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チャプタ―6
ダメな安倍晴明6
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二
五つのときのことだった。
父が体調を長く崩して陰陽師が呼ばれることになった。
それが師となる賀茂忠行だ。白髪頭の厳めしい顔をした彼は邸の前庭に祭壇を設けた。
兄弟たちは邪魔をしない、騒がないということを条件に立ち合いを許されたのだ。
忠行が呪文を唱える中、晴明が震えていることに晴足は気づく。
「どうした、晴明兄」
彼の問いかけに、
「そ、そもじには見えないでおじゃるか」
顔を真っ白にした晴明はこたえた。
なにが、とこちらがたずねると、
「祭壇の贄に異形の者共が群がっておじゃる」
震える声で晴明は告げた。
言われて、祭壇に向かって目を凝らした。だが、いくら凝視しても何も見えなかった。
「虚言をもうすな、晴明兄」
兄を嘘つき呼ばわりする。が、晴明の顔は冷や汗に濡れて尋常ではない。とても嘘をついているようには見えなかった。
やがて、呪術が終わり忠行がようすがおかしい晴明のもとにやって来る。
「いかがした?」
そう聞かれ、晴明は先ほど晴足に告げたのと同じことを訴えた。
すると、忠行の表情が変わる。
「そなた、霊物が見えたか」
独語めいた言葉を吐き、思案げに顎に手を当てた。
「陰陽師でも霊物が直に見える者は少ない。それが見えたとなると、そなたには陰陽師の大きな才があるやもしれぬな」
はあ、と晴明は戸惑いを面に刷いた。
「そういえば、そなたらの母は」
忠行はそこまで言いかけ言葉を切る。さすがに面と向かって“妖狐”と告げるのははばかられたのだろう。
「晴明に陰陽師の才があるというのはまことでおじゃりましょうや」
言葉が途切れたところで、父が忠行に真剣な顔でたずねた。
「まず、間違いなかろう」
と告げた忠行は小さな声で「したが、その道は険しい」とつぶやくのを一番側にいた晴足は聞き逃さなかった。
五つのときのことだった。
父が体調を長く崩して陰陽師が呼ばれることになった。
それが師となる賀茂忠行だ。白髪頭の厳めしい顔をした彼は邸の前庭に祭壇を設けた。
兄弟たちは邪魔をしない、騒がないということを条件に立ち合いを許されたのだ。
忠行が呪文を唱える中、晴明が震えていることに晴足は気づく。
「どうした、晴明兄」
彼の問いかけに、
「そ、そもじには見えないでおじゃるか」
顔を真っ白にした晴明はこたえた。
なにが、とこちらがたずねると、
「祭壇の贄に異形の者共が群がっておじゃる」
震える声で晴明は告げた。
言われて、祭壇に向かって目を凝らした。だが、いくら凝視しても何も見えなかった。
「虚言をもうすな、晴明兄」
兄を嘘つき呼ばわりする。が、晴明の顔は冷や汗に濡れて尋常ではない。とても嘘をついているようには見えなかった。
やがて、呪術が終わり忠行がようすがおかしい晴明のもとにやって来る。
「いかがした?」
そう聞かれ、晴明は先ほど晴足に告げたのと同じことを訴えた。
すると、忠行の表情が変わる。
「そなた、霊物が見えたか」
独語めいた言葉を吐き、思案げに顎に手を当てた。
「陰陽師でも霊物が直に見える者は少ない。それが見えたとなると、そなたには陰陽師の大きな才があるやもしれぬな」
はあ、と晴明は戸惑いを面に刷いた。
「そういえば、そなたらの母は」
忠行はそこまで言いかけ言葉を切る。さすがに面と向かって“妖狐”と告げるのははばかられたのだろう。
「晴明に陰陽師の才があるというのはまことでおじゃりましょうや」
言葉が途切れたところで、父が忠行に真剣な顔でたずねた。
「まず、間違いなかろう」
と告げた忠行は小さな声で「したが、その道は険しい」とつぶやくのを一番側にいた晴足は聞き逃さなかった。
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