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チャプタ―41
ダメな安倍晴明41
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ほぼ同時に邸の雑人が夜食を手に姿を現した。主が太刀を握る姿に彼は目を剥く。
「と、殿、こちにございまする」
慌てた声に、
「気が立っておった、すまぬ」
満利は言葉とは裏腹の落ちついた声で応じた。
顔色を青くした雑人が屯食をその場に配る。当たり前の顔をした晴足たち兄弟が受け取る中、
「これはかたじけない」
晴明だけは丁寧に礼をのべていた。
そういえば、兄はいつだって他人への礼儀を、それが雑人が相手であっても忘れないな、と気づいた。
こたびの依頼、うまく解決してほしい――晴足はそんな思いを抱く。
「したが、今宵も鬼は出ぬな」
太刀を離した満利が待ちかねるという調子で言った。
「まっこと、首を長くして待っておるというのに」
彼に晴俊が同調しながら屯食を雑に頬張る。
「人数が増えたのを警戒しておるのであろうか」
「周囲の邸から人を向けられて退散しているとも思えるからなあ」
晴秀の言葉に晴足は納得がいった口調で応じた。
ただ、晴篤は相変わらず居眠りをしていた会話に加わらない。
「今日からひとりずつ、人数を減らしてみるか」
「そうしてみるか」
「ああ」
晴俊の提案に、晴秀、晴足は首肯する。
「されど、まろは満利の側を離れぬでおじゃるぞ」
珍しく晴明が強硬な態度で訴えた。
「好きに致すがよい」
晴秀がそれに癇に障った調子で応じる。
許しを得ると、晴明はまた満利と親しげに会話を始まる。
「あやつのこと、どう思う」
「気合いが入ってるな、と」
小声になる晴秀に合わせて晴足も声を落とした。
「実のところ、手前はあやつが一人前の陰陽師になるのはむずかしいと考えておった」
「肝が小さいからなあ」
晴秀の言葉に晴俊が同意する。彼も声量を絞っていた。
「されど、場合によってはそれが変わると申すなら、あるいは、とも思うのだ」
「なるほど、確かに」
言われてみれば、こたびの晴明の態度は充分に胆力があると判じえるものだった。
「あるいは、こたびのことであやつは変わるやもしれぬ」
晴秀の言葉に、さすがにそれは期待しすぎだろうと思ったものの水を差すのも躊躇われ晴足は曖昧にうなずいた。
それから、夜明けを目指すに当たって兄弟は交替で眠りについた。
「と、殿、こちにございまする」
慌てた声に、
「気が立っておった、すまぬ」
満利は言葉とは裏腹の落ちついた声で応じた。
顔色を青くした雑人が屯食をその場に配る。当たり前の顔をした晴足たち兄弟が受け取る中、
「これはかたじけない」
晴明だけは丁寧に礼をのべていた。
そういえば、兄はいつだって他人への礼儀を、それが雑人が相手であっても忘れないな、と気づいた。
こたびの依頼、うまく解決してほしい――晴足はそんな思いを抱く。
「したが、今宵も鬼は出ぬな」
太刀を離した満利が待ちかねるという調子で言った。
「まっこと、首を長くして待っておるというのに」
彼に晴俊が同調しながら屯食を雑に頬張る。
「人数が増えたのを警戒しておるのであろうか」
「周囲の邸から人を向けられて退散しているとも思えるからなあ」
晴秀の言葉に晴足は納得がいった口調で応じた。
ただ、晴篤は相変わらず居眠りをしていた会話に加わらない。
「今日からひとりずつ、人数を減らしてみるか」
「そうしてみるか」
「ああ」
晴俊の提案に、晴秀、晴足は首肯する。
「されど、まろは満利の側を離れぬでおじゃるぞ」
珍しく晴明が強硬な態度で訴えた。
「好きに致すがよい」
晴秀がそれに癇に障った調子で応じる。
許しを得ると、晴明はまた満利と親しげに会話を始まる。
「あやつのこと、どう思う」
「気合いが入ってるな、と」
小声になる晴秀に合わせて晴足も声を落とした。
「実のところ、手前はあやつが一人前の陰陽師になるのはむずかしいと考えておった」
「肝が小さいからなあ」
晴秀の言葉に晴俊が同意する。彼も声量を絞っていた。
「されど、場合によってはそれが変わると申すなら、あるいは、とも思うのだ」
「なるほど、確かに」
言われてみれば、こたびの晴明の態度は充分に胆力があると判じえるものだった。
「あるいは、こたびのことであやつは変わるやもしれぬ」
晴秀の言葉に、さすがにそれは期待しすぎだろうと思ったものの水を差すのも躊躇われ晴足は曖昧にうなずいた。
それから、夜明けを目指すに当たって兄弟は交替で眠りについた。
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