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チャプタ―58
ダメな安倍晴明58
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「いやはや、幼い時分は恐怖というものを知りませぬな」
「さようにございますな」
先ほどの滑稽なやり取りを思い出し晴足は口角をあげた。
同時に突拍子もないことを思っていた。
晴明が今の童のような性向でなくてよかった。もし、あのように我が侭をそれも頻りに述べる若者であったらたまったものではない。
そう考えると、晴明が晴明でよかった――。
「何を考えておりまする?」
法師の問いかけに、思ったことを晴足は述べた。
「ははは、それはそれは。確かに童のような性根の兄は嫌にござりますな。大人になってもさような者はおりますからなあ」
あながち要らぬ心配でもござらなんだ、と法師が言葉を重ねる。
「兄上はそれなりに聞き分けもよいし、無邪気なところはあっては我が侭ではない、悪くない兄ではないかと思いまする」
「それはよかった」
晴足の言葉に法師は大きくうなずいた。
その後、法師と入れ替わりに最寄りに出てきていた晴俊がやって来た。
「子どもなら、晴明は手のかからない部類か」
話を聞いてそう言った晴俊は大声で笑う。
「晴秀もさような了見でいられたらら、楽なのだろうがなあ」
兄の名を挙げ、晴俊は微苦笑を浮かべた。
「よく考えれば兄弟にぞんざいな扱いをされ、晴明兄もよく耐えておられる」
「言われてみればその通り」
晴俊の言葉に、晴足はなるほどとうなずく。
「晴明兄も言いたいこともお有りでしょうね」
「まあなあ。それをせぬのが兄上の美徳やもしれぬ」
晴俊は鼻毛を抜きながら自分の考えを述べた。
晴秀兄も、晴俊兄ぐらい図太ければ――何かと細かいことを気にせずにも済むだろうに、と目の前の兄ち晴秀のことを晴足は比べる。
「まあ、子どもだと云々とは兄上には申し上げるぬがよかろう、かえって機嫌を損ねるだろうしな」
「やはり」
晴俊のせりふに、晴俊は得たりとばかりに首肯した。
「さようにございますな」
先ほどの滑稽なやり取りを思い出し晴足は口角をあげた。
同時に突拍子もないことを思っていた。
晴明が今の童のような性向でなくてよかった。もし、あのように我が侭をそれも頻りに述べる若者であったらたまったものではない。
そう考えると、晴明が晴明でよかった――。
「何を考えておりまする?」
法師の問いかけに、思ったことを晴足は述べた。
「ははは、それはそれは。確かに童のような性根の兄は嫌にござりますな。大人になってもさような者はおりますからなあ」
あながち要らぬ心配でもござらなんだ、と法師が言葉を重ねる。
「兄上はそれなりに聞き分けもよいし、無邪気なところはあっては我が侭ではない、悪くない兄ではないかと思いまする」
「それはよかった」
晴足の言葉に法師は大きくうなずいた。
その後、法師と入れ替わりに最寄りに出てきていた晴俊がやって来た。
「子どもなら、晴明は手のかからない部類か」
話を聞いてそう言った晴俊は大声で笑う。
「晴秀もさような了見でいられたらら、楽なのだろうがなあ」
兄の名を挙げ、晴俊は微苦笑を浮かべた。
「よく考えれば兄弟にぞんざいな扱いをされ、晴明兄もよく耐えておられる」
「言われてみればその通り」
晴俊の言葉に、晴足はなるほどとうなずく。
「晴明兄も言いたいこともお有りでしょうね」
「まあなあ。それをせぬのが兄上の美徳やもしれぬ」
晴俊は鼻毛を抜きながら自分の考えを述べた。
晴秀兄も、晴俊兄ぐらい図太ければ――何かと細かいことを気にせずにも済むだろうに、と目の前の兄ち晴秀のことを晴足は比べる。
「まあ、子どもだと云々とは兄上には申し上げるぬがよかろう、かえって機嫌を損ねるだろうしな」
「やはり」
晴俊のせりふに、晴俊は得たりとばかりに首肯した。
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