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第13章 どうやら犯人は八虐の不道のようです。
Peace bursts and collapses(ピース・バースツ・アンド・コラプセズ)
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犯人はなにか気づいたのだろうか。
犯人はすぐさま自分のポケット内に手を入れてなにかを探しているようだ。
しかし、ポケット内には彼の買っておいたはずのライターがない。
「何ィ。いつの間に………」
「気づかなかったようだな。既にそこに倒れている山上が紐を使って渡してくれたんだよ。誰にもバレないようにな」
一歩一歩、俺の足は犯人に近づく。
「だが、それがどうした?
私がこの人混みに紛れれば……お前らの追跡は不可能」
「そんなこと……させるわけがないだろッ!!
『1円ショット』」
俺は自身の手に残っていた1円を能力を使って、まるで豪速球を投げるピッチャーのように小銭を投げる。
1円玉は銃弾のような速度で犯人の方向へと発射されると、
「ウギッァ!?!?」
犯人の片足を貫く。
その勢いで犯人は地面に倒れる。
だが、彼は諦めることを知らないようで、地面を這ってでもここから逃げ出そうと試みている。
「なんて危ない野郎だ。逃げる奴に……戦意を失った者に……追い討ちをかけるか?
だが、逃げてやる……ここから避難するんだ………。ハァハァ、私は諦めないぞ。まだ私にもチャンスは残っているはずだ」
匍匐前進のように片足を引きずりながら犯人は前に進む。
「──いや諦めな」
俺はそう言って近づいたのだが、俺が近づいてきているというのに犯人の恐怖はなんだか嘘っぽい。
やはりなにか作戦でもあるのだろうか。
地面に這いつくばっている犯人。
彼は先程まで必死にこの路地道から逃げ出そうとしていた足を止める。
そして、彼は壁を手でつかみ、身体を支えながら立ち上がった。
彼の足はプルプルと震えていて、少しだけ今にも倒れそうだったが、彼は地面に足を踏ん張って立ち上がったのだ。
傷口が痛む中、彼は吐息を漏らす。
その後、彼は呼吸の速度を少しだけ弱めながら、俺を指差して話し始めた。
「──ああ、諦めたよ。君を殺さずにここから立ち去るのをね。殺れスポンジマン!!」
その大声が俺の耳に聞こえると同時に、腹部に感じる違和感。
俺の身体の中に既にスポンジが仕込まれていたというのだろうか。
もし、このスポンジの膨張を無視していれば確定で死んでしまう。
脱水症状と内部からの破裂。
彼に殺されたみんなが味わった死。
それを俺も味わうことになるのだ。
「ハハハッ、既に体内に仕込んでおいたのさ。どうする? お前の身体ごと燃やしてみるか?
さぁ…さっさとあの世への階段を上りやがれ!!」
勝利を確信する犯人。
確かにスポンジを燃やせば解決するかもしれない。
しかし、俺の体内にあるスポンジを俺ごと燃やしてしまえば、俺が死んでしまう。
ここで逃げても逃げなくても死んでしまうかもしれない。
ふと、足を退いてみると俺の足に何かが当たった。
俺のピンチに妙義は焦り始めて、スポンジマンの腕に掴まれながらも駆け寄ろうとしてくれる。
「明山……くそッ。離せスポンジ」
肝心の妙義は未だにスポンジマンの呪縛から逃げ出すことができていない。
王レベルの2人も既に攻撃する気力も方法も体力も失っているようだ。
俺はこのまま、体内で膨張しているスポンジによって内部から破裂してしまうのだろうか。
このまま、俺は……死ぬ?
これで死を経験するのは3度目だ。
誰も破った事のない確実なあの世への処刑。
腹部にある圧迫感と違和感。
異物が入り込んでいるような焦れったい感覚。
痛みは感じる。内蔵を圧迫される痛み。
これが殺された何百人と経験してきた苦しみや痛み。
神出鬼没正体も犯行も不明の殺人犯が与えてきた恐怖。怖い…でも、怯むわけにはいかない。
「──へっ、お前の妹が、あんたを信じてた人が覚悟を決めて反抗している……。
だったらよぉ、俺も覚悟を決めなきゃなァ!!」
俺はハッタリを言い放つように声をあげる。
しかし、もちろん体内のスポンジは俺の体液を吸収して大きくなっている真実は変わらない。
死へと近づいている運命は変わらない。
「──覚悟?
何を言っているだか。
私が勝ち、お前が負ける。お前が死ぬのだ明山君。
君についている運命は変わらないのだよ」
犯人の抱いている勝利への確信も変わらない。
そこで、俺は賭けを行うことにした。
下手をしたら死ぬほどキツいが、挑戦くらいはするつもりだ。
「なに?『君についている運命は変わらないのだよ』だと?
