どうやら主人公は付喪人のようです。 ~付喪神の力で闘う異世界カフェ生活?~【完結済み】

満部凸張(まんぶ凸ぱ)(谷瓜丸

文字の大きさ
120 / 294
第9章 どうやらエルタは八虐の不義のようです。

お疲れ様パーティー

しおりを挟む
 「ただいま~」
「あっ、黒さんと明山さん。お帰りなさい」

ここは付喪カフェ。
護衛の依頼を終えた後である。
どうやら客の姿は一人もいないようだった。
二人がカフェのドアを開けて、店内に入っていくと。
出迎えてくれたのは、ヨーマとマオ、英彦と店長、鈴木、そして……。
先日まで簀巻きにされていた男だった。

「みんな大活躍だったそうじゃないか。魔王軍幹部の八虐を数人倒したとか」

店長が俺の事を誉めてあげようとしていたのだが、黒は店長が俺の活躍を知ってくれていた事に驚いている。

「店長。情報伝達が早いですよ。今から報告してびっくりさせようとしたんですが……」

ちょっと残念そうな表情を浮かべた黒は店長に向かって頬を膨らませる。
そんな表情の黒に店長は、「それはすまなかったね。ハハハ!!」と笑いながら頭をかいている。
しかし、その話を遠くから聞いていた英彦は違った。

「えっ? 黒さん、またですか?」

フィツロイ戦の時に手柄を横取りしていたのだから、疑われるのは仕方がない事なのだろうが。
しかし、今回は違うのだ。

「横取りとは違うわ。今回は死神さんと、この妙義によるモノよ」

黒は妙義の方向に指を指して悔しそうに言う。
本当は自分も貢献したなんて口が裂けても言えないのである。



 「あれ? そういえば、妙義さんと死神さんがいませんが?」

二人がいない事に気づいた英彦は、首を傾げている。
その質問に黒は、「あの二人なら遅れてくるわ」と言って席に座りながら答える。
もしかしたら、二人とも長旅から帰ってきたばかりで、疲れが取れていないのかもしれない。
英彦はそう考えて改めて尊敬するのであった。



 「とにかく、依頼達成お疲れ様。今日はお疲れ様パーティーを開こうって英彦君と鈴木君が開催してくれたんだ。みんな、料理は任せて楽しんでくれ。あの二人には悪いが先に始めておこう」

今、店長の一声によって、パーティーが始まろうとしている。

「店長!? これは英彦君のアイディアだ。私は何も関係ないじゃないか」

「そんな、鈴木さんが一番張り切っていたじゃないですか?」

英彦に真実をバラされてしまい、鈴木の顔が少し赤面していく。

「いや、別に私は……。そう言えば、みんながいない間、君は鬱にでもなったかのように、毎日 恨み辛みを口にしていたが、もう大丈夫なのかい?」

鈴木さんは話題を変えようと、英彦に話を振った。
しかし、恨み辛みとはどういうことだろうか。

「何かあったのか?   英彦?」

俺は少し彼の事が心配になり聞いてみることにした。
すると、英彦から帰ってきた返事は、

「別に恨み辛みなんてありませんよ。明山さんが“3人と仲良く”任務に当たってたから応援してただけです。応援ですよ?」

なんだろう、英彦から放たれる雰囲気がいつもと違い怖く感じるのだ。
もしかしたら、夜道を1人で歩くのはしばらくはやめておいた方がいいかもしれない。
話題を振った元凶の鈴木は店長に助けを求めようと店長の顔を見るが、

