どうやら主人公は付喪人のようです。 ~付喪神の力で闘う異世界カフェ生活?~【完結済み】

満部凸張(まんぶ凸ぱ)(谷瓜丸

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第8章 どうやらエトナとセンテネルは謀叛と悪逆のようです。

修道士・センテネル

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 「どういう事ですか?   なぜ……」

町の病院にて少年の手当てを受けさせていたセンテネル。
彼はその町の医者から少年の状況を伝えられる。

「この子、骨がおれてるね。擦り傷も少しひどい。よくても2ヶ月以上は安静にしてないとダメだね」

「2ヶ月…………」

あの場所が無くなってしまうまであと15日。
このままでは、少年はなぜあの場所が無くなったかも知らないまま、孤独に生きなければならなくなる。

「なんとか、なりませんか?   このままじゃ少年を引き取る者は誰もいないまま……」

「無理に動かせば更にひどくなるよ」

医者は真剣な顔でそう伝えてきた。

「そうですか。では、治療費はまとめて後で持ってきます」

センテネルはそう言い残すと病室を出て、お金を取りに戻るのであった。



 彼が町を出てしばらく歩いていくと、反対方向から1人のフードを被った少女がこちらへと向かってくる。
町にいくつもりなのだろうか。
しかし、「あんなにボロボロのフードを被っていたら、町人は店に入れてくれるのだろうか」などとそんなことを考えていると。

少女は急に彼の目の前で立ち止まり、彼に声をかけてきた。

「あなた悩んでいますね?」

「はぁ? 」

いきなりこの少女は初対面の私へ何を言っているのだろう。
この私には悩みごとなんて……。

「あなたにも素質がある。見たところ修道士のようですが、何かあったのですか?」

「ハハハ、面白い事を聞くね。占い師かな?
君は誰だ?   私とどこかで会ったのかな?」

すると、その少女はニッコリと微笑んだかと思うと、その頭に被っていたフードを脱ぎ、顔を露にしてきた。

「はじめまして、妾の名前は───です。以後お見知りおきを修道士のお兄さん」

その顔からは女神のように美しく人ではない気配を感じた。



 「へ~、ふ~ん、ほぉ~」

少女は何を思ったか。私の顔を物色してくる。
そんなに見つめられると恥ずかしい気持ちになってしまうのだが……。

「どうしたんですか?  そんなに見つめられると……」

「あっ、ごっごめんなさい。ちょっとあなたの過去を見てたんです……」

この子は頭のおかしい子だ。
センテネルの勘がピンピンと伝えてくる。

「そうかい、じゃあまた」

「あっ、あの~これあげる」

その幼い手から渡されたのは、セロハンテープ。

「………???」

全く訳が分からない。なぜこの子はこんなものを渡してきたのだろうか。

「これは?」

「本当に我慢出来なくなった時、これを使ってください。きっとあなたの助けになりますから」

少女は少し恥ずかしそうになりながらも、必死に説明してくれた。
もしかしたら、何かの悪戯でこんなことをさせられているのだろうか。

「───分かった。ありがとうお嬢さん」

「あと、何か困ったら何でも言ってください。妾はあなたたちの居場所になりますから」

少女は真剣な眼差しで彼に語りかけてくる。

「ハハハハ、誰かからの罰ゲームかい?
誰に頼まれた?」

「───家族です。でも、罰ゲームじゃないんです。おつかいとして渡しに来ました。
本当はエトナと呼ばれる男の子をスカウトするように言われたのですが、1つあなたにあげるの」

「おつかい?   何でまたそんな事に?」

「──とある目的があるんです。それは言えないけど。でも、家族は優しい人です。うまくは言えないけど…その…えっと~」

「君はその家族が好きなんだね?」

「はい、すごい~何でバレたんだろう~。妾にとっては家族は大切な家族なんです。
あっ、長居させてしまいすみませんでした。それではまたお会いしましょ」

「お嬢さんも気をつけて帰るんだよ」

そう言って2人は別れ道を歩いていった。
センテネルは途中で急に気味が悪くなって、このセロハンテープを捨てようと考えてしまう。
だが、後ろから聞こえてきた「あっ、ウサギだ…………待って~」とウサギを追って草原に入っていく彼女の声と、彼女の兄への信頼を思うと、そんな気持ちは薄れていった。



 彼が教会へと戻ると、みんなが出迎えてくれている。
入り口の前に修道士のみんなが立って私の為に出迎えてくれているようだった。
みんな、私の帰りが遅いのと少年を心配してくれていたのだろうか。