ふっ、この身にこびりついた運命なんて俺が剥がしてやる」
運命なんて関係ない。俺の人生だ俺の一生だ。
俺の歩みを俺の日々を運命などという簡単なものでまとめてもらいたくはない。
運命に決められた人間ではなく。
人間が運命を決めるのだ。
「運命は絶対的な未来ではない。
運命とは通過点だ。2つに分かれた道から1つを選ぶように……たった少し何かが違うだけで変わるものだ」
俺はそう叫ぶと自身の腹に刃物を突き刺した。
犯人はすぐさま自分のポケット内に手を入れてなにかを探しているようだ。
しかし、ポケット内には彼の買っておいたはずのライターがない。
「何ィ。いつの間に………」
「気づかなかったようだな。既にそこに倒れている山上が紐を使って渡してくれたんだよ。誰にもバレないようにな」
一歩一歩、俺の足は犯人に近づく。
「だが、それがどうした?
私がこの人混みに紛れれば……お前らの追跡は不可能」
「そんなこと……させるわけがないだろッ!!
『1円ショット』」
俺は自身の手に残っていた1円を能力を使って、まるで豪速球を投げるピッチャーのように小銭を投げる。
1円玉は銃弾のような速度で犯人の方向へと発射されると、
「ウギッァ!?!?」
犯人の片足を貫く。
その勢いで犯人は地面に倒れる。
だが、彼は諦めることを知らないようで、地面を這ってでもここから逃げ出そうと試みている。
「なんて危ない野郎だ。逃げる奴に……戦意を失った者に……追い討ちをかけるか?
だが、逃げてやる……ここから避難するんだ………。ハァハァ、私は諦めないぞ。まだ私にもチャンスは残っているはずだ」
匍匐前進のように片足を引きずりながら犯人は前に進む。
「──いや諦めな」
俺はそう言って近づいたのだが、俺が近づいてきているというのに犯人の恐怖はなんだか嘘っぽい。
やはりなにか作戦でもあるのだろうか。
地面に這いつくばっている犯人。
彼は先程まで必死にこの路地道から逃げ出そうとしていた足を止める。
そして、彼は壁を手でつかみ、身体を支えながら立ち上がった。
彼の足はプルプルと震えていて、少しだけ今にも倒れそうだったが、彼は地面に足を踏ん張って立ち上がったのだ。
傷口が痛む中、彼は吐息を漏らす。
その後、彼は呼吸の速度を少しだけ弱めながら、俺を指差して話し始めた。
「──ああ、諦めたよ。君を殺さずにここから立ち去るのをね。殺れスポンジマン!!」
その大声が俺の耳に聞こえると同時に、腹部に感じる違和感。
俺の身体の中に既にスポンジが仕込まれていたというのだろうか。
もし、このスポンジの膨張を無視していれば確定で死んでしまう。
脱水症状と内部からの破裂。
彼に殺されたみんなが味わった死。
それを俺も味わうことになるのだ。
「ハハハッ、既に体内に仕込んでおいたのさ。どうする? お前の身体ごと燃やしてみるか?
さぁ…さっさとあの世への階段を上りやがれ!!」
勝利を確信する犯人。
確かにスポンジを燃やせば解決するかもしれない。
しかし、俺の体内にあるスポンジを俺ごと燃やしてしまえば、俺が死んでしまう。
ここで逃げても逃げなくても死んでしまうかもしれない。
ふと、足を退いてみると俺の足に何かが当たった。
俺のピンチに妙義は焦り始めて、スポンジマンの腕に掴まれながらも駆け寄ろうとしてくれる。
「明山……くそッ。離せスポンジ」
肝心の妙義は未だにスポンジマンの呪縛から逃げ出すことができていない。
王レベルの2人も既に攻撃する気力も方法も体力も失っているようだ。
俺はこのまま、体内で膨張しているスポンジによって内部から破裂してしまうのだろうか。
このまま、俺は……死ぬ?
これで死を経験するのは3度目だ。
誰も破った事のない確実なあの世への処刑。
腹部にある圧迫感と違和感。
異物が入り込んでいるような焦れったい感覚。
痛みは感じる。内蔵を圧迫される痛み。
これが殺された何百人と経験してきた苦しみや痛み。
神出鬼没正体も犯行も不明の殺人犯が与えてきた恐怖。怖い…でも、怯むわけにはいかない。
「──へっ、お前の妹が、あんたを信じてた人が覚悟を決めて反抗している……。
だったらよぉ、俺も覚悟を決めなきゃなァ!!」
俺はハッタリを言い放つように声をあげる。
しかし、もちろん体内のスポンジは俺の体液を吸収して大きくなっている真実は変わらない。
死へと近づいている運命は変わらない。
「──覚悟?
何を言っているだか。
私が勝ち、お前が負ける。お前が死ぬのだ明山君。
君についている運命は変わらないのだよ」
犯人の抱いている勝利への確信も変わらない。
そこで、俺は賭けを行うことにした。
下手をしたら死ぬほどキツいが、挑戦くらいはするつもりだ。
「なに?『君についている運命は変わらないのだよ』だと?
ふっ、この身にこびりついた運命なんて俺が剥がしてやる」
運命なんて関係ない。俺の人生だ俺の一生だ。
俺の歩みを俺の日々を運命などという簡単なものでまとめてもらいたくはない。
運命に決められた人間ではなく。
人間が運命を決めるのだ。
「運命は絶対的な未来ではない。
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