「フッ……」

店長からは鼻で笑われてしまう。
そのまま、店長は厨房へと向かっていってしまった。

「ハガゥぁ……。店長の野郎……」

それを追いかけるようにして鈴木もまた、厨房へと走っていく。



 「すみません。報告に遅れて……。ん? 何やってんだよ。お前ら」

用事を済ませた妙義が付喪カフェのドアを開くと、そこはパーティー会場だった。

「ふへ? ほふぁふへふりなふぁふぃ(あら?お帰りなさい。)」
「おっ、やっと来たな。お帰り妙義」
「妙義さん。お帰りなさい」

妙義はみんなからの挨拶を受けたのだが、未だに状況はつかめていない。
そんな、妙義に店長はこの状況を説明をしてくれた。

「依頼達成を祝うパーティーだよ。君も楽しんでくれ」

そう言って妙義の肩を叩くと、店長は店の外にまるで逃げるように出ていった。
そうして、店長が何処かへと姿を消したあと。

「店長はどこに行ったのだ? まさか、逃げた?」

「いや、トイレじゃないですかね?」

厨房から、鈴木さんと簀巻きにされていた男の困り果てた声が聞こえてくる気がしたのだが。
いや、きっと気のせいだろう。



 「すみません。明山に呼ばれたんですが……」
「すまん。何かあるとは知らずに……。遅れてきてしまって?」

数分後、死神さんと駒ヶが店に訪れる。
ちなみに、駒ヶはなんとなく呼んでみたのだ。
まぁ、特別な理由などない。
フィツロイの時に置き去りにしたから、その謝罪も込めてなんていうわけではない。

「やっと揃ったな。それじゃあパーティーといこうじゃないか」

俺の掛け声により再びパーティーは再開することとなった。



 たくさんの料理を囲んで、俺たちはパーティーを楽しんでいる。
まぁ、こういった機会もなかなか無いものである。
俺はその空気に浸りながら何故か、少しだけ懐かしさを感じていた。
前の世界でも友達と、こうして何かと理由を作っては一緒に食事をしたものだ。
まさかもう一度、パーティーを行えるとは思っていなかった。

「おい、黒。食べ過ぎだぞ。これ以上食べたら本当に……」

「いいじゃない妙義。今回は特にお腹が減っておるのよ」

黒と妙義が、食べ物の事で言い争いをしている。
仲のいい二人のいつも通りの光景だ。
その隣を見てみる。

「なぁ、ヨーマこれなんて料理だろ?」
「見たことない料理だね~」

ヨーマとマオが不思議そうに料理を見ながら物色していた。
仲のいい兄妹のいつも通りの光景だ。
その隣を見てみる。

「調子はどうだ? 英彦君」

「はい、大丈夫ですよ。駒ヶさんは最近、どうですか?」

「じつは最近、ビジネスパートナーが出来てな。いつかは分からないが、一度だけ二人で仕事をすることになったよ」

あの二人もいつも通り仲がいい。
まるで先輩と後輩の関係である。



 いつものメンバー。いつもの光景。
この世界に来て当たり前のように感じる光景。
俺もずいぶんこの世界に慣れてしまったのかもしれない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

Radiantmagic-煌炎の勇者-

橘/たちばな
ファンタジー
全てを創世せし神によって造られた、様々な種族が生息する世界──その名はレディアダント。 世界は神の子孫代々によって守られ、幾多の脅威に挑みし者達は人々の間では英雄として語り継がれ、勇者とも呼ばれていた。 そして勇者の一人であり、大魔導師となる者によって建国されたレイニーラ王国。民は魔法を英雄の力として崇め、王国に住む少年グライン・エアフレイドは大魔導師に憧れていた。魔法学校を卒業したグラインは王国を守る魔法戦士兵団の入団を志願し、入団テストを受ける事になる。 一つの試練から始まる物語は、やがて大きな戦いへと発展するようになる──。 ※RPG感のある王道路線型の光と闇のファンタジーです。ストーリー内容、戦闘描写において流血表現、残酷表現が含まれる場合もあり。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

朝敵、まかり通る

伊賀谷
歴史・時代
これが令和の忍法帖! 時は幕末。 薩摩藩が江戸に総攻撃をするべく進軍を開始した。 江戸が焦土と化すまであと十日。 江戸を救うために、徳川慶喜の名代として山岡鉄太郎が駿府へと向かう。 守るは、清水次郎長の子分たち。 迎え撃つは、薩摩藩が放った鬼の裔と呼ばれる八瀬鬼童衆。 ここに五対五の時代伝奇バトルが開幕する。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...