どうやら主人公は付喪人のようです。 ~付喪神の力で闘う異世界カフェ生活?~【完結済み】

満部凸張(まんぶ凸ぱ)(谷瓜丸

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第10章 どうやらミハラは八虐の大不敬のようです。

お目覚めはお祝い会と共に

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 「はっ!?」

俺は狭い部屋に寝かされていた。ここはたぶん付喪カフェだろう。
最初は病院の病室で寝かされていたのだが、付喪カフェに運び出されたのだろうか。
窓の外から射し込む日差しがまぶしく感じる。
久しぶりに日差しを浴びたようなそんな気がする。
俺はなつかしさを感じていた。
そして、ゆっくりとベッドから降りる。

「戻って来たのか?   さっきのは夢?」

見るからに世界が破壊されてもいない。
カレンダーは俺が病室から消えた日から3週間くらいを示している。

「生きてる。はっ!!  あいつらは?」

安心したら急に英彦達の事が心配になったので、俺はドアを蹴破って皆を探しに出かける事に決めた。



 「おっ、皆、明山が生き返った!!!」

駒ヶの喜びの叫びと共に俺の視界に入ってきたのは……。
無事に生きている皆と、俺の写真が添えられた仏壇。

「お前らバカじゃねぇの!?」

俺はここまでこいつらに驚かされた事は初めての経験であった。

「やぁ、明山君。やっと起きたんだね」

「店長…これはいったいどういうことですか?」

皆で俺用の仏壇を片付けていると、店長が久しぶりに俺に話しかけてきてくれた。
なぜこうなったのかが気になり、店長に質問してみると……。

「実は、大悪魔が討伐されてから急速に例の殺人鬼の事件が増えたんだよ。
だから、1ヶ月前に君達が外で怪我だらけで倒れている時は恐ろしかった。
てっきり殺られたと思っててね。
なにせ、発見時は君が行方不明になって数週間後の事だから」

その表情からは、とても大変だったんだろうという事が分かる。
店長が少し嬉し涙を浮かべているのが、その証拠である。
すると、今度は妙義が俺に近づいてきて、その時の状況を伝えてくれた。

「ああ、確か黒なんて大泣きしちゃってたな。お前は特に出血がひどくて、体力も衰えていたから。衰弱死に向かって突っ走っているって感じだったよ。
黒の奴、英彦とお前に必死に回復魔法をかけていた。
そういえば、お前が一番最後だぞ。
英彦と男は次の日には目を覚ましていたんだ」

「ちょっ、私の話はいいじゃない。
それよりも生きてたんなら、ちょうど良いタイミングだわ。お祝い会を開かないと」

そう言って黒はせっせと店内の飾りつけを始めている。
それほど、俺が生きていた事が嬉しいのだろう。
黒も少しは俺の事を尊敬するようになったのかもしれない。
俺は少し気恥ずかしくなり、黒に遠慮するように言った。

「そんな、俺にそこまで気を使うなよ」

しかし、肝心の黒はキョトンと?マークを浮かべて……。

「何言ってるの?   そんな明山の為にお祝い会を開くわけないでしょ。」

黒は俺の発言に呆れて、飾りつけの作業に戻ってしまった。



 「なぁ、英彦、簀巻。なんの準備なの?
俺の復活記念だよね?
俺の復活お祝い会のはずだよね?」

俺は窓を掃除していた二人を捕まえて話を聞くことにした。
俺は皆を信じているのだ。
俺の復活を喜んでくれると信じているのだが。
英彦は言いにくそうに苦笑いを浮かべながら、小声で話を始める。

「残念ですが、明山さんの会なんてないです。実はですね。鈴木さんが前から付き合っていた彼女さんにプロポーズしたらしく」

「OK貰ったんだってさ」

俺の全身に衝撃が走った。
あの鈴木さんがプロポーズ成功だと……。遂にこの時が来てしまったのか。
いつかは来ると思っていたのだが、こんなにも早く訪れるとは思ってもいなかった。



 いつも店長を悩ませるほどの看板王子であった鈴木さん。
料理ではなく彼を目当てに訪れる客も多かった。
お客さんの付喪カフェ店員人気ランキング。
店員を追い抜いて1位の座を手にしていた鈴木さん。
ちなみに3位が妙義で4位はウサギさんである。
俺の人気が最下位近いのはどうかと思っていたが、黒の人気がウサギさんに負けていたのは面白かった。
そんな客にも店員にも人気な鈴木さんがプロポーズに成功したのだ。



 「遂にみんなの鈴木さんじゃないのか」

嬉しいような悲しいようなそんな気分である。しかし、祝わねばならない。仲間の幸せを祝福するのは、金曜日のバイトリーダーとしてやらねばならない事である。

「フッ、今日は祝福の日だな。仕方がねぇ俺の復活記念は後日って事で……」

そう言って飾りつけを手伝い始めた俺に向かって、黒は小声で呟いていた。

「やっぱりバカね。あるわけないのに」



 そして、数時間後。
店長に呼ばれて付喪カフェに鈴木さんがやって来た。
彼は店内の様子が静かな事に疑問を持ちながらも、ゆっくりと入り口の扉を開くと……。

「「「おめでとう鈴木さん!!」」」

突然、店内の電気がつけられて、クラッカーの弾ける音と共に祝いの言葉が響き渡る。

「!? みなさん」

この状況を察した鈴木さんは少し照れくさくなりながらも、この状況を喜んでいるようだ。
たくさんの飾りつけや、豪華な料理。
そして、バイトメンバー達からの祝福を受けながら、お祝い会は始まってしまった。
そう、まるで、あの時のお疲れ様パーティーの様に………………。
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