入り口のドアから入って来た。タイミングが良過ぎるので、私達の会話を外から聞いていたのかしらね。
「姉さま、こんにちは」
「ええ、こんにちは。でも、驚きました、ボルドー様。ボルドー様がササリアを既に呼んでいらしたとは……」
やはり、3人で他愛もない会話をしたいとかそういう用事だったのかしら? でも……その割には空気が重いような気がするけれど。
「イルハートの家系は侯爵家系であり、貴族の中でも階級は高い方だ。そんな家系出身の者にこんなことを言うのは、申し訳ないのだが……私はササリアとの婚約を決めた」
「えっ……? どういうことですか……?」
急に私の耳の中に、聞こえてはいけない言葉が突き刺さった。婚約破棄……? 確かにボルドー様はそんなことを言ったような気がするけれど。20歳の彼はニヤリとした笑みを浮かべていた……その笑みはとても冗談だとは思えない。
「姉さま……ごめんなさい……私は、ボルドー様とその、婚約することになったから」
「ササリア……?」
ササリアには生気が感じられないけれど、言動だけはハッキリとしていた。
「まあ、つまりはそういうことだ。私が彼女に惚れてしまってな。顔や知能、スタイルなど、何を合わせてもフリージアよりも優れているだろう? 第四王子殿下という、天から授けられた地位に立つ私なのだから、より高位の女性を選ばなければならん」
「そ、そんな……では、私との婚約は……?」
「婚約破棄に決まっているだろう? お前はもう用なしということだ」
用なし……? そんなこと認められるわけがない。
「ま、待ってください、ボルドー様! 急に妹と婚約をするから、私とは婚約破棄だなんて……あまりに不条理でございます……! 何卒、お考え直しを……!」
「ええい、五月蠅い奴だな! 私はそうやって自分の意見を無理矢理通そうとする女が一番嫌いなのだ! お前とは婚約破棄だ、これは決定事項だ。分かったな?」
無理やり婚約破棄を通そうとしている人が何を言っているのだろうか……信じられないわ。
「姉さま、そういうことだから……ごめんなさい」
「ササリア……」
ササリアも生気なく答えているけれど、私に視線を合わせることはなかった。あり得ない……あの、仲良く育ったササリアがこんなことをするなんて。ん? 待てよ……これはひょっとすると。
「ササリア、一つだけ聞きたいのだけれど」
「なんでしょうか?」
「これはあなたの意思なの?」
「……ボルドー様のご命令です。でも、私が彼の婚約者になる事実は変わりません」
「そう、わかったわ」
「ふはははは、分かったか? フリージア! イルハート家としては、王家の人間との関係性は変わらないのだから問題ないだろう!? 理解したのなら、さっさと出て行くんだな!」
ボルドー様の態度は今までとは一変していた。これが彼の本性だということか。私は騙されていたみたいね……とても悲しい。これ以上、話しても意味がなさそうなので私は彼の部屋から出て行くことにする。しかし、最後に……
「ボルドー様、後悔しないでくださいね?」
その一言だけを残して、私は去って行った……。
「はい、なんでございましょうか? ボルドー様」
私はその日、婚約者であるボルドー・ウィクリフ第四王子殿下に呼び出されていた。ボルドー様はこのウィクリフ王国の第六位王位継承権の持ち主である。イルハート家は侯爵家系であり、昔からウィクリフ王国に仕えて来た名家らしい。
「お話しというのはなんでしょうか?」
「うむ、お前には妹のササリアが居たな?」
「ササリアでございますか……?」
確かに私の妹にはササリア・イルハートという人物が存在している。年齢は15歳であって、私より1つ年下だ。私が言うのもなんだけれど、貴族令嬢としては器量も良く頭も良いので、自慢の妹だったりする。その妹のササリアが今回の呼び出しに何か関係があるのかしら? 3人で会談でもしたいから呼び出してくれ……みたいな?
「実はササリアを既に呼んであるのだ」
「えっ? ササリアを呼んでいる……?」
ボルドー様の言葉とほぼ同時に、ササリアは入り口のドアから入って来た。タイミングが良過ぎるので、私達の会話を外から聞いていたのかしらね。
「姉さま、こんにちは」
「ええ、こんにちは。でも、驚きました、ボルドー様。ボルドー様がササリアを既に呼んでいらしたとは……」
やはり、3人で他愛もない会話をしたいとかそういう用事だったのかしら? でも……その割には空気が重いような気がするけれど。
「イルハートの家系は侯爵家系であり、貴族の中でも階級は高い方だ。そんな家系出身の者にこんなことを言うのは、申し訳ないのだが……私はササリアとの婚約を決めた」
「えっ……? どういうことですか……?」
急に私の耳の中に、聞こえてはいけない言葉が突き刺さった。婚約破棄……? 確かにボルドー様はそんなことを言ったような気がするけれど。20歳の彼はニヤリとした笑みを浮かべていた……その笑みはとても冗談だとは思えない。
「姉さま……ごめんなさい……私は、ボルドー様とその、婚約することになったから」
「ササリア……?」
ササリアには生気が感じられないけれど、言動だけはハッキリとしていた。
「まあ、つまりはそういうことだ。私が彼女に惚れてしまってな。顔や知能、スタイルなど、何を合わせてもフリージアよりも優れているだろう? 第四王子殿下という、天から授けられた地位に立つ私なのだから、より高位の女性を選ばなければならん」
「そ、そんな……では、私との婚約は……?」
「婚約破棄に決まっているだろう? お前はもう用なしということだ」
用なし……? そんなこと認められるわけがない。
「ま、待ってください、ボルドー様! 急に妹と婚約をするから、私とは婚約破棄だなんて……あまりに不条理でございます……! 何卒、お考え直しを……!」
「ええい、五月蠅い奴だな! 私はそうやって自分の意見を無理矢理通そうとする女が一番嫌いなのだ! お前とは婚約破棄だ、これは決定事項だ。分かったな?」
無理やり婚約破棄を通そうとしている人が何を言っているのだろうか……信じられないわ。
「姉さま、そういうことだから……ごめんなさい」
「ササリア……」
ササリアも生気なく答えているけれど、私に視線を合わせることはなかった。あり得ない……あの、仲良く育ったササリアがこんなことをするなんて。ん? 待てよ……これはひょっとすると。
「ササリア、一つだけ聞きたいのだけれど」
「なんでしょうか?」
「これはあなたの意思なの?」
「……ボルドー様のご命令です。でも、私が彼の婚約者になる事実は変わりません」
「そう、わかったわ」
「ふはははは、分かったか? フリージア! イルハート家としては、王家の人間との関係性は変わらないのだから問題ないだろう!? 理解したのなら、さっさと出て行くんだな!」
ボルドー様の態度は今までとは一変していた。これが彼の本性だということか。私は騙されていたみたいね……とても悲しい。これ以上、話しても意味がなさそうなので私は彼の部屋から出て行くことにする。しかし、最後に……
「ボルドー様、後悔しないでくださいね?」
その一言だけを残して、私は去って行った……。
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