「「「おーいセンテネル」」」

「やあ、みんなごめん心配をかけ…………」

みんなが出迎えてくれたお礼を言おうとした時、1人の修道士が声をかけてきた。

「バカ、神父がお前に至急会いたいそうだ。今回のことの説明を求めてる」

どうやら、神父が私に話があるようだ。
おそらく、彼はまた礼拝所にいるのだろう。
私は彼らの言う通り、真っ先に神父のもとへと急いで走っていった。



 私が神父のもとへ走っていくと、神父は既に椅子に座っている。
彼は私の姿が見えると同時に私を睨み付けくる。

「こっちへ来て座れ」

「すみません。神父…実は………」

「いいから座れ!!!!」

神父は怒っている様子だ。
私は神父に言われるがまま椅子に座った。

「──君はなぜあの場にいたのにすぐに子供たちを止めなかった?
目撃者の証言では君は数分くらい立ち止まって見ていたと聞く。そして、怪我ならこの施設にも治療方法はいくらでもある。なのに、君はわざわざ応急処置もせず遠い町へと少年を運んだそうじゃないか」

「それは……」

この場所は信用できないとは言えない。

「ああ~もういい。聞きたくもない。
それともう1つ。みんなには伝えたが、子供たちの移転先だが…。明日、パルバット一族の6世という外国の大富豪が全員引き取ってくれるそうだ」

「全員?
そんなデタラメな。怪しすぎます」

「だが、よかったじゃないか。みんなが浮浪児にならずにすむ」

「あんたは正気ですか?  狂ってるイカれてる。このままでは子供たちに何があるか分からない。考え直してください神父」

「無理だ諦めたまえ」

その瞬間、センテネルの中で何かが外れかけていた。
彼は心の奥底から沸き上がる想いを必死に抑えながらも神父にもの申す。

「………神父失礼ですが、あんたは教会から出た事もないんですか?
あんたは最低な価値もないクズ野郎だ。
今、この国は狂ってる。みんな法律のなかった過去にしがみつき、本能のまま虐殺 暴行 殺人 強盗 麻薬 強姦。
宗教すらも過去にしがみつき、正しくなった事にも新しい先人の言葉にも耳を傾けない。
いや、この国だけじゃない。世界が蝕まれそうだ。歯痒く苦く反吐が出そう」

しかし、神父は彼がふざけていると考えたようで彼を叱る。

「話を聞いているのか?
ふざけるのもいい加減にしなさいセンテネル!!!」

それが彼のストッパーをまた1つ外す事となる。

「ふざける?   私が異常だって言うのですか?
アヒャヒャヒャヒャ~。ホッホッホゥゥゥゥ。
こりゃジョークだ大笑い。
頭にくるね。見てよこの手のアザ。殴られたり蹴られたりした痕だ。もちろん全身にあるよ。
──こんなちっぽけな施設でもここまでひどい。
この社会にはトップが必要なんだ。
欲望のままに生きる獣を押さえつける抑圧の鎖が…。
我々は闇に潜み、それが現れるのを待っているんだよ神父。
そして、それが現れた時にバーンッと世界は変わる。
『真の支配者は下克上からのしあがるものだ。いずれ、未来に神を喰らう悪魔は現れる。
そして、真の理想郷は実現するのさ』
これは過去に君達旧ルイトボルト教信者が否定し破門したルイトボルト教の先人の言葉だ。
だが、これは実現する。
私たちを道端に落ちたゴミのように、踏みつけ無視していく…そんなのはもう沢山なのさ」



 センテネルが一旦呼吸を整えるために黙ると、すかさず神父は外にいるかもしれない修道士に向かって大声で命令した。

「はぁ~おい、誰かいるか?
この頭のおかしい狂人信仰者を摘まみ出せ」

「そうかいそうかい。心に傷をおった憐れな男を嘲笑うのが、そんなに可笑しいか?
だったら笑い死にしちまえばいい。懺悔しやがれ!!!」


………………………………………………

 「はぁ…はぁ…」

神父と言い争いになった後、彼は礼拝所から飛び出して、トイレに駆け込むと1人の落ち着くために深呼吸していた。

「なんだ?  とにかく落ち着こう」

とにかく気持ちを落ち着いて冷静になろう。
彼は怒りに身を任せすぎたので、神父と言い争いになってしまったのだ。
彼は洗面台に駆け寄ると、水道から水を出し、そして顔を洗う。

「ふぅ~」

水道の水を浴びた事で気持ちは収まり冷静に物事を考えることができそうだ。
彼が洗面台で顔を洗い蛇口を閉め、トイレから出ようと出入り口のドアを開けた瞬間。
彼の視界に写ったのは、向かってくる勢いのある強靭な拳であった………。